施設連携加算(外来服薬支援料2)【令和6年度改定】

令和6年度診療報酬改定で新設された「施設連携加算」についてまとめます。
「施設連携加算」は外来服薬支援料2の加算です。

※実際の算定については、告示や通知等を確認の上、各自で判断を行っていただくようお願いします。

施設連携加算(R6年度改定)

  • 50点/回(外来服薬支援料2の加算)

地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特別養護老人ホーム)または介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所中の患者を訪問
外来服薬支援料2の業務に加えて、当該施設職員と協働し当該患者が服薬中の薬剤を含めた服薬管理を支援した場合

施設連携加算(R6年度改定)のポイント
・特養(地域密着型を含む)入所者が対象
・①特養を訪問、②施設職員と協働、③一包化に加えて日常の服薬管理が容易になるよう薬学的観点から支援や指導等を実施
・「患者または家族の同意」と「処方医の了解」が必要
・「入所」、「処方内容の変更」、「副作用等の状況、体調の変化等における当該施設職員からの相談」時に、これまでと異なる服薬支援が必要と保険薬剤師が認めた場合に算定可能
・上記の算定理由についてレセプトに記載
・特別調剤基本料Bの場合は算定不可(そもそも外来服薬支援料自体が算定不可)

ぺんぎん薬剤師の個人的な印象

特養入所者限定ではありますが、外来服薬支援料2の加算が新設されました。
外来服薬支援料2の点数に加えて50点が加算されますが、同様の対応について外来服薬支援料1(185点)を算定していたケースもあると思うので、両方算定可能なケースでは高い方を算定することになると思います(21日分までであれば外来服薬支援料1の方が高い)。

特養においては、薬剤師の配置義務がありません。
また、医師は必要数となっているため非常勤での対応がほとんどで、看護師は入居者数で変わりますが余裕を持って配置するケースは多くないです(30名未満:1人以上、30〜49名:2人以上、50名以上:3人以上)。
そのため、特養の入所者に対する服薬管理を十分に実施することは難しくなっており、それが施設連携加算が新設された理由となっています。

気になるのは施設連携加算が毎月算定可能かどうかというところです(おそらく算定可能・・・であってほしい)。
算定理由について毎回レセプト摘要欄に記載する必要があるのですが、毎回算定する場合、「地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設への入所時であって、服用している薬剤が多く、入所後の服薬管理について当該施設職員と協働した服薬支援が必要と保険薬剤師が認めた場合」を毎回記載するのは違和感があって、そう考えると問題が発生した時点しか算定できないんじゃないかと思ってしまいます。
ここについては疑義解釈で明らかになって欲しいなと思っています(その3までには情報なし)。

省令・告示・事務連絡(R6年度改定)

令和6年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html

診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 令和6年厚生労働省告示第57号

別表第三(調剤点数表)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001218733.pdf

第2節 薬学管理料
区分14の2 外来服薬支援料

外来服薬支援料

  • 1 外来服薬支援料1 185点
  • 2 外来服薬支援料2
    • イ 42日分以下の場合 投与日数が7又はその端数を増すごとに34点を加算して得
      た点数
    • ロ 43日分以上の場合 240点

注3 2については、多種類の薬剤を投与されている患者又は自ら被包を開いて薬剤を服用することが困難な患者に対して、当該薬剤を処方した保険医に当該薬剤の治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性の了解を得た上で、2剤以上の内服薬又は1剤で3種類以上の内服薬の服用時点ごとの一包化及び必要な服薬指導を行い、かつ、患者の服薬管理を支援した場合に、当該内服薬の投与日数に応じて算定する。ただし、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、算定できない。

注4 介護保険法第8条第22項に規定する地域密着型介護老人福祉施設又は同条第27項に規定する介護老人福祉施設に入所中の患者を訪問し、注3に係る業務に加えて、当該施設職員と協働し当該患者が服薬中の薬剤を含めた服薬管理を支援した場合に、施設連携加算として月に1回に限り50点を所定点数に加算する。

