2023年5月8日から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の分類が5類に移行されます。
それに伴い、さまざまなルールが変更になるのですが、それについてはアスヤクLABOに連載中のコラムでまとめました。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の5類移行〜薬局の業務はどう変わる?~|アスヤクLABO
こちらのブログでは、調剤報酬上の特例措置に限定してまとめてみたいと思います。
この記事の参考資料は 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課 の別添3(調剤報酬点数表関係)です。
また、そのほか以下を参考にしています。
- 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その75)(事務連絡 令和4年9月13日)|厚生労働省保険局医療課
- 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その63)(事務連絡 令和3年9月28日)|厚生労働省保険局医療課
- 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その10)(事務連絡 令和2年4月10日)|厚生労働省保険局医療課
自宅療養するCOVID-19患者に対して、医師の指示により緊急に訪問した場合の特例(一部変更)
令和3年9月28日から実施されている特例措置ですが、2023年5月8日以降も継続となります。
ただし、一部変更が行われているので整理してみたいと思います。
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1の特例(COVID-19)(500点):医師の指示によりCOVID-19患者宅に薬を配達、対面での服薬指導
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2の特例(COVID-19)(200点):医師の指示によりCOVID-19患者宅に薬を配達、オンライン服薬指導もしくは家族に対する服薬指導(オンライン服薬指導を含む)※
※令和5年7月31日まで電話による服薬指導でも算定可能
変更点としては2つです。
- 処方箋の備考欄に「CoV 自宅」又は「CoV 宿泊」と記載されていなくても算定可能になる
- 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2において家族に対面による服薬指導を行わない場合は本人または家族にオンライン服薬指導を実施する必要がある(〜2023年7月31日までは電話でも可)
詳しくみていきましょう。
5類移行前後を比較してみる
まずは2023年5月8日以降の内容についてです。
保険薬局において、患家で療養する新型コロナウイルス感染症患者に対して発行された処方箋に基づき調剤する場合において、処方箋を発行した医師の指示により、当該保険薬局の薬剤師が患家を緊急に訪問し、当該患者に対して対面による服薬指導その他の必要な薬学的管理指導を実施し、薬剤を交付した場合には、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1(500点)を算定できる。
また、上記の処方箋に基づく調剤において、緊急に訪問し薬剤を交付した場合であって、対面による服薬指導を実施する代わりに情報通信機器を用いた服薬指導を実施した場合、又は当該患者の家族等に対して対面若しくは情報通信機器による服薬指導を実施した場合には、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2(200点)を算定できる。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
次に2023年5月7日までの内容です。
問16 自宅・宿泊療養を行っている者に対して発行された処方箋を受け付けた保険薬局の薬剤師が、保険医の求めにより、緊急に薬剤を配送し、当該患者に対して必要な薬学的管理指導を実施した場合、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定について、どのように考えればよいか。
(答) 保険薬局において、自宅・宿泊療養を行っている者に対して発行された処方箋(備考欄に「CoV 自宅」又は「CoV 宿泊」と記載されているものに限る。)に基づき、調剤を実施する場合において、処方箋を発行した医師の指示により、当該保険薬局の薬剤師が当該患者に緊急に薬剤を配送した上で、当該患者の療養している場所において、当該患者に対して対面による服薬指導その他の必要な薬学的管理指導を実施した場合には、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1(500点)を算定できる。
また、上記の患者に緊急に薬剤を配送した場合であって、対面による服薬指導を実施する代わりに、当該患者に対して、緊急に電話や情報通信機器(以下「電話等」という。)を用いた服薬指導を実施した場合又は当該患者の家族等に対して、緊急に対面若しくは電話等による服薬指導を実施した場合には、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2(200 点)を算定できる。
