【令和4年度調剤報酬改定】個別改定項目(調剤部分)を読み解く!【短冊・答申】

3/4の通知に合わせてとりあえず修正した箇所

  • 調剤管理料について(内服とそれ以外の違い)
  • 調剤管理加算の施設基準
  • かかりつけ薬剤の代わりに対応できる薬剤師の施設基準
  • 服用薬剤調整支援料2の施設基準

2022年1月26日、第513回 中医協 総会が開催され、2022年度(令和4年度)診療報酬改定に関する個別改訂項目(案)、いわゆる短冊が公開されました。
その後、2月9日、第516回 中医協 総会では2022年度(令和4年度)診療報酬改定が答申されました。
この記事では資料(資料個別改定項目:答申資料)を一緒に読んでいくスタイルで内容について詳しく解説していきたいと思います。

新人薬剤師の方やこれまでは調剤報酬改定については会社や上司の言う通りに対応していただけだったけど今回は自分で予習しておきたいって方に是非読んでもらいたい内容です。
一緒に調剤報酬改定について勉強しましょう!

個別改定項目(答申)のうち、今回の記事で登場する内容を印刷したい場合は、
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000905284.pdfを開いて
印刷ページを 163,200-205,223-227, 300-304,317-318,426-429,457-476,478-482,498-504 で指定すると全て印刷可能です。
(もしファイルが更新されてページが変更になっていたらすいません)

疑義解釈については別記事でまとめています。

【2022年度調剤報酬改定】ぺんぎん薬剤師的 疑義解釈の考え方【まとめ】

目次

2022年度調剤報酬改定

まずは診療報酬の改定率についてまとめておきます。

令和4年度診療報酬改定について
令和3年12月22日 診療報酬改定について
診療報酬改定について

  • 診療報酬:+0.43%(※1〜4を除いた改定部分:+0.23%)
    • ※1:看護の処遇改善のための特例的な対応:+0.20%
    • ※2:リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化:▲0.10%
    • ※3:不妊治療の保険適用のための特例的な対応:+0.20%
    • ※4:小児の感染防止対策に係る加算措置(医科分)の期限到来:▲0.10%
  • 各科改定率
    • 医科:+0.26%
    • 歯科:+0.29%
    • 調剤:+0.08%
  • 薬価:▲1.35%
    • 実勢価格等改定:▲1.44%
    • 不妊治療の保険適用のための特例的な対応:+0.09%
  • 材料価格:▲0.02%

調剤部分は+0.08%。
とりあえずはプラス改定という形ですが、0.08%という値は本当にとりあえずといった形で、ここ数年の改定で最も厳しい値になっています。

2014年や2018年の実質改定を考慮すると話は別ですが、厚生労働省が公表する表向きの改定率では最も低い改定率になっています。

子ぺんぎん(ジェンツー)
0.08%って実質0と変わらないじゃん!
ぺんぎん薬剤師
まあ、0.08%と言っても金額にすれば大きいので財政のことを考えれば仕方がない部分があるんだけど・・・。
覚悟がいる改定になるのは間違いないよね。
子ぺんぎん(ジェンツー)
薬価は−1.35%・・・。安くなるばっかりだね・・・。
ぺんぎん薬剤師
これ医療費ベースだからね?薬剤費ベースだと−6.69%。つまり一晩で在庫の価値が6.69%下がるという・・・。
子ぺんぎん(ジェンツー)
ひえぇ・・・。

個別改定項目からわかる令和4年度調剤報酬改定

中医協 総会の資料として公開されている令和4年度診療報酬改定 個別改定項目のファイルは以下のリンクをクリックすることで閲覧できます。

中央社会保険医療協議会 総会(第513回)議事次第

個別改定項目(その1)について:総-2

中央社会保険医療協議会 総会(第516回)議事次第

答申について:総ー1

この資料を読むことで令和4年度調剤報酬改定でどこが変更となるかを把握することができます。

今回は総括版なので、全体に目を通して明らかになって改定項目をまとめていきます。

ぺんぎん薬剤師
改定が行われる部分は把握できるので全部チェックしていきますよ!

調剤基本料関連

まずは調剤基本料とその加算について、関連する項目をチェックしていきたいと思います。

調剤基本料は保険薬局を運営する上で必要となる経費を評価する点数で、経費には医薬品の備蓄、構造設備、人員配置等が該当します。
そのため、ここ数年は、経営が効率化されている(とみなされる)チェーン薬局について厳しい改定が続いています。
今回の改定でも大手チェーン薬局にとって厳しい改定が行われることになりそうです。

調剤基本料3の見直し

資料

492ページ(ファイル上は501ページ)の「Ⅳ-8-①」になります。
> Ⅳ 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
> 【Ⅳ-8 効率性等に応じた薬局の評価の推進-①】
> ①調剤基本料の見直し

大手チェーン薬局を対象とした改定になります。

新旧の調剤基本料を簡単に比較したのがこちら。

第1 基本的な考え方
調剤基本料について、損益率の状況等を踏まえ、同一グループ全体の処方箋受付回数が多い薬局及び同一グループの店舗数が多い薬局に係る評価を見直す。

調剤基本料に関しては調剤基本料1と2は変更なしですが、調剤基本料3について変更が行われます。
また、後ほど紹介しますが特別調剤基本料についても見直しが行われます。

改定のポイント
これまでは①集中率と②受付回数、③不動産賃貸借取引関係の有無によって調剤基本料の分類が行われてきたが、R4年度改定では新たに店舗数に対する評価が加わることになる。

調剤基本料3のロの改定

第2 具体的な内容
1.調剤基本料3のロ(同一グル-プの保険薬局における処方箋の受付回数の合計が月に40万回を超える場合)の対象となる薬局に、同一グループの店舗数が300以上であって、特定の保険医療機関からの処方箋受付割合に係る要件について、85%を超える薬局を対象に追加する。

改定前:
同一グル-プの保険薬局による処方箋受付回数40万回を超える場合

  • イ 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が85%を超えること
  • ロ 特定の保険医療機関との間で不動産の賃貸借取引があること

改定後:
同一グル-プの保険薬局による処方箋受付回数40万回を超える場合

  • イ 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が85%を超えること
  • ロ 特定の保険医療機関との間で不動産の賃貸借取引があること

同一グループの店舗数が300以上の場合

  • 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が85%を超えること
  • ロ 特定の保険医療機関との間で不動産の賃貸借取引があること

集中率の要件(85%以上)は変わりませんでしたが、グループの処方箋受付回数(40万回/月)以外に店舗数(300)の要件が加わりました。
この要件、この後にまとめる調剤基本料3のハ(新設)と合わせるととんでもないことになっています・・・。

答申前の記述(読みたい方はクリック)
調剤基本料3のハの新設ばかりに注目していたら、ロの方も店舗数の規定が加わるようです。
店舗数の規定に該当する場合については受付回数40万回超とは異なる集中率の規定が設けられるような書き方になっていますが、施設基準の(4)(調剤基本料3の施設基準)の分類がイとロのままなので、イの中で場合分けするのかなあ・・・。
個人的には受付回数と店舗数で集中率の要件を変える根拠がよくわからないので、受付回数40万回超に関する集中率も合わせて見直されるんじゃないかなと思っています。店舗数ですがおそらく300店舗以上になるんじゃないかなと思います。
が、この店舗数は下に書く「調剤基本料3のハ」にも影響しそうなのでどうなるか難しいところですね・・・。

調剤基本料3のハの新設

第2 具体的な内容
2.同一グループの保険薬局における処方箋の受付回数の合計が月に40万回を超える又は同一グループの店舗数が300以上である薬局について、特定の保険医療機関からの処方箋受付割合が85%以下の場合の評価を新設する。

  • 同一グル-プの保険薬局による処方箋受付回数40万回を超える場合
  • 同一グループの店舗数が300以上の場合

特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が85%以下であること

子ぺんぎん(ジェンツー)
85%以下・・・「以下」!?
ぺんぎん薬剤師
そう。集中率が低い方が要件になってるんだよ。
集中率が低いことが施設基準になるということは、面調剤等でどれだけ集中率が低い薬局を作っても、大手に所属していると調剤基本料1を算定できないってことです・・・。
ちなみに、調剤基本料3のハの施設基準(改定案)を詳しく見てみます。
(5) 調剤基本料3のハの施設基準
同一グループの保険薬局における処方箋の受付回数の合計が一月に四十万回を超える又は同一グループの保険薬局の数が三百以上のグループに属する保険薬局((2)(4)のロ又は二の二の(1)に該当するものを除く。)のうち、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が八割五分以下であること。
ちょっとわかりにくい書き方なので補足を加えると、
(2):調剤基本料2
(4)のロ:調剤基本料3のロのうち不動産の賃貸借取引に該当するもの
二の二の(1):特別調剤基本料
つまり、より点数の低い調剤基本料が優先されるってことです。

総受付回数が40万回/月超もしくは店舗数300以上の場合、基本的には調剤基本料は以下のどちらかになります。
・集中率>85%:調剤基本料3のロ
・集中率≦85%:調剤基本料3のハ
※調剤基本料2、調剤基本料3のロ(賃貸借取引)、特別調剤基本料に該当する場合を除く

答申前の記述(読みたい方はクリック)
集中率が●●%「以下」!!
集中率が低い場合にの減算なんてあり得ないので、これはつまり・・・。
店舗数が多い薬局は調剤基本料3のロかハのどちらかを算定することにしたいんじゃないでしょうか?
一定の店舗数を超えるチェーンに所属している時点で、どれだけ集中率の低い面調剤だとしても、調剤基本料1が算定できなくなるかもしれない・・・。色々考えてみたんですが、こういうイメージでしょうか?(走り書きですいません)集中率●●%の部分に谷間ができると集中率が高い方が評価されるという事態になってしまうので、「調剤基本料3のロ」と同じ数字になるんじゃないかと予想します。受付回数と店舗数については同じか「調剤基本料3のハ」の方が大きい数字になるかもしれませんね。
500店舗くらいでしょうか?

ちなみに、調剤基本料3のハの施設基準(案)を詳しく見てみると・・・。
(5) 調剤基本料3のハの施設基準
同一グループの保険薬局における処方箋の受付回数の合計が一月に四十万回を超える又は同一グループの保険薬局の数が三百以上のグループに属する保険薬局((2)(4)のロ又は二の二の(1)に該当するものを除く。)のうち、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が八割五分以下であること。
ちょっとわかりにくい書き方なので補足を加えると。
(2)っていうのは調剤基本料2です。
(4)のロっていうのは調剤基本料3のロの不動産の賃貸借取引です。
で、二の二の(1)が特別調剤基本料。
ということは、「調剤基本料3のハ」の点数は「調剤基本料2」の26点よりは高いはずです。
「調剤基本料3のハ」は30点くらいですかね?
子ぺんぎん(ジェンツー)
大手チェーンは調剤基本料1は算定できないってこと?
ぺんぎん薬剤師
そういうことになるね・・・。
調剤基本料1が42点なのでそれが調剤基本料3のハ(32点)に変わると−10点・・・。

特別調剤基本料の見直し

資料

494ページ(ファイル上は503ページ)の「Ⅳ-8-①」になります。
一番最後です。
> Ⅳ 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
> 【Ⅳ-8 効率性等に応じた薬局の評価の推進-①】
> ②特別調剤基本料の見直し

第1 基本的な考え方
特別調剤基本料について、医薬品の備蓄の効率性等を考慮し、評価を見直す。

改定のポイント!
特別調剤基本料は点数の引き下げだけでなく、各種加算の減算、一部薬学管理料の算定制限などさらに厳しい評価となります。

特別調剤基本料の点数

第2 具体的な内容
1.特別調剤基本料の点数を引き下げる。

改定前:9点 → 改定後:7点
調剤基本料の加算に減算が適応される
・地域支援体制加算:0.8倍(2割減点)
・後発医薬品調剤体制加算:0.8倍(2割減点)
服薬情報等提供料:特別な関係を有する医療機関(同一敷地内の医療機関)に対しては算定できない

中医協での議論を見ているともっと厳しい改定になるのではないかと予想していましたが・・・。
2点減点に加えて、各種加算の減算規定が追加されました。

今のところ、特別調剤基本料の施設基準については特に記載されていないのですが、中医協の議論の中では「実際に敷地内であるものは全て対象とするべきでは?」という議論もありました。

そのあたりの変更があるのかどうか気になるところです。

特別調剤基本料に関連する評価の見直し

第2 具体的な内容
2.特別調剤基本料を算定する保険薬局について、調剤基本料における加算の評価を見直す。
3.特別調剤基本料を算定する保険薬局について、保険医療機関への情報提供に係る評価を見直す。

