令和6年4月までに準備!令和3年度介護報酬改定で義務化された体制整備

令和6年度介護報酬改定についての内容が明らかになり、近いうちにこのブログでもその内容についてまとめておきたいと思っていますが、その前にチェックしておきたいことがあります。

令和3年度介護報酬改定では、介護事業所の運営する上での義務が追加されており、その経過措置期限は令和6年3月31 日となっています。

一部さらに経過措置が延長(令和9年3月31 日)されたものもありますが、できる限り早めに対応することが求められています。

今回は、令和3年度介護報酬において定められた薬局の義務についてまとめたいと思います。

ちなみにBCP策定について何から始めたらいいかわからないって方は、薬剤師カモーンTVでわかりやすく説明してくれているので、まずはこれを観るのをお勧めします!

令和3年度介護報酬改定で新たに義務付けられたもの(薬局関係)

まずは令和3年度介護報酬において新たに義務付けられてもののうち、薬局に関係するものについて整理したいと思います。

1、感染症対策(経過措置期限:令和6年3月31日

  • 委員会の設置
  • 指針の作成
  • 研修・訓練の実施

2、BCP(事業継続計画)の策定

(経過措置期限:令和6年3月31日→令和9年3月31日

  • 感染症や災害発生時にサービスの提供を継続できるよう事業継続計画を策定する
  • 定期的に研修・訓練を実施
  • 事業継続計画は定的に更新する

3、高齢者虐待防止の推進

(経過措置期限:令和6年3月31日→令和9年3月31日

  • 委員会の設置
  • 指針の作成
  • 研修の実施

いずれも今の日本で問題となっている事象に対応するためのものになっています。

結論からいうと2と3の経過措置は延長されましたが、年初に能登半島地震が発生したように、いつどこで災害が起こるかわかりません。

そのような時でも利用者の方々がサービスを継続できるように、そのような時だからこそ継続してもらうために特に2のBCP策定は重要になってきます。

全ての介護事業所が対象

上記は薬局だけでなく、すべての介護事業所が義務として行うことになっています。

令和6年度介護報酬改定では、BCP未策定や高齢者虐待防止を推進する措置が取られていない場合の減算が新設されています(薬局は対象外)


【資料1】令和6年度介護報酬改定の主な事項について第239回社会保障審議会介護給付費分科会)より

現段階では薬局は減算の対象外ですが、将来的には対象になる可能性もあります。

そのあたりを踏まえると延長後の経過措置期限まで待つのではなく、できるだけ早い時期に対応を行うべきと思います。

連携強化加算における災害・感染症に対する体制整備

調剤報酬点数表における「連携強化加算」の施設基準等の取扱いについて(事務連絡 令和4年3月31日)|厚生労働省保険局医療課

1.「連携強化加算」に係る施設基準等の具体的な取扱いについて
連携強化加算の施設基準等の具体的な取扱いについては、次に掲げる体制等が整備されていること等をいうものであること。
災害や新興感染症の発生時等に、医薬品の提供施設として薬局機能を維持し、避難所・救護所等における医薬品の供給又は調剤所の設置に係る人員派遣等の協力等を行うこと。また、災害の発生時における薬局の体制や対応について手順書等を作成し、薬局内の職員に対して共有していること。
災害や新興感染症の発生時等において、医薬品の供給や地域の衛生管理に係る対応等を行うことについて、薬局内で研修を実施する等、必要な体制の整備が行われていること。

このように感染症や災害時に薬局の機能を継続するような準備を行なっておくことは連携強化加算の施設基準でも求められています。

令和3年度介護報酬改定において設けられた経過措置について(薬局関係)