なお、この場合、薬剤服用歴管理指導料及びかかりつけ薬剤師指導料等は併算定できない。
この取扱いは、本事務連絡の発出日以降適用される。
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その63)(事務連絡 令和3年9月28日)|厚生労働省保険局医療課より引用
表にまとめて比較してみます。
記述が変更された部分を整理してみます。
- 自宅・宿泊療養を行っている者→患家で療養する新型コロナウイルス感染症患者
- 備考欄に「CoV自宅」又は「CoV宿泊」と記載されているものに限る→削除
- 電話や情報通信機器を用いた服薬指導→情報通信機器による服薬指導
自宅・宿泊療養についての考え方の変更
まず、「自宅・宿泊療養を行っている者」や「CoV自宅又はCoV宿泊」の記述がなくなったことについてですが、5類以降に伴い、自宅療養・宿泊療養という考えが廃止されたことに伴うものと思います。(自宅療養=外出自粛は要請から推奨に変更、宿泊療養は一部をのぞいて基本的に廃止)
以下に参考となる部分を引用しておきます。
○ 感染症法に基づく新型コロナウイルス感染症患者の外出自粛は求められなくなるため、隔離のための宿泊療養施設は位置づけの変更と同時に終了する。
○ ただし、高齢者や妊婦の療養のための宿泊療養施設は、入院とのバランスを踏まえた一定の自己負担を前提に、地方自治体の判断で経過的に9月末まで継続する(詳細は8(5)を参照)。経過的に継続する高齢者や妊婦の療養のための宿泊療養施設の確保状況等については引き続き報告されたい。詳細は追って連絡する。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
令和5年4月5日の厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードに提出された新たな分析結果を踏まえると、発症後3日間は感染性のウイルス排出量が非常に多く、5日間経過後は大きく減少することから、特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことに注意が必要です。
位置付け変更後は、政府として一律に外出自粛を要請するものではありませんが、個人や事業者の判断に資するよう、この分析結果や諸外国の事例を踏まえ、発症後5日を経過し、かつ、症状軽快から24時間経過するまでの間は外出を控えていただくことを推奨するとともに、その後も10日間が経過するまでは、マスク着用やハイリスク者との接触は控えていただくことを推奨することを情報提供します。
また、位置づけ変更後は、一般に保健所から新型コロナ患者の「濃厚接触者」として特定されることはありません。また、「濃厚接触者」として法律に基づく外出自粛は求められません。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更後の療養期間の考え方等について(令和5年5月8日以降の取扱いに関する事前の情報提供)(事務連絡 令和5年4月14日)|厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部より引用
電話による対応が認めらるのは令和5年7月31日まで
次に「電話や情報通信機器を用いた服薬指導」から「電話」が削除された件ですが、これは0410対応の廃止が影響しているものと思われます。(0410対応の廃止についてはあとで詳しくまとめます)
0410対応の廃止に関して、以下のような記述があります。
3.電話や情報通信機器を用いた服薬指導等に係る特例
(1)電話や情報通信機器を用いた診療等に係る特例の期限について
電話を用いた服薬指導等に関する特例については、以下(2)のとおりであり、当該特例については、令和5年7月31日をもって終了する。
(2)服薬管理指導料等に係る特例について
④ 1①並びに2①及び②において、情報通信機器に代えて電話を用いた服薬指導を実施した場合であっても、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2(200点)を算定することができる。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
※1①が「自宅療養するCOVID-19患者に対して、医師の指示により緊急に訪問した場合」を指します
ということで、令和5年7月31日までは5類移行前と同様に、電話による服薬指導を行うことで在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2を算定することが可能ですが、令和5年8月1日以降は電話による対応では算定できず、家族に対して対面による服薬指導を行うか、本人か家族にオンライン服薬指導を行わないと算定できません。
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導の特例と合わせて算定可能な加算について