特別調剤基本料(調剤基本料の注2)を算定している場合は、「後発医薬品調剤体制加算」、「地域支援体制加算」について減算を受け、「服薬情報等提供料」については算定制限を受けるように評価が見直されるようになっています。

後発医薬品調剤体制加算に係る評価の見直し

資料

469ページ(ファイル上は478ページ)の「Ⅳ-1-①」になります。

【後発医薬品調剤体制加算(調剤基本料)】
イ 後発医薬品調剤体制加算1 21点
ロ 後発医薬品調剤体制加算2 28点
ハ 後発医薬品調剤体制加算3 30点
注6 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号)第7条の2に規定する後発医薬品(以下「後発医薬品」という。)の調剤に関して別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において調剤した場合には、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数(注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局において調剤した場合には、それぞれの点数の100分の80に相当する点数)を所定点数に加算する。

特別調剤基本料を算定している場合は「後発医薬品調剤体制加算」が100分の80に減算されます。
つまり・・・
イ 後発医薬品調剤体制加算1 21点→16.8点
ロ 後発医薬品調剤体制加算2 28点→22.4点
ハ 後発医薬品調剤体制加算3 30点→24点

地域支援体制加算に係る評価の見直し

資料

448ページ(ファイル上は457ページ)の「Ⅲ-6-①」になります。

【地域支援体制加算】
[算定要件]
注5 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において調剤した場合には、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数(注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局において調剤した場合には、それぞれの点数の100分の80に相当する点数)を所定点数に加算する。

特別調剤基本料を算定している場合は「地域支援体制加算」が100分の80に減算されます。
下でまとめていますが地域支援体制加算は4つに分類され、特別調剤基本料を算定している場合に算定可能なのは3・4なので
ハ 地域支援体制加算3 17点→13.6点
ニ 地域支援体制加算4 39点→31.2点

服薬情報等提供料の算定制限

資料

465ページ(ファイル上は474ページ)の「Ⅲ-6-③」になります。

【服薬情報等提供料】
[算定要件]
5 区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局において、別に厚生労働大臣が定める保険医療機関への情報提供を行った場合は、算定できない
[施設基準]
十二の二 服薬情報等提供料の注5に規定する厚生労働大臣が定める保険医療機関
当該保険薬局が二の二の(1)に該当する場合に係る保険医療機関であること。

別に構成労働大臣が定める保険医療機関=特別な関係を有している保険医療機関ってことですね。
要は必要以上に密な関係なんだから服薬情報等の共有は行われていて当然という考え方ですね。

地域支援体制加算の見直し

資料

の記載では448ページ(ファイル上は457ページ)の「Ⅲ-6-①」になります。
> Ⅲ 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
> 【Ⅲ-6 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の 対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価-①】
> ① 地域医療に貢献する薬局の評価

第1 基本的な考え方
地域におけるかかりつけ機能に応じて薬局を適切に評価する観点から、地域支援体制加算について要件及び評価を見直す。

改定のポイント!
地域支援体制加算は4段階(4種類)の評価に変更
調剤基本料1を算定している場合については「地域医療への貢献に係る相当の実績」を求める一つ上の評価が追加
調剤基本料1以外を算定している場合については「地域医療への貢献に係る十分な実績」でも算定することが可能となる
新たに機能強化加算が新設され、地域支援体制加算を算定している薬局は更なる加算を受けることができる
特別調剤基本料を算定している場合は評価の引き下げ

地域支援体制加算は4種類に

第2 具体的な内容
1.地域支援体制加算について、調剤基本料の算定、地域医療への貢献に係る体制や実績に応じて類型化した評価体系に見直す。

地域支援体制加算は4種類の評価に変更される。
調剤基本料1を対象としたものとそれ以外とでそれぞれ2段階の評価に。

  • 地域支援体制加算1:調剤基本料1+地域医療への貢献に係る十分な体制+地域医療への貢献に係る十分な実績
  • 地域支援体制加算2:調剤基本料1+地域医療への貢献に係る十分な体制+地域医療への貢献に係る相当の実績
  • 地域支援体制加算3:調剤基本料1以外+地域医療への貢献に係る必要な体制+地域医療への貢献に係る十分な実績
  • 地域支援体制加算4:調剤基本料1以外+地域医療への貢献に係る必要な体制+地域医療への貢献に係る相当の実績

相当の実績で求められる要件は「常勤薬剤師一人あたり」から「直近1年間の受付回数1万回あたり」に変更となる。

R2年度改定とR4年度改定の施設基準の表現を整理すると下の図のようになります。

子ぺんぎん(ジェンツー)
まさか4つに増えるなんて!けっこう複雑な点数設定。
「十分な」「相当の」「相当な」「必要な」の使い分けがよくわかんない・・・。
ぺんぎん薬剤師
調剤基本料1を算定する場合に相当の実績を求めるものが加わって2段階になるかな・・・と予想していたけど、調剤基本料1以外でも十分な実績で算定できるようになるのは想像していなかったです。これは調剤基本料3のハができたからだね。
施設基準の詳細は?

施設基準として求められる要件を詳しく見ていきます。

第92 地域支援体制加算
1 地域支援体制加算1に関する施設基準
(1) 調剤基本料1を算定している保険薬局において、以下の①から③までの3つの要件を満たし、かつ、④及び⑤のいずれかの要件を満たすこと。なお、②、④及び⑤については、保険薬局当たりの直近1年間の実績とする。

第92 地域支援体制加算
2 地域支援体制加算2に関する施設基準
(1) 調剤基本料1を算定している保険薬局において、地域医療への貢献に係る相当の実績として、1の(1)及び(3)から(25)までの基準を満たした上で、以下の①から⑨までの9つの要件のうち3以上を満たすこと。この場合において、⑨の「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得した保険薬剤師が地域の多職種と連携する会議」への出席は、当該保険薬局当たりの直近1年間の実績とし、それ以外については当該保険薬局における直近1年間の処方箋受付回数1万回当たりの実績とする。なお、直近1年間の処方箋受付回数が1万回未満の場合は、処方箋受付回数1万回とみなす。

第92 地域支援体制加算
3 地域支援体制加算3に関する施設基準
(1) 調剤基本料1以外を算定している保険薬局において、1の(3)から(25)までの基準を満たした上で、地域医療への貢献に係る十分な実績として、2の(1)の①から⑨までの9つの要件のうち、④及び⑦を含む3項目以上を満たすこと。なお、直近1年間の処方箋受付回数が1万回未満の場合は、処方箋受付回数1万回とみなす。
(2) 麻薬及び向精神薬取締法第3条の規定による麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができること。

第92 地域支援体制加算
4 地域支援体制加算4に関する施設基準
(1) 調剤基本料1以外を算定している保険薬局において、1の(3)から(25)までの基準を満たした上で、地域医療への貢献に係る相当の実績として、2の(1)の①から⑨までの9つの要件のうち8項目以上を満たすこと。なお、直近1年間の処方箋受付回数が1万回未満の場合は、処方箋受付回数1万回とみなす。

こうして並べて比較してみると、「十分な実績」と「相当な実績」が意味する内容が見えてきますね。

  • 地域支援体制加算1:「1の(1)で求める実績」(十分な実績)
  • 地域支援体制加算2:「1の(1)で求める実績」+「2の(1)で求める実績」のうち3つ以上(相当の実績)
  • 地域支援体制加算3:「2の(1)で求める実績」のうち④・⑦を含む3つ以上(十分な実績)+麻薬小売業の免許
  • 地域支援体制加算4:「2の(1)で求める実績」のうち8つ以上(相当の実績)

ここからは満たすべき実績について解説していきます。
まずは地域支援体制加算1の(1)で求められる十分な実績です。

大きな変化はなく、在宅に関する実績のみ12回以上から24回以上に増えました。
保険薬局当たりの直近1年間の実績であるのも同じですね。

続いて、地域支援体制加算2の(1)で求められる実績です。

これも見た目上は大きな変化はなく、個人在宅に関する実績が12回以上から24回以上に増えただけのように見えます。
ですが、今回の改定では実績の数え方に大きな変更があります。

R2年度改定では実績の回数は常勤薬剤師一人当たりに対して求められていました。
つまり、常勤薬剤師5名の薬局であれば調剤料の麻薬加算は10×5=50となり、直近1年間で50回以上必要でした。
これが、R4年度改定では実績の回数は受付回数1万回あたりのものとなっています。
つまり、年間の処方箋受付回数が2万8千回の薬局で薬剤調製料の麻薬加算であれば10回×28,000/10,000という計算となり、28回必要となります。

最後に十分な体制・必要な体制(1の(3)〜(25))についてですが、R2年度改定では以下の内容でした。

これについては変更があるのかどうか今後の情報を注視したいと思います。

経過措置(地域支援体制加算)

地域支援体制加算については2種類の経過措置が設けられています。

5 届出に関する事項
(1) (略)
(2) 令和4年3月31日時点で地域支援体制加算の施設基準に係る届出を行っている保険薬局については、「在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績」の要件を満たしていると届出を行っている保険薬局については、令和5年3月31日までの間に限り、「在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績」の基準を満たしているものとする。
(3) 令和4年3月31日時点で現に調剤基本料1を算定している保険薬局であって、同日後に調剤基本料3のハを算定することとなったものについては、令和5年3月31日までの間に限り、調剤基本料1を算定しているものとみなす。

①在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績について
令和4年3月31日(2022年3月31日)、つまり改定の先日まで地域支援体制加算を算定しており、その算定要件に「在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績」を用いている場合は、令和5年3月31日(2023年3月31日)までは「在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績」について令和2年度改定の内容で基準を満たしているものとみなされます。

②調剤基本料1から調剤基本料3のハに変わる薬局
令和4年3月31日(2022年3月31日)、つまり改定の先日まで調剤基本料1を算定しているが、改定後に調剤基本料3のハに変わる薬局については、令和5年3月31日(2023年3月31日)までは調剤基本料1を算定しているものとして地域支援体制加算の申請を行うことが可能。

連携強化加算の新設

資料

454ページ(ファイル上は463ページ)の「Ⅲ-6-①」になります。
> Ⅲ 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
> 【Ⅲ-6 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の 対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価-①】
> ① 地域医療に貢献する薬局の評価

第2 具体的な内容
2.地域支援体制加算を算定している薬局が、災害や新興感染症の発生時等における医薬品供給や衛生管理に係る対応など、地域において必要な役割を果たすことができる体制を確保した場合の評価を新設する

施設基準として以下の記載。

連携強化加算(調剤基本料)
[施設基準]
(1)他の保険薬局等との連携により非常時における対応につき必要な体制が整備されていること。
(2)(1)の連携に係る体制として、次に掲げる体制が整備されていること。
ア 災害や新興感染症の発生時等に、医薬品の供給や地域の衛生管理に係る対応等を行う体制を確保すること。
イ 都道府県等の行政機関、地域の医療機関若しくは薬局又は関係団体等と適切に連携するため、災害や新興感染症の発生時等における対応に係る地域の協議会又は研修等に積極的に参加するよう努めること。
災害や新興感染症の発生時等において対応可能な体制を確保していることについて、ホームページ等で広く周知していること。
(3)災害や新興感染症の発生時等に、都道府県等から医薬品の供給等について協力の要請があった場合には、地域の関係機関と連携し、必要な対応を行うこと。

体制の確保ということで、なんらかの明確な形で体制を示さないといけないんじゃないかと予想します。
薬局機能情報提供制度での公開になるのかな?

