エクセグランとトレリーフ

メネシットを服用している患者さんにビ・シフロール(成分名:プラミペキソール)が追加になりましたが、ジスキネジア(不随意運動)の出現により中止となりました。
すると今回、その患者さんにエクセグラン(成分名:ゾニサミド)が追加になりました。
エクセグラン散20% 0.125g 1×M
エクセグランの錠剤は100mg。エクセグラン散 0.125gと言うとゾニサミド25mgとなります。
薬局では「これ少ないんじゃない?」「ゾニサミド125mgの間違いかなあ?」の声。
考えた結果出てきた結論は「トレリーフの代わりじゃない?」

エクセグランとトレリーフはどちらもゾニサミドを成分とする薬剤です。
トレリーフは1錠中にゾニサミド25mgを含みます。
その違いは適応。
エクセグランの効能・効果は「部分てんかんおよび全般てんかん」
それに対し、トレリーフの効能・効果は「パーキンソン病」です。

つまり、適応外処方でエクセグランを用いたということになります。
院外処方と言ってもこの病院は採用薬が決められており、医師は採用薬以外を使用することができなくなっています。
トレリーフは採用されていないのでエクセグランを使うしかなかったんだと思います。
使用例が増えれば採用されるかもしれません。

ちなみに、トレリーフ錠25mgの薬価は1錠あたり1084.9円。ゾニサミド1mgあたり43.396円。
エクセグラン錠100mgの薬価は33.6円。ゾニサミド1mgあたり0.336円。
エクセグラン散20%の薬価は1gあたり62.7円。ゾニサミド1mgあたり0.3135円。
エクセグラン同士の差は誤差としてもエクセグランとトレリーフの差!100倍以上です。

発売当時も話題になりましたが、薬価の決め方によりこんな差がついています。
薬価は類似薬効比較方式(I)という方法で決められます。
要は成分で値段を決めるのではなく、同じような効能・効果の薬を基準として薬価を決めるということです。
トレリーフはエフピー錠2.5mg(トレリーフ発売当時の薬価344.4)を基準に値段が決めらました。
トレリーフの通常用量は一日あたり25mg(1錠)、エフピーの通常用量は一日あたり7.5mg(3錠)。
つまり、トレリーフ1錠の薬価 = エフピー3錠の薬価 = 344.4×3 = 1033.2円。
トレリーフの場合は、さらに有用性加算(II)と言って5%の加算が加わりますので、1033.2×1.05 = 1084.86
というわけで1084.9円という薬価が決まっているわけです。

エクセグランと同じ成分とは言ってもトレリーフを発売するために臨床試験を新たに行っているはずなので5〜20億円はかかっているとは思います。
メーカーとしてはその費用を回収する必要もあるのですが…。
でも、この差はちょっと極端かなあ?
エクセグラン散20% 0.125g 30日分だと薬剤料300円。
トレリーフ25mg 1錠 30日分だと薬剤料32400円!
すごい差ですね。

パーキンソン病に対するトレリーフの作用機序は二つ考えられています。
一つはMAO-B活性阻害作用。神経末端でのドパミンの代謝は抑制しドパミンの濃度を維持します。
もう一つはドパミン生合成の促進。
チロシンをドパミンの前駆体であるドーパに変換するチロシン水酸化酵素を活性化させます。

パーキンソン病の治療で生じる問題の一つにWearing−off現象(ウェアリングオフ)があります。
L-ドーパを使用しているうちにその効果がだんだんと短くなっていくというものです。
対処方法としては、まずはドパミンアゴニストとL-ドーパの服用回数、服用量の増加。
ただし、ジスキネジア(不随意運動)が出現する可能性があるのでそこに注意が必要です。
次の選択肢としてエンタカポン(商品名:コムタン)かゾニサミドの追加があります。
ジスキネジアが出現した場合はL-ドーパを減らしてエンタカポンかゾニサミドを追加します。
エンタカポンの追加は確実な効果が期待できますが、ジスキネジアが出現する可能性が高いです。
それに対し、ゾニサミドの追加ではエンタカポンほどの効果は期待できませんが、ジスキネジアが出現する可能性は低いです。

というわけで。
今回の患者さんではウェアリングオフの出現に伴い、ドパミンアゴニストを追加されましたが、ジスキネジア出現で中止。
ジスキネジアのリスクを回避するためにトレリーフを使いたかったけど採用がなかったのでエクセグランを使用したということなんでしょうね。

パーキンソン病の診断・治療・生活指導の手引き (1982年)

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