点数としては「在宅患者緊急訪問薬剤管理指導」と同等の点数となっていますが、あくまでも服薬管理指導料の特例という位置付けのため、算定可能な加算は「服薬管理指導料に係る加算」となっています。
なお、これらの場合にあっては服薬管理指導料及びかかりつけ薬剤師指導料等は併算定できない。また、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料に係る加算は算定できないが、算定要件を満たしていれば服薬管理指導料に係る加算を算定することができる。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
服薬情報等提供料1についての特例(継続)
服薬情報等提供料1の特例については大きな変更はなく継続となっています。
- 服薬情報等提供料1の特例(COVID-19)(30点):新型コロナウイルス感染症患者について月1回の上限を超えて算定できる
保険医療機関からの情報提供の求めがあった場合に、患者の同意を得て、残薬を含めた服薬状況等を確認、医療機関に文書により情報提供を行なった場合に算定可能です。
本来、服薬情報等提供料1は月に1回までの算定となっていますが、特例に関しては上限回数を超えて算定することが可能です。
5類移行前後を比較してみる
まずは2023年5月8日以降の内容についてです。
新型コロナウイルス感染症患者について、保険医療機関から情報提供の求めがあった場合において、当該患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、残薬を含めた当該患者の服薬状況等について確認し、当該保険医療機関に必要な情報を文書により提供等した場合に、服薬情報等提供料1(30点)を算定できる。なお、この場合、月1回の上限を超えて算定できる。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
次に2023年5月7日までの内容です。
問19 自宅・宿泊療養を行っている者について、保険医療機関から情報提供の求めがあった場合において、当該患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、当該患者の服薬状況等について確認し、当該保険医療機関に必要な情報を文書により提供等した場合に、服薬情報等提供料1(30点)を算定できるか。
(答) 算定可。なお、この場合、月1回の限度を超えて算定できる。
この取扱いは、本事務連絡の発出日以降適用される。
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その63)(事務連絡 令和3年9月28日)|厚生労働省保険局医療課より引用
変更となったのは1カ所のみです。
- 自宅・宿泊療養を行っている者→新型コロナウイルス感染症患者
自宅療養を行なっていなくても算定可能になるんだ!・・・と思いましたが、これまで陽性者は、自宅療養/宿泊療養/入院のいずれかでしたもんね。
つまり、記述が変わっただけで、大きな変更はなしです。
薬局で新型コロナウイルス感染症治療薬(抗ウイルス薬)を交付した場合の特例(新設)
薬局で新型コロナウイルス感染症治療薬(抗ウイルス薬)を調剤した場合の特例が追加になります。
対象となる薬剤は以下の3つです。
- ラゲブリオカプセル200mg
- パキロビッドパック300/600
- ゾコーバ錠125mg
おそらくですが、国購入品も対象と思われます。
保険薬局において、新型コロナウイルス感染症患者に対して新型コロナウイルス感染症治療薬を交付するに当たり、副作用、併用禁忌等の当該医薬品の特性を踏まえ、当該医薬品に係る医薬品リスク管理計画(RMP)を理解し、RMP に基づく情報提供資材を活用するなどし、当該患者に対して当該薬剤の有効性及び安全性に関する情報を十分に説明した上で、残薬の有無を確認し指導するなど当該薬剤に関する指導を行った場合には、服薬管理指導料の「1」又は「2」の 100 分の200 に相当する点数(118点、90点)を算定できる。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
赤マーカーを引きましたが、ポイントは以下の4つです。
- 新型コロナウイルス感染症治療薬を交付
- 副作用、併用禁忌等の当該医薬品の特性を踏まえ、当該医薬品に係る医薬品リスク管理計画(RMP)を理解し、RMPに基づく情報提供資材を活用
- 薬剤の有効性及び安全性に関する情報を十分に説明した上で、残薬の有無を確認し指導するなど当該薬剤に関する指導を行った場合
- 服薬管理指導料の「1」又は「2」の 100 分の200 に相当する点数(118点、90点)を算定
整理してみましょう。
- 服薬管理指導料1(3ヶ月以内に再度処方箋を持参した患者(お薬手帳提示)):90点
- 服薬管理指導料2(1以外の患者):118点
対象患者:COVID-19患者(COVID-19に対する抗ウイルス薬を調剤した場合)
算定要件:
- RMPを理解し、RMPに基づく情報提供資材を活用した服薬指導を実施
- 有効性及び安全性に関する情報を十分に説明した上で薬剤に関する指導を実施
COVID-19 経口 抗ウイルス薬のRMPとRMP関連資材
ラゲブリオカプセル200mg
