平成30年1月24日に開催された第386回中医協(中央社会保険医療協議会)総会。
ついに、平成30年度調剤報酬改定(診療報酬改定)の個別改定項目ならびにその算定要件案、いわゆる短冊が公開されました。
点数や具体的な数字はまだ決定していませんが、大まかな内容が決まったということです。
2月の半ば以降に点数が決まるはずです。(2月7日にひとまず公開されました。)
中医協 総-1 30.1.24 個別改定項目について
ちなみに、今回の記事で参照しているページは以下の通りです。(印刷用にどうぞ)
77-82,158-162,228-232,367-372,419,447-448,464-468,470-476
今回はページ順にまとめていきます。
- 1 かかりつけ薬剤師の評価
- 2 基準調剤加算は地域支援体制加算に
- 3 医療提供体制が特に限定的な区域は調剤基本料の特例対象から除外
- 4 妥結率とともに単品単価契約率についても報告
- 5 在宅の点数は同一建物の人数に応じて3段階に
- 6 無菌製剤加算の見直し
- 7 薬局版薬剤総合評価調整管理料の服用薬剤調整支援料が登場
- 8 薬剤服用歴管理指導料(薬歴管理料)の見直し
- 9 重複投薬・相互作用等防止加算は残薬調整とそうでないものの2種類に
- 10 服薬情報等提供料も2つに分かれる
- 11 調剤料の見直し
- 12 育児・介護時のかかりつけ薬剤師の勤務条件緩和
- 13 数量シェア80%を越すための後発医薬品調剤体制加算の改定
- 14 医師の指示による分割調剤の見直し
- 15 残薬調整に係る疑義紹介の見直し
- 16 調剤基本料の改定
- 17 まとめ
かかりつけ薬剤師の評価
資料P77〜78
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=77
I 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進
I-2 かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価
⑥かかりつけ薬剤師の評価
- 第1 基本的な考え方:患者本位の医薬分業の実現に向けて、患者の服薬状況を一元的・継続 的に把握して業務を実施するかかりつけ薬剤師に関する評価について見直しを行う。
- 第2 具体的な内容:
- かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料について、 患者の同意取得時に、患者の状態等を踏まえたかかりつけ薬剤師の必要性やかかりつけ薬剤師に対する患者の要望等を確認することを要件とする。
- 上記1.と併せて患者の同意取得の様式を整備する。
- 処方箋受付回数及び特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤割合 に基づく調剤基本料の特例対象の薬局について、かかりつけ薬剤師指導料等の一定の算定実績がある場合に特例対象から除く取扱いを廃止する。
- かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準について、当該保険薬局における在籍期間の要件等を見直す。
【調剤基本料】
調剤基本料 注1 のただし書きに規定する施設基準
(1) 次のすべてに該当する保険薬局であること。
イ:当該保険薬局に勤務している保険薬剤師の5割以上が、かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に適合している薬剤師であること。ロ:かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料の算定について、相当の実績を有していること。【かかりつけ薬剤師指導料】
【かかりつけ薬剤師包括管理料】
[施設基準]
以下の要件を全て満たす保険薬剤師が配置されている。
(1)以下に掲げる勤務要件等を有している。
- ア (略)
- イ (略)
- ウ 施設基準の届出時において、当該保険薬局に◯月以上在籍していること。
調剤基本料の特例除外に関する要件は廃止
調剤基本料に関しては、特例の除外に関する内容で、それが削除されたということですね。
平成28年4月〜平成30年3月は、以下の条件を満たすことで調剤基本料の特例による引き下げを免れることが可能でした。
- 薬剤師の5割以上がかかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に適合した薬剤師であること
- かかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料にかかる業務について相当な実績を有している(薬剤師一人当たり月100回以上算定(自己負担のない患者を除く))
これが廃止になります。
平成28年4月の改定で、大手チェーン薬局をターゲットとした調剤基本料の引き下げが実施されましたが、特例除外の要件を満たすことで調剤基本料1を算定、基準調剤加算を算定することが可能でした。
実際、そのことが日医総研のワーキングペーパーで指摘されていました。
2016年度の調剤報酬改定後、処方せん1枚当たり調剤基本料等(基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算等を含む)は2016年4月に574円に落ち込んだが、2017年5月には643円まで挽回した。調剤報酬で適正化しても、特例除外もあり、ほどなくその要件をクリアしていることがうかがえる。
日医総研ワーキングペーパー No.397 調剤報酬の現状について
このような状況から、調剤基本料の特例除外に関する要件は廃止となったようです。
ただし、下にまとめていますが、医療提供体制が特に限定的な区域が新たに特例除外の対象となります。
かかりつけ薬剤師に必要な在籍期間はさらに長く
平成28年4月〜平成30年3月のかかりつけ薬剤師の施設基準は以下のような内容でした。
- 以下に掲げる勤務経験等を有していること。
