2017年5月16日、中外製薬は強心配糖体製剤であるラニラピッド®︎錠0.1mg(成分名:メチルジゴキシン)が出荷停止となることを発表しました。
代替薬には、別規格のラニラピッド®︎錠0.05mgが案内されています。
ラニラピッド錠0.1mgの出荷停止
中外製薬から案内文が出されています。
詳しくは以下のリンクをご覧ください。
- 強心配糖体製剤「ラニラピッド®︎錠0.1mg」出荷停止のお知らせとお詫び(2017年5月)
- 強心配糖体製剤「ラニラピッド®錠0.1mg」出荷状況および供給再開の見通しについてのお知らせ(2018年11月)
原薬変更に伴う長期安定性の低下
現行使用されているメチルジゴキシン原薬が製造終了になるそうです。
そこで、代替原薬を用いてラニラピッド®︎錠の製造を試みたようですが、0.1mgのみ、長期安定性試験で経時的に溶出率が低下する傾向が見られたようです。
使用期限内に規格外となってしまう可能性があるため、代替原薬でのラニラピッド®︎錠1mgの出荷を取りやめることになったというわけです。
出荷停止時期は、
- PTP包装(100錠包装):2017年7月
- PTP包装(1000錠包装):2017年12月
- バラ包装(1000錠包装):2018年5月
となっていますが、出荷調整がかけられるようなので、使用実績がない薬局での入荷はすでに難しくなっていると思います。
さて、強心配糖体製剤「ラニラピッド®錠0.1mg」(一般名:メチルジゴキシン錠)につきまして、現行原薬の製造終了に伴い代替原薬について検討を進めてまいりました。2017年7月より代替原薬を用いた製剤(以下、変更品)を出荷する予定としておりましたが、現在までの安定性試験において経時的に溶出率が低下する傾向が認められました。
そのため、変更品については使用期限内に規格値を逸脱する可能性が否定できないことから、「ラニラピッド®錠 0.1mg」の変更品の出荷を取り止めることといたしました。
引用元:強心配糖体製剤「ラニラピッド®︎錠0.1mg」出荷停止のお知らせとお詫び(2017年5月)
ラニラピッド錠0.1mgの代替品
ラニラピッド®︎錠0.05mgについては、製造方法が異なるためか、問題ないようです。
また、「ラニラピッド®錠0.05mg」につきましては、製剤処方および製造方法が0.1mg製剤と異なるため、変更品においても溶出率の低下傾向は確認されておりません。
引用元:強心配糖体製剤「ラニラピッド®︎錠0.1mg」出荷停止のお知らせとお詫び(2017年5月)
ですので、代替品にはラニラピッド®︎錠0.05mgが挙げられています。
ラニラピッド錠0.1mg 1錠 → ラニラピッド錠0.05mg 2錠
ということですね。
ラニラピッド錠0.05mgの方が薬価が高い
ただ、気になるのは薬価。
- ラニラピッド錠0.1mg:8.80円/錠
- ラニラピッド錠0.05mg:5.60円/錠(最低薬価)
となっているので、
- ラニラピッド錠0.1mg 1錠:8.80円
- ラニラピッド錠0.05mg 2錠:11.20円
のように0.05mg錠にすることで値段が高くなります。
薬剤料で考えた場合、どちらも1点となり差は出ませんが、それはあくまでも他の薬がない場合です。
処方内容によっては0.05mg錠にすることで値段が高くなってしまうケースもあると思います。
ジェネリックのメチルジゴキシン錠は?
これを気に、後発医薬品のメチルジゴキシン錠0.1mg「タイヨー」(薬価:5.80円/錠)に変更するのもありだとは思います。
ですが、武田テバファーマの一社しか販売しておらず、そこまで在庫や製造量が多いとは思えないのであっという間に出荷調整がかかってしまうんじゃないかと思います。
(すでにかかっていたりして・・・)
他に問題点は?
ラニラピッド錠0.05mgにはバラ錠がないです。
一包化が多い場合、困りますね。
自動分包機を使用している場合は、0.1mg錠とは大きく形がことなるのでカセットが使用できません。
あと、包装から出すときに割れやすい。。。
う〜ん・・・、そのあたり地味に不便かも。
早いところ、供給再開してほしいものです。
出荷再開の見通しは?
2019年6月現在、ラニラピッド錠0.1mgの出荷は再開されていませんし、情報も特に入ってきていません。
2018年11月時点での情報によると、
- 2019年10月ごろ:供給再開の判断
- 2020年秋以降:(可能であれば)供給再開
というスケジュールになっています。
■変更品の供給再開について
現在、改良を施した変更品の長期安定性試験を実施中であり、その最終実測結果(36か月)に基づいて、2019年10月頃に供給再開の判断を予定しております。 また、供給再開が可能と判断できた場合には、その後の生産開始と安定供給の観点から、2020年秋以降の供給再開となる見込みです。
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