5月20日にソバルディ(一般名:ソホスブビル)の薬価収載が決まったところですが、そのすぐ後には、ギリアドの大本命、ハーボニー配合錠(一般名:ソホスブビル/レディパスビル)の審議が控えています。
ハーボニー配合錠は「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎」に対する適応を有するため、これこそがソホスブビルの大本命と言っていい薬剤です。
ハーボニー配合錠
ハーボニー配合錠は、NS5Bポリメラーゼ阻害薬であるソホスブビル(SFV)400mgとNS5A阻害薬であるレディパスビル(LDP)90mgを組み合わせたものです。
LDP+SFV併用療法は、ジェノタイプ1のC型肝炎に対し、前治療の有無・肝硬変の有無に拘わらず、インターフェロンフリーで高い治療率を誇ります。
12週でのウイルス学的著効率(SVR12)は各臨床試験で94%〜97%とされています。
DCV/ASV併用療法
現在、日本国内で可能なジェノタイプ1のC型肝炎に対するIFNフリー治療として、ダクルインザ(一般名:ダクラタスビル塩酸塩/DCV)とスンベプラ(一般名:アスナプレビル/ASV)を併用するDCV+ASV併用療法があります。
DCV+ASV併用療法の臨床試験の結果では、
- IFN治療に不適格の未治療患者/不耐容患者:SVR24は87.4%(118/135例)
- 前治療無効患者:SVR24は80.5%(70/87例)
- 合計(両患者集団を含む):SVR24は84.7%(188/222例)
となっています。
前治療無効患者について、
- null responder(IFN療法無反応者):SVR24は81.3%(39/48例)
- partial responder(IFN治療部分奏効者):SVR24は77.8%(28/36例)
さらに、代償性肝硬変に注目すると、
- 代償性肝硬変のある患者:SVR24は90.9%(20/22例)
- 代償性肝硬変のない患者:SVR24は84.0%(168/200例)
です。
ハーボニーによるLDP/SFV併用療法
LDP+SFV併用療法については多くの臨床試験が行われています。
その中で最もインパクトがあったのが、日本国内における第三相臨床試験の結果です。
ジェノタイプ1のC型肝炎患者341名(うち非代償性肝硬変患者76名)において、
- LDP+SFV併用療法(未治療患者):SVR12は100%(83/83)
- LDP+SFV+RBV併用療法(未治療患者):SVR12は96%(80/83)
- LDP+SFV併用療法(前治療無効患者):SVR12は100%(88/88)
- LDP+SFV+RBV併用療法(前治療無効患者):SVR12は100%(87/87)
このように、ほぼ100%のウイルス学的著効率(SVR)を誇ります。
DCV/ASV併用療法よりも短い治療機関にも拘わらず高いSVRを達成しているのは驚きです。
ハーボニー配合錠の発売時期は?
5月28日の薬食審第二部会において、ハーボニー配合錠の承認が了承された場合、順調にいけば、6月末~7月初旬に薬事承認、8月に薬価収載されます。
となると、早ければ、この夏にはハーボニー配合錠による治療が可能となるわけです。
現在は、IFNフリーにより治療可能なダクルインザとスンベプラの併用療法がスタンダードです。
ですがが、今、DCV/ASV併用療法を開始しても治療終了は半年後なので11月ごろになります。
開始を遅らせれば、ハーボニーによるLDP/SOF併用療法を行っても終了時期が同じになりそうですね。
順調に発売されればの話ですが・・・。
もう一つ、気になるのは薬価です。
ソバルディが6万2千円ですから、その配合剤で、さらに国内のC型肝炎の8割が治療の対象となるハーボニーはいくらになるのでしょうか・・・?
ですが、PEGインターフェロンやリバビリンの登場でC型肝炎が一気に進んだころの著効率や副作用、治療期間を考えると、C型肝炎の治療の発展は目覚ましいですね。
5月28日の第二部会の結果を楽しみにしたいと思います。