- ア 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験がある。
- イ 当該保険薬局に週32時間以上勤務している。
- ウ 施設基準の届出時点において、当該保険薬局に6月以上在籍している。
- 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。
- 医療に係る地域活動の取組に参画していること。
今回の改定では当該保険薬局への在籍期間が見直されます。
現在6ヶ月となっていますが、医師会などから短すぎるとの意見がありました。
日医常任理事 松本純一氏「前回議論した際に6カ月では短い、1年以上が必要だと申し上げた。それに対して何も反応がなく、見直す方向だと思っていたのでがっかりした」
DIオンライン 「かかりつけ月100回」特例除外、廃止か
との報道もあったので、やはり1年(12ヶ月)となりそうな気がしますね・・・。←(答申後)予想通りでした。
基準調剤加算は地域支援体制加算に
資料P79〜81
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=79
I 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進
I-2 かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価
⑦地域医療に貢献する薬局の評価
- 第1 基本的な考え方:かかりつけ薬剤師が機能を発揮し、地域包括ケアシステムの中で地域 医療に貢献する薬局について、夜間・休日対応等の地域支援の実績等を踏まえた評価を新設する。また、医療資源の少ない地域の薬局について、 当該地域に存在する医療機関が限定されることを踏まえ、調剤基本料の特例対象から除外する。
- 第2 具体的な内容
- 夜間・休日対応や医療機関等への服薬情報提供の実績など、地域に貢献する一定の実績があること等を前提として、地域支援に積極的に貢献するための一定の体制を整備している薬局を評価する。
- 施設基準において、一定時間以上の開局や医薬品の備蓄品目数等に加えて、薬物療法の安全性向上に資する事例の報告や副作用報告体制の整備を要件とする。併せて、基準調剤加算を廃止する。
(新)地域支援体制加算:◯点
[算定要件] 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において調剤した場合には、地域支援体制加算として所定点数に◯点を加算する。
[施設基準]
- 地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績があること。(1年に常勤薬剤師1人当たり、以下の全ての実績を有すること。)
- ①夜間・休日等の対応実績:◯回
- ②重複投薬・相互作用等防止加算等の実績:◯回
- ③服用薬剤調整支援料の実績:◯回
- ④単一建物診療患者が1人の場合の在宅薬剤管理の実績:◯回
- ⑤服薬情報等提供料の実績:◯回
- ⑥麻薬指導管理加算の実績:◯回
- ⑦かかりつけ薬剤師指導料等の実績:◯回
- ⑧外来服薬支援料の実績:◯回
- 患者ごとに、適切な薬学的管理を行い、かつ、服薬指導を行っていること。
- 患者の求めに応じて、投薬に係る薬剤に関する情報を提供していること。
- 一定時間以上開局していること。
- 十分な数の医薬品を備蓄していること。
- 適切な薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制及び機能が整備されており、患者に対し在宅に係る当該薬局の体制の情報を提供してること。
- 当該保険薬局のみ又は当該保険薬局を含む連携する近隣の保険薬局において、24 時間調剤並びに在宅患者に対する薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制が整備されていること。
- 当該地域において、在宅療養の支援に係る診療所又は病院及び訪問看護ステーションとの連携体制が整備されていること。
- 当該地域において、他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者との連携体制が整備されていること。
- 当該保険薬局以外の医療従事者等に対し、医薬品に係る医療安全に資する情報の共有を行うにつき必要な体制が整備され、一定の実績を有していること。
- 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が◯割を超える場合にあっては、当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬 品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位 数量の割合が◯割以上であること。
- 区分番号00の1に掲げる調剤基本料1を算定している保険薬局については、下記の基準を全て満たすこととし、1.を適用しない。
- ①麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第三条の規定による麻薬小売業者の免許を受けていること。
- ②在宅患者に対する薬学的管理及び指導について、実績を有していること。
- ③かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていること。
話題になっていた通り、基準調剤加算は廃止となり、新設されたのが「地域支援体制加算」です。
注目したいのは下線部です。
調剤基本料1以外には実績の高い壁
「地域医療に貢献する体制を有する実績」があれば調剤基本料1以外の場合でも地域支援体制加算は算定可能です。
が・・・。
非常にハードルが高いですね・・・。
薬剤師一人当たりに対して年間の実績(算定回数)なので、
- 服用薬剤調整支援料(新設)
- 単一建物診療患者が1人の場合の在宅薬剤管理
- 麻薬指導管理加算
- 外来服薬支援料
このあたりは難しいのではないでしょうか?