そう考えると、「地域において新型コロナウイルス感染症の経口治療薬(薬事承認された抗ウイルス薬)の調剤に対応する薬局(対応薬局)」(事務連絡 令和3年11月9日 薬局における新型コロナウイルス感染症の経口治療薬の配分に係る医薬品提供体制の整備について)が該当するのかなあ?
各都道府県が実施している抗原検査等も対象となる可能性がありますね。

地域支援体制加算の整理

地域支援体制加算(R2年度改定)に相当するのは点数や施設基準からもわかるように地域支援体制加算1・4になります。
地域支援体制加算2はより地域医療に貢献する薬局に対する評価。
地域支援体制加算3は調剤基本料3のハが新設されたことにより、調剤基本料1が算定できなくなった薬局への救済の意味があると思います。

これまで地域支援体制加算(R2年度改定)を算定していた薬局
・維持:+1点(38点→39点)
さらに連携強化加算算定:+3点(38点→39+2点)
・地域支援体制加算2を算定(調剤基本料1を維持):+9点(38点→47点)
さらに連携強化加算算定:+11点(38点→47+2点)
・地域支援体制加算3を算定(調剤基本料1以外に変更):−21点(38点→17点)
連携強化加算算定:−19点(38点→17+2点)
※ただし、この場合は令和5年3月31日(2023年3月31日)までは地域支援体制加算1・2を算定することが可能(経過措置)

これまで地域支援体制加算を算定できていなかった薬局(調剤基本料1以外)
・地域支援体制加算3を算定:+17点(0点→17点)
さらに連携強化加算算定:+19点(0点→17+2点)

こんな具合でしょうか?
地域支援体制加算を算定していた薬局で地域支援体制加算1・4が算定できない薬局はかなり痛いですね・・・。
調剤基本料3のハに該当する薬局の多くが当てはまる可能性があります。
その場合、調剤基本料1(42点)→調剤基本料3のハ(32点)の−10点と合わせて−29点(連携強化加算あり)
連携強化加算がないと−31点です・・・。

後発医薬品調剤体制加算の評価見直し

資料

469ページ(ファイル上は478ページ)の「Ⅳ-1-①」になります。
> Ⅳ 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
> 【Ⅳ-1 後発医薬品やバイオ後続品の使用促進-①】
> ① 薬局及び医療機関における後発医薬品の使用促進

第1 基本的な考え方
後発医薬品の更なる使用促進を図る観点から、後発医薬品の調剤数量割合等に応じた評価等について見直しを行う。

75%以上で算定可能だったものが80%以上に変更
これまでは85%以上が最大だったが新たに90%以上の評価が加わり加算の評価も大きくなった

  • 後発医薬品調剤体制加算1:75%→80%、15点→21点
  • 後発医薬品調剤体制加算2:80%→85%、22点→28点
  • 後発医薬品調剤体制加算3:85%→90%、28点→30点

改定前後の点数や後発医薬品置換率を比較すると以下のようになります。

子ぺんぎん(ジェンツー)
点数がアップするとは思ってなかった!
ぺんぎん薬剤師
たしかに加算の分類だけで比較すると点数アップなんだけど、後発医薬品の調剤割合が高くなければ点数としてはマイナスだからね。
80%未満は15点→0点、80%以上85%未満は22点→21点です。
でも、今の流れで大きな加算を設けてくれたのはプラス要因だね。
後発医薬品の変更割合別に改定前後の加算を比較してみます。
  • 後発医薬品の変更割合 75%以上80%未満:後発医薬品調剤体制加算1(15点)→算定なし(0点)↓
  • 後発医薬品の変更割合 80%以上85%未満:後発医薬品調剤体制加算2(22点)→後発医薬品調剤体制加算1(15点)↓
  • 後発医薬品の変更割合 85%以上90%未満:後発医薬品調剤体制加算3(28点)→後発医薬品調剤体制加算2(28点)
  • 後発医薬品の変更割合 90%以上:後発医薬品調剤体制加算3(28点)→後発医薬品調剤体制加算3(30点)↑

後発医薬品に係る減算

2.後発医薬品の調剤数量割合が著しく低い薬局に対する調剤基本料の減算規定について、評価を見直すとともに、対象となる薬局の範囲を拡大する。

子ぺんぎん(ジェンツー)
50%以下に範囲が拡大されたんだね!
ぺんぎん薬剤師
それ以上に大きいのは減点が大きくなったことだよね。
5点の減算はかなり厳しいです・・・。
処方箋の50%以上が変更不可の場合は免除されるのは変わらないはずですが・・。
経過措置(後発医薬品に係る減算)

[経過措置]
第十五の五の二の(1)に係る規定は、令和四年九月三十日までの間に限り、なお従前の例による。

令和4年9月30日(2022年9月30日)までは経過措置が認められているので40%以下のみが後発医薬品に係る減算の対象となります。

調剤基本料に関する改定のまとめ

今回の改定を整理します。
調剤基本料:大手チェーン薬局は調剤基本料1が算定不可となった(調剤基本料3のロの改定とハの新設)
特別調剤基本料:さらなる点数ダウンに加えて加算の減算も加わる
地域支援体制加算:4種類に分類され、調剤基本料の置き換えとも言える評価とより地域に貢献している薬局に対する評価が追加
連携強化加算:地域貢献に対するさらなる評価
後発医薬品調剤体制加算:より使用割合の高い薬局を評価(低い薬局に対する加算は廃止)
後発医薬品の減算:範囲拡大+減算アップ
ちなみに今回の改定で全ての点数を算定した場合の調剤基本料の合計は121点になります!(調剤基本料1:42点 + 地域支援体制加算2:47点 + 連携強化加算:2点 + 後発医薬品調剤体制加算3:30点)
R2年度改定での最大点数が108点(調剤基本料1:42点 + 地域支援体制加算:38点 + 旧 後発医薬品調剤体制加算3:28点)だったので13点もアップすることに・・・。
調剤基本料1と地域支援体制加算を算定していたのに調剤基本料3のハに該当してしまい、地域支援体制加算3を算定することになった場合を考えてみると、
調剤基本料1:43点 → 調剤基本料3のハ:32点
地域支援体制加算:38点 → 地域支援体制加算3:17点
合計すると81点 → 49点となり、−32点の改定となります・・・。
連携強化加算(2点)や後発医薬品調剤体制加算3の維持(28点→30点)があっても−28点になりますね・・・。

調剤料と薬剤服用歴管理指導料の評価体系変更

資料

456ページ(ファイル上は465ページ)の「Ⅲ-6-②」になります。
> Ⅲ 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
> 【Ⅲ-6 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の 対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価-②】
> ② 薬局・薬剤師業務の評価体系の見直し

第1 基本的な考え方
対物業務及び対人業務を適切に評価する観点から、薬局・薬剤師業務の評価体系について見直しを行う。

改定のポイント
・調剤料と薬剤服用歴管理指導料は廃止され、新たに薬剤調製料、調剤管理料、服薬管理指導料が新設
・薬剤調製料:調剤料のうち純粋な調剤(調製・取り揃え・監査)の部分の評価
・調剤管理料:調剤料や薬剤服用歴管理指導料のうち患者情報等の収集・分析、調剤設計の部分の評価
・服薬管理指導料:薬剤服用歴管理指導料のうち薬剤情報の提供、服薬指導に関する部分の評価

子ぺんぎん(ジェンツー)
この体系の見直しに伴い各種加算の分類も変更になっています。
ぺんぎん薬剤師
従来、対物業務(調剤技術料)として評価されていたものを、対人業務(薬学管理料)に分類し直した形なのですが、それだけに考え方に無理がある部分が見られます。これらが次回(R6年度)改定で整理されると考えると・・・少し怖いです。

薬剤調製料の新設

第2 具体的な内容
1.これまで調剤料として評価されていた薬剤調製や取り揃え監査業務の評価を新設する。

※記載が省略されているので確定ではありませんが、内服薬の算定要件 注1「 服用時点が同一であるものについては、投与日数にかかわらず、1剤として算定する。なお、4剤分以上の部分については算定しない。」はそのまま移行されると思われます。

子ぺんぎん(ジェンツー)
内服薬は何日分調剤しても同じ点数なの!?
ぺんぎん薬剤師
院内の評価に合わせてくる議論もありましたがそうはなりませんでした。でも、将来的には・・・。
内服薬以外の記載は省略されているので、調剤料の点数がそのまま移行されるものと考えておきます。
内服薬の評価のうち、調剤料で評価されていた調剤設計に関する部分は形を変えて評価されます。

ちなみに、院内で行う調剤料は次のようになっています。

第5部 投薬
第1節 調剤料
区分
F000 調剤料
1 入院中の患者以外の患者に対して投薬を行った場合
イ 内服薬、浸煎薬及び屯服薬(1回の処方に係る調剤につき) 11点
ロ 外用薬(1回の処方に係る調剤につき) 8点
2 入院中の患者に対して投薬を行った場合(1日につき) 7点
注 麻薬、向精神薬、覚醒剤原料又は毒薬を調剤した場合は、麻薬等加算として、1に係る場合には1処方につき1点を、2に係る場合には1日につき1点を、それぞれ所定点数に加算する。

子ぺんぎん(ジェンツー)
将来はここまで下がる可能性もあるってことだね・・・。
半錠に係る自家製剤加算の評価の見直し

[算定要件]
注6 次の薬剤を自家製剤の上調剤した場合は、自家製剤加算として、1調剤につき(イの(1)に掲げる場合にあっては、投与日数が7又はその端数を増すごとに)、それぞれ次の点数(予製剤による場合又は錠剤を分割する場合はそれぞれ次に掲げる点数の100分の20に相当する点数)を各区分の所定点数に加算する。ただし、別に厚生労働大臣が定める薬剤については、この限りでない。
イ 内服薬及び屯服薬
(1) 錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤又はエキス剤の内服薬 20点
(2) 錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤又はエキス剤の屯服薬 90点
(3) 液剤 45点

これまで半錠することで算定可能だった点数が5分の1になります。
・内服薬:20点→4点
・頓服薬:90点→18点
これはかなり辛いですね・・・。

[算定要件]
(11) 自家製剤加算
割線のある錠剤を医師の指示に基づき分割した場合は、錠剤として算定する。ただし、分割した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できない。
「錠剤を分割する」とは、医師の指示に基づき錠剤を分割することをいう。ただし、分割した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できない。

割線がない場合でも自家製剤加算の算定が可能になります。
これまでも一部の地域では算定可能でしたが、正式なルールになります。

子ぺんぎん(ジェンツー)
元々、割線なしで半錠を行った場合も自家製剤加算が算定できたけどコメントが必要だったよ。
改定後はコメントはどうなるの?
ぺんぎん薬剤師
コメント疑義解釈等で触れられるかもしれませんが、現時点では不明です。
これまでコメントが必要だった地域はこれまで通り必要かもしれませんね・・・。

調剤管理料の新設

資料

458ページ(ファイル上は467ページ)になります。

第2 具体的な内容
2.これまで調剤料として評価されていた処方内容の薬学的分析、調剤設計等と、これまで薬剤服用歴管理指導料として評価されていた薬歴の管理等に係る業務の評価を新設する。

内服薬については3剤まで算定可能とされていますが、湯薬、外用薬の場合はどうなのかは不明です。

[算定要件]
(1)処方された薬剤について、患者又はその家族等から服薬状況等の情報を収集し、薬剤服用歴への記録その他の管理を行った場合に、調剤の内容に応じ、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。
(2)1については、服用時点が同一である内服薬は、投与日数にかかわらず、1剤として算定する。なお、4剤分以上の部分については算定しない。
(3)次に掲げる調剤録又は薬剤服用歴の記録等の全てを行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。
患者の基礎情報、他に服用中の医薬品の有無及びその服薬状況等について、お薬手帳、マイナポータルの薬剤情報等、薬剤服用歴又は患者若しくはその家族等から収集し、調剤録又は薬剤服用歴に記録すること。
服薬状況等の情報を踏まえ、処方された薬剤について、必要な薬学的分析を行うこと。
処方内容に疑義があるときは、処方医に対して照会を行うこと。
調剤録及び薬剤服用歴を作成し、適切に保管すること。

子ぺんぎん(ジェンツー)
薬剤調製料だけ見たら内服については調剤料よりも点数が下がったので心配したけど、調剤管理料を足せばそんなに差はないんだね。
ぺんぎん薬剤師
たしかに点数上はそうかもしれないけど、算定要件を見ればわかるように情報収集とその情報の記録が必要になっているので、業務量としては増えることになります。この記録の部分はかなり厳しくなりそうな気が・・・。
子ぺんぎん(ジェンツー)
マイナポータルという言葉が算定要件に登場してるね!
ぺんぎん薬剤師
今回の改定はマイナンバーカードを用いた医療情報の評価が開始される改定でもあります。
後にまとめるけど、マイナンバーカードを利用したオンライン資格確認システムに対する評価も新設されています。

R4改定で廃止(以下にまとめる服薬管理指導料に移行)された薬剤服用歴管理指導料の算定要件のうち、「情報取集やその記録に関連する部分」と「調剤の可否を判断する部分」が評価に含まれた形になっています。
参考までに、R2年度改定の薬剤服用歴管理指導料の該当部分を書き出してみます。

[算定要件](薬剤服用歴管理指導料 R2年度改定)
ロ 処方された薬剤について、直接患者又はその家族等から服薬状況等の情報を収集して薬剤服用歴に記録し、これに基づき薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと。
ハ (略)
患者ごとに作成された薬剤服用歴や、患者又はその家族等からの情報により、これまでに投薬された薬剤のうち服薬していないものの有無の確認を行うこと。

調剤料(R2改定)のうち薬学的知見に基づく判断(調剤設計)の部分と薬剤服用歴管理指導料(R2改定)のうち指導(投薬)に至る前に行う薬学的判断の部分が評価される形です。

薬剤調製料と合わせて整理してみる(3/4の通知に合わせて修正)