- 医薬品リスク管理計画書:RMP(Pmda、MSD)
- RMP資材①(患者向け):妊娠する可能性のある女性とご家族のみなさまへ(Pmda、MSD)
- RMP資材②(医療従事者向け):「妊娠している女性、妊娠している可能性のある女性、又は妊娠する可能性のある女性」に関するお願い(Pmda、MSD)
パキロビッドパック・パキロビッドパック300/600
- 医薬品リスク管理計画書:RMP(Pmda、ファイザー)
- RMP資材①(患者向け):パキロビッドパック600/300による治療を受ける患者さん・患者さんのご家族の方へ(Pmda、ファイザー)
- RMP資材②(医療従事者向け):パキロビッドパック・パキロビッドパック600/300による治療に係る同意説明文書(Pmda、ファイザー)
ゾコーバ錠125mg
- 医薬品リスク管理計画書:RMP(Pmda、塩野義製薬)
- RMP資材①(患者向け):ゾコーバ錠による治療に係る同意説明文書(Pmda、塩野義製薬)
- RMP資材②(患者向け):ゾコーバ錠による治療を受ける患者さん・患者さんのご家族の方へ(患者ハンドブック)(Pmda、塩野義製薬)
- RMP資材③(患者向け):ゾコーバ錠を処方された女性の患者さんとご家族のみなさまへ(Pmda、塩野義製薬)
- RMP資材④(医療従事者向け):ゾコーバ錠「妊娠している女性、妊娠している可能性のある女性、又は妊娠する可能性のある女性」に関するお願い(Pmda、塩野義製薬)
高齢者施設等における調剤の特例(新設)
介護療養病床、介護医療院、介護老人保健施設(老健)、地域密着型介護老人福祉施設(小規模 特別養護老人ホーム)、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、特養)に入所、入院している方に対して発行された処方箋について、医師の指示に基づき緊急訪問した場合の特例が新設されます。
補足:施設による介護保険と医療保険の給付調整
今回、特例措置の対象となる4施設は、それぞれ介護保険による給付の対象となる施設です。
そのため、通常であれば医療保険による給付の対象となる範囲が限定されています。
特例措置の説明に移る前に、それぞれの施設について、介護保険・医療保険の給付範囲についてまとめておきます。
介護療養院はⅠ型とⅡ型があり分類しにくいため省略していますが、介護療養病床と介護老人保健施設の性質を持つイメージと思っています。(違っていたらすいません)
要はどの施設も医学的管理指導は介護保険(施設内)で対応されており、介護療養病床と介護療養院、介護老人保健施設(老健)については投薬についても、一部の例外を除いて介護保険(施設内)で対応されることがポイントです。
介護療養病床等に入院、介護医療院・介護老人保健施設(老健)に入所している場合
上でまとめたように、介護療養病床に入院、介護医療院・介護老人保健施設(老健)に入所している場合は、医学的管理指導や投薬は介護保険に包括されてしまうため、本来算定できません。(ラゲブリオ等の薬剤費については例外)
抗がん剤等の一部の薬剤については算定可能ですが、算定できるのはあくまでも薬剤料のみです。
ですが、5月8日以降は「患家で療養する者」と同様の考えで在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1・2を算定可能となることに加え、薬剤料も算定可能になります。
保険薬局において、介護療養病床等に入院している者又は介護医療院若しくは介護老人保健施設に入所する新型コロナウイルス感染症患者に対して、保険医療機関から発行された処方箋に基づき調剤する場合において、処方箋を発行した医師の指示により、当該保険薬局の薬剤師が当該施設を緊急に訪問し、当該患者又は現にその看護に当たっている者に対して対面による服薬指導その他の必要な薬学的管理指導を実施し、薬剤の交付した場合には、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1(500点)及び薬剤料を算定できる。
また、上記の処方箋に基づく調剤において、緊急に訪問し薬剤を交付した場合であって、対面による服薬指導を実施する代わりに情報通信機器を用いた服薬指導を実施した場合には、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2(200点)及び薬剤料を算定できる。
なお、これらの場合にあっては在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料に係る加算は算定できないが、算定要件を満たしていれば服薬管理指導料に係る加算を算定することができる。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
通常のコロナ患者の対応にくらべれば低い点数にはなってしまいますが、特定の施設に入っているために、有効な治療を受けることができなくなることがないように考えられた対応と思います。
参考:介護療養病床等に入院、介護医療院・介護老人保健施設(老健)に入所している場合のラゲブリオ投与
