平成27年8月3日、厚生労働省薬食審第二部会が開催され、スピオルトレスピマット等の承認が了承されました。
スピオルトレスピマットは、新規有効成分であるオロダテロールとスピリーバの有効成分であるチオトロピウムの配合剤です。
スピオルトレスピマット
スピオルトレスピマットはスピリーバレスピマットの有効成分であるチオトロピウム(長時間作用性抗コリン薬/LAMA:Long-Acting Muscarinic Antagonist)とオロダテロール(長時間作用性β2受容体作動薬/LABA :Long -acting β2-agonist)の配合剤です。
COPDに対する適応を持つLAMA/LABA配合吸入薬では、ウルティブロ吸入用カプセル(一般名:グリコピロニウム/インダカテロール)、アノーロエリプタ(一般名:ウメクリジニウム/ビランテロール)に続いて3剤目となります。
他のLAMA/LABA配合吸入薬との違い
スピオルトとすでに発売されているLABA/LAMA配合剤とを比較した際の最大の特徴は、吸入デバイスにレスピマットを使用した、ソフトミフト型の薬剤ということです。
ドライパウダー型の薬剤は呼吸機能が低下しているとうまく吸入を行うことができないですし、エアゾール型の薬剤は吸入器の操作と呼吸を同調しないとうまく吸入できません。
レスピマットは、ソフトミフト型の薬剤をゆっくり、長く噴霧するので、ネブライザーほどではありませんが、同調がうまくできなくても吸入しやすいというメリットがあります。
オロダテロールの特徴
チオトロピウムはスピリーバとして長く使用されているので、その効果については広く知られているところです。
気になるのは、新規有効成分であるオロダテロール。
基本的にはすでに使用されているLABAと同等の効果を持つとされています。
特徴としては、β2受容体の選択性がより高いということと、ホルモテロールと同等に効果発現が早いと言うことです。
今後登場予定のLABA/LAMA配合吸入薬
今回承認が了承されたスピオルトが、正式に承認、発売となればLAMA/LABA配合吸入薬は3種類となります。
ですが、すでに次の開発が佳境となっています。
杏林がスペインのアルミラール社から導入する開発コードKRP-AB1102F(一般名:アクリジニウム/ホルモテロール)です。
杏林がアルミラール社から導入した薬剤と言えば、エクリラジェヌエア(一般名:アクリジニウム)ですので、KRP-AB1102Fも吸入デバイスにジェヌエアが使用されることが予想されます。
ジェヌエアはドライパウダー型の吸入デバイスとしては最も操作が簡便でわかりやすいと思っているので、薬剤が増えるのは嬉しいですね。
アクリジニウムと言えばLAMAによる急性憎悪の予防を比較した試験で最も効果が高いと言う結果を持つ薬剤です。
ホルモテロールもオーキシスタービュヘラーとしてCOPD治療に使用されていますし、シムビコート(一般名:ブデソニド/ホルモテロール)のSMART療法で知られているように効果発現が早いLABAです。
ただし、同成分とも効果が長くないので一日二回の吸入になることが予想されます。
こちらも、今後の承認が楽しみな薬剤です。
LAMA/LABA配合吸入薬のまとめ
スピオルトを含めたLAMA/LABA配合薬についてまとめておきます。
ウルティブロ吸入用カプセル
- ノバルティスファーマ
- LAMA:グリコピロニウム(シーブリ)
- LABA:インダカテロール(オンブレス)
- ドライパウダー型
- 吸入デバイス:ブリーズヘラー
- 用法•用量:一日一回、一回1カプセルを吸入
- 特徴:ブリーズヘラーは吸入抵抗が少ないがカプセルをセットする操作が必要、ドライパウダーなので吸入には一定の呼吸機能が必要
アノーロエリプタ
- グラクソ•スミスクライン
- LAMA:ウメクリジニウム(国内発売なしだが海外ではエンクラッセエリプタとして発売)
- LABA:ビランテロール(単剤では発売なしだがレルベアに含まれる)
- ドライパウダー型
- 吸入デバイス:エリプタ
- 用法•用量:一日一回、一回一吸入
- 特徴:操作が簡便だが、ドライパウダーなので吸入には一定の呼吸機能が必要
スピオルトレスピマット
- ベーリンガーインゲルハイム
- LAMA:チオトロピウム(スピリーバ)
- LABA:オロダテロール
- ソフトミフト型
- 吸入デバイス:レスピマット
- 用法•用量:一日一回、一回2吸入
- 特徴:ソフトミフト型のレスピマットは呼吸機能が低下していても吸入可能、エアゾール型のものに比べて同調も容易
KRP-AB1102Fジェヌエア
- 杏林
- LAMA:アクリジニウム(エクリラ)
- LABA:ホルモテロール(オーキシス)
- ドライパウダー型
- 吸入デバイス:ジェヌエア
- 用法•用量:一日二回、一回1吸入
- 特徴:操作が簡便でわかりやすいが、ドライパウダーなので吸入には一定の呼吸機能が必要、また一日二回の吸入が必要