ルパフィン錠(ルパタジン)の特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【DUAL作用 ヒスタミンH1受容体拮抗作用と抗PAF作用】【第二世代抗ヒスタミン薬】

またまた、新たな第二世代抗ヒスタミン薬が発売になります。
ルパフィン錠は抗PAF作用と抗ヒスタミン作用を併せ持つ新規第二世代抗ヒスタミン薬です。
このタイミングで新たに追加される第二世代抗ヒスタミン薬、どのような特徴を持つかまとめて見ます。
平成30年12月1日から長期処方が可能となっています。
ちなみに、新薬扱いなので2018年11月末までは新医薬品14日間の投与制限の対象です。
来月12月からは投与制限が解除されます。

(元々は2017.11.26の記事でしたが内容を修正しました)

ルパフィン錠の概要

  • 商品名:ルパフィン錠10mg
  • 成分名:ルパタジンフマル酸塩
  • 製造販売元:帝國製薬
  • 販売:田辺三菱製薬
  • 命名:Rupatadine(ルパタジン)+PAF(Platelet Activating Factor:血小板活性化因子)+IN(INhibition:抑制)
    • 発売までの経緯
      • 平成29年7月27日:厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会で承認了承
      • 平成29年9月27日:承認
      • 平成29年11月15日:厚生労働省 中医協・総会 薬価決定
      • 平成29年11月22日:薬価基準収載
      • 平成29年11月27日:販売開始

ルパタジンの特徴は?

ルパタジンの最大の特徴は2つの作用を持つことです。
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一つ目は従来の第二世代抗ヒスタミン薬と同様の選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用。
もう一つは、血小板活性化因子 (PAF)受容体拮抗作用です。
PAFはPlatelet Activating Factor(血小板活性化因子)の名前の通り、血小板を活性化し、凝集を進める働きで知られている物質ですが、それ以外に、血管透過性亢進作用、血管拡張作用、気管支平滑筋収縮作用などのアレルギーや炎症に関わる作用も持っています。
特に、PAFはロイコトリエンとともに気管支喘息に関与するケミカルメディエーターであることが知られています。
ルパタジンは、ヒスタミンH1受容体拮抗作用に加えて抗PAF作用を発揮する(メーカーはこれをDUAL作用と謳っています)ことで、より効果的にアレルギー反応を抑制することが期待されます。

構造から特徴を探る

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上の画像がルパタジンの構造ですが、下部の色がついた部分、ピペリジニル構造により選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を発揮します。
さらに、上部のルチジニル構造によりに血小板活性化因子 (PAF)受容体拮抗作用を発揮します。

ルパタジンは体内でデスロラタジンに代謝される

ルパタジンの構造を見ていると気付く人もいるかもしれません。
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上の画像はロラタジン(商品名:クラリチン)、デスロラタジン(商品名:デスロラタジン)、ルパタジンの構造を比較したものです。
構造が非常に似ていることがわかると思います。
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ルパタジンは代謝を受けることでデスロラタジンに代謝されます。
初回服用において、ルパタジンのCmax=0.91hr、t1/2=4.76hrとなっています。
ルパタジンは服用後速やかに吸収され効果を発揮しますが、服用後4時間の時点では半分以上がデスロラタジンに代謝されます。
デスロラタジンの半減期は20時間程度なので、ルパタジンとして速やかに効果を発揮した後、デスロラタジンとして長く効果を維持するようなイメージになります。

ルパタジンとデスロラタジンの効果の比較

ルパタジンとその活性代謝物でもあるデスロラタジンの抗ヒスタミン作用の比較がされています。
以下はルパフィン錠のインタビューフォームからの引用になります。

H1受容体結合試験(in vitro)
モルモット小脳の膜画分を用いて H1 受容体への3H-メピラミン結合に対するルパタジンの阻害活性を検討した。
ルパタジンは、モルモット小脳膜画分へのメピラミン結合を阻害し、そのKiappは26.2nMであった。
また、活性代謝物であるデスロラタジンのKiappは22.0nMであり、ルパタジンと同程度であった。

ということで、ルパタジンの抗ヒスタミン作用は大差ないことがわかります。
抗PAF作用が効果の差ということになります。

国際的には新薬ではないルパタジン

日本国内においては2017年に初めて登場するルパフィンは新薬なのですが、国際的にはそうでもありません。
実はルパタジン自体は1994年に創薬されており、国際的にはビラノアよりも早く発売されている薬です。
参考までに第二世代抗ヒスタミン薬を国際誕生順に並べておきます。