日本薬剤会の通知に記載されている内容

通知に記載されている内容を記載しておきます。

令和3年度介護報酬改定において設けられた経過措置について(薬局関係)|令和6年1月12日 日本薬剤師会
リンク:岩手県薬剤師会

改定事項概要
感染対策の強化感染症の予防及びまん延防止のための訓練、対策を検討する
委員会を定期的に開催するとともに、その結果について
従業者に対して周知すること。
また、指針を整備すること。
業務継続に向けた取組の強化感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する
サービスの提供を継続的に実施するための、及び非常時の
体制で早期の業務再開を図るための計画を策定した上で、
従業者に対して周知するとともに、必要な研修及び訓練を
定期的に実施すること。
また、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて
業務継続計画の変更を行うこと。
高齢者虐待防止の推進虐待の発生又はその再発を防止するための対策を検討する
委員会を定期的に開催し、その結果について従業者に対して
周知を行うとともに、必要な指針を整備し、研修を定期的に
実施すること。
また、これらを適切に実施するための担当者を置くこと。

1、感染症対策の強化

  • 居宅療養管理指導に係る届出(みなし含む)を行っている、すべての薬局が義務付けの対象です。
  • 委員会の開催、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施については、他のサービス事業者と合同で実施することでも可能とされています。
  • 指針は薬局単位で作成する必要があります。
  • なお、これら研修の開催や指針策定等に際しては、既に研修等を実施している他のサービス事業者団体と都道府県薬剤師会が連携して行うことも考えられます。ご所属の都道府県薬剤師会からの案内にもお目配りください。
  • また本年度、薬剤師の継続的な生涯教育に資するよう、またその一環として新興感染症の発生・まん延にも対応可能な地域の医療提供体制の確保につなげること等を目的として、厚生労働省予算事業(日本薬剤師会にて実施)において、薬局における感染対策に関する指針及び研修教材を作成しています。これら事業成果物も活用いただけると考えており、報告書・成果物がまとまり次第、情報提供いたします。

2、業務継続に向けた取組の強化
3、高齢者虐待防止の推進

  • 経過措置期限は、令和9年3月31 日に延長されます。
  • 居宅療養管理指導以外の介護サービスについては、令和6年4月1日から義務付けとなり、減算措置も導入されます。居宅療養管理指導を提供する薬局におかれては、経過措置期間中であってもできるだけ早期に取り組んでいただくようお願いいたします。
  • 業務継続に向けた取組強化については、本会がお示ししている以下もご参照いただけます。
    ・薬剤師のための災害対策マニュアルページ https://www.nichiyaku.or.jp/activities/disaster/manual.html
    ・新型インフルエンザ等発生時における業務継続計画(案)薬局向け作成例 https://www.nichiyaku.or.jp/activities/disaster/plan.html

参考

① 介護保険最新情報(Vol.1174)
https://www.mhlw.go.jp/content/001153087.pdf

② 令和6年度介護報酬改定審議報告
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36975.html

指針やBCPの策定を行う上での参考資料

いきなり指針やBCPを策定しろと言われてもかなり難しいのが現実だと思います。

そのため、さまざまな資料が公開されているため、リンクを貼っておきます。

日本薬剤師会
新型インフルエンザ等発生時における業務継続計画(案)

厚生労働省老健局
介護現場における感染対策の手引き(第3版)

神奈川県 高齢福祉課
指定介護保険事業者のための運営の手引き 居宅療養管理指導/介護予防居宅療養管理指導(薬剤師)

東京都福祉保健局
災害時の薬局業務運営の手引き~薬局BCP・地域連携の指針~

大阪府 健康医療部 保健医療室 感染症対策企画課 個別事象対応グループ
BCP(業務継続計画)の策定

福岡県保健医療介護部介護保険課
北九州市保健福祉局地域福祉部介護保険課
福岡市福祉局高齢社会部事業者指導課
久留米市健康福祉部介護保険課
令和5年度集団指導 居宅療養管理指導(薬剤師)
(↑今回の件だけでなく介護報酬の資料として必見です)