施設連携加算は外来服薬支援料2の加算ですが、

  • 介護老人福祉施設=特別養護老人ホーム
  • 地域密着型介護老人福祉施設=地域密着型特別養護老人ホーム

なので、特養入所者に限定した加算になります(該当する介護保険法の条文については補足で引用しています)。

服薬管理指導料3と同様に訪問することが必須となっています。

診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知) 令和6年3月5日保医発0305第4号

別添3 調剤報酬点数表に関する事項
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251783.pdf

<薬学管理料>
区分14の2 外来服薬支援料

3 施設連携加算

(1) 施設連携加算は、保険薬剤師が患者の入所している地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設を訪問し、当該施設職員と協働して、日常の服薬管理が容易になるよう薬学的観点から支援や指導等を実施することを評価するものである。

(2) 当該患者又はその家族等の同意を得て、当該薬剤を処方した保険医にその必要性につき了解を得た上で実施すること。

(3) 当該患者の服薬状況等に基づき継続的に適切な服薬が行えるよう、特に重点的な服薬管理の支援を行うことが必要な以下のいずれかの場合に限り、外来服薬支援料2に加えて算定することとし、該当する理由について、調剤報酬明細書の摘要欄に記載すること。

  • ア 地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設への入所時であって、服用している薬剤が多く、入所後の服薬管理について当該施設職員と協働した服薬支援が必要と保険薬剤師が認めた場合
  • 新たな薬剤が処方された若しくは薬剤の用法又は用量が変更となった患者のうち、これまでの服薬管理とは異なる方法等での服薬支援が必要と保険薬剤師が認めた場合
  • ウ 患者が服薬している薬剤に関する副作用等の状況、体調の変化等における当該施設職員からの相談に基づき保険薬剤師が当該患者の服薬状況等の確認を行った結果、これまでの服薬管理とは異なる方法等での服薬支援が必要と保険薬剤師が認めた場合

(4) 日常の服薬管理が容易になるような支援については、当該保険薬局が調剤した薬剤以外に他の保険薬局で調剤された薬剤や保険医療機関で院内投薬された薬剤等の調剤済みの薬剤も含めて一包化等の調製を行うこと。

(5) (1)の当該施設職員との協働した服薬管理については、施設における患者の療養生活の状態を保険薬剤師自らが直接確認し、薬剤の保管状況、服薬状況、残薬の状況、投薬後の併用薬剤、投薬後の併診に関する情報、患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)、重複服用、相互作用、実施する服薬支援措置、施設職員が服薬の支援・管理を行う上で留意すべき事項等に関する確認等を行った上で実施すること。また、実施した内容の要点を薬剤服用歴等に記載すること。

(6) 単に当該施設の要望に基づき服用薬剤の一包化等の調製を行い、当該施設の職員に対して服薬の支援・管理に関する情報共有等を行ったのみの場合は算定できない

(2)、(3)について、服薬支援が必要と保険薬剤師が認め、患者又はその家族等の同意を得て、当該薬剤を処方した保険医にその必要性につき了解を得た上でないと算定できません。

(3)について、レセプト摘要欄に記載が必要な内容を見る限りですが、

  • 入所時であって、服用している薬剤が多く、入所後の服薬管理について当該施設職員と協働した服薬支援が必要と保険薬剤師が認めた場合
  • 処方変更(新たな薬剤が処方された若しくは薬剤の用法又は用量が変更)となった患者のうち、これまでの服薬管理とは異なる方法等での服薬支援が必要と保険薬剤師が認めた場合
  • 副作用等の状況、体調の変化等における施設職員からの相談に基づきこれまでの服薬管理とは異なる方法等での服薬支援が必要と保険薬剤師が認めた場合