特に麻薬については努力ではどうにもならない部分がありますね。
調剤基本料1の場合の算定要件は基準調剤加算と同じ?
調剤基本料1を算定する場合は、実績は免除され、以下の内容に置き換わります。
- 麻薬小売業者の免許
- 在宅の実績
- かかりつけ薬剤師指導料に関する届出
つまり、現在の基準調剤加算と全く同じになりますね。
以下に、平成28年4月〜平成30年3月の基準調剤加算の算定要件をまとめます。
実績に関する部分を除けば順番が違うだけですね。
- 患者ごとに、適切な薬学的管理を行い、かつ、服薬指導を行っていること。
- 患者の求めに応じて、投薬に係る薬剤に関する主な情報を提供していること。
- 一定時間以上開局していること。
- 十分な数の医薬品を備蓄していること。
- 適切な薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制及び機能が整備されており、患者に対し在宅に係る当該薬局の体制の情報を提供していること。
- 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第三条の規定による麻薬小売業者の免許を受けていること。
- 当該保険薬局のみ又は当該保険薬局を含む連携する近隣の保険薬局において、二十四時間調剤並びに在宅患者に対する薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制が整備されていること。
- 在宅患者に対する薬学的管理及び指導について、実績を有していること。
- 当該地域において、在宅療養の支援に係る診療所又は病院及び訪問看護ステーションとの連携体制が整備されていること。
- 当該地域において、他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者との連携体制が整備されていること。
- かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていること。
- 特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が九割を超える場合にあっては、当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が三割以上であること。
算定要件を満たすための条件は?
前回(平成28年)の改定では、基準調剤加算の算定要件の内容が厳しくなりました。
そのため、通知で示される部分(別添に記載されている部分)に色々変更があったのですが、今回はその点に触れられていません。
前回の短冊に記載されていたものとして、以下の内容があります。
- 「一定時間以上開局している」→通知において「平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、 かつ、週45時間以上開局していること」を規定する。
- 「十分な医薬品を備蓄している」→通知において「1,200品目以上」を規定する。
- 「体制及び機能の整備」→「医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)の登録」、「患者のプライバシーに配慮した構造」を要件とし、「管理薬剤師は5年以上の薬局勤務経験があり、同一の保険薬局に週32時間以上勤務しているとともに、当該保険薬局に1年以上在籍していること」、「健康相談又は健康教室を行っている旨の薬局内掲示」、「敷地内は禁煙であること」、「同一施設内での酒類、たばこの販売禁止」を新たに要件として義務付ける。
特に記載がないということは変更されないってことなのか?
地域支援っていうくらいなので、開局時間や備蓄品目が厳しくなりそうな気も・・・。
今より厳しくなるのは辛いですが、備蓄品目数は1500品目くらいになるんじゃないでしょうか?
医療提供体制が特に限定的な区域は調剤基本料の特例対象から除外
資料P81〜82
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=81
I 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進
I-2 かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価
⑦地域医療に貢献する薬局の評価
- 第2 具体的な内容
- 3.医療資源の少ない地域の中で、医療提供体制が特に限定的な区域に所在する薬局について、調剤基本料の特例対象から除外する。
[調剤基本料 注1のただし書きに規定する施設基準]
次のすべてに該当する保険薬局であること。
- イ:「基本診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第62号)の別表第六の二に規定する地域に所在すること。
- ロ:当該保険薬局が所在する特定の区域内において、保険医療機関数(歯科医療を担当するものを除く。)が◯以下であって、許可病床数◯床以上の保険医療機関が存在しないこと。ただし、特定の保険医療機関に係る処方箋の調剤割合が◯割を超える場合であって、当該保険医療機関が特定区域外に所在するものについては、当該保険医療機関を含むものとする。
- ハ:処方箋受付回数が一月に◯回を超えないこと。
かかりつけ薬剤師指導料による特例除外は廃止となりましたが、今回から医療資源の少ない地域は特例除外の対象となりました。
医療提供体制が特に限定的な区域の定義
「平成20年厚生労働省告示第62号 別表第六の二に規定する地域」とありますが、「別表第三の二」の間違いじゃないかと思います。
○厚生労働省告示第六十二号
別表第三の二 厚生労働大臣が定める地域
- 一、離島振興法第二条第一項の規定により離島振興対策実施地域として指定された離島の地域
- 二、辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特例措置等に関する法律(昭和三十七年法律第八十八号)第二条第一項に規定する辺地