そのほか各薬剤師会でも手引き書や様式を公開しているので、自分の所属する薬剤師会の会員ページを確認してみてください。

根拠となる省令の記載について

最後に、今回取り上げた内容について、その根拠となる省令の該当する部分を引用しておきます。

指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について

第3 介護サービス
五 居宅療養管理指導
3 運営に関する基準

⑶ 運営規程
居宅基準第90条は、指定居宅療養管理指導の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定居宅療養管理指導の提供を確保するため、同条第1号から第7号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定居宅療養管理指導事業所ごとに義務づけたものであること。なお、第4号の「指定居宅療養管理指導の種類」としては、当該事業所により提供される指定居宅療養管理指導の提供者の職種(医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士)ごとの種類を規定するものであること。

⑷ 業務継続計画の策定等
居宅基準第91条の規定により指定居宅療養管理指導の事業について準用される居宅基準第30条の2の規定については、訪問入浴介護と同様であるので、第3の二の3の⑺を参照されたい。

⑸ 衛生管理等
  居宅基準第91条の規定により指定居宅療養管理指導の事業について準用される居宅基準第31条第1項及び第2項の規定については、訪問介護と同様であるので、第3の一の3の(23)の①を参照されたい。
  居宅基準第91条の規定により指定居宅療養管理指導の事業について準用される居宅基準第31条第3項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずるべき措置については、具体的には次のイからハまでの取扱いとすること。各事項について、同項に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正省令附則第4条において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている
イ 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
当該事業所における感染対策委員会であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、感染対策担当者を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
感染対策委員会は、居宅療養管理指導事業所の従業者が1名である場合は、ロの指針を整備することで、委員会を開催しないことも差し支えない。この場合にあっては、指針の整備について、外部の感染管理等の専門家等と積極的に連携することが望ましい。
ロ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
当該事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「介護現場における感染対策の手引き」を参照されたい。
ハ 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練
訪問入浴介護従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該事業所が定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。
なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。
また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年1回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。

⑹ 虐待の防止
居宅基準第91条の規定により指定居宅療養管理指導の事業について準用される居宅基準第37条の2の規定については、訪問介護と同様であるので、第3の一の3の(31)を参照されたい。

⑺ 記録の整備
居宅基準第90条の2第2項は、指定居宅療養管理指導事業者が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
また、同項の指定居宅療養管理指導の提供に関する記録には、診療録、医師又は歯科医師の指示に基づく薬剤管理指導計画及び診療記録が含まれるものであること。

青字で示した第3の二(訪問入浴介護)の3の⑺は以下のとおりです。

第3 介護サービス
二 訪問入浴介護
3 運営に関する基準

⑺ 業務継続計画の策定等
  居宅基準第54条により準用される居宅基準第30条の2は、指定訪問入浴介護事業者は、感染症や災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して指定訪問入浴介護の提供を受けられるよう、業務継続計画を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、訪問入浴介護従業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、居宅基準第30条の2に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
なお、業務継続計画の策定等に係る義務付けの適用に当たっては、令和3年改正省令附則第3条において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。
  業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。
イ 感染症に係る業務継続計画
a 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
b 初動対応
c 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
ロ 災害に係る業務継続計画
a 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
b 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
c 他施設及び地域との連携
  研修の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。
  訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年1回以上)に実施するものとする。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。

青字で示した第3の一(訪問介護)の3の(23)の①は以下のとおりです。

第3 介護サービス
一 訪問介護
3 運営に関する基準

(23) 衛生管理等
居宅基準第31条第1項及び第2項は、指定訪問介護事業者は、訪問介護員等の清潔の保持及び健康状態の管理並びに指定訪問介護事業所の設備及び備品等の衛生的な管理に努めるべきことを規定したものである。特に、指定訪問介護事業者は、訪問介護員等が感染源となることを予防し、また訪問介護員等を感染の危険から守るため、使い捨ての手袋等感染を予防するための備品等を備えるなど対策を講じる必要がある。

 

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