以下のいずれかの場合に限り算定とありますが、上記文章の前半部分と後半部分のどちらに注目するかで意味がかわります。
前半(入所時、処方変更、副作用等・体調の変化等における相談)のタイミングでしか算定できないのか、前半はあくまでも開始のタイミングで後半(服薬支援が必要と保険薬剤師が認めた場合)であれば毎月算定可能なのか・・・。
基本的には継続して服薬支援が必要なケースがほとんどと思われるので毎月算定できないと意味がないと思いますが、疑義解釈等ではっきりするんじゃないかと思います。

(4)について、服薬支援は他の保険薬局で調剤された薬剤や保険医療機関で院内投薬された薬剤等の調剤済みの薬剤も含めて行われるべきとなっており、外来服薬支援料1の考えに近い部分もあることがわかります。
ただ、外来服薬支援料1を算定した場合が点数が高いケースも存在すると思うので、処方日数によりどちらを選択するか判断する必要がありますね。

(6)について、情報共有だけでなく、目に見える形の服薬支援が必須ということです。
これは当然で、むしろ施設職員に対する情報共有や(5)の部分の方が疎かになるケースが多そうです。

「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について(通知) 令和6年3月27日 保医発0327第5号

「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について(通知) 令和6年3月27日 保医発0327第5号
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001252051.pdf

別表Ⅰ 調剤報酬明細書の「摘要」欄への記載事項等一覧

施設連携加算

  • 記載事項:特に重点的な服薬管理の支援を行うことが必要な理由を選択し記載すること。
  • レセプト電算処理システム用コード
    • 820101262(算定理由(施設連携加算):施設入所時であって、服用している薬剤が多いため)
    • 820101263(算定理由(施設連携加算):新たな薬剤が処方された若しくは薬剤の用法又は用量が変更となったため)
    • 820101264(算定理由(施設連携加算):患者が服薬している薬剤に関する副作用・体調の変化等における当該施設職員からの相談があったため)

留意事項に登場した「該当する理由について、調剤報酬明細書の摘要欄に記載すること」に関するものですね。

補足

「施設連携加算」(令和6年度改定)について、そのほか知っておきたい関連する情報をまとめます。

地域密着型介護老人福祉施設・介護老人福祉施設の定義

調剤報酬点数表に記載されている法律条文について該当する部分を引用しておきます。

介護保険法 第8条第22項・第27項

第八条 この法律において「居宅サービス」とは、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売をいい、「居宅サービス事業」とは、居宅サービスを行う事業をいう。

22 この法律において「地域密着型介護老人福祉施設」とは、老人福祉法第二十条の五に規定する特別養護老人ホーム(入所定員が二十九人以下であるものに限る。以下この項において同じ。)であって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者(厚生労働省令で定める要介護状態区分に該当する状態である者その他居宅において日常生活を営むことが困難な者として厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項及び第二十七項において同じ。)に対し、地域密着型施設サービス計画(地域密着型介護老人福祉施設に入所している要介護者について、当該施設が提供するサービスの内容、これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画をいう。以下この項において同じ。)に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設をいい、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」とは、地域密着型介護老人福祉施設に入所する要介護者に対し、地域密着型施設サービス計画に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話をいう。

27 この法律において「介護老人福祉施設」とは、老人福祉法第二十条の五に規定する特別養護老人ホーム(入所定員が三十人以上であるものに限る。以下この項において同じ。)であって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設をいい、「介護福祉施設サービス」とは、介護老人福祉施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話をいう。

老人福祉法 第二十条の五(第十一条第一項第二号)

(老人ホームへの入所等)
第十一条 市町村は、必要に応じて、次の措置を採らなければならない。
二 六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難なものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設に入所することが著しく困難であると認めるときは、その者を当該市町村の設置する特別養護老人ホームに入所させ、又は当該市町村以外の者の設置する特別養護老人ホームに入所を委託すること。