まず、

内服薬の部分ですが、調剤料→薬剤調製料+調剤管理料と変更となる中で、15日以降の部分が3段階から2段階に整理されています。
また、内服薬以外については今回の短冊に記載がなく、現行の調剤料から変更なしと思われます。
湯薬と外用薬の調剤管理料は3調剤まで算定可能という前提で情報を整理すると以下のようになるはずですが・・・。

点数的にはそこまで大きな影響はないのかな?と思いますがいかがでしょうか?
(3/4の通知で薬剤管理料は薬剤管理料1と薬剤管理料2に分類され、内服についての点数は薬剤管理料1、内服以外は薬剤管理料2と定められました。また、薬剤管理料2を算定できるのは内服の調剤を行わない時に限ります。)
調剤管理料には薬剤服用歴管理指導料で評価されていた部分の一部が入ることになります。
改定前後の点数を算定要件まで含めて比較する場合には、上の図に薬剤服用歴管理指導料まで加えた形、つまり「R2年度改定 調剤料+薬剤服用歴管理指導料」と「R4年度改定 薬剤料+調剤管理料+服薬管理指導料」で比較しないといけないのかもしれませんね。

重複投薬・相互作用等防止加算の見直し(薬剤服用歴管理指導料→調剤管理料)

資料

459ページ(ファイル上は468ページ)になります。

第2 具体的な内容
3.重複投薬、相互作用の防止等に係る薬剤服用歴管理指導料における加算について、評価の在り方を見直す。

R2改定までは薬剤服用歴管理指導料の加算でしたが、R4改定では調剤管理料の加算に移行されます。

[算定要件]
(1)薬剤服用歴等に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合は、重複投薬・相互作用等防止加算として、上記の点数をそれぞれ調剤管理料の所定点数に加算する。ただし、別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、当該加算は算定できない。
(2)区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料、区分番号15の2に掲げる在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料又は区分番号15の3に掲げる在宅患者緊急時等共同指導料を算定している患者については、算定しない。

[施設基準]
別に厚生労働大臣が定める保険薬局は、適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局とする。

「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」というのは、R2改定までは「6月以内に再度処方箋を持参した患者のうち、手帳を持参した患者の割合が5割以下」の施設基準に該当する薬局で、薬剤服用歴管理指導料の特例(13点)の対象となっていました。

子ぺんぎん(ジェンツー)
つまり、お薬手帳の持参率(活用率)が低い薬局が疑義照会を行なっても評価されなくなったってこと?
ぺんぎん薬剤師
これは悪手な気がするけどなあ・・・。重複投薬や相互作用の評価がなくなったら、ますますお薬手帳を活用しなくなってしまう気が・・・。
ところで、従来であれば持参率が低い薬局は薬歴の減算を受けていたんだけど、改定後はどうなるんだろう?
特に記載はないけど、点数の意味を考えると調剤管理料で評価すべきだけど・・・。その代わりがこれ?
この内容については改定前と変更なく、単純に重複投薬・相互作用等防止加算の区分が変更(薬剤服用歴管理指導料の加算→調剤管理料の加算)となったことに伴い表現が変わっただけでした。
元々、薬剤服用歴管理指導料の特例(13点)の対象となった場合は薬剤服用歴管理指導料の加算は算定できませんでしたが、今回、区分が変更になったため、その記載を変更した形ですね。
関連する記載の整理
そのほか、関連する項目として以下の記載の変更があります。
【重複投薬・相互作用等防止加算(かかりつけ薬剤師指導料)】
注3 薬剤服用歴に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合は、重複投薬・相互作用等防止加算として、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。
残薬調整に係るもの以外の場合 40
残薬調整に係るものの場合30
【在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料】
注2 区分番号10の2に掲げる調剤管理料の注3に規定する重複投薬・相互作用等防止加算、区分番号10の3に掲げる服薬管理指導料薬剤服用歴管理指導料、区分番号13の2に掲げるかかりつけ薬剤師指導料又は区分番号13の3に掲げるかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者については、算定しない。
R2改定と比較して、追加された文章は下線、削除となった部分は取り消し線をつけています。
子ぺんぎん(ジェンツー)
え!?「かかりつけ薬剤師指導料」、「かかりつけ薬剤師包括管理料」を算定している場合は「重複投薬・相互作用等防止加算」の算定ができなくなったの?
ぺんぎん薬剤師
ここだけ見るとそう見えるかもしれないけど、これまでは「薬剤服用歴監視指導料」、「かかりつけ薬剤師指導料」、「かかりつけ薬剤師包括管理料」の加算だったものが、「調剤管理料」の加算になったことに伴う単純な記載の整理じゃないかな。

服薬管理指導料の新設

資料

460ページ(ファイル上は469ページ)になります。

第2 具体的な内容
4.薬剤服用歴管理指導料として評価されていた服薬指導等に係る業務の評価を新設する。

子ぺんぎん(ジェンツー)
2点ずつアップしてるんだね

薬歴の記録と服薬指導を合わせた評価から、服薬指導を中心とした評価に見直されます。

今回の改定で削除された部分を確認する

[算定要件]
注1 1及び2については、患者に対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。ただし、1の患者であって手帳を提示しない持参していないものに対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合は、2により算定する。
イ 患者ごとに作成された薬剤服用歴に基づき、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を文書又はこれに準ずるもの(以下この表において「薬剤情報提供文書」という。)により患者に提供し、薬剤の服用に関して基本的な説明を行うこと。
服薬状況等の情報を踏まえた薬学的知見に基づき、処方された薬剤について、直接患者又はその家族等から服薬状況等の情報を収集して薬剤服用歴に記録し、これに基づき薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと。
ハ 手帳を用いる場合は、調剤日、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量その他服用に際して注意すべき事項を手帳に記載すること。
患者ごとに作成された薬剤服用歴や、患者又はその家族等からの情報により、これまでに投薬された薬剤のうち服薬していないものの有無の確認に基づき、必要な指導を行うこと。
ホ 必要に応じて薬剤情報提供文書により、投薬に係る薬剤に対する後発医薬品に関する情報(後発医薬品の有無及び価格に関する情報を含む。)を患者に提供すること。
処方された薬剤について、保険薬剤師が必要と認める場合は、患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導等を実施すること。

R2改定の薬剤服用歴管理指導料と比較して、追加された文章は下線、削除となった部分は取り消し線をつけています。

情報収集やその記録については調剤管理料で評価されるようになったので削除されており、継続的な指導に対する評価がより強調された形になります。

子ぺんぎん(ジェンツー)
薬歴の記録は調剤管理料の中で評価されているからこちらは指導中心になるんですね。
でも、点数の分類(1〜4)は薬剤服用歴管理指導料と変わらないんだ。
ぺんぎん薬剤師
これまでも求められてきたことですが、今後はより一層「継続的な」把握と指導が求めらると思います。つまりは服薬フォローも含めた、点ではなく線での服薬管理ですね。
お薬手帳に関しては「持参」から「提示」に言葉が変更になっていることも重要なポイントです。電子手帳のことを指しているのかな?
お薬手帳に関する分類(1or2)については少し納得できていません。3ヶ月以内に再来局した場合にお薬手帳を持参した方が点数が低くなるのは併用薬等の情報収集が容易になるのが理由だったはずなので、本来であればこの評価は調剤管理料に反映されるべきじゃないかなあ?

調剤管理加算(調剤管理料)の新設(3/4の通知に合わせて修正)

資料

462ページ(ファイル上は471ページ)になります。

第2 具体的な内容
5.複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方された患者が、薬局を初めて利用する場合又は2回目以降の利用において処方内容が変更された場合であって、当該患者が服用中の薬剤について必要な薬学的分析を行った場合の評価を新設する。

子ぺんぎん(ジェンツー)
何この評価?内服薬が多い場合に調剤管理料の加算がつくってこと?
ぺんぎん薬剤師
中医協の議論の中でも評価を疑問視する意見が出ている点数になります。
元々は6種類以上の調剤に時間がかかるための評価として中医協で提案がありましたが、かなりの反発を受けました。
今回、調剤料が廃止される中で調剤管理料の加算として設定されましたが・・・。

[算定要件]
別に厚生労働大臣が定める保険薬局において、複数の保険医療機関から6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されている患者又はその家族等に対して、当該患者が服用中の薬剤について、服薬状況等の情報を一元的に把握し、必要な薬学的管理を行った場合は、調剤管理加算として、上記の点数をそれぞれ調剤管理料の所定点数に加算する。
[施設基準]
重複投薬等の解消に係る取組の実績を有している保険薬局であること。

算定を行うことができる薬局が「重複投薬等の解消に係る取組の実績」を有している薬局となっています。
この詳細は不明ですが、後でまとめる「服用薬剤調整支援料2」に登場する施設基準の「重複投薬等の解消に係る実績」と同じなのかどうなのか・・・。
単純に文章だけを見るとこちらは「重複投薬等が解消したかどうかに関わらず取り組みを行なっている薬局」に見えますが・・・。
(服用薬剤調整支援料2の方は明らかに「重複投薬等を実際に解消した実績」です。

1 調剤管理加算に関する施設基準
過去一年間に服用薬剤調整支援料を1回以上算定した実績を有していること。
2 届出に関する事項
調剤管理加算に係る取扱いについては、当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長に対して、届出を行う必要はない。

ぺんぎん薬剤師
この施設基準を踏まえると、調剤管理加算は従来の調剤管理料で評価される部分に加えて、ポリファーマシーと呼ばれる段階になった時点で、その内容が適切なものであるかどうかを薬学的に判断することに対して設定される点数と言えるんじゃないかと思います。

体系変更に伴うその他の影響

「調剤料」・「薬剤服用歴管理指導料」が「薬剤調製料」・「調剤管理料」・「服薬管理指導料」に変更されたことに伴い、関連する部分の算定要件にも変更が行われています。

分割調剤(長期投薬)に関連する部分

[算定要件]
8 長期投薬(14日分を超える投薬をいう。)に係る処方箋受付において、薬剤の保存が困難であること等の理由により分割して調剤を行った場合、当該処方箋に基づく当該保険薬局における2回目以降の調剤については、1分割調剤につき5点を算定する。なお、当該調剤においては第2節薬学管理料(区分番号10の2に掲げる調剤管理料及び区分番号14の2に掲げる外来服薬支援料の2を除く。)は算定しない。

長期投薬に係る分割調剤の2回目以降では薬学管理料は算定できませんが、「調剤管理料」と後にまとめる「外来服薬支援料2」(一包化についての評価)は算定可能となります。

分割調剤(後発医薬品)に関連する部分

[算定要件]
9 後発医薬品に係る処方箋受付において、当該処方箋の発行を受けた患者が初めて当該後発医薬品を服用することとなること等の理由により分割して調剤を行った場合、当該処方箋に基づく当該保険薬局における2回目の調剤に限り、5点を算定する。なお、当該調剤においては、第2節薬学管理料(区分番号10の2に掲げる調剤管理料、区分番号10の3に掲げる服薬管理指導料及び区分番号14の2に掲げる外来服薬支援料の2を除く。区分番号10に掲げる薬剤服用歴管理指導料を除く。)は算定しない。

後発医薬品に係る分割調剤をおこなった場合も同様に見直しが行われています。

時間外加算等における評価

(9) 調剤技術料の時間外加算等
ア 時間外加算は調剤基本料、薬剤調製料及び調剤管理料を含めた調剤技術料(基礎額)の100分の100、休日加算は100分の140、深夜加算は100分の200であり、これらの加算は重複して算定できない。
イ 時間外加算等を算定する場合の基礎額は、調剤基本料(調剤基本料における「注1」から「注10」までを適用して算出した点数)と薬剤調製料及び調剤管理料のほか、無菌製剤処理加算及び在宅患者調剤加算の合計額とする。嚥下困難者用製剤加算、一包化加算、麻薬・向精神薬・覚醒剤原料・毒薬加算、自家製剤加算及び計量混合調剤加算、重複投薬・相互作用等防止加算、調剤管理加算及び電子的保健医療情報活用加算は基礎額に含まない。

これまでは単純に調剤技術料かどうかで判断できましたが、改定後はそうもいかなくなるので、それに合わせて見直しが行われています。
あとでまとめるように、調剤技術料(調剤料)で評価されていた「一包化加算」が「外来服薬支援料2」として薬学管理料で評価されることになったので、時間外加算等の対象から外されてしまっていますね。

薬学管理料(対人業務)の評価の見直し

資料

464ページ(ファイル上は473ページ)の「Ⅲ-6-③」になります。
> Ⅲ 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
> 【Ⅲ-6 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の 対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価-②】
> ③ 薬局における対人業務の評価の充実