問1 介護療養病床等に入院している者又は介護医療院若しくは介護老人保健施設に入所する新型コロナウイルス感染症患者であって、病床ひっ迫時に、やむを得ず当該施設内での入所を継続し療養を行う者に対して、ラゲブリオカプセル200mg(成分名:モルヌピラビル)(以下「本剤」という。)を、療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行ったうえで投与した場合に、特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働 省告示第63号)第16第2号に規定する内服薬のうち、「抗ウイルス剤(B型肝炎又はC型肝炎の効能又は効果を有するもの及び後天性免疫不全症候群又はHIV感染症の効能又は効果を有するものに限る。)」とみなして、本剤に係る薬剤料を算定できるか。
(答) 算定可。なお、調剤料等の算定については、特に定めのない限り、要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合(平成20年厚生労働省告示 第128号)等に基づき取り扱うことに留意されたい。
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その75)(事務連絡 令和4年9月13日)|厚生労働省保険局医療課より引用
地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設(特別擁護老人ホーム)に入所している場合
通常、特養入所者に対して施設を訪問して服薬指導を行った場合は、服薬管理指導料3(特別養護老人ホームに入所している患者に訪問して行った場合)に該当し、在宅に関する管理料は算定できなくなっていますが、COVID-19患者に対する対応を行った場合、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定可能とする特例が新設されます。
保険薬局において、地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設に入所する新型コロナウイルス感染症患者に対して、保険医療機関から発行された処方箋に基づき調剤する場合において、処方箋を発行した医師の指示により、当該保険薬局の薬剤師が当該施設を緊急に訪問し、当該患者又は現にその看護に当たっている者に対して対面による服薬指導その他の必要な薬学的管理指導を実施し、薬剤を交付した場合には、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1(500点)を算定できる。
また、上記の処方箋に基づく調剤において、緊急に訪問し薬剤を交付した場合であって、対面による服薬指導を実施する代わりに情報通信機器を用いた服薬指導を実施した場合には、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2(200点)を算定できる。
なお、これらの場合にあっては服薬管理指導料及びかかりつけ薬剤師指導料等は併算定できない。また、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料に係る加算は算定できないが、算定要件を満たしていれば服薬管理指導料に係る加算を算定することができる。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
電話や情報通信機器を用いた服薬指導等に係る特例
いわゆる0410対応は令和5年7月31日をもって廃止となります。
参考(0410通知):新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(事務連絡 令和2年4月10日)|厚生労働省医政局医事課
3.電話や情報通信機器を用いた服薬指導等に係る特例
(1)電話や情報通信機器を用いた診療等に係る特例の期限について
電話を用いた服薬指導等に関する特例については、以下(2)のとおりであり、 当該特例については、令和5年7月31日をもって終了する。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
(2)服薬管理指導料等に係る特例について
① 患者が、保険薬局において電話による情報の提供及び指導(以下「服薬指導等」という。)を希望する場合であって、「新型コロナウイルスの感染拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和2年4月10日厚生労働省医政局医事課、医薬・生活衛生局総務課事務連絡)又は「歯科診療における新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和2年4月24日厚生労働省医政局歯科保健課、医薬・生活衛生局総務課事務連絡)2.(1)に基づき調剤を実施した場合、調剤技術料、薬剤料、及び特定保険医療材料料を算定することができ、さらに同事務連絡2.(2)に従って電話による服薬指導等を行った場合、対面によるとされる要件以外の算定要件を満たせば薬学管理料を算定することができる。ただし、服薬管理指導料については、これに代えて薬剤服用歴管理指導料(注に規定する加算(注5に規定する加算を除く。)を含む。)に掲げる点数(43点、57点)を算定すること。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
