BRONJについて考える

  • 2013年1月1日
  • 2021年1月17日
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以前、BRONJに関する研究を行ったことがあります。
BRONJ = Bisphosphonate Related OsteoNecrosis of the Jaw
日本語に訳すとビスホスホネート関連顎骨壊死、ビスホスホネート薬剤(BP剤)により引き起こされる顎の骨の炎症、壊死です。
BRONJについての情報は色んなところに掲載されているので、
もし、ご存知でない方は少し調べてみてください。
(関連学会によるポジションペーパーがwebで公開されています。)
今回はBRONJを通じて自分の考えをまとめてみます。

2013年、最初の更新ということで少し自分の考えを強く出して書いてみようと思います。
あくまでもぺんぎん個人の考えとしてお読みください。
また、薬局の視点と言うことで、基本的に経口剤についての話です。

  • エチドロン酸(商品名:ダイドロネル)、
  • アレンドロン酸(商品名:ボナロン、フォサマック)
  • リセドロン酸(商品名:アクトネル、ベネット)

 

BRONJ(ビスホスホネート関連顎骨壊死)

元々は注射剤でしか発生しないと考えられていましたが、近年、経口剤でも発生することがわかりました。
これは経口剤のバイオアベイラビリティの低さが原因だと考えられます。(注射剤 50%、経口剤 1%)

侵襲的歯科治療とBRONJ

BRONJは抜歯などの侵襲的歯科治療の後に発生することがほとんどです。
外科や内科などで処方される薬剤であるにも関わらず、副作用の発生ポイントは歯科での治療。
何が問題かというと、メーカーから副作用発生ポイント(歯科医師)への情報提供が困難。
現に、BRONJの情報が薬局にアナウンスされた時、近隣の歯科を回ったのですが、多くの先生がご存知ではありませんでした。
メーカーは歯科医師会や学会を通じて情報提供を行いましたが、どうしても一歩遅れてしまったのだと思います。
また、正確な情報伝達もされにくかったようで、
BP剤を服用している場合は治療ができない
という誤解を持っている歯科も存在していました。

BRONJと薬局薬剤師

個人的には、このようなときこそ薬局にいる薬剤師が歯科の先生方とコミュニケーションを取れるチャンスだと思います。
医療従事者への医薬品の情報提供を行うプロとして各製薬会社に所属するMRが存在するわけですが、
時間が許し、機会が存在するのであれば薬剤師も同様の情報提供を行えなければいけないと思います。

BRONJのリスク因子

さて、BRONJの発生にはいくつかのリスク因子が知られています。
代表的なものを挙げてみると…
+ 3年以上BP剤を服用

  1. ステロイド服用
  2. 悪性腫瘍の化学療法剤服用
  3. 糖尿病
  4. 喫煙
  5. 口腔内の不衛生
  6. 放射線治療 など

これを見ればリスク因子を保有するBP剤服用患者は決して少なくはないことがわかると思います。
リスク因子がある場合、歯科医師は抜歯やインプラントのような侵襲的歯科治療を行なうかどうかの判断が必要となります。
もし、侵襲的歯科治療を行うのであれば、治療の3ヶ月以上前にBP剤を休止する必要があるのでBP剤処方医の判断も必要となります。
(注射剤に関しては悪性腫瘍治療など休薬の不利益が大きい場合がほとんどなのでそのまま継続)
抜歯やインプラントを行った後、無事に治癒すれば再開可能です。
服用年数によってはこの機会に他の薬剤に切り替えるのもありだと思います。

BRONJリスクと薬局

ここで再びリスク因子に注目すると、そのほとんどが薬局で把握することが可能な情報であることがわかると思います。
歯科の受診予定も薬局で確認可能なのですから、
薬剤師はBP剤服用患者については積極的にリスク因子を把握するようにし、
お薬手帳などを用いて歯科医師に情報提供を行っていくべきだと考えています。

BRONJと歯科受診

よくある誤解なのですが、
BP剤を服用しているから歯科を受診してはいけない
というわけではないということ。
リスク因子の中に口腔内の不衛生があるくらいですから、
普段から歯科を受診し、口腔環境を整えておくことが大切です。
早めの治療は侵襲的歯科治療の回避にも繋がります。

ベストなのはBP剤開始前に歯科治療を完了させ、服用後は定期的に歯科検診を受けること。
その際に、歯科医師にBP剤の服用とリスク因子を伝えること。
ここで薬剤師が果たす役割はとても大きいと思います。
BP剤自体はとても優れた薬だと思っています。
長期服用で大腿骨骨折なども報告もあるので、
将来的には使用期間などガイドラインで定まるのではないかと思っていますが。

まとめ

以前、BRONJに関する講演をさせていただいた際に、
「そんな発現頻度が低い副作用を説明していては患者に不安を与えるだけだ!」
と言う意見をいただいたことがあります。
※当時、この副作用自体そこまで知られていなかったこともあります。
確かに、経口BP剤によるBRONJの発生頻度は1万人に一人くらいです。
個人的には決して低い確立とは思いませんし、この副作用が発生してしまった場合、患者はとても大きな苦痛を受けます。
加えて、リスク因子、回避方法がある程度明らかになっており、
薬剤師が関わることで回避ができるのであれば何とかすべきではないかと考えます。
患者に過度の不安を与えないための努力というのは当然のことです。
リスクとベネフィットを踏まえた正確な情報を患者に伝えることこそが、
薬剤師の最も重要な役割の一つだと思うんです。
※ちなみに、最も新しい経口BP剤であるミノドロン酸(一般名:ボノテオ、リカルボン)に至っては、注射剤のゾメドロン酸(商品名:ゾメタ)と同程度の薬効と言われています。と言うことはBRONJの発生頻度も高い可能性がありますね。

以上、お正月なので熱く語ってみました。
まだまだ人間としても医療従事者としても未熟な自分ですが、
今年も頑張って行きたいと思います。

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