アジルバ・プラビックス・サインバルタ・ダクルインザ・スンベプラに重大な副作用追加

平成27年4月23日、厚労省医薬食品局は、新たな「重大な副作用」が確認された医療用薬について、添付文書の改訂を指示しました。
今回、改訂が指示された医薬品のうち、薬局で使用されるものは、アジルバ、プラビックス、サインバルタ、ダクルインザ、スンベプラです。

※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

改訂指示の内容と副作用の詳細を簡単にまとめます。
服薬指導の際、チェックしていかないといけませんね。

アジルサルタンに肝機能障害追加

  • アジルバ錠10mg
  • アジルバ錠20mg
  • アジルバ錠40mg

添付文書の「重大な副作用」に「肝機能障害」が追記されます。
過去3年間で「肝機能障害」関連症例が13例報告され、うち、因果関係が否定できない症例は5例でした。
アムロジピンについてはすでに「肝機能障害」が知られているので、ザクラス配合錠LD、ザクラス配合錠HD(一般名:アジルサルタン/アムロジピン)の方にはもともと「肝機能障害」が記載されています。

クロピドグレル硫酸塩に急性汎発性発疹性膿疱症追加

  • プラビックス錠25mg 同ジェネリック
  • プラビックス錠75mg 同ジェネリック
  • コンプラビン配合錠(一般名:クロピドグレル硫酸塩/アスピリン)

添付文書の「重大な副作用」に「急性汎発性発疹性膿疱症」が追記されます。
過去3年間で「汎発発疹性膿疱症」関連症例の報告はクロピドグレル硫酸塩錠で1例あっただけですが、海外症例が集積に伴い、CCDS(Company Core Data Sheet/企業中核データシート:添付文書作成の基準となる文書)が改訂されたことから、国内でも改訂することが適切と判断されたようです。

急性汎発性発疹性膿疱症

重篤副作用疾患別対応マニュアルより

急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)は、スティーブンス・ジョンソン症候群、
中毒性表皮壊死症、薬剤性過敏症症候群と並ぶ重症型の薬疹である。高熱 とともに急速に全身性に 5mm 大以下の小膿疱が浮腫性紅斑やびまん性紅 斑上に多発する。通常粘膜疹は伴わず、肝障害や腎障害はあったとしても 軽度である。血液検査で、好中球優位な白血球増多と炎症反応(CRP)の 上昇がみられる。

 

デュロキセチン塩酸塩に悪性症候群追加

  • サインバルタカプセル20mg
  • サインバルタカプセル30mg

添付文書の「重大な副作用」に「悪性症候群」が追記されます。
過去3年間で「悪性症候群」関連症例が5例報告され、うち、因果関係が否定できない症例は3例でした。

悪性症候群

重篤副作用疾患別対応マニュアルより

精神神経用薬(主に抗精神病薬)により引き起こされる副作用で、高熱・発汗、意識のくもり、錐体外路症状(手足の震えや身体のこわばり、言葉の
話しづらさやよだれ、食べ物や水分の飲み込みにくさなど)、自律神経症状 (頻脈や頻呼吸、血圧の上昇など)、横紋筋融解症(筋肉組織の障害:筋肉 の傷みなど)などの症状がみられます。
悪性症候群は、多くは急激な症状の変化を示します。抗精神病薬などを服 用後、急な高熱や発汗、神経系の症状などが認められる場合は、悪性症候群 発症の可能性を考慮する必要があります。悪性症候群は、放置すると重篤な 転帰をたどることもありますので、迅速な対応が必要です。

 

ダクラタスビル塩酸塩/アスナプレビルに多形紅斑追加

  • ダクルインザ錠60mg
  • スンベプラカプセル100mg

添付文書の「重大な副作用」に「多形紅斑」が追記されます。
こららの薬剤はDCV/ASV療法として、併用でのみ使用されるので両剤の改訂になります。
過去3年間で「多形紅斑」関連症例が7例報告され、うち、因果関係が否定できない症例は6例でした。

多形紅斑

重篤副作用疾患別対応マニュアルより

主として四肢伸側、関節背面に円形の浮腫性紅斑を生じる。紅斑は辺
縁が堤防状に隆起し、中心部が褪色して標的状となる(target lesion)。 ときに中心部に水疱形成をみる。病因は単純ヘルペスやマイコプラズマ などの感染症に伴う感染アレルギー、昆虫アレルギー、寒冷刺激、妊娠、 膠原病(特に全身性エリテマトーデス)、内臓悪性腫瘍などがある。

 

セフォタキシムナトリウムに急性汎発性発疹性膿疱症追加

  • セフォタックス注射用0.5g
  • セフォタックス注射用1g

添付文書の「重大な副作用」に「急性汎発性発疹性膿疱症」が追記されます。
薬局でお目にかかることはありませんが、セフォタキシムナトリウムは第三世代セフェム系抗生物質です。

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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