(特別養護老人ホーム)
第二十条の五 特別養護老人ホームは、第十一条第一項第二号の措置に係る者又は介護保険法の規定による地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護福祉施設サービスに係る施設介護サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を入所させ、養護することを目的とする施設とする。

いつ読んでも法律の文章は理解が難しい・・・。

算定を行った根拠について薬剤服用歴等に記載する(薬学管理料)

別添3 調剤報酬点数表に関する事項
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001252056.pdf

<薬学管理料>
通則

(5) 薬剤服用歴等の記載に当たっては、患者から収集した情報、相談事項及び患者への指導内容を単に全て記載するのではなく、その要点を記載することで差し支えないが、指導後速やかに記載を完了させること。また、定型文を用いて画一的に記載するのではなく、指導等を行った保険薬剤師が必要事項を判断して記載すること。特に、薬学管理料やその加算を算定する場合には、その根拠及び指導内容等について簡潔に記載すること。なお、指導の内容等について処方医等へ情報提供した場合には、情報提供した文書等の写し又はその内容の要点等を薬剤服用歴等に記載又は添付すること。

薬剤服用歴の記載について、令和4年度改定では調剤管理料で定められていましたが、令和6年度からは薬学管理料の通則に変更されています。
主に細かい変更となっていますが、ポイントとなるのが追加された(5)の内容です。
改定前に話題になった、「要点の記載」、「情報提供文書の写しの添付があれば要点省略可能」、「定型分による画一的な記載の禁止」がここで述べられています。

この中で、「薬学管理料やその加算を算定する場合には、その根拠及び指導内容等について簡潔に記載する」という文章が追加されており、すべての薬学管理料について、算定を行う根拠の記載が求めらています。

そのほか 厚生労働省 資料(R6年度改定)

令和6年度診療報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html

個別改定項目について(短冊)

第2 改定の概要
1.個別改定項目について(令和6年2月14日)※2月14日から修正しております。(3月7日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001220531.pdf

Ⅱ ポスト 2025 を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療 DX を含めた医療機能の分化・強化、連携の推進
【Ⅱ-8 質の高い在宅医療・訪問看護の確保-㉛】
㉛ 高齢者施設における薬学的管理に係る評価の見直し

第1 基本的な考え方
介護保険施設における適切な薬剤提供や服薬管理等を推進するため、短期入所を含めた介護老人福祉施設入所者に係る薬学管理の評価を見直す。

第2 具体的な内容
4.特別養護老人ホーム等と連携した保険薬局の薬剤師が、患者の入所時等において特に服薬支援が必要と判断し、服用中の薬剤の整理等を実施した場合の評価を新設する。

※ 施設連携加算における具体的業務内容等については、留意事項通知において以下のような内容を規定する予定。
○ 以下のうち、特に重点的な服薬管理の支援が必要であると薬剤師が判断した場合に実施すること。
(1)施設入所時であって、服用薬剤が多い場合
(2)新たな薬剤が処方された若しくは薬剤の用法又は用量が変更となった場合
(3)副作用等の体調の変化における施設職員からの相談に基づく服薬支援が必要な場合
○ 施設における患者の療養生活の状態等を確認した上で当該施設職員と協働して日常の服薬管理が容易になるような支援を実施すること。
○ 当該保険薬局が調剤した薬剤以外に調剤済みの薬剤も含めて一包化等の調製を実施すること。
○ 単に施設の要望に基づき服用薬剤の一包化等の調製を行い、当該施設職員に対して服薬指導や情報共有等を行ったのみの場合は算定不可。

令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】

第2 改定の概要
3.令和6年度診療報酬改定説明資料等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00012.html

説明資料(分割版)
24 令和6年度診療報酬改定の概要 (調剤)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001238903.pdf

令和6年度改定前の中医協での議論

中央社会保険医療協議会 総会(第568回)議事次第
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00227.html

○調剤(その3)について
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001172376.pdf

 

○在宅(その5)について
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001172377.pdf

 

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