新しくなった小児慢性特定疾患(52)~小児慢性特定疾病に関する医療費助成制度

先日、難病法に基づく特定医療費制度についてまとめました。
今回は同時に開始された新しい小児慢性特定疾病についてまとめます。
大きの部分が難病医療費助成制度(54)と近い内容になりますが、まとめてみます。

指定難病に関する医療費助成制度については先日まとめました。

今回の小児慢性特定疾患についての変更は平成26年5月30日公布、平成27年1月1日施行の「児童福祉法の一部を改正する法律」に基づくものです。

小児慢性特定疾患の対象拡大

小児慢性特定疾患(法別番号:52)の対象は、改正前の11疾患群514疾患から拡大され、平成27年1月1日より、14疾患群704疾病とな理ました。
現在はさらに拡大されて対象疾病は16疾患群756疾病が医療費助成の対象となっています。(平成30年4月現在)
対象となる疾病については、小児慢性特定疾病情報センターで確認することができます。
http://www.shouman.jp/disease/

小児慢性特定疾患の対象となる基準

小児慢性特定疾患(52)の対象となるのは、

  • 慢性に経過する疾病であること
  • 生命を長期に脅かす疾病であること
  • 症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること
  • 長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること

以上、全ての要件を満たし、厚生労働大臣が定めるものです。

また、18歳未満が対象です。
ただし、18歳到達時点において認定を受けており、かつ、それ以降も引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳まで継続となります。

公費対象となる小児慢性特定疾患

  1. 悪性新生物(神経芽腫 等) ★
  2. 慢性腎疾患群(微小変化型ネフローゼ症候群 等) ★
  3. 慢性呼吸器疾患群(気管支拡張症 等) ★
  4. 慢性心疾患群(心室中隔欠損症 等) ★
  5. 内分泌疾患群(成長ホルモン分泌不全性低身長症 等) ★
  6. 膠原病(全身性エリテマトーデス 等) ★
  7. 糖尿病(1型糖尿病 等) ★
  8. 先天性代謝異常(ウィルソン病 等) ★
  9. 血液疾患群(血友病 等) ★
  10. 免疫疾患群(後天性免疫不全症候群 等)
  11. 神経・筋疾患群(先天性水頭症 等) ★
  12. 慢性消化器疾患(胆道閉鎖症 等) ★
  13. 染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群(13トリソミー症候群 等)
  14. 皮膚疾患群(色素性乾皮症 等)
  15. 骨系統疾患(胸郭不全症候群 等)
  16. 脈管系疾患(脈管奇形)

※成長ホルモン治療
★印は旧制度で対象だった疾患群

小児慢性特定疾病に関する医療費助成制度

これまでと大きく異なる点として、小児慢性特定疾病について診断を行う「指定医」や治療を行う「指定医療機関」を都道府県知事または指定都市市長・中核都市市長が指定する制度が導入されます。
これまでは特に指定は必要なかったので、かなり大きな変更です。
おそらく、難病指定医療機関と同様に、ほとんどの薬局が、昨年中に指定小児慢性特定疾病医療機関の指定を受けていると思います。

ちなみに、指定を受けることができる医療機関とは、

  • 保険医療機関
  • 保険薬局
  • 健康保険法に規定する指定訪問看護事業者

を指します。
指定の有効期間は6年間です。

薬局での自己負担が必要

特定疾患治療研究事業(法別番号:51)が難病医療費助成制度(法別番号:54)になったのと同様に、新しい52では薬局で自己負担が生じるようになりました。
指定難病とは同様にすべての医療機関で2割負担となっており、月々の自己負担上限金額が定められています。

自己負担上限金額に関しては、自立支援(法別番号:21)や肝炎医療費助成(法別番号:38)と同様です。
その月にすべての医療機関で支払った自己負担金を足していき、上限金額に達したら、それ以降その月の自己負担金はなしになります。

薬局で必要となる情報

それでは、新しい公費52の対象となる処方箋を応需した場合、薬局で行うべきことは何でしょうか?

医療受給者証の確認

まずは、受給者証の確認が必要となります。
受給者証により、

  • 対象疾患群
  • 自己負担限度額
  • (高額療養費の)適用区分

を確認する必要があります。

適用区分の確認

適用区分に関しては、「―」、「***」で表示されているものがあります。
これは、しばらくの間(平成27年1月1日から12月31日までの間)は適用区分なしで受給者証を発行できるようになっているためです。

ですが、適用区分は調剤報酬レセプトの請求時に特記事項に記載するように定められており、ほとんどのレセコンで公費52を追加すると、適用区分の入力を行う必要があるはずです。
適用区分が未記入の場合は、52の適用区分も高額療養費の適用区分も未記入のままで問題ないようです。(平成27年1月30日 厚生労働省への疑義照会)

認定証により高額療養費の適用区分が明らかな場合

受給者証の適用区分が未記入の場合でも、認定証により高額療養費の適用区分が明らかな場合はその所得区分から判断することができます。
高額療養費の適用区分に関する認定証とは、
限度額適用・標準負担額減額認定証:低所得該当者
高額療養費限度額適用認定証(上記に該当しない場合)
です。

高額療養費については以下の記事でまとめていますので参考にしてください。

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自己負担限度額管理票の確認と記入

52の自己負担限度額管理票は受給者証と一緒になっていることが多いようです。
他医療機関での支払金額を確認し、自己負担上限金額を超えないように、薬局の請求金額を計算し、自己負担限度額管理票への記入を行ってください。

訪問看護等、一ヶ月を翌月にまとめて請求することもありますが、その場合は該当する月の自己負担累積額を確認した上で領収額を決定、記入を行うようになります。
自己負担限度額管理票の記入は領収を行った時点での記入となっているので、実際に算定したタイミングに関わらず、領収を受けた順番の記入で問題ありません。

上限を越えても記載を続けるケース

21や38では上限金額に達した場合は、自己負担限度額管理票にその医療機関で上限に達した旨を記載し、その月はそれ以降の記載は不要となります。
これは54でも基本的には同じなのですが、上限に達した後も記載が必要なケースが存在します。
54では「過去1年間に6回以上、医療費総額が5万円を超す場合」については、「高額かつ長期」として自己負担限度額の減免が認められています。
この「高額かつ長期」の確認に使用するため、5万円に達するまで医療費総額の記載を求められる場合があるので注意が必要です。(自己負担はかからないため斜線を記入する)
※自治体によっては自己負担限度額管理表に医療費総額欄が存在しないので対応方法については確認してみてください

まとめ

とりあえず、ざっくりとですがまとめてみました。

  • 小児慢性特定疾病に関する医療費助成制度(法別番号:52)を扱うには指定が必要
  • 自己負担は2割だが限度額を超えた月はそれ以降0円
  • 受給者証で自己負担限度額を確認し、自己負担限度額管理票を使用して管理を行う
  • 高額療養費の適用区分もレセプトに必要

といったところです。
ほとんどが54と同じ内容になりますね。

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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