- 三、山村振興法(昭和四十年法律第六十四号)第七条第一項の規定により振興山村として指定された山村
- 四、過疎地域自立促進特別措置法(平成十二年法律第十五号)第二条第一項に規定する過疎地域
これだけじゃ全然わからないので少し調べてみました。
離島振興対策実施地域として指定された離島については以下のリンクを参照してください。
離島振興対策実施地域一覧
辺地に関しては「辺地 (都道府県名)」で検索すれば出てくる都道府県が多いです。
振興山村も同様に「振興山村 (都道府県名)」で検索すれば出てくる都道府県が多いです。
過疎地域についても同様です。
妥結率とともに単品単価契約率についても報告
資料P158〜162
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=158
I 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進
I-4 外来医療の機能分化、重症化予防の取組の推進
④未妥結減算の見直し
- 第1 基本的な考え方:薬価調査が適切に実施される環境整備を図るため、「流通改善ガイドライン」を踏まえ、初診料、再診料及び調剤基本料等に係る未妥結減算制度を見直す。
- 第2 具体的な内容
- 妥結率が低い保険薬局及び許可病床数200床以上の病院における、初診料、再診料及び調剤基本料等の減算の取扱いを以下のとおり見直す。
- (1)「流通改善ガイドライン」に基づき、①原則として全ての品目について単品単価契約とすることが望ましいこと、②医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉を慎むことを理念として明記する。
- (2) 保険薬局及び許可病床数200床以上の病院に対し、「単品単価契約率」及び「一律値引き契約に係る状況」等に係る報告を求め、報告を行わなかった場合の減算を設ける。
- (3) 妥結率の報告に係る取扱いについて、保険薬局及び病院の負担軽減の観点から、厚生局への報告時期を現在の10月の1ヶ月間から10~11月の2ヶ月間に変更する。
- 保険薬局の調剤基本料等について、簡素化も考慮し、未妥結減算及びかかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能に係る業務を実施していない場合の減算を統合する。
【調剤基本料】
注3 別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、所定点数の100分の◯に相当する点数により算定する。
[施設基準]
調剤基本料の注3に規定する保険薬局
次のいずれかに該当する保険薬局であること
- 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告し、妥結率が5割以下であること。
- 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告していないこと。
妥結率の報告に加えて、単品単価契約率」と「一律値引き契約に係る状況」についても報告するようになります。
薬価制度を考えると薬の種類によらない一律の値引きでなく単品単価契約が望ましいとされていることはわかりますが。。。
今回は特に単品単価契約率の制限は記載されていませんが、提出された内容によっては次回以降の改定で制限される可能性がありますね。
また、下で詳しくまとめますが、調剤基本料について、
- 未妥結減算
- かかりつけ機能に関する業務を実施していない場合の減算
が統合されます。
在宅の点数は同一建物の人数に応じて3段階に
資料P228〜230
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=228
I 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進
I-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
㉑訪問指導料における居住場所に応じた評価
- 第1 基本的な考え方:在宅時医学総合管理料等で単一建物診療患者の人数に応じた評価が行われていることや、介護報酬の居宅療養管理指導費についても同様の評価となることを踏まえ、薬剤師及び管理栄養士の訪問指導料について、 居住場所に応じたきめ細かな評価を実施する。
- 第2 具体的な内容:在宅患者訪問薬剤管理指導料及び在宅患者訪問栄養食事指導料について、単一建物診療患者の人数に応じた評価に見直す。
【在宅患者訪問薬剤管理指導料】
- 単一建物診療患者が1人の場合:◯点
- 単一建物診療患者が2~9人の場合:◯点
- 1及び2以外の場合:◯点
[単一建物診療患者の人数]
当該患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険医療機関が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者(当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するものを含む。以下同じ。)の人数を「単一建物診療患者の人数」という。
ただし、当該建築物において当該保険医療機関が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が2人以下の場合には、それぞれ単一建物診療患者が1人であるものとみなす。
やはり、診療報酬(医科)の在総管と同じ分類になりましたね。
1人、2〜9人、10人以上の3段階です。
同一建物の算定人数が少ない場合の考え方
在位総管と同じく人数が少ない場合は1人とみなして算定可能となっています。
単一建物とはいわゆる施設を指す場合がほとんどと思います。
施設の戸数(入居者数じゃないんですね)の10%以下であれば1人の場合の点数で算定できる。
つまり、50部屋の施設であれば5人までなら1人とみなして算定することが可能ということです。
また、20戸未満の建物では2人までなら1人とみなすことができるとあります。