0410対応終了後はオンライン服薬指導による対応となります。
0410対応とオンライン服薬指導の一番の違いは電話による服薬指導が認められるかどうかです。
令和5年8月1日以降は電話による服薬指導が認められなくなることに注意しておきましょう。
定期的な在宅訪問に代わる電話による服薬指導
令和5年7月31日までは、新型コロナウイルスへの感染を懸念した場合等は、在宅患者オンライン服薬指導料に変わって電話による服薬指導で薬剤服用歴管理指導料1(43点)を算定できます。
医療保険(在宅患者訪問薬剤管理指導料)算定している場合
(2)服薬管理指導料等に係る特例について
② 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定していた患者に対して、薬学的管理指導計画に基づいた定期的な訪問薬剤管理指導を予定していたが、新型コロナウイルスへの感染を懸念した患者等からの要望等があり、かつ、患者又はその家族等に十分に説明し同意が得られている場合、訪問の代わりに電話により必要な服薬指導を実施し、対面によるとされる要件以外の算定要件を満たせば、在宅患者訪問薬剤管理指導料に代えて、薬剤服用歴管理指導料の「1」(注に規定する加算(注5に規定する加算を除く。)を含む。)に掲げる点数(43点)を算定することができる。
なお、この場合において、「薬剤服用歴管理指導料」の点数については、在宅患者訪問薬剤管理指導料と合わせて月4回(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者にあっては、週2回かつ月8回)まで算定することができる。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
介護保険(居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費)算定している場合
(2)服薬管理指導料等に係る特例について
③ 居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者について、当月において、新型コロナウイルスへの感染を懸念した患者等からの要望等があり、かつ、患者又はその家族等に十分に説明し同意が得られている場合、訪問の代わりに電話により必要な服薬指導を実施し、対面によるとされる要件以外の算定要件を満たせば、薬剤服用歴管理指導料の「1」(注に規定する加算(注5に規定する加算を除く。)を含む。)に掲げる点数(43点)を算定することができる。ただし、前月に居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費を1回以上算定している患者に限ること。
なお、この場合において、「薬剤服用歴管理指導料」の点数については、月4回(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者にあっては、週2回かつ月8回)まで算定することができる。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2の特例的な電話対応
(2)服薬管理指導料等に係る特例について
④ 1①並びに2①及び②において、情報通信機器に代えて電話を用いた服薬指導を実施した場合であっても、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2(200点)を算定することができる。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(事務連絡 令和5年3月31日)|厚生労働省保険局医療課より引用
以下における「在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2」の算定についても、令和5年7月31日までは電話による服薬指導で算定できますが、令和5年8月1日以降は電話による服薬指導が認められなくなります。
- 自宅療養するCOVID-19患者に対して、医師の指示により緊急に訪問した場合
- 介護療養病床等に入院、介護医療院・介護老人保健施設(老健)に入所している場合
- 地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設(特別擁護老人ホーム)に入所している場合
まとめ
最後に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)5類以降後の調剤報酬上の臨時的な取扱いについてまとめておきます。
今回は調剤報酬の変化について徹底的に解説してみました。
1年後にやってくる診療報酬改定の予行練習と言っては大袈裟ですが、読み解き方のトレーニングみたいなものと思ってもらえれば幸いです。
アスヤクLABOのコラムでは調剤報酬に限らず、もっと幅広く行動制限等の制度の変更まで解説しています。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の5類移行〜薬局の業務はどう変わる?~|アスヤクLABO
患者さんとの会話のなかで必要な知識も多いので↑こちらもぜひ、読んでみてください。