      • ゼスラン・ニポラジン:1970年1月
      • ザジテン:1978年1月
      • セルテクト:1979年
      • アゼプチン:1986年6月
      • ジルテック:1986年11月
      • クラリチン:1987年9月
      • レミカット:1993年4月
      • アレジオン:1994年4月
      • エバステル:1996年1月
      • アレグラ:1996年3月
      • アレロック:1996年12月
      • タリオン:2000年7月
      • デザレックス:2000年9月
      • ザイザル:2001年1月
      • ルパフィン:2001年7月
      • ビラノア:2010年9月

こうして見ると、改めて日本に導入されるまでには時間がかかるんだなあって思いますね。

添付文書からルパタジンを考える

添付文書を見て、ルパタジンについて気になる部分をピックアップしてみようと思います。

適応については特徴なし

効能又は効果

  • アレルギー性鼻炎
  • 蕁麻疹
  • 皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒

ビラノア、デザレックス、ザイザル等、他の第二世代抗ヒスタミン薬と大差ないですね。
抗PAF作用を前面に出していますが、気管支喘息に対する適応を有する等の特徴はないようです。
(アゼプチン、ザジテン、ゼスラン・ニポラジン、セルテクト、アレジオンは気管支喘息に対する適応を取得)

抗PAF作用を有する第二世代抗ヒスタミン薬は他にも存在する

実は、第二世代抗ヒスタミン薬のうち、抗PAF作用を有するのはルパフィン錠だけではありません。
今回のルパフィンのように抗PAF作用を前面に出して発売するのは初めてかもしれませんが、抗PAF作用を有する薬剤って以外と多いです。
以下に抗PAF作用を有する第二世代抗ヒスタミン薬を列挙します。

      • ゼスラン・ニポラジン(成分名:メキタジン)
      • アゼプチン(成分名:塩酸アゼラスチン)
      • ザジテン(成分名:ケトチフェンフマル酸塩)
      • セルテクト(成分名:オキサドミド)
      • アレジオン(成分名:エピナスチン塩酸塩)
      • タリオン(成分名:ベポタスチンベシル酸塩)
      • アレロック(成分名:オロパタジン塩酸塩)
      • ルパフィン(成分名:ルパタジンフマル酸塩)

抗PAF作用の強さにどの程度差があるかはわかりませんが、ルパフィンの抗PAF作用が特別という訳ではないということですね。

小児適応なし、服用時点の縛りはなし

用法及び用量
通常、12歳以上の小児及び成人にはルパタジンとして1回10mgを1日1回経口投与する。
なお、症状に応じて、ルパタジンとして1回20mgに増量できる。

12歳未満に対する適応はないようですね。
20mg(1回2錠)にまで増量できるというのがメリットかもしれません。
食事による影響もほとんどなく、ビラノアのように空腹時に服用する必要はありません。

自動車の運転等危険を伴う機械の操作は禁止

ルパフィン錠の添付文書を見てみると、

重要な基本的注意
3.眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分注意すること。

と記載されています。
そう、ルパフィンはいわゆる「運転禁止薬」に該当します。
第二世代抗ヒスタミン薬で「運転禁止薬」に該当するのは以下の薬になります。

      • ザジテン(成分名:ケトチフェンフマル酸塩)
      • アゼプチン(成分名:アゼラスチン塩酸塩)
      • セルテクト(成分名:オキサトミド)
      • ゼスラン・ニポラジン(成分名:メキタジン)
      • レミカット(成分名:エメダスチンフマル酸塩)
      • ジルテック(成分名:セチリジン塩酸塩)
      • アレロック(成分名:オロパタジン塩酸塩)
      • ザイザル(成分名:レボセチリジン塩酸塩)
      • ルパフィン(成分名:ルパタジンフマル酸塩)

運転禁止薬に該当すると仕事で自動車運転や機械作業を行う人は服用することができなくなってしまうので、非常に使いにくいですよね・・・。
昨年発売されたデザレックス・ビラノアが眠気が少ないことが特徴だったので、ルパフィンもこの部分はパスして欲しかったです。
ちなみに、眠気の副作用は、国内臨床試験において1059例中98例(9.3%)だったようです。