ですが、20〜29戸の場合も10%以下に対応する人数は2人となります。
なので、1人の場合の点数を算定できるのは、
- 1人
- 30戸未満の建物で2人まで
- 建物の戸数の10%以下
と考えればいいですね。
チェーン薬局内での患者振り分け対策
そして、算定患者数の数え方。
「当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するものを含む。」の一文がついています。
要はチェーン薬局内で患者を振り分けたとしても全て合計して考えないとダメだよってことですね。
チェーン薬局にしかできない減算逃れは徹底的に潰してますね。
無菌製剤加算の見直し
資料P231〜232
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=231
I 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進
I-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
㉒効率的で質の高い在宅薬剤管理指導業務の推進
- 第1 基本的な考え方:かかりつけ薬剤師による在宅対応を推進するため、無菌製剤室の共同利用などの評価を見直す。
- 第2 具体的な内容:
- 無菌製剤処理加算の評価を見直す。
- 無菌製剤室を共同利用した場合の費用について、無菌製剤室を提供する薬局と処方箋受付薬局の両者の合議とすることを明確にする。
- 乳幼児に対する業務の評価を新設する。
無菌製剤処理加算の点数↑、乳幼児無菌製剤処理加算(仮)が新設されるということですね。←(答申後)予想通りプラス改定、乳幼児に対する評価も付きましたが個別の名前はつきませんでしたね(笑)
薬局版薬剤総合評価調整管理料の服用薬剤調整支援料が登場
資料P367
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=367
II 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実
II-1-8 薬剤師・薬局による対人業務の評価
①薬局における対人業務の評価の充実
- 第1 基本的な考え方:対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるため、内服薬の調剤料の評価を見直すとともに、対人業務に係るかかりつけ薬剤師指導料や薬剤服用歴管理指導料等の薬学管理料を充実する。
- 第2 具体的な内容:
- 薬剤総合評価調整管理料を算定する医療機関と連携して、医薬品の適正使用に係る取組を調剤報酬において評価する。
(新)服用薬剤調整支援料:◯点
[算定要件]
6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が◯種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。
薬局版の薬剤総合評価調整管理料が登場します。
医師に減薬を提案して受け入れられても、薬局を評価する点数はなく、診療報酬(医科)の薬剤総合評価調整管理料に連携管理加算がつくだけでした。(薬局ではなく病医院に対する評価)
今回登場する服用薬剤調整支援料は薬剤総合評価調整管理料の薬局版です。
文書による提案が必要ですが、より積極的に提案する気になれますね!
「内服薬が◯種類以上減少した場合」とありますが、薬剤総合評価調整管理料と同じく、2種類ですかね?←(答申後)2種類でした
薬剤服用歴管理指導料(薬歴管理料)の見直し
資料P367〜369
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=367
II 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実
II-1-8 薬剤師・薬局による対人業務の評価
①薬局における対人業務の評価の充実
- 第2 具体的な内容:
- 適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局に対する薬剤服用歴管理指導料の区分を新設する。
- 継続的な薬学的管理・指導等を推進するため、薬剤服用歴の記録に次回の服薬指導の計画を追加するとともに、かかりつけ薬剤師指導料、薬剤服用歴管理指導料等について評価を見直す。これに併せて、乳幼児に対する当該加算の評価を充実する。
改定案
【薬剤服用歴管理指導料】
- 原則6月以内に処方箋を持参した患者に行った場合:◯点
- 1の患者以外の患者に対して行った場合:◯点
- 特別養護老人ホーム入所者に対して行った場合:◯点
- 注1:1及び2については、患者に対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。ただし、手帳を持参していない患者又は区分番号00の1に掲げる調剤基本料1以外の調剤基本料を算定する保険薬局に処方箋を持参した患者に対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合は、◯点を算定する。
- 注9:別に厚生労働大臣が定める保険薬局において、注1のイ〜ホに掲げる指導等の全てを行った場合には、薬剤服用歴管理指導料の特例として、◯点を算定する。なお、この場合において、注3から注6に規定する加算は算定できない。
[施設基準]
適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局であること。(※)
※ 「6月以内に再度処方箋を持参した患者のうち、手帳を持参した患者の割合が◯割以下」等の基準を設ける。【かかりつけ薬剤師指導料】:◯点
【かかりつけ薬剤師包括管理料】:◯点
【乳幼児服薬指導加算】
6歳未満の乳幼児に係る調剤に際して必要な情報等を直接患者又はその家族等に確認した上で、患者又はその家族等に対し、服用に関して必要な指導を行い、かつ、当該指導の内容等を手帳に記載した場合には、乳幼児服薬指導加算として、◯点を所定点数に加算する。
薬歴はやはりマイナス改定?
