2013年4月10日に作成した記事です。
「今日の治療薬2013」に誤記載が見つかり、訂正だけでなく回収までされる騒ぎになったことを受けて作成した記事です。
医薬品、しかも抗癌剤(エンドキサン)の用法・用量に関する誤記載ということで、そのまま使用してしまうと命に関わる重大な事故を引き起こしかねないということを想定し、訂正だけでなく回収まで実施した南江堂の判断は素晴らしかったと思います。
かなり前の記事なのですがアーカイブ的な役割を持たすためこのまま残しておきます。
今日の治療薬2013の回収
(記事作成当時の文章そのままです)
各方面で話題になってい流のでご存知の方も多いとは思いますが、「今日の治療薬2013」で重要な誤記が見つかり、南江堂より注意喚起ならびに回収の案内がアナウンスされています。
該当箇所はエンドキサン(シクロホスファミド)の治療抵抗性のリウマチ性疾患に対するパルス療法の用法・用量の部分です。
4週間ごとに静注を行うのが正しいのですが、4週間毎日静注を続けるように受け取れる記載になってしまっています。
エンドキサンを使用する際、「今日の治療薬2013」だけを頼りに用法・用量を決定することは少ないとは思いますが、緊急時などにそうなってしまう可能性はゼロではないかもしれません。
万が一、誤記載のまま使用してしまうと命に関わる重大な副作用を引き起こしてしまうので医療従事者への十分な注意喚起が必要です。
以下のリンクが当時の南江堂からの案内です。
南江堂 『今日の治療薬 2013』に関する重要なお知らせ
「今日の治療薬2013」の訂正箇所
訂正箇所は以下の通りです。
- 書籍名:『今日の治療薬 2013』 第 1 刷 ※奥付表記:2013年1月25日 第35版発行
- 該当頁:177頁
- 該当薬剤:エンドキサン
- 適 応:❽治療抵抗性の次のリウマチ性疾患:SLE、全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、ヴェゲナ肉芽腫症、結節性多発動脈炎、Churg-Strauss症候群、大動脈炎症候群等)、多発性筋炎・皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、及び血管炎を伴う難治性リウマチ性疾患
- (誤)[用量]❽ 1日1回500〜1000mg/㎡静注を4週間
- (正)[用量]❽ 1日1回500〜1000mg/㎡静注.投与間隔は4週間
『今日の治療薬 2013(第 1 刷)』に関する 重大な記載間違いのお知らせ
回収方法等の詳細
実際に書籍の回収まで至ったケースは珍しいと思います。
日本薬剤師会をはじめ、各学会からもアナウンスが出ています。
- 日本病院薬剤師会:「今日の治療薬2013」(南江堂)の記載の誤記について(情報提供)(エンドキサン:治療抵抗性のリウマチ性疾患に使用する場合の用量
- 日本リウマチ学会:(会員に急告)「今日の治療薬2013」のエンドキサン月間パルス療法の記載間違いについて
- 日本リウマチ財団:「今日の治療薬2013」のエンドキサン月間パルス療法の記載間違い
- 日本臨床腫瘍薬学会:【重要:4/3追記】今日の治療薬2013の重大な誤記について
- DIオンライン:「今日の治療薬」が誤記で書籍回収・交換(エンドキサンの用法で、過量投与の可能性)
- m3.com
情報共有を進めましょう
リウマチ治療について勉強している人からすれば当たり前のことで、当然ミスに気付かなければいけないのですが、未経験者は気付くことができない可能性もありますので、回収前までは付箋紙や書き込みなどで訂正を行い、回収方法がアナウンスされた後はそれに従うようにしてください。
回収を受けずに放っとかれた本を数年後に使用して・・・なんて考えると恐ろしいです。
このようなニュースがあった場合、薬剤師としtw近隣の医院や施設にも情報提供を行うようにしたいですね。
まとめと感想
NHKのニュースでも紹介されたようです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130409/k10013771381000.html(既にリンク切れです)
リンク先にあったのが、日本病院薬剤師会の土屋文人副会長のコメント。
「使用にあたっては薬剤師がチェックするので、確率は極めて小さいが、間違った記載に従って投与した場合、重大な医療事故につながるので、あらゆる機会を使って情報を伝える必要がある」
まさにその通り!
薬剤師、頑張りましょう。
- 発売日: 2020/01/10
- メディア: 単行本
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ちなみに、自分は治療薬マニュアル派です。
今日の治療薬は何年かに一度だけ購入。
一覧表などが便利な情報は豊富なんですけど略称が多すぎて。