平成26年度調剤報酬改定その1

今年は二年に一度の調剤報酬改訂の年ですね。
四月の改定に向けていろんな情報が聞こえてくる時期になりました。

平成26年調剤報酬改定についての最新版は
平成26年度診療報酬改定 官報告示 – 薬剤師の脳みそ
です。
平成26年調診療酬関連記事の一覧は
https://yakuzaishi.love/archive/category/H26%E8%A8%BA%E7%99%82%E5%A0%B1%E9%85%AC%E6%94%B9%E5%AE%9A
です。
よろしくお願いします。

診療報酬本体の改定率は+0.73%(消費増税対応分+0.63%)で調剤は+0.22%(消費税増税対応分+0.18%)。
薬価改定率は-0.63%(消費増税対応分+0.73%)。
薬価改定は-0.58%(消費増税対応分+0.64%)、材料価格改定は-0.05%(消費増税対応分+0.09%)とのことです。
調剤費の7~8割が薬剤費であることを考えると実質のマイナス改訂ですね。
でも、その中でよりよい医療を提供するために頑張っていかないといけません。
ということで、次に気になるのが改訂の中身です。

中央社会保険医療協議会(中医協)では、4月の改訂に向けて日々話し合いが進められています。
1月24日の公聴会の資料を見ると、改訂項目の方向性が見えてきます。
第269回 中央社会保険医療協議会 総会(公聴会) 議事次第
調剤報酬に関わる部分は大きくわけて三つです。

1、在宅医療を担う医療機関の確保と質の高い在宅医療の推進

後で詳しくまとめますが、在宅を行なっている薬局に対する評価が高まり、提供する在宅医療の質についても問われるようになります。

2、後発医薬品の使用促進策について

①後発医薬品調剤率が高い方により重点をおいた評価とする。
現行(後発医薬品調剤体制加算)でも変更率が高い方に偏重して加算されていますが、それがより強くなるということだと思います。
②「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」で示された新指標を用いる。
ロードマップについて詳しくは以下を参照してください。
「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」について |報道発表資料|厚生労働省
国際的な比較も踏まえ、後発医薬品に置き換えられる先発医薬品と後発医薬品をベースとする。
新薬など後発医薬品が存在しないものについては除外できるようになるようです。
③一般名処方については、患者に対し後発医薬品の有効性、安全性や品質について懇切丁寧に説明し、後発医薬品を選択するよう努める旨を明確化する。

3、大規模薬局の調剤報酬の適正化

①処方せん枚数、集中率に着目し、門前薬局の評価を見直す。ただし、24 時間調剤が可能な保険薬局についてはこの限りではない。
②妥結率が低い場合は、薬価調査の障害となるため、妥結率が一定の期間を経ても一定率以上を超えない保険薬局及び医療機関の評価の適正化を検討する。
妥結率ってのは、ざっくり言うと価格が最終決定している割合のことです。
医療業界って薬価改定直後の価格は値引き少なめですが、次の薬価改定に向けてだんだんと下がっていきますよね?
要は薬局と卸の値引き交渉が長引く=妥結率の低下です。
仕入れ価格を早く決定させるための措置だと思います。
何故早くさせるかと言うとメーカーや卸の負担を減らすため…と言うか、大手チェーン薬局の利益を減らすため?
卸と強く価格交渉できるのは大手ですからね。
国としては薬局から薬価差益による利益をできるだけ減らしたいはずです。

さて、本日1月29日の総会ではより具体的な内容が決まったようです。
中央社会保険医療協議会 総会(第270回) 議事次第
資料4 個別改定項目。
色々あるのですが、個人的に注目したいところをざっくりまとめてみます。

基準調剤加算の評価の見直し

①24時間の調剤・在宅業務体制の整備
基準調剤加算1:近隣の保険薬局と連携して整備
基準調剤加算2:自局単独で整備
②在宅患者訪問薬剤管理指導ができることを薬剤情報提供文書等において情報提供
③『薬局の求められる機能とあるべき姿』で掲げられている項目を踏まえ、いわゆる「かかりつけ薬局」としての要件を追加する。
④基準調剤加算2については、以下の項目を施設基準として追加
・在宅業務の過去の実績
・在宅患者に対する調剤・薬学的管理・指導に必要な体制(衛生材料の供給体制等)
・在宅療養支援診療所・訪問看護ステーションとの連携体制、ケアマネとの連携体制
もう在宅をしていないと基準調剤加算は取れなくなるんですね。
一人薬剤師の薬局では難しいところもあるかと思います。
これに伴い、在宅患者調剤加算はなくなるのかもしれませんね。

在宅患者訪問薬剤管理指導の評価の見直し

在宅医療を担う保険薬局の量的確保、質の高い在宅医療の提供のために、保険薬剤師1人につき1日に5回に限り算定することを要件とし、同一建物居住者以外の評価を引き上げ、同一建物居住者の評価を引き下げる。
今回の内容で一番驚いたのがここの部分です。
同一建物居住者の評価引き下げはやむを得ないと思うのですが、
「保険薬剤師1人につき1日に5回に限り算定」とは!
週に一回一日かけてグループホーム等を回ってるところには辛い・・・。
同一建物居住者が下がった上に5人までってことになるとかなりダメージが大きいのではないでしょうか?
週に一回10人見ている場合、5人・5人と2回に分けるか、半分算定・半分非算定を交互に行うしかないですね。

「在宅業務を行い24時間対応できる薬局リストを患者に渡すのは保険薬局への誘導の禁止に反しない」
これってなにげにすごいですよね。
薬局の競争の激化になるかもしれませんが、良いサービスが評価されるのはいいことと思います。

無菌製剤処理加算の評価の見直し

無菌製剤に関しては、
「他薬局の施設を借りた場合も加算算定可能」
「麻薬も無菌調剤加算の対象」
「乳幼児に対する無菌製材処理の評価」
ということです。

いかがでしょうか?
在宅をしていない薬局は加算が認められないようですね。
ただ、在宅の質の強化を同一建物居住者の評価引き下げ、薬剤師1人につき1日5回算定まで という形で行うとは思いませんでした。
たしかに、施設などと提携して同一建物居住者に対する在宅医療を確実に算定できるようにしている薬局あると思いますが・・・。
経営的な戦略どうこうは抜きにして、患者さんへのメリットは提供できると思うんですけどね。
同一建物居住者とか一度に大量が悪いのではなく、その内容の方に評価の目を向けて欲しい気もします。
でも、これに対応していくしかないですね!

4月まで、次はどんな情報が出てくるのか目が離せませんね!

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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