平成27年8月6日、厚生労働省医薬食品局は新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の改訂を指示しました。
平成27年度指示分 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
その中でメマリーに横紋筋融解症の副作用追加、イナビル•リレンザは慎重投与に牛乳アレルギーが追加されています。
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。
メマリーに横紋筋融解症
アルツハイマー型認知症治療薬メマリー錠・メマリーOD錠(一般名:メマンチン塩酸塩)で、過去3年間に横紋筋融解症が6症例報告されています。
そのうち、5症例はメマリーの服用との因果関係が否定できないため、今回、添付文書の改訂指示が出されました。
重大な副作用に横紋筋融解症が追記されます。
横紋筋融解症
横紋筋融解症は骨格筋の細胞が壊死することにより、筋肉痛や脱力感の症状を引き起こす病態です。
外傷や脱水、低カリウム血症から引きおこされることもありますが、薬によるものが知られています。
骨格筋の細胞が壊死した際に大量のミオグロビンが流出し、それにより、腎臓の尿細管がダメージを受け、急性腎不全を引きおこしてしまうことがあります。
初期で腎障害が発生していない段階であれば輸液を行ない、尿量を増やす事で腎庇護をはかります。
腎不全が進行した場合は透析を行なう場合もあります。
そのため、早期発見が大事になります。
薬局での声掛け等意識したいところですね。
イナビル•リレンザは牛乳アレルギーに慎重投与
インフルエンザの吸入型治療薬であるイナビル(一般名:ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)とリレンザ(一般名:ザナミビル水和物)では牛乳アレルギーの人に対するアナフィラキシーショックが報告されています。
過去3年間でイナビル4症例、リレンザ1症例報告されています。
そのため、「慎重投与」に「乳製品に対するアレルギーの既往歴がある患者」を追記することになりました。
ドライパウダー型吸入薬と牛乳アレルギー
ドライパウダー型の吸入薬には添加物として乳糖が含まれています。
乳糖は原材料に牛乳を用いるため、純度の高いものでも、完全に牛乳タンパクは除去されていません。
だいたい、乳糖1g中に数μgの乳糖が含まれている可能性があると言われています。
これだけ微量であれば、牛乳アレルギーを持っている方でもほとんどの場合、アレルギー反応を起こすことはないのですが、中には起こしてしまうケースも存在します。
内服においても同様ですが、牛乳アレルギーでも特に注意が必要な人の場合は、乳糖を含む吸入でもアナフィラキシーショックの可能性があるということを頭において指導を行わなければならないことを覚えておきたいですね。
そのほかの改訂内容
アタラックス錠(一般名:ヒドロキシジン塩酸塩)、アタラックス-P注射液/アタラックス-P散、アタラックス-P カプセル、アタラックス-Pシロップ、アタラックス-P ドライシロップ 他(一般名:ヒドロキシジンパモ酸塩)
重大な副作用に「QT延長、心室頻拍」追記
エクジェイド懸濁用錠(一般名:デフェラシロクス)
重大な副作用に「消化管穿孔」追記
ユニタルク胸膜腔内注入用懸濁剤(一般名:タルク)
重大な副作用に「間質性肺疾患」追記
ベクティビックス点滴静注(一般名:パニツムマブ(遺伝子組み換え))
重大な副作用に「中毒性表皮壊死融解症」追記
ポマリストカプセル(一般名:ポマリドミド)
重大な副作用に「肝機能障害、黄疸」追記