平成28年4月20日、厚生労働省の薬食審医薬品第一部会が開催され、新薬4製品の承認並びに2製品の適応追加についての審議が行われました。
そのうち、ミカトリオ配合錠については承認が了承されず、継続審議とされています。
国内初の3成分配合降圧剤の承認は次回以降の審議に見送りです。
3成分配合降圧薬ミカトリオ配合錠は継続審議に
日本ベーリンガーインゲルハイム(NBI)が承認申請していた配合降圧薬ミカトリオ配合錠(テルミサルタン/アムロジピンベシル酸塩/ヒドロクロロチアジド)の承認は了承されませんでした。
現在、日本では3成分配合降圧薬は承認されていません。
2成分で十分な効果が得られていない場合の選択肢という位置付けのようですが、委員から「3成分を配合する意義をもっと調べた方がよい」等の意見が出て、了承が見送られたようです。
確かに・・・。
これ、どういう配合比率なのかは存じませんが、「テルミサルタン/アムロジピンベシル酸塩/ヒドロクロロチアジド」が同時に処方されているケースってどれくらいなんでしょうか?
もう、無駄に配合剤を増やすのはやめて欲しいので、厳密に審議して欲しいものです。
継続審議では、処方実態やそれに基づく配合の合理的理由について説明を求めた上で審議する方針だそうです。
承認が了承された品目
以下は承認了承されたものです。
新規抗てんかん薬オクノベルの承認
有効成分:オクスカルバゼピン
- オクノベル錠150mg
- オクノベル錠300mg
- オクノベル内用懸濁液6%
効能・効果:他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法
厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を経て開発要請されていたものです。
オクスカルバゼピンはカルバマゼピン(商品名:テグレトール)に類似した構造で、単剤での効果はカルバマゼピンと同等ですが、薬物相互作用や副作用が少ないようです。
臨床上の位置付けは、他の第二世代抗てんかん薬と同様、第二選択薬に位置づけられますが、海外のガイドラインでは第一選択薬とされています。
4歳以上の小児に用いるが、小児期から服薬している患者は成人になっても服用できます。
オクスカルバゼピンによる皮膚障害
国内臨床試験の中で増量間隔を3日間としたところ、増量時での重篤な皮膚障害が確認されたようです。
ですが、増量後に維持用量となってからはこの副作用はみられないようです。
そのため、欧州欧州と同様に、用法・用量には「1週間以上の間隔をあけて増量する」が記載されるようです。
ただし、現時点では、日本国内で、1週間以上の間隔をあけて増量した場合のデータがないため、承認条件として、処方できる医師が限定されるようです。
ボトックスビスタの適応拡大
有効成分:A型ボツリヌス毒素
- ボトックスビスタ注用50単位
追加される効能・効果:65歳以上の成人における目尻の表情皺(現在の効能・効果:65歳未満の成人における眉間の表情皺)
2009年2月23日から発売されているボトックスビスタですが、これまで認められていなかった65歳以上の目尻に対しても使用が可能になります。
アセチルコリンの放出を抑制することで、筋弛緩作用を示します。
美容目的の使用なので元々保険適用外でしたが、追加される65歳以上の目尻に対する適応でも同様です。
これまでと同様、本剤専用の「ボトックスビスタ講習・実技セミナー」の受講が承認条件となっています。
「眉間」の適応と同様、「目尻」でも、「施注手技に関する十分な知識・経験のある医師のみ使用」、「使用後に安全・確実な失活・廃棄などが適正に行われるようにする」等も条件となっています。
新規ニキビ治療薬エピデュオゲルの承認
有効成分:アダパレン/過酸化ベンゾイル
- エピデュオゲル
効能・効果:尋常性ざ瘡
レチノイド様活性・抗炎症作用を持つアダパレン(商品名:ディフェリンゲル)と、角層剥離(ピーリング様作用)・抗炎症作用・抗菌作用を持つ過酸化ベンゾイル(商品名:ベピオゲル)の配合剤です。
皮膚への刺激性には注意が必要かと思いますが、重症例の患者さんについて、選択肢の一つになりますね。
新規腸管洗浄剤ピコプレップ配合内用薬の承認
有効成分:ピコスルファートナトリウム水和物/酸化マグネシウム/無水クエン酸
- ピコプレップ配合内用薬
効能・効果:大腸内視鏡検査及び大腸手術時の前処置における腸管内容物の排除
用法・用量:「通常、成人には、1回1包を約150mLの水に溶解し、検査又は手術前に2回経口投与する。1回目の服用後は、1回250mLの透明な飲料を数時間かけて最低5回、2回目の服用後は1回250mLの透明な飲料を検査又は手術の2時間前までに最低3回飲用する」
これまでのものと比較して、風味などが改善され、より服用しやすい製剤として開発されたようです。
フェブリク錠の適応追加
有効成分:フェブキソスタット
- フェブリク錠10mg
- フェブリク20mg
- フェブリク40mg
追加される効能・効果:がん化学療法に伴う高尿酸血症
用法・用量:「60mgを1日1回投与」
腫瘍崩壊症候群(TLS:tumor lysis syndrome)に伴う高尿酸血症に対する適応が追加されます。
腫瘍崩壊症候群とは、がん化学療法により、腫瘍細胞が急速に崩壊する際、崩壊した細胞内に含まれるカリウムなどが血中に大量に放出され、様々な症状を引き起こされるものです。
その中で、核酸が大量に放出されることにより、高尿酸血症が引き起こされることが知られています。
発症リクスに応じてフェルビキソスタットを使用し、TSLへの移行を防ぎます。
報告品目:ワンクリノン、セルセプト、ミコフェノール酸モフェチル
報告品目は、PMDAの審査の段階で承認が了承され、部会での審議が必要ないと判断された製品です。
ワンクリノン膣用ゲルの承認了承
有効成分:プロゲステロン
- ワンクリノン膣用ゲル
効能・効果:生殖補助医療における黄体補充
国内初のプロゲステロンのゲル剤、1日1回投与。
セルセプト・ミコフェノール酸モフェチルの適応追加
有効成分:ミコフェノール酸モフェチル
- セルセプトカプセル250
- セルセプト懸濁用散31.8%
- ミコフェノール酸モフェチルカプセル250mg「テバ」
- ミコフェノール酸モフェチルカプセル250mg「ファイザー」
追加される効能・効果:ループス腎炎
厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当とされ、医薬品部会の事前評価を得て公知申請されていたものです。
まとめ
3成分配合降圧剤ミカトリオ配合錠・・・。
正直、手放しで歓迎って気にはなれなかったんですが、継続審議になりましたね。
ただ、配合剤にすればいいってものではなく、それなりの意義を見出せれるものであればいいのですが。。。
ネーミングは・・・、まあ、覚えやすいですね(笑)
オクノベルは皮膚障害が気になるところではありますが、将来的に単剤使用可能になったり、神経痛への適応が通ったりするのか気になるところではありますね。
そしてエピデュオゲル、過酸化ベンゾイルが登場して以来、この1年くらいでニキビ治療薬は一気に増えましたね〜。
承認・薬価収載・発売日等
オクノベル錠
- 2016年7月4日:製造販売承認
エピデュオゲル
- 2016年7月4日:製造販売承認
ピコプレップ配合内用
- 2016年7月4日:製造販売承認