第1 基本的な考え方
薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換を推進する観点から、対人業務に係る薬学管理料の評価について見直しを行う。

子ぺんぎん(ジェンツー)
この書き方を見るとここで挙げられるものについてはプラス改定になりそうな気がするね。

服薬管理指導料の特例(かかりつけ薬剤師と連携する他の薬剤師が対応した場合)の新設(3/4の通知に合わせて修正)

この内容については、資料464ページ(ファイル上は473ページ)の「Ⅲ-6-③」に加えて、
資料154ページ(ファイル上は163ページ)の「Ⅰ−5−⑧」でまとめられています。
> Ⅰ 新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築
> 【Ⅰ-5 かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価-⑧】
> ⑧ 地域における薬局のかかりつけ機能の評価

第1 基本的な考え方
かかりつけ薬剤師指導料等を算定する患者に対して、かかりつけ薬剤師以外がやむを得ず対応する場合に、あらかじめ患者が選定した薬剤師がかかりつけ薬剤師と連携して実施する服薬指導等について新たな評価を行う。

ぺんぎん薬剤師
かかりつけ薬剤師だけでなくかかりつけ薬局としての評価が加わったとも言えるんじゃないかな。

第2 具体的な内容
かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者に対して、当該患者のかかりつけ薬剤師以外の薬剤師が、かかりつけ薬剤師と連携して必要な指導等を実施した場合の特例的な評価を新設する。

子ぺんぎん(ジェンツー)
かかりつけ薬剤師が不在の際に他の薬剤師が対応した場合の点数が追加になるんだね。
3ヶ月以内に再度処方箋を提出した場合以外(お薬手帳を提示しなかった場合)の服薬管理指導料と同じ点数になっています。

[算定要件]
当該保険薬局における直近の調剤において、区分番号13の2に掲げるかかりつけ薬剤師指導料又は区分番号13の3に掲げるかかりつけ薬剤師包括管理料を算定した患者に対して、やむを得ない事情により、当該患者の同意を得て、当該指導料又は管理料の算定に係る保険薬剤師と、当該保険薬剤師の所属する保険薬局の他の保険薬剤師であって別に厚生労働大臣が定めるものが連携して、注1に掲げる指導等の全てを行った場合には、注1の規定にかかわらず、服薬管理指導料の特例として、処方箋受付1回につき、59点を算定する。
[施設基準]
別に厚生労働大臣が定めるものは、かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料に係る患者の同意を得た保険薬剤師と連携した指導等を行うにつき十分な経験等を有する者であること。

ぺんぎん薬剤師
施設基準に定められる十分な経験として求められるのが何になるかですが、かかりつけ薬剤師の施設基準と同じものになりそうな気がしますね。
(というか他に作られると申請がややこしくなりそうな・・・)
3/4の通知で「かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料に係る患者の同意を得た保険薬剤師と連携した指導等を行うにつき十分な経験等を有する者」の施設基準が明らかになりました。
「かかりつけ薬剤師と連携する他の薬剤師」は以下の要件を全て満たす保険薬剤師であること。
(1) 保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があること。なお、保険医療機関の薬剤師としての勤務経験を1年以上有する場合、1年を上限として保険薬剤師としての勤務経験の期間に含めることができる
(2) 当該保険薬局に継続して1年以上在籍していること。
意外と簡単な案件でしたがいかがでしょうか?

調剤後薬剤管理指導加算の評価の見直し

薬剤服用歴管理指導料の加算から服薬管理指導料の加算に変更になります。

第2 具体的な内容
2.地域において医療機関と薬局が連携してインスリン等の糖尿病治療薬の適正使用を推進する観点から、調剤後薬剤管理指導加算について、評価を見直す。

薬剤服用歴管理指導料の加算から服薬管理指導料の加算に変更になること以外は算定要件に変更はありませんが点数がいっきに倍になりました。

ちなみに調剤後薬剤管理指導加算の算定要件は以下の通りです。

10 調剤後薬剤管理指導加算
(1) 調剤後薬剤管理指導加算は、低血糖の予防等の観点から、糖尿病患者に新たにインスリン製剤又はスルフォニル尿素系製剤(以下「インスリン製剤等」という。)が処方等された患者に対し、地域支援体制加算を届け出ている保険薬局の保険薬剤師が、調剤後に電話等により、その使用状況、副作用の有無等について患者に確認する等、必要な薬学的管理指導を行うとともに、その結果等を保険医療機関に文書により情報提供した場合に算定する。なお、インスリン製剤等の調剤と同日に電話等により使用状況の確認等を行った場合には算定できない。

ぺんぎん薬剤師
これまで算定していなかった薬局も今回の改定を機に挑戦していきたいですね!

服薬情報等提供料3の新設:入院時の情報提供

第2 具体的な内容
3.服薬情報等提供料について、医療機関からの求めに応じて、薬局において入院予定の患者の持参薬の整理を行うとともに、当該患者の服用薬に関する情報等を一元的に把握し、医療機関に文書により提供した場合の評価を新設する。

子ぺんぎん(ジェンツー)
入院の際に薬局が服薬情報を整理することで評価を受けることが可能になります。

[算定要件]
注3 3については、入院前の患者に係る保険医療機関の求めがあった場合において、当該患者の同意を得た上で、当該患者の服用薬の情報等について一元的に把握し、必要に応じて当該患者が保険薬局に持参した服用薬の整理を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書により提供等した場合に3月に1回に限り算定する。これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること。

子ぺんぎん(ジェンツー)
持参するであろう薬剤の整理と併用薬も含めた服用薬の情報提供が必要になるんだね。
ぺんぎん薬剤師
かかりつけ医が紹介状を書く際に情報提供を行う流れになりそうですね。

外来服薬支援料2の新設:一包化の評価の見直し(調剤技術料→薬学管理料)

第2 具体的な内容
4.多種類の薬剤が投与されている患者又は自ら被包から取り出して服用することが困難な患者に対して、医師の了解を得た上で、薬剤師が内服薬の一包化及び必要な服薬指導を行い、当該患者の服薬管理を支援した場合の評価を新設する。

参考:R2年度改定の一包化加算の算定要件は以下のように記載されています。

[算定要件]
01 調剤料
1内服薬
注3 2剤以上の内服薬又は1剤で3種類以上の内服薬を服用時点ごとに一包化を行った場合には、一包化加算として、当該内服薬の投与日数に応じ、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
イ 42日分以下の場合 投与日数が7又はその端数を増すごとに34点を加算して得た点数
ロ 43日分以上の場合 240点

子ぺんぎん(ジェンツー)
点数だけを比較すると従来の一包化加算と全く同じだね!

外来服薬支援料2の算定要件は以下のように記載されています。

[算定要件]
注3 2については、多種類の薬剤を投与されている患者又は自ら被包を開いて薬剤を服用することが困難な患者に対して、当該薬剤を処方した保険医に当該薬剤の治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性の了解を得た上で、2剤以上の内服薬又は1剤で3種類以上の内服薬の服用時点ごとの一包化及び必要な服薬指導を行い、かつ、患者の服薬管理を支援した場合に、当該内服薬の投与日数に応じて算定する。

従来の一包化加算(調剤料の加算)と比べて赤線部分(必要な服薬指導と服薬支援を行うこと)が算定要件に加わっています。

ぺんぎん薬剤師
今までの一包化加算は調剤料の加算で単純な調剤行為を評価したものでしたが、外来服薬支援料2は薬学管理料なので、一包化という調剤行為に対する評価ではなく、一包化に至った判断や一包化で調剤したものの服薬管理を評価する点数になります。それがどう影響を与えるのか?服用状況の把握、服薬指導、薬歴への記載はもちろんですが、薬歴を算定せずにお届けだけしていたようなケースは難しくなりますね・・・。
子ぺんぎん(ジェンツー)
従来の一包化加算が薬学管理料として外来服薬支援料2に変更になったってことだと思うんだけど、外来服薬支援料1との住み分けはどうなるの?
ぺんぎん薬剤師
外来服薬支援料1は処方箋によらないものという区別じゃないかと思うけど・・・
複数の処方箋を合わせて一包化する場合に外来服薬支援料(1)を算定できていたけど、その考えに変更はあるのか?
また、その際、日数が長くなると一包化加算の方が高くなっていたけど、その矛盾が解消されるのか?注目したいです。

服用薬剤調整支援料2の見直し:減薬の実績を考慮した評価(3/4の通知に合わせて修正)

第2 具体的な内容
5.服用薬剤調整支援料2について、減薬等の提案により、処方された内服薬が減少した実績に応じた評価に変更する。

子ぺんぎん(ジェンツー)
実際に減薬につながったという実績をもつ薬局は点数が高くなるんだね!
ぺんぎん薬剤師
提案をすれば算定できることには変わりはないんだけど、施設基準に応じて点数が異なるようになるんだね。
[施設基準]
十一の二 服用薬剤調整支援料2のイに規定する施設基準
重複投薬等の解消に係る実績を有していること。
子ぺんぎん(ジェンツー)
調剤管理加算の算定に必要な施設基準と同じ?
ぺんぎん薬剤師
調剤管理加算の施設基準は「重複投薬等の解消に係る取組の実績」、服用薬剤調整支援料2の施設基準は「重複投薬等の解消に係る実績」
要は取組という言葉が入るかどうかなんだけど・・・。
3/4の通知で公開されました。
1 服用薬剤調整支援料2のイに関する施設基準
(1) 重複投薬等の解消に係る実績として、内服を開始して4週間以上経過した内服薬6種類以上を保険薬局で調剤している患者に対して、当該保険薬局の保険薬剤師が処方医に減薬の提案を行った結果、当該保険薬局で調剤している当該内服薬の種類数が2種類以上(うち少なくとも1種類は当該保険薬局の保険薬剤師が提案したものとする。)減少し、その状態が4週間以上継続したことが過去一年間に1回以上あること。
(2) 前年3月1日から当年2月末日までの重複投薬等の解消に係る実績をもって該当性を判断し、当年4月1日から翌年3月 31 日まで適用する。ただし、前年3月1日から当年1月末日までに新規指定された保険薬局の場場合場合は、指定された日に属する月の翌月から、当年2月末までの実績をもって該当性を判断する。
(3) (1)について、服用薬剤調整支援料1を算定していない場合においても、重複投薬等の解消に係る提案及び実績について、薬剤服用歴の記録に記載すること。なお、提案の記録については、提案に係る文書の写しを薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存することで差し支えない。
2 届出に関する事項
服用薬剤調整支援料2のイに係る取扱いについては、当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長に対して、届出を行う必要はない。

医療的ケア児に対する薬学的管理の評価

資料419ページ(ファイル上は428ページ)の「Ⅲ-4-6-⑧」になります。
> Ⅲ 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
> 【Ⅲ-4-6 小児医療、周産期医療、救急医療の充実-⑧】
> ⑧ 医療的ケア児に対する薬学的管理の評価の新設

第1 基本的な考え方
医療的ケア児に対する支援の充実を図る観点から、医療的ケア児に対して薬学的管理及び指導を行った場合について、新たな評価を行う。

小児特定加算の新設

第2 具体的な内容
医療的ケア児である患者に対して、当該患者の状態に合わせた必要な薬学的管理及び指導を行った場合の評価を新設する。

子ぺんぎん(ジェンツー)
医療的ケア児に対する評価として服薬管理指導料(かかりつけ薬剤師指導料)・在宅患者訪問薬剤管理指導料(在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料)の加算が新設されます。

【服薬管理指導料】
[算定要件]
注9 児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児である患者に係る調剤に際して必要な情報等を直接当該患者又はその家族等に確認した上で、当該患者又はその家族等に対し、服用に関して必要な指導を行い、かつ、当該指導の内容等を手帳に記載した場合には、小児特定加算として、350点を所定点数に加算する。この場合において、注8に規定する加算は算定できない
※ かかりつけ薬剤師指導料についても同様。

注8は「乳幼児服薬指導加算」を指します。
小児特定加算を算定する際には乳幼児服薬指導加算は算定できません。

【在宅患者訪問薬剤管理指導料】
[算定要件]
注6 児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児である患者又はその家族等に対して、必要な薬学的管理及び指導を行った場合は、小児特定加算として、1回につき450点を所定点数に加算する。この場合において、注5に規定する加算は算定できない。
※ 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料についても同様。

注5は乳幼児加算(100点)を指します。
乳幼児特定加算を算定する際には乳幼児加算は算定できません。

対象となる患者は?