まだ点数は決まっていませんが、薬歴の点数の分類は大きく変わっていません。
現在の薬歴の分類は、
- 半年以内の再来局:38点
- 半年以上の期間を空けての来局・新患:50点
- 特養入居者:38点
- お薬手帳忘れ・調剤基本料の特例を算定している薬局:50点
現段階では分類方法は同じになっていますが、それぞれの点数は決まっていません。
今は38点と50点ですが、全てバラバラになる可能性もあると思います。
これまでの議論を見ていると、調剤基本料の特例の薬局でも「半年以内にお薬手帳持参」で安くなるかと思ったんですけどね・・・。
以外にも、その部分は現状維持のようです。
薬歴の算定要件に次回の服薬指導計画が追加
SOAPで薬歴を記載している薬局の場合、次回の服薬指導計画について意識しているところが多いとは思いますが、次回の服薬指導計画の記載が必須になるようですね。
一応、薬歴の記載項目を整理しておきます。
- ア:氏名・生年月日・性別・被保険者証の記号番号・住所・必要に応じて緊急時の連絡先等の患者についての記録
- イ:処方した保険医療機関名及び保険医氏名・処方日・処方内容等の処方についての記録
- ウ:調剤日・処方内容に関する照会の要点等の調剤についての記録
- エ:患者の体質・アレルギー歴・副作用歴等の情報
- オ:患者又はその家族等からの相談事項の要点
- カ:服薬状況
- キ:残薬の状況
- ク:患者の服薬中の体調の変化
- ケ:併用薬等(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品及びいわゆる健康食品を含む。)の情報
- コ:合併症を含む既往歴に関する情報
- サ:他科受診の有無
- シ:副作用が疑われる症状の有無
- ス:飲食物(現に患者が服用している薬剤との相互作用が認められているものに限る。)の摂取状況等
- セ:後発医薬品の使用に関する患者の意向
- ソ:手帳による情報提供の状況
- タ:服薬指導の要点
- チ:指導した保険薬剤師の氏名
これに「次回の服薬指導計画」が加わるんですか・・・。
多いな・・・。
薬歴の減算規定が追加
現在の調剤報酬では、調剤基本料1を算定している薬局の場合、お薬手帳を持参しない場合の方が点数が高くなるため、多くの薬局では、38点(手帳あり)の方が50点(手帳なし)よりも多くなっています。
ですが、厚生労働省からは「本来38点が取れる状況でありながら、手帳の持参が少ない薬局が一定程度存在している状況にある」という指摘がありました。
この部分を是正するために、今回の罰則とも言える減算規定が加わったのだと思います。
「6月以内に再度処方箋を持参した患者のうち、手帳を持参した患者の割合が◯割以下」等の基準とあるので、レセプトの薬歴A・薬歴B・薬歴C・薬歴Dの算定割合の提出が求められるのでしょう。
※薬剤服用歴管理指導料の電算コードは以下の4種類に分かれています。
- 薬剤服用歴管理指導料A:薬歴1(6月以内に処方せんを持参した場合)
- 薬剤服用歴管理指導料B:薬歴2(6月以内に処方せんを持参した場合以外)
- 薬剤服用歴管理指導料C:薬歴3(特別養護老人ホーム入所者の場合)
- 薬剤服用歴管理指導料D:薬歴2(手帳持参なし・調剤基本料1又は4以外)
今回の罰則の対象になるのは「薬剤服用歴管理指導料D」の割合が高い薬局ということになりますね。
ちなみに、薬歴の点数自体が下がるだけではありません。
なお、この場合において、注3から注6に規定する加算は算定できない。
注3〜6・・・これは薬歴の加算を指します。(2016改定の調剤報酬点数表を参照)
- 注3:麻薬管理指導加算(22点)
- 注4:重複投薬・相互作用等防止加算(現行:30点)
- 注5:特定薬剤管理指導加算(10点)
- 注6:乳幼児服薬指導加算(現行:10点)
なかなかのダメージですね。
ただ、この減算を受ける薬局はかなり・・・な薬局だとは思いますが・・・。
かかりつけ薬剤師に関する指導料、乳幼児服薬指導加算はプラス改定では?
