アレジオンドライシロップ使用上の注意改訂~フェニルケトン尿症とアスパルテーム

平成27年1月、アレジオンドライシロップ(一般名:エピナスチン)の添付文書の使用上の注意の改訂が行われました。
内容としては、慎重投与に「フェニルケトン尿症の患者」が加わりました。

※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

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http://www.bij-kusuri.jp/information/attach/pdf/al_ds_info_201501.pdf
改訂された内容は以下の通りです。

1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
1)肝障害又はその既往歴のある患者[肝障害が悪化又は再燃することがある。]
2)フェニルケトン尿症の患者[本剤は1g中100mgのアスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)を含有する。]

フェニルケトン尿症

フェニルケトン尿症(Phenylketonuria:PKU)とは、必須アミノ酸であるフェニルアラニンの代謝を行うことができない疾患です。
その結果、体内にフェニルアラニンが蓄積、精神遅滞の原因となります。
また、フェニルアラニンが代謝により生合成されているチロシンが欠乏することで、そこから誘導される甲状腺ホルモンやメラニン、カテコールアミンの不足により、原発性甲状腺機能低下症、白髪の増加、神経症錠などが起きることもあります。
日本では、すべての新生児に対して、新生児マススクリーニングが行われていますが、フェニルケトン尿症もその対象です。
先天性のアミノ酸代謝異常症では最も多く、8万人に1人ほどの割合とされています。

ファニルアラニンの代謝異常

通常、L-フェニルアラニンは「フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(フェニルアラニン水酸化酵素)」と補酵素「テトラヒドロビオプテリン(BH4)」の働きにより、L-チロシンとなります。
フェニルケトン尿症においては、いくつかの理由により、フェニルアラニンヒドロキシラーゼやBH4がうまく働くことがきず、フェニルアラニンが分解されずに蓄積されてしまいます。
従来、上記の経路により分解されるフェニルアラニンの濃度が高まった結果、通常はそれほど活性が高くはないフェニルアラニントランスアミナーゼの活性が高まり、フェニルアラニンからフェニルピルビン酸が合成されてしまいます。
フェニルピルビン酸はさらに代謝を受け、フェニル乳酸、フェニル酢酸、フェニルグルタミン酸になります。
乳幼児期は、血液脳関門(Blood Brain Barrier:BBB)の発達が悪いため、これらが蓄積してしまい、大脳の神経細胞が正常に成長できなくなってしまいます。
また、成人においても、セロトニンのバランスに影響を与え、感情疾患を引き起こすことがあります。

フェニルケトン尿症とアスパルテーム

アスパルテームはショ糖の100~200倍の甘さを持つ人工甘味料です。
アミノ酸由来の化合物で、フェニルアラニンとアスパラギン酸がペプチド結合したジペプチド構造です。
経口摂取されたアスパルテームのうち大部分は、代謝も分解も受けずにそのまま排泄されますが、一部は分解を受け、フェニルアラニンになることが予想されます。
そのため、フェニルケトン尿症の患者においては、アスパルテームは避けることが望ましいとされています。

アスパルテームを含む薬剤

今回、アレジオンドライシロップの添付文書の改訂が行われましたが、そのジェネリックについても同様の改訂が行われています。

  • アズサレオン小児用ドライシロップ1%
  • エピナスチン塩酸塩DS1%小児用「日医工」
  • エピナスチン塩酸塩DS小児用1%「トーワ」
  • エピナスチン塩酸塩DS小児用1%「サワイ」

また、慎重投与に同様の記載がある薬剤として、

  • カイトリル細粒0.4%
  • クラバモックス小児用配合ドライシロップ
  • ゾフランザイディス4

があげられます。

禁忌とされている薬剤に、

  • エレンタールP乳幼児用配合内用剤

があります。

さらに、禁忌・慎重投与に記載はないが、添加物としてアスパルテームを含む薬剤となると非常に多くなります。
OD錠やドライシロップ、シロップ、細粒、さまざまな薬剤にアスパルテームは使用されています。

フェニルケトン尿症の患者さんに投薬する機会はそう多くはないかもしれませんが、通常使っている薬剤の多くにアスパルテームが含まれ、それを避けるように指導されている患者さんがいることは知っておかなければいけませんね。

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