小児特定加算の対象となるのは「児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児である患者」と記載されています。

児童福祉法
第五十六条の六
② 地方公共団体は、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児が、その心身の状況に応じた適切な保健、医療、福祉その他の各関連分野の支援を受けられるよう、保健、医療、福祉その他の各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制の整備に関し、必要な措置を講ずるように努めなければならない。
この記載だと曖昧ですね・・・。
ちなみに医療的ケア児は法律の中で以下のように定義されています。
医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律
(定義)
第二条 この法律において「医療的ケア」とは、人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為をいう。
2 この法律において「医療的ケア児」とは、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童(十八歳未満の者及び十八歳以上の者であって高等学校等(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する高等学校、中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部をいう。次条第三項及び第十四条第一項第一号において同じ。)に在籍するものをいう。次条第二項において同じ。)をいう。
小児特定加算の対象については詳しい疑義解釈が出るのではないかと思いますが、「医療的ケア児」の定義(医療的ケアが必要な18歳未満もしくば高校在籍中の患者)で問題ないのではないかと思います。

注目したい診療報酬改定:退院時薬剤情報管理指導連携加算(小児入院医療管理料)

今回の改定では調剤報酬部分以外でも、医療的ケア児についての改定が複数行われています。
その中でも特に注目したい項目があります。
資料417ページ(ファイル上は426ページ)の「Ⅲ-4-⑦」になります。
> Ⅲ 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
> 【Ⅲ-4-6 小児医療、周産期医療、救急医療の充実-⑦】
> ⑦ 医療的ケア児等に対する専門的な薬学管理の評価の新設
第1 基本的な考え方
小児慢性特定疾病の児童等又は医療的ケア児に対する専門的な薬学管理の必要性を踏まえ、医療機関と薬局の連携を更に推進する観点から、小児入院医療管理料を算定する病棟における退院時の当該患者等に対する服薬指導及び薬局に対する情報提供について、新たな評価を行う。
第2 具体的な内容
小児慢性特定疾病の児童等又は医療的ケア児の退院時に、医師又は薬剤師が、当該患者又はその家族等に対して、退院後の薬剤の服用等に関する必要な指導を行った上で、薬局に対して特殊な調剤方法等を文書により情報提供した場合の評価を新設する。
小児入院医療管理料の退院時薬剤情報管理指導連携加算(150点)が新設されています。
病院の薬剤師から薬局の薬剤師に対する情報提供が行われます。
これまでもあったかもしれませんが、4月以降は医療的ケア児が退院する際、薬剤の調剤方法について医療機関から情報提供を受ける機会が増えそうですね。
そのほか、以下のような改定が行われます。
資料169ページ(ファイル上は178ページ)の【Ⅰ-6 質の高い在宅医療・訪問看護の確保-⑪】医療的ケア児等に対する訪問看護に係る関係機関の連携強化
資料199ページ(ファイル上は208ページ)の【Ⅰ-7 地域包括ケアシステムの推進のための取組-①】医療的ケア児に対する支援に係る主治医及び学校医等の連携強化
資料200ページ(ファイル上は209ページ)の【Ⅰ-7 地域包括ケアシステムの推進のための取組-②】小児慢性特定疾病の児に対する支援に係る主治医及び学校医等の連携強化

在宅に関する改定

資料

191ページ(ファイル上は200ページ)の「Ⅰ-6-㉒」になります。
> Ⅰ 新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築
> 【Ⅰ-6 質の高い在宅医療・訪問看護の確保-㉒】
> ㉒ 患者の状態に応じた在宅薬学管理の推進

第1 基本的な考え方
在宅患者に対する薬学的管理指導を推進する観点から、訪問薬剤管理の要件等に応じた評価の見直しを行う。

子ぺんぎん(ジェンツー)
今まで評価されてこなかった部分がようやく評価されるようになりました。
ぺんぎん薬剤師
これまで行ってきた薬局に対する評価は当然なんだけど、これまでは一歩引いていた薬局が積極的に参加できるようになるんじゃないかと期待しています。
在宅は経験と知識の両方が大切なので、経験するためのきっかけになる改定となればいいですね。

在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定要件緩和

第2 具体的な内容
1.在宅患者への訪問薬剤管理指導について、主治医と連携する他の医師の指示により訪問薬剤管理指導を実施した場合を対象に加える。

子ぺんぎん(ジェンツー)
主治医以外の指示でも算定可能になります。
【在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料】
[算定要件]
注1 1及び2について、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医又は当該保険医療機関と連携する他の保険医療機関の保険医の求めにより、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理及び指導を行った場合に、1と2を合わせて月4回に限り算定する。
在宅患者緊急時等共同指導料についても同様。
ぺんぎん薬剤師
主治医と「連携する」というのが特別な基準があるのかないのか気になりますね。

医療用麻薬持続注射療法に関する評価(在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算)

第2 具体的な内容
2.在宅で医療用麻薬持続注射療法が行われている患者に対して、注入ポンプによる麻薬の使用など在宅での療養の状況に応じた薬学的管理及び指導を行った場合について、新たな評価を行う。

子ぺんぎん(ジェンツー)
注入ポンプによる持続麻薬注射が行われている際に算定可能な加算が新設されます。
【在宅患者訪問薬剤管理指導料】
[算定要件]
注4 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、在宅で医療用麻薬持続注射療法を行っている患者に対して、その投与及び保管の状況、副作用の有無等について患者又はその家族等に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合は、在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算として、1回につき250点を所定点数に加算する。この場合において、注3に規定する加算は算定できない
[施設基準]
十一の四 在宅患者訪問薬剤管理指導料の注4に規定する施設基準
(1) 麻薬及び向精神薬取締法第三条の規定による麻薬小売業者の免許を受けていること。
(2) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第三十九条第一項の規定による高度管理医療機器の販売業の許可を受けていること。
※ 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料についても同様。
注3に規定する加算=「麻薬加算(100点)」です。
ぺんぎん薬剤師
これまで評価されることがなかった部分なので評価が新設されて嬉しい!と思っていたのですが、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料を算定している場合しか加算されないため、(予防)居宅療養管理指導費を算定している場合は対象外になります・・・。

在宅中心静脈栄養法に関する評価(在宅中心静脈栄養法加算)

第2 具体的な内容
3.在宅中心静脈栄養法が行われている患者に対して、輸液セットを用いた中心静脈栄養法用輸液等の薬剤の使用など在宅での療養の状況に応じた薬学的管理及び指導を行った場合について、新たな評価を行う。

【在宅患者訪問薬剤管理指導料】
[算定要件]
注7 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、在宅中心静脈栄養法を行っている患者に対して、その投与及び保管の状況、配合変化の有無について確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合は、在宅中心静脈栄養法加算として、1回につき150点を所定点数に加算する。

[施設基準]
十一の五 在宅患者訪問薬剤管理指 導料の注7に規定する施設基準
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第三十九条第一項の規定による高度管理医療機器の販売業の許可を受けている又は同法第三十九条の三第一 項の規定による管理医療機器の販売業の届出を行っていること。
※ 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料についても同様。

ぺんぎん薬剤師
この点数については詳しい算定要件が出ないとなんとも言えませんが、場合によってはかなり算定しやすい?と思いましたが、これについても在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料を算定している場合しか加算されないため、(予防)居宅療養管理指導費を算定している場合は対象外になります・・・。

ICTの活用

今回の改定ではICTの利用についての改定が多く存在します。
特にオンライン服薬指導については実質的に対面と同様の扱いとなります。
各薬局がオンラインを行うかどうかは別として、オンライン対応薬局が次々と現れる流れとなるのは間違いないと思います。

オンライン服薬指導の見直し

資料

291ページ(ファイル上は300ページ)の「Ⅲ-2-⑦」になります。
> Ⅲ 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
> 【Ⅲ-2 医療における ICT の利活用・デジタル化への対応-⑦】
> ⑦ 情報通信機器を用いた服薬指導の評価の見直し

第1 基本的な考え方
オンライン服薬指導に係る医薬品医療機器等法のルールの見直しを踏まえ、外来患者及び在宅患者に対する情報通信機器を用いた服薬指導等について、要件及び評価を見直す。

現在、オンライン服薬指導については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による時限的特例的措置(0410対応)を恒久化する方向で議論が進められています。
今回の改定はそれを踏まえての改定になっており、R2年度改定にあった対面とオンラインの差をなくす改定となっています。

服薬管理指導料に関する部分

第2 具体的な内容
1.外来患者に対する情報通信機器を用いた服薬指導について、服薬管理指導料に位置付け、要件及び評価を見直す。

【服薬管理指導料】
[算定要件]
注3 4については、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。ただし、4のイの患者であって手帳を提示しないものに対して、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合は、4のロにより算定する。

子ぺんぎん(ジェンツー)
対面での評価と同様に点数アップしただけでなく、
3ヶ月以内に再度処方箋を提出した場合以外(お薬手帳を提示しなかった場合)の評価も同じになってるね!
ぺんぎん薬剤師
さらに算定要件や施設基準の部分で大幅な見直しが行われ、ほぼ対面と同等に実施できるようになっています。
今回の改定で削除された部分を確認する

【服薬管理指導料】
[算定要件]
注3 4については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)の区分番号A003に掲げるオンライン診療料に規定する情報通信機器を用いた診療の実施に伴い、処方箋が交付された患者であって、別に厚生労働大臣が定めるものに対して、当該処方箋受付において、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合に、月1回に限り処方箋受付1回につき所定点数を算定する。ただし、4のイの患者であって手帳を提示しないものに対して、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合は、4のロにより算定する。この場合に
おいて、注4から注10までに規定する加算は算定できない。

[施設基準]
九の二 薬剤服用歴管理指導料の注3に規定する保険薬局の施設基準
(1)
情報通信機器を用いた服薬指導を行うにつき十分な体制が整備されていること。
(2)
当該保険薬局において、一月当たりの次に掲げるものの算定回数の合計に占める情報通信機器を用いた服薬指導の算定回数の割合が一割以下であること。
区分番号10に掲げる薬剤服用歴管理指導料
区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料
九の三 薬剤服用歴管理指導料の注3に規定する厚生労働大臣が定めるもの
原則三月以内に区分番号10に掲げる薬剤服用歴管理指導料1又は2を算定したもの

下線部が追記、取消し線が削除された部分です。

まず、算定要件の変更部分です。

  • 施設基準の届出→不要に
  • オンライン診療に伴う処方箋交付→限定しない
  • 月一回に限り→限定しない
  • 点数は一律43点→対面と同様に45点・59点の2段階
  • 各種加算は算定できない→全ての加算が算定可能

続いて施設基準の部分ですが全て削除されています。

  • オンライン服薬指導の算定回数は1割以下→限定しない
  • 原則3ヶ月以内で対面での服薬指導を実施→限定しない
子ぺんぎん(ジェンツー)
0410対応を行っていると当たり前に感じていたけど、診療報酬上もオンライン服薬指導と対面での服薬指導の差がなくなったことになるね

在宅患者訪問薬剤管理指導料に関する部分(在宅患者オンライン薬剤管理指導料)

第2 具体的な内容
2.在宅患者に対する情報通信機器を用いた服薬指導について、算定上限回数等の要件及び評価を見直す。

【在宅患者オンライン薬剤管理指導料(在宅患者訪問薬剤管理指導料)】
[算定要件]
注2 在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して、情報通信機器を用いた薬学的管理及び指導(訪問薬剤管理指導と同日に行う場合を除く。)を行った場合に、注1の規定にかかわらず、在宅患者オンライン薬剤管理指導料として、患者1人につき、1から3までと合わせて月4回(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者にあっては、週2回かつ月8回)に限り59を算定する。また、保険薬剤師1人につき、1から3までと合わせて週40回に限り算定できる。

子ぺんぎん(ジェンツー)
在宅の患者さんに対してオンライン指導を行った場合も項目・各種加算、算定要件、施設基準の全てが対面での指導と同等になったってことだね。
ぺんぎん薬剤師
これまではやむを得ないときに例外的に実施するものだったけど、今回の改定からは患者さんの同意があり、服薬管理上問題なければ積極的に行っていくことが可能となったね。
今回の改定で削除された部分を確認する

【在宅患者オンライン薬剤管理指導料在宅患者オンライン服薬指導料(在宅患者訪問薬剤管理指導料)】
[算定要件]
注2 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、医科点数表の区分番号C002に掲げる在宅時医学総合管理料に規定する訪問診療の実施に伴い、処方箋が交付された患者であって、別に厚生労働大臣が定めるもの在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して、情報通信機器を用いた服薬指導薬学的管理及び指導(訪問薬剤管理指導と同日に行う場合を除く。)を行った場合に、注1の規定にかかわらず、在宅患者オンライン服薬指導料在宅患者オンライン薬剤管理指導料として、月1回に限り57患者1人につき、1から3までと合わせて月4回(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者にあっては、週2回かつ月8回)に限り59を算定する。この場合において、注3及び注4に規定する加算並びに区分番号15の6に掲げる在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は算定できない。また、保険薬剤師1人につき、1から3までと合わせて週40回に限り、週10回を限度として算定できる。

