すでに一ヶ月以上前になりますが、ディレグラ配合錠の勉強会に参加しました。
ディレグラ配合錠はフェキソフェナジン(FEX、商品名:アレグラ)とプソイドエフェドリン(PSE)の配合錠です。
アレグラに交感神経刺激作用を持つPSEを加え、鼻閉に対する作用を強化したものです。
ちなみに、第二世代抗ヒスタミン薬の配合剤は国内初です。
PSEはOTC薬で販売されていますが、それよりも高用量(PSEとして1回120mg)となっています。
坑ヒスタミン薬と鼻閉
フェキソフェナジンなどの第二世代坑ヒスタミン薬は鼻水には効果がいいですが鼻閉への効果は弱いです。
鼻閉に対してはロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA/Leukotriene Receptor Antagonist)であるモンテルカスト(商品名:シングレア/キプレス)の効果が強いです。
ただし、薬価が232.9円と高いのと、効果の立ち上がりが早くないのが欠点です。
ディレグラの薬価
ディレグラ配合錠の薬価、当初、思ったよりも高くなったなと思っていましたが、上記に比べれば安い(62.0円/錠)。
一日薬価で考えると、アレグラ(75.6円/錠)+シングレア/キプレスの場合、384.1円になりますが、ディレグラ配合錠の場合、248.0円で済みます。
ただ、フェキソフェナジンのジェネリックとプランルカスト(先発商品名:オノン)のジェネリックを使うとさらに安く…。
ディレグラの効果は?
また、鼻閉に対する効果もLTRA併用群とほぼ同等。
製品概要の試験結果を見ると、第二世代抗ヒスタミン薬(何故かロラタジン/商品名:クラリチンなど)とモンテルカストを併用した群には劣りますが、ほぼ同等の鼻閉改善効果を得ることができるのがわかります。
(ちなみに、この試験結果では第二世代抗ヒスタミン薬+LTRA群の効果発現が予想より早いのが意外でした。)
ディレグラ配合錠の注意点
ただ、この薬、色々注意が必要なのも事実です。
二週間以上服用の安全性
まず、二週間以上の継続服用のデータがない。
重要な基本的注意に、「本剤の使用は鼻閉症状が強い期間のみの最小限の期間にとどめ、鼻閉症状の緩解がみられた場合には、速やかに抗ヒスタミン剤単独療法等への切り替えを考慮すること。(本剤を2週間を超えて投与したときの有効性及び安全性は検討されていない)」と記載されています。
保険上どこまでの制約になるのかははっきりわかりませんが、二週間以上の服用は避けた方が無難でしょう。
PSEと言えばフェニルプロパノールアミン(PPA)からの代替薬のイメージが強いです。
PPAの大量投与により脳出血が報告されたため、PPA含有だったダン・リッチは発売中止となりました。
※ダン・リッチ(ヨウ化イソプロパミド、塩酸フェニルプロパノールアミン、 塩酸ジフェニルピラリン)
個人的にはPPAもPSEも同じエフェドリン類似物で過量投与が危険なのは変わりないと思っています。
用法の注意
用法にもいくつか注意点があります。
添付文書を見ると、「1回2錠を1日2回、朝及び夕の空腹時に経口投与」となっています。
まず1回2錠となっていること。
過去にPSE含有OTCの大量購入による覚せい剤密造事件も発生しているように、PSEは覚せい剤の原料となります。
PSEの含有量が10%を越すと覚せい剤原料となってしまうため、1回2錠で、さらに大きな形となっています。
これはやむを得ないのですが、ディレグラ配合錠は実際とても大きいんです。
ムコダイン錠500mg(一般名:カルボシステイン)と並べてみましたが、これを2錠飲むのは少々つらい気もします・・・。
また、空腹時投与というのもポイントです。
これはあまり納得できていないのですが、PSEの吸収が影響を受けるのかと思いきやそうではなく、FEXの吸収が大きく低下するためだそうです。(PSEの吸収については食事の影響を受けることはないそうです。)
アレグラにおいても食事の影響でAUC、Cmaxが15%程度低下することは知られていますが、ディレグラではさらに大きく70%近く低下してしまうようです。
メーカーさんに質問してもこの理由が明確でなく、どうもすっきりしませんでしたが、どうやら賦形剤の量が多いためみたいです。
PSEの含有量を10%以下にするために賦形剤を増やしているのが影響したということですね。
※平成26年3月3日訂正
まとめ
個人的には症状が改善されれば、無意味には長期間使用したくない薬です。
LTRAと併用で使用を開始して、二週間経過して症錠が改善してくれば、アレグラとLTRAに切り替えるとか、ディレグラは鼻閉が強い時のみの使用にするとかそんな使い方をしたいです。
花粉症シーズンに服薬の開始が遅れて、症状がひどくなってしまったケースなどに重宝される薬剤だと思います。