- かかりつけ薬剤師指導料
- かかりつけ薬剤師包括管理料
- 乳幼児服薬指導加算
この3種類については点数が改定されるようになっています。
かかりつけ薬剤師に関する指導料については、同意書の取得などが厳格化される以上、プラス改定になるんじゃないかと思っていますがどうでしょう?←(答申後)プラスでした
ところで、現在、かかりつけ薬剤師として患者さんと結んでいる同意はどうなるんでしょう?
同意の取り方自体が厳格化される以上、一度リセットになるんでしょうか?
乳幼児服薬指導加算については「評価を充実する」ってくらいなのでプラスでしょう。←(答申後)プラスでした
重複投薬・相互作用等防止加算は残薬調整とそうでないものの2種類に
資料P369〜370
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=369
II 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実
II-1-8 薬剤師・薬局による対人業務の評価
①薬局における対人業務の評価の充実
- 第2 具体的な内容:
- 重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅重複投薬・相互作用等防止管理料について、残薬調整に係るもの以外の評価を見直す。
改定案
【重複投薬・相互作用等防止加算】
注5:薬剤服用歴に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合は、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
- イ 残薬調整に係るもの以外の場合:◯点
- ロ 残薬調整に係るものの場合:◯点
【在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料】
- イ 残薬調整に係るもの以外の場合:◯点
- ロ 残薬調整に係るものの場合:◯点
重複投薬・相互作用等防止加算、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料ともに、残薬調整に係るものかどうかで点数が2分化します。
「残薬調整に係るものの場合」よりも「残薬調整に係るもの以外の場合」が高くなるんじゃないかあとは思いますがどうでしょう?
残薬調整に係るものが現在の30点から20点に下がるだけだったりして・・・。←(答申後)残薬は現状維持、それ以外はプラスでした
でも、残薬調整については疑義照会を省略できるようになれば算定しやすくなるので点数自体は下がる可能性も十分ありますよね。
重複投薬・相互作用等防止加算については薬剤師の仕事の中でもわかりやすいものだと思うので、評価を充実させてほしいなとは思います。
服薬情報等提供料も2つに分かれる
資料P370〜371
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=370
II 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実
II-1-8 薬剤師・薬局による対人業務の評価
①薬局における対人業務の評価の充実
- 第2 具体的な内容:
- 服薬情報等提供料について、保険医療機関の求めがあった場合の評価を見直す。
改定案
【服薬情報等提供料】
- 服薬情報等提供料1:◯点
- 服薬情報等提供料2:◯点
注1:1については、保険医療機関の求めがあった場合において、患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も患者の服用薬の情報等について把握し、保険医療機関へ必要な情報を文書により提供等を行った場合に月に1回に限り算定する。これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること。
注2:2については、患者又はその家族等の求めがあった場合又は薬剤師がその必要性を認めた場合において、患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も患者の服用薬の情報等について把握し、患者、その家族等、又は保険医療機関へ必要な情報提供、指導等を行った場合に算定する。保険医療機関への情報提供については、 服薬状況等を示す情報を文書により提供した場合に月1回に限り算定する。これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること。
服薬情報等提供料は、
- 保険医療機関の求めがあった場合
- 患者又はその家族等の求めがあった場合又は薬剤師がその必要性を認めた場合
の2つに分かれるようです。
服薬情報等提供料についてはこれまでも統合などを繰り返している点数です。
- H22年改定
- 服薬情報提供料
- 調剤情報提供料
- 長期投薬情報提供料1
- 長期投薬情報提供料2
- H24年改定
- 服薬情報等提供料(H22改定 服薬情報提供料+H22改定 調剤情報提供料)
- 長期投薬情報提供料1
- 長期投薬情報提供料2
- H28年改定
- 服薬情報等提供料(H24改定 服薬情報等提供料+H24改定 長期投薬情報提供料1・2)
- H30年改定
- 服薬情報等提供料(医師の指示)
- 服薬情報等提供料(そのほか)
服薬情報等提供料はなかなか手間がかかる割に評価が低いんじゃないかと思っています。
ですが、非常に大事な業務と思っていますので、今回の改定で点数での評価も手厚く、プラスにしてもらえればいいなと思います。←1が若干のプラス、2は現状維持でした
調剤料の見直し
資料P371〜372