[施設基準]
十一の二 在宅患者訪問薬剤管理指導料の注2に規定する施設基準区分番号10に掲げる薬剤服用歴管理指導料の4に係る届出を行っている保険薬局であること。
十一の三 在宅患者訪問薬剤管理指導料の注2に規定する厚生労働大臣が定めるもの
区分番号15の在宅患者訪問薬剤管理指導料を月一回算定していもの

下線部が追記、取消し線が削除された部分です。

まず、算定要件の変更部分です。

  • 施設基準の届出→不要に
  • 在宅時医学総合管理料(在医総管)に規定する訪問診療の実施に伴う処方箋交付→限定しない
  • 月一回に限り→限定しない
  • 点数57点→59点
  • 各種加算と在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は算定できない→全ての加算が算定可能
  • オンラインは保険薬剤師一人につき週10回を限度→限定しない

続いて施設基準の部分ですが全て削除されています。

  • オンライン服薬指導の算定回数は1割以下→限定しない
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料(対面での訪問)を月1回実施→限定しない

また、今回の改定では在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料に対応するものとして「在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料」が新設されています。

【在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料】
注1 (略)
ただし、情報通信機器を用いて必要な薬学的管理及び指導を行った場合には、在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料として、59点を算定する。

各種加算について

在宅患者オンライン服薬指導料では各種加算は算定できませんでしたが、今回の改定により在宅患者オンライン薬剤管理指導料でも対面と同様の加算を算定することが可能となりました。
ただし、在宅患者オンライン薬剤管理指導料は在宅患者訪問薬剤管理指導料の対象となる患者に実施するものではあるが、その行為自体はあくまでも服薬管理指導料4に準ずるものとなっているため、点数の評価は服薬管理指導料と同じになっており、それは加算についても同様です。

【麻薬管理指導加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料)】
注3 麻薬の投薬が行われている患者に対して、麻薬の使用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合は、1回につき100点(注2に規定する在宅患者オンライン薬剤管理指導料を算定する場合は、処方箋受付1回につき22点)を所定点数に加算する。

【乳幼児加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料)】
注4 在宅で療養を行っている6歳未満の乳幼児であって、通院が困難なものに対して、患家を訪問して、直接患者又はその家族等に対して薬学的管理及び指導を行った場合は、乳幼児加算として、1回につき100点(注2に規定する在宅患者オンライン薬剤管理指導料を算定する場合は、処方箋受付1回につき12点)を所定点数に加算する。

【小児特定加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料)】
注6 児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児である患者又はその家族等に対して、必要な薬学的管理及び指導を行った場合は、小児特定加算として、1回につき450点(注2に規定する在宅患者オンライン薬剤管理指導料を算定する場合は、処方箋受付1回につき350点)を所定点数に加算する。この場合において、注5に規定する加算は算できない。
麻薬管理指導加算、乳幼児加算及び小児特定加算に係る見直しについては、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料についても同様。

退院時共同指導料の見直し

資料

194ページ(ファイル上は203ページ)の「Ⅰ-6-㉓」になります。
> Ⅰ 新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築
> 【Ⅰ-6 質の高い在宅医療・訪問看護の確保-㉓】
> ㉓ 薬局に係る退院時共同指導料の見直し

第1 基本的な考え方
入院患者に対する退院時共同指導における関係機関間の連携を推進する観点から、薬局に係る退院時共同指導料について、共同指導への参加者の要件を見直すとともに、関係医療機関・医療従事者間の効率的な情報共有・連携を促進する観点から、情報通信機器の利用に係る要件を見直す。

第2 具体的な内容
退院時共同指導について、患者が入院している医療機関における参加職種の範囲を医療機関における退院時共同指導料の要件に合わせ拡大する。また、薬局の薬剤師が、ビデオ通話が可能な機器を用いて共同指導

ぺんぎん薬剤師
これまでは退院時共同指導料と在宅患者緊急時等共同指導料は原則対面での実施となっており、オンラインでの参加は例外的にしか認められていませんでしたが、今回の改定でオンラインでの参加が積極的に認められるようになりました。

【退院時共同指導料】
[算定要件]
注 保険医療機関に入院中の患者について、当該患者の退院後の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、当該患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な薬剤に関する説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医又は保健師、助産師、看護師若しくは准看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士若しくは社会福祉士と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回に限り算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、当該入院中2回に限り算定できる。
(1) 退院時共同指導料は、保険医療機関に入院中の患者について、当該患者の退院後の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、当該患者が入院している保険医療機関(以下「入院保険医療機関」という。)に赴いて、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な薬剤に関する説明及び指導を、入院保険医療機関の保険医又は看護師等、薬剤師、管理栄養師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士若しくは社会福祉士と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回(別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については2回)に限り算定できる。なお、ここでいう入院とは、第1章第2部通則5に定める入院期間が通算される入院のことをいう。
(2) 退院時共同指導料の共同指導は対面で行うことが原則であるが、保険薬局又は入院保険医療機関のいずれかが「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和2年3月5日保医発0305第2号)の別添3の別紙2に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属する場合は保険薬局の薬剤師が、ビデオ通話が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能である。
(3) 退院時共同指導料の共同指導は対面で行うことが原則であるが、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等の3者(当該保険薬局の薬剤師を含む。)以上が参加しており、そのうち2者以上が入院保険医療機関に赴き共同指導を行っている場合に、保険薬局の薬剤師が、ビデオ通話が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能である。
情報通信機器の利用に係る要件の見直しについては、在宅患者緊急時等共同指導料についても同様。

子ぺんぎん(ジェンツー)
これまで開局時間や移動距離の問題で参加できなかった薬局もオンラインでなら参加しやすくなるね!
ぺんぎん薬剤師
この改定をきっかけに退院時共同指導料の算定は一気に増えるんじゃないかなあ。
薬局が参加することによるメリットを示していかないとね!

オンライン資格確認システムの活用に関する評価(2022年10月に改定実施)

2022年9月末をもって「電子保険医療情報活用加算」は廃止され、2022年10月から新たに「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が新設

されています。
変更後の「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」ではマイナ保険証を利用して薬剤情報の取得に同意した場合の方が点数が下がっています。(医療情報・システム基盤整備体制充実加算2:6月に1点)
※詳しくは下記リンクを参照してください。

医療情報・システム基盤整備体制充実加算(旧 電子的保健医療情報活用加算)

資料308ページ(ファイル上は317ページ)の「Ⅲ-2-⑬」になります。
> Ⅲ 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
> 【Ⅲ-2 医療における ICT の利活用・デジタル化への対応-⑬】
> ⑬ オンライン資格確認システムを通じた患者情報等の活用に係る評価の新設

第1 基本的な考え方
オンライン資格確認システムの活用により、診断及び治療等の質の向上を図る観点から、外来において、オンライン資格確認システムを通じて患者の薬剤情報又は特定健診情報等を取得し、当該情報を活用して診療等を実施することについて、新たな評価を行う。

第2 具体的な内容
2.保険薬局において、オンライン資格確認システムを通じて患者の薬剤情報又は特定健診情報等を取得し、当該情報を活用して調剤等を実施することに係る評価を新設する。

子ぺんぎん(ジェンツー)
オンライン資格確認を行った方が患者負担が増えるってこと?
導入コストについては補助金が出ているのに?
ぺんぎん薬剤師
そういうことになるね。オンライン資格確認は医療提供者側のメリットが大きいんだからむしろ逆にすべきじゃないかとも思うけど・・・。
でも、導入については費用以外にも運用面で様々な問題が起きているのでその対応コストと考えることもできなくはないのかな?
いずれにしても将来的には行わない人の方が点数が高くなるように変更されるんじゃないかな?

[対象患者]
オンライン資格確認システムを活用する保険薬局において調剤が行われた患者
[算定要件]
別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険薬局において、健康保険法第3条第 13 項に規定する電子資格確認により、患者に係る薬剤情報等を取得した上で調剤を行った場合は、電子的保健医療情報活用加算として、月1回に限り所定点数に加算する。
(※)健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認により、当該患者に係る薬剤情報等の取得が困難な場合等にあっては、令和6年3月31日までの間に限り、3月に1回に限り1点を所定点数に加算する。

[施設基準]
(1)療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和51年厚生省令第36号)第1条に規定する電子情報処理組織の使用による請求を行っていること。
(2)健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認を行う体制を有していること。
(3)電子資格確認に関する事項について、当該保険薬局の見やすい場所に掲示していること。

念のため補足します。

療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和51年厚生省令第36号)
(療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求)
第一条 保険医療機関若しくは次に掲げる医療に関する給付(以下「公費負担医療」という。)を担当する病院若しくは診療所(以下単に「保険医療機関」という。)又は保険薬局若しくは公費負担医療を担当する薬局(以下単に「保険薬局」という。)は、療養の給付(健康保険法(大正十一年法律第七十号)第百四十五条に規定する特別療養費、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、家族療養費及び高額療養費の支給を含む。第八号を除き、以下同じ。)又は公費負担医療に関し費用を請求しようとするときは、電子情報処理組織の使用による請求(厚生労働大臣が定める事項を電子情報処理組織(審査支払機関の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と、療養の給付及び公費負担医療に関する費用(以下「療養の給付費等」という。)の請求をしようとする保険医療機関又は保険薬局の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を使用して、厚生労働大臣の定める方式に従つて電子計算機から入力して審査支払機関の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録して行う療養の給付費等の請求をいう。以下同じ。)又は光ディスク等を用いた請求(厚生労働大臣が定める事項を電子計算機を使用して厚生労働大臣の定める方式に従つて記録した厚生労働大臣の定める規格に適合するフレキシブルディスク又は光ディスク(以下「光ディスク等」という。)を提出することにより行う療養の給付費等の請求をいう。以下同じ。)により行うものとする。

電子情報処理組織の使用による請求=オンライン請求システム(オンラインレセ)ですね。

健康保険法
(定義)
第三条 13 この法律において「電子資格確認」とは、保険医療機関等(第六十三条第三項各号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局をいう。以下同じ。)から療養を受けようとする者又は第八十八条第一項に規定する指定訪問看護事業者から同項に規定する指定訪問看護を受けようとする者が、保険者に対し、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。)に記録された利用者証明用電子証明書(電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第二十二条第一項に規定する利用者証明用電子証明書をいう。)を送信する方法により、被保険者又は被扶養者の資格に係る情報(保険給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。)の照会を行い、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、保険者から回答を受けて当該情報を当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者に提供し、当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者から被保険者又は被扶養者であることの確認を受けることをいう。

電子資格確認(オンライン資格確認)とは、いわゆるマイナンバーカードの保険証利用のことを指しています。

子ぺんぎん(ジェンツー)
「当該患者に係る薬剤情報等の取得が困難な場合」ってのは具体的にどういうケースなのかな?
ぺんぎん薬剤師
中医協での議論を見る限りではマイナンバーカードを持参していない、もしくは持参しているけど薬剤情報等の閲覧に同意してくれない場合ってことのようですね。

参考:オンライン資格確認による薬剤情報・特定健診情報の閲覧について

医療機関等向けポータルサイト
> よくあるお問合せ(FAQ)
> 特定健診情報・薬剤情報に係る運用について
Q1. 薬剤情報・特定健診情報の閲覧ができない対象者はいますか。
A1. 下記の証等(対象者)の場合、被保険者番号を確認できないため情報の取得ができません。
・自衛官診療証(自衛官等)
・健康保険被保険者受給資格者票(健康保険日雇特例被保険者)
・健康保険被保険者特別療養費受給票(健康保険日雇特例被保険者)
・医療扶助の医療券・調剤券(生活保護受給者)
Q3. 薬剤情報や特定健診情報の閲覧要求については、来院の都度、マイナンバーカードでの同意確認が必要ですか。
A3. 同意情報登録後の 24 時間に限り、オンライン資格確認等システムにて薬剤情報・特定健診情報の閲覧が可能です。
そのため、前回の来院から24時間経過後であれば、再度マイナンバーカードにて同意を取得する必要があります。
Q6. 薬剤情報、特定健診情報、特定疾病療養受領証情報、限度額適用認定証情報それぞれについて、資格確認方法によってどのように同意を取得すればよいでしょうか。
A6. 以下の表をご参照ください。

医薬品適正使用の推進

診療報酬(医科)の改定部分ですが薬局にも大きく影響する部分で、今回の改定の目玉の一つになるであろう部分です!

