ザファテック錠(一般名:トレラグリプチンコハク酸塩)についてまとめます。
ザファテックは国内初の週一回投与型のDPP4阻害剤で武田薬品が製造販売元です。
ザファテック錠
ザファテック錠は国内8成分目のDPP4阻害剤で、国内初の週一回投与製剤です。
- 2014年3月7日 武田薬品がトレラグリプチンコハク酸塩(開発コード:SYR-472)を承認申請
- 2015年1月30日 ザファテック錠の製造販売承認が了承(薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会)(ザファテック錠 審議結果報告書)
- 2015年3月26日 ザファテック錠 製造販売承認(2型糖尿病治療剤「ザファテック®錠」の日本における製造販売承認取得について)
- 2015年5月20日 ザファテック錠 薬価収載(新医薬品一覧表(平成28年5月25日収載予定) 中医協 総-5-1 28.5.18)
- 2015年5月28日 ザファテック錠 販売開始(2型糖尿病治療剤「ザファテック®錠」の日本における発売について)
- 2018年4月19日 添付文書改訂(ザファテック錠「使用上の注意」改訂のお知らせ)
- 2019年8月21日 ザファテック錠25mg 製造販売承認(ザファテック錠25mg 製造販売承認(剤形追加)取得のご案内)
- 2019年9月6日 添付文書改訂(ザファテック錠100mg・50mg・25mg 添付文書改訂のお知らせ)
ザファテック錠の特徴
なんと言っても週一回の服用ということでしょう。
週1回投与というのは、DPP-4阻害薬だけではなく、経口血糖降下薬としても初めてです。
ちなみに、経口薬全体で考えてみても週1回投与製剤が存在するのはビスホスホネート製剤だけです。(2015年2月時点)
日本における週一回投与型のDPP4阻害剤にはザファテックの他にマリゼブ錠が存在します。
ネシーナとザファテックとの違いは?
武田薬品のDPP-4阻害剤と言えば、ネシーナ(一般名:アログリプチン)です。
ザファテックの成分であるトレラグリプチンもネシーナの成分であるアログリプチンも武田薬品が買収したアメリカのシリックス社が創薬したものですが、ザファテックはネシーナとは全く異なる性質をもつDPP-4阻害薬と位置付けられています。
ザファテック(トレラグリプチン)の特性
ザファテックが週一回の投与で効果を発揮することができるのは、トレラグリプチンの血中半減期の長さによるものです。
国内第Ⅰ相臨床試験(フェーズI)では、血中半減期(t1/2)が38~54時間であることがわかっています。
(参考 シダグリプチン:t1/2 9.6~11.6時間、アログリプチン:t1/2 14.7~19.9時間)
DPP-4阻害活性作用は、投与後168時間(7日間)継続したとのことで、これが週一回投与の根拠となっているようです。
国内第Ⅱ相臨床試験(フェーズII)によると、DPP-4阻害率は、投与2週間後にピークに達し、投与期間の12週間(試験終了)まで維持されています。
効果についても同様で、投与2週間後にピークに達し、投与期間の12週間(試験終了)まで維持されています。
また、DPP-4活性阻害率は用量依存的に上昇しています。
有害事象に関しては、3%以上の発現率だったものは、鼻咽頭炎、咽頭炎、胃腸炎、膀胱炎、湿疹などとなっています。
最後に、国内第Ⅲ相臨床試験(フェーズIII)では、プラセボ、アログリプチン、トレラグリプチン群の比較を行っています。
投与開始24週後の、HbA1cの変化量は、
- プラセボ群:+0.24%
- アログリプチン群:-0.46%
- トレラグリプチン群:-0.32%
となっており、
アログリプチン、トレラグリプチンがプラセボに対して有意にHbA1cを低下させること、トララグリプチンはアログリプチンに対して非劣勢であることが認められました。
また、有害事象の発生についても報告されています。
- プラセボ群:64.0%
- アログリプチン群:62.0%
- トレラグリプチン群:66.3%
となっており、忍容性に関しても大きな問題がないことが認められています。
週一回投与の糖尿病治療薬のメリットは?
糖尿病治療薬を食事の前後に服用することで、食事に対する意識を高める効果があります。
また、食事を意識することは糖尿病治療中であることの意識につながり、そのことが飲み忘れを起こりにくくしているのではないかと思います。
ビスホスホネート(BP)製剤に関しては、
- 起床時服用(空腹時服用)
- 服用後30分は水以外の飲食を避ける
- 服用後30分は横になってはいけない
等の服用の制限があるため、週1回投与、月1回投与のメリットがあります。
ですがDPP4阻害薬等、経口糖病病薬の場合はどうなんでしょうか?
投与初期、併用薬がない、治療開始に単剤で用いる薬剤としてはいいのかもしれませんが飲み忘れが増えそうな気がします・・・。
利便性を向上させた結果、飲み忘れが増えてしまっては意味がありません。
そういった意味では服用する患者を選ぶ必要がある薬剤だと言えますね。