運転に関する記載のない第二世代抗ヒスタミン薬

ちなみに、以下の薬剤は自動車運転等の記載がないため、仕事で自動車運転や機械作業を行う人についても問題なく服用できます。

      • アレグラ(成分名:フェキソフェナジン塩酸塩)
      • クラリチン(成分名:ロラタジン)
      • デザレックス(成分名:デスロラタジン)
      • ビラノア(成分名:ビラスチン)

CYP3A4を介する相互作用あり

相互作用
相互作用の概略:本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。

併用注意(併用に注意すること)

  1. 薬剤名等:CYP3A4阻害剤(エリスロマイシン、ケトコナゾール等)
    • 臨床症状・措置方法:併用により、本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。
    • 機序・危険因子:CYP3A4阻害により本剤の代謝が阻害される。
  2. 薬剤名等:グレープフルーツジュース
    • 臨床症状・措置方法:グレープフルーツジュースとの同時摂取により本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。
    • 機序・危険因子:CYP3A4阻害により本剤の代謝が阻害される。
  3. 薬剤名等:アルコール
    • 臨床症状・措置方法:中枢神経系に影響を与える可能性があるため、アルコールと併用する際は注意すること。
    • 機序・危険因子:中枢神経抑制作用が増強される可能性がある。

とは言ってもそこまで気にするレベルではないのかなとは思います。

妊娠中の服用は少し気になる?

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与を避けることが望ましい。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、動物試験(ラット)で胎児の発育遅延等が認められている。]
  2. 授乳中の婦人には、投与を避けることが望ましい。やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。[本剤の活性代謝物であるデスロラタジンではヒト母乳中への移行が報告されている。]

ラットでの胎児の発育遅延は少し気になりますね・・・。

第二世代(第三世代)抗ヒスタミン薬の中では最も安い薬価

薬価の面でルパフィンの位置付けはどうなのか?
アレジオン以降の鎮静作用の少ない第二世代抗ヒスタミン薬(第三世代抗ヒスタミン薬)の薬価を比較してみます。
()内は最も安い後発医薬品の薬価で、→矢印の後は一日薬価です。
※2017.11.22時点での薬価

      • アレジオン錠20:120.3(29.4)
      • エバステル錠10mg:91.7(41.6)
      • ジルテック錠10:92.2(22.1)
      • タリオン錠10mg:46.4(-)→92.8
      • アレグラ錠60mg:64.9(29.4)→129.8(58.8)
      • アレロック錠5mg:51.5(21.7)→103(43.4)
      • クラリチン錠10mg:86.7(24.1)
      • ザイザル錠5mg:96.4(-)
      • デザレックス錠5mg:69.4
      • ビラノア錠20mg:79.7
      • ルパフィン錠10mg:69.4

ルパフィンはデザレックスと同じ薬価になっていますね。
先発医薬品の中では、最も安い一日薬価になります。

まとめ

DUAL作用(抗PAF作用と抗ヒスタミン作用)を売りにしていますが、抗PAF作用など他のケミカルメディエーターに拮抗する第二世代抗ヒスタミン薬は他にもあります。
代謝後も長く効果を維持できるのですが、その活性代謝物はデザレックス・・・。
眠気の頻度が高いので服用中の運転はできない。
効果についても他の第二世代抗ヒスタミン薬と比較して優れている訳でもない・・・。
薬価は高くはないが、ジェネリックが販売されている他剤の方が安い・・・。
あまりポジティブな点を見つけることができません(笑)

他の薬剤との比較は?

元々海外で使用されていた薬剤ということで、文献を検索すれば様々な薬剤との比較が検討されています。
ですが、ルパタジンが他の薬よりも優れている!とはっきり言えるデータはないんですよね。
レボセチリジンとの比較(PMID: 20713756)でルパタジンの方が優位だったというデータがありますが、盲検化されていない上に症例数も多くないので何とも・・・。
オロパタジンとの比較(PMID: 22025856)ではオロパタジンが優位になっています。(これも盲検化されていませんし、症例数も多くはありません)

ただ、抗ヒスタミン剤の効果に関しては作用機序だけではなんとも言えず、個人差が多いという部分もあるので、選択肢が増えるというのは大事なのかもしれません。
ただ、すでに選択肢多いしなあ・・・。

国内でのRCTの結果が出ていますが、プラセボとの比較試験のようですし・・・。
(PMID: 30029967、30391169)

うーん・・・。
抗PAF作用を推すなら鼻閉症状や蕁麻疹等に対するデータや同じく抗PAF作用を持つオロパタジン等と比較して優位だったというデータがないと厳しいのではないかと思います。

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