湿布の処方枚数制限

資料

489ページ(ファイル上は498ページ)の「Ⅳ-7-①」になります。
> Ⅳ 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
> 【Ⅳ-7 医師・病棟薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進-①】
> ① 医薬品の給付の適正化

第1 基本的な考え方
薬剤給付の適正化の観点から、湿布薬を処方する場合に、処方箋等に理由を記載することなく処方ができる枚数の上限を見直す。

第2 具体的な内容
医師が医学的必要性を認めた場合を除き、外来患者に対して、保険給付の範囲内で処方できる湿布薬の上限枚数を、1 処方につき 70 枚までから 63 枚までに変更する。

【第5部 投薬】
通則
5 入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき63枚を超えて湿布薬を投薬した場合は、区分番号F000に掲げる調剤料、区分番号F100に掲げる処方料、区分番号F200に掲げる薬剤(当該超過分に係る薬剤料に限る。)、区分番号F400に掲げる処方箋料及び区分番号F500に掲げる調剤技術基本料は、算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず63枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方箋及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。

調剤報酬は関連しません。(調剤における調剤料は区分番号01、調剤技術基本料は区分番号00調剤基本料とは異なり院内での投薬に対する評価)
薬局の場合、関連するのは処方元の「処方箋料(区分番号F400)」になりますね。

子ぺんぎん(ジェンツー)
70枚から63枚に減らすことになんの意味があえるんだろう・・・。
業務が煩雑になるだけな気がするんだけど・・・。
ぺんぎん薬剤師
元々、湿布薬(うがい薬や花粉症治療薬を含めた)の保険外しを行いたい意向がある中で議論されていて、
保険者側は35枚にしたかったみたいだけど、それを認めると保険外しに大きく近づいちゃうからね。
減らすことが決定する中で交渉を重ねた結果、この枚数に落ち着いたんだと思うよ。
子ぺんぎん(ジェンツー)
10袋(70枚)包装だったら1箱渡せたけど、業務が煩雑になりそうだ・・・。
枚数間違いにも気をつけないと・・・。
1袋 5枚入りとか1袋 6枚入りを採用しているとなおのこと・・・(泣)

リフィル処方箋の導入

資料

215ページ(ファイル上は224ページ)の「Ⅰ-7-⑫・⑬」になります。
> Ⅰ 新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築
> 【Ⅰ-7 地域包括ケアシステムの推進のための取組-⑫・⑬】
> ⑫ 処方箋様式の見直し(リフィル処方箋の仕組み)
> ⑬ 処方箋料の見直し

第1 基本的な考え方
症状が安定している患者について、医師の処方により、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方箋の仕組みを設ける。

子ぺんぎん(ジェンツー)
ついにリフィル処方箋が導入されます!
ぺんぎん薬剤師
リフィル処方箋はその名前の通りリフィル(繰り返し利用)できる処方箋です。
欧米ではすでに導入されており、かねてから日本での導入が議論されてきました。
医師の指示による分割調剤とは異なり、1枚の処方箋を繰り返し再利用する形で運用されます。

第2 具体的な内容
リフィル処方箋について、具体的な取扱いを明確にするとともに、処方箋様式をリフィル処方箋に対応可能な様式に変更する(別紙)。

[対象患者]
(1)医師の処方により、薬剤師による服薬管理の下、一定期間内に処方箋の反復利用が可能である患者

ぺんぎん薬剤師
リフィル処方箋の導入に伴い処方箋の様式が変更になります。
子ぺんぎん(ジェンツー)
備考欄がますます狭くなる・・・(汗)

リフィル処方箋の具体的な運用

留意事項が公開されており、リフィル処方箋の具体的な運用がある程度イメージできます。

[留意事項]
(1)保険医療機関の保険医がリフィルによる処方が可能と判断した場合には、処方箋の「リフィル可」欄にレ点を記入する。
(2)リフィル処方箋の総使用回数の上限は3回までとする。また、1回当たり投薬期間及び総投薬期間については、医師が、患者の病状等を踏まえ、個別に医学的に適切と判断した期間とする。
(3)保険医療機関及び保険医療養担当規則において、投薬量に限度が定められている医薬品及び湿布薬については、リフィル処方箋による投薬を行うことはできない
(4)リフィル処方箋による1回目の調剤を行うことが可能な期間については、通常の処方箋の場合と同様とする。2回目以降の調剤については、原則として、前回の調剤日を起点とし、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とし、その前後7日以内とする。
(5)保険薬局は、1回目又は2回目(3回可の場合)に調剤を行った場合、リフィル処方箋に調剤日及び次回調剤予定日を記載するとともに、調剤を実施した保険薬局の名称及び保険薬剤師の氏名を余白又は裏面に記載の上、当該リフィル処方箋の写しを保管すること。また、当該リフィル処方箋の総使用回数の調剤が終わった場合、調剤済処方箋として保管すること。
(6)保険薬局の保険薬剤師は、リフィル処方箋により調剤するに当たって、患者の服薬状況等の確認を行い、リフィル処方箋により調剤することが不適切と判断した場合には、調剤を行わず、受診勧奨を行うとともに、処方医に速やかに情報提供を行うこと。また、リフィル処方箋により調剤した場合は、調剤した内容、患者の服薬状況等について必要に応じ処方医へ情報提供を行うこと。
(7)保険薬局の保険薬剤師は、リフィル処方箋の交付を受けた患者に対して、継続的な薬学的管理指導のため、同一の保険薬局で調剤を受けるべきである旨を説明すること。
(8)保険薬局の保険薬剤師は、患者の次回の調剤を受ける予定を確認すること。予定される時期に患者が来局しない場合は、電話等により調剤の状況を確認すること。患者が他の保険薬局において調剤を受けることを申し出ている場合は、当該他の保険薬局に調剤の状況とともに必要な情報をあらかじめ提供すること。

気になった部分を補足していきます。

(1)(2) 総使用回数の上限は3回:つまり総使用回数なので使えるのが3回(つまりはリフィルは2回)ってことですね。
最大使用できる場合、リフィル可の欄には「2回」って記入するのかな?
ここ、間違っていたら疑義照会なんでしょうね、やっぱり・・・。

(3) 日数制限のある医薬品(新薬や向精神薬、麻薬)、湿布薬(枚数制限)についてはリフィル処方箋による投薬不可。
湿布薬は認めて欲しいんですけど・・・。コスト的にも安くなると思うけど、なんでダメなんだろう?

(4)(7)(8) 2回目以降の調剤可能な日数は調剤した日から調剤日数を元に計算してその前後7日以内。
同じ薬局で調剤を受けることを勧めた上で次回来局予定日を確認する。
来局予定日に来局なければ連絡して服用状況を確認する。
これ、あらかじめ準備することもできてスムーズに渡せるのでかなり便利ですよね。
来局予定前に連絡させてもらって、残薬調整等もおこなっておけばより一層スムーズかと。

(5) リフィル処方箋の取り扱い方法です。
1回目なのに調剤録を貼り付けてしまわないように!印刷するなんてもっての他ですよ!
これ間違えるケースがありそうだなあ・・・。

記入欄小さいから書き間違えたりしたらぐちゃぐちゃになりそうだなあ・・・。(不安)

(6) 一番大事なポイントです!
リフィル処方箋と分割調剤の一番の違いは薬剤師による調剤可否の判断が実施されることです。
患者さんの服薬状況や体調変化の確認を行い、リフィル不適と判断すれば受診勧告を行う必要があります。
薬剤師として調剤権を明確に発揮するポイントとなります。

リフィル処方箋を発行した場合の処方箋料の見直し

第1 基本的な考え方
患者の状態に応じた適切な処方を評価する観点から、リフィル処方箋により処方を行った場合について、処方箋料の要件を見直す。

第2 具体的な内容
リフィル処方箋により、当該処方箋の1回の使用による投与期間が 29日以内の投薬を行った場合は、処方箋料における長期投薬に係る減算規定を適用しないこととする。

子ぺんぎん(ジェンツー)
リフィル処方箋を発行した場合は処方箋料の減算が免除?
ぺんぎん薬剤師
リフィル処方箋の発行を進めるインセンティブに・・・なるかと思いきやあまり大きな効果は期待できないかもね。

【処方箋料】
[算定要件]
注2 区分番号A000に掲げる初診料の注2又は注3、区分番号A002に掲げる外来診療料の注2又は注3を算定する保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める薬剤を除き、1処方につき投与期間が30日以上の投薬を行った場合(処方箋の複数回(3回までに限る。)の使用を可能とする場合であって、当該処方箋の1回の使用による投与期間が29日以内の投薬を行った場合を除く。)には、所定点数の100分の40に相当する点数により算定する。

A000 初診料
注2 病院である保険医療機関(特定機能病院(医療法(昭和23年法律第205号)第4条の2第1項に規定する特定機能病院をいう。以下この表において同じ。)及び地域医療支援病院(同法第4条第1項に規定する地域医療支援病院をいう。以下この表において同じ。)(同法第7条第2項第5号に規定する一般病床(以下「一般病床」という。)に係るものの数が200未満の病院を除く。)に限る。)であって、初診の患者に占める他の病院又は診療所等からの文書による紹介があるものの割合等が低いものにおいて、別に厚生労働大臣が定める患者に対して初診を行った場合には、注1の規定にかかわらず、214点を算定する。
注3 病院である保険医療機関(許可病床(医療法の規定に基づき許可を受け、若しくは届出をし、又は承認を受けた病床をいう。以下この表において同じ。)の数が400床以上である病院(特定機能病院、地域医療支援病院及び一般病床に係るものの数が200未満の病院を除く。)に限る。)であって、初診の患者に占める他の病院又は診療所等からの文書による紹介があるものの割合等が低いものにおいて、別に厚生労働大臣が定める患者に対して初診を行った場合には、注1の規定にかかわらず、214点を算定する。

A002 外来診療料
注2 病院である保険医療機関(特定機能病院及び地域医療支援病院に限る。)であって、初診の患者に占める他の病院又は診療所等からの文書による紹介があるものの割合等が低いものにおいて、別に厚生労働大臣が定める患者に対して再診を行った場合には、注1の規定にかかわらず、55点を算定する。
注3 病院である保険医療機関(許可病床数が400床以上である病院(特定機能病院及び地域医療支援病院を除く。)に限る。)であって、初診の患者に占める他の病院又は診療所等からの文書による紹介があるものの割合等が低いものにおいて、別に厚生労働大臣が定める患者に対して再診を行った場合には、注1の規定にかかわらず、55点を算定する。

ぺんぎん薬剤師
紹介状の割合が低い病院に課せられる処方箋料の減算が免除されるんだけど、リフィル処方箋を発行した際の1回処方日数が29 日以内の場合だけなんだよね・・・。リフィル処方を普及させるための改定と思うと弱いよね。

リフィルの導入とオンラインの推進

リフィル処方箋。
どれくらい普及するかわかりませんが、すぐに普及しなくても改定を重ねれば普及するのは間違いなく、患者さんにとってかなり利便性の高いものになりそうです。
テレビ等での報道も普及の鍵を握っていると思います。
メリットや運用がとてもわかりやすく、時間と医療費を削減することができるものですから・・・。

利便性という意味では、今回の改定で推進されるオンライン服薬指導も同様です。
この2つが合わさったとき、どのような未来が待っているか?

そして今回の改定で多く見られた対人業務の強化。
これが大きな鍵になるのは間違いないです。

オンラインとリフィルが普及するのはそう遠くない話だと思います。
自分の薬局で始める始めないじゃなく、リフィルやオンラインが普及する未来をしっかりイメージしてください。
大きな変化は目の前に迫ってきています。
今回の改定はそういう改定です。

オンラインセミナーを開催します!

今回の改定では、ぺんぎん薬剤師として初めての試みとなるオンラインセミナーを開催します。

調剤報酬改定を乗り越える・・・ではなく、「診療報酬を味方につける!」をテーマに調剤報酬改定の内容とそれにより実際の業務がどう変化してくかの解説を行いたいと思います。

改定の背景にある議論や国の求める方向性を解説し、実際に薬局で勤務している視点でそれをどう活かすかを一緒に考えていきたいと思います。

配信期間は3月16日(水)~3月31日(木)を予定しており、期間内は繰り返し視聴できます。
オンラインセミナーを長時間聞くのは辛い・・・って方のために項目ごとに分けた動画にする予定なので、
今日はこの項目、明日はこの項目と少しずつ分けて、都合のいい時間に聞いてもらうことが可能になっています。
配信期間が半月ほどあるので、手の空いたときに気楽に視聴してもらえれば嬉しいです。

薬剤師に限らず、事務員の方、休職中の方でも気楽に視聴していただける内容にしたいと思っているのでどうぞよろしくお願いします。

詳しい内容と申し込みはhttps://mfnf.jp/yakuzai2022/をご覧ください!

 

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