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=371
II 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実
II-1-8 薬剤師・薬局による対人業務の評価
①薬局における対人業務の評価の充実
- 第2 具体的な内容:
- 対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるため、内服薬の調剤料を見直す。
改定案
調剤料 【内服薬(浸煎薬及び湯薬を除く。)(1剤につき)】
- イ (略)
- ロ 15日分以上 21日分以下の場合:◯点
- ハ 22日分以上 30日分以下の場合:◯点
- ニ 31日分以上の場合:◯点
調剤料については院内処方の場合と比較されていましたし、大きく下げると宣言していた前回改定でほとんど下がっていないことも指摘されていました。
今回はある程度下がるんじゃないかと覚悟しておいた方がいいでしょうね。
ちなみに、ここ数年の変化をまとめてみると・・・。
調剤料 | H26 | H28 | H30 | |
イ:14日分以下の場合 | (1)7日目以下の部分(1日分につき) | 5点 | ||
(2)8日目以上の部分(1日分につき) | 4点 | |||
ロ:15日分以上21日分以下の場合 | 71点 | 70点 | ? | |
ハ:22日分以上30日分以下の場合 | 81点 | 80点 | ? | |
ニ:31日分以上の場合 89点 | 89点 | 87点 | ? |
短冊を見る限り、今回も「15日分以上」の調剤料が改定の対象です。
14日分の調剤料63点が変わらない(と思う)ので、「15日分以上21日分以下の場合」は64〜69点の間になるはずです。
あまり下がっていないという指摘が反映されるのであれば、
- ロ 15日分以上 21日分以下の場合:
68点67点 - ハ 22日分以上 30日分以下の場合:78点
- ニ 31日分以上の場合:
83点86点
といった感じでしょうか?わかりませんが・・・。←(答申後)ほとんど下がりませんでしたね。。。
育児・介護時のかかりつけ薬剤師の勤務条件緩和
資料P419
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=419
III 医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進
III-1 チーム医療等の推進(業務の共同化、移管等)等の勤務環境の改善
③常勤の薬剤師に係る週当たりの勤務時間の特例
- 第1 基本的な考え方:常勤の薬剤師に係る週当たりの勤務時間の要件について、育児・介護時の例外的な取扱いを調剤報酬において明確化する。
- 第2 具体的な内容:一つの保険薬局に常勤している薬剤師が、育児・介護休業法に定める短時間勤務を行う際の例外規定を設ける。
改定案
【かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料】[施設基準]
当該保険薬局に週32時間以上(32時間以上勤務する他の保険薬剤師を届け出た保険薬局において、 育児・介護休業法で定める期間は週◯時間以上かつ週◯日以上である場合を含む。)勤務している。
子育て・介護中の薬剤師に対するかかりつけ薬剤師になるための勤務時間の緩和ですね。
育児中に関しては、「 育児・介護休業法で定める期間」というのは、所定労働時間短縮の義務がある3歳までを指すのか、努力義務である子供が小学校就学の始期に達するまでを指すのかどちらかでしょうか?
それとも、会社が育児による所定労働時間短と認めてくれればいいとか?
介護についても93日という最低ラインがありますが、それじゃあ短すぎる気もするので・・・。
数量シェア80%を越すための後発医薬品調剤体制加算の改定
資料P447〜448
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=447
IV 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化
IV-2 後発医薬品の使用促進
①薬局における後発医薬品の使用促進
- 第1 基本的な考え方:薬局における後発医薬品調剤体制加算について、新たな数量シェア目標を踏まえ要件を見直す。
- 第2 具体的な内容:
- 後発医薬品調剤体制加算について、後発品の調剤数量割合の基準を引き上げ、調剤数量に応じた評価に見直す。
- 後発医薬品の調剤数量割合が著しく低い薬局に対する調剤基本料の減算規定を設ける。
改定案
【後発医薬品調剤体制加算】
(処方箋 の受付1回につき)
- イ:後発医薬品調剤体制加算1:◯点
- ロ:後発医薬品調剤体制加算2:◯点
- ハ:後発医薬品調剤体制加算3:◯点
[施設基準]
当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合がそれぞれ、以下のとおりであること。
- 後発医薬品調剤体制加算1:◯%以上
- 後発医薬品調剤体制加算2:◯%以上
- 後発医薬品調剤体制加算3:◯%以上
【調剤基本料】
注6:後発医薬品の調剤に関して、別に厚生労働大臣が定める薬局において調剤した場合には、所定点数から◯点を減算する。ただし、処方箋の受付回数が1月に◯回以下の保険薬局を除く。[施設基準]
調剤基本料の注6に規定する厚生労働大臣が定める保険薬局
次のいずれかに該当する保険薬局であること。
- (1)当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が◯割以下であること。ただし、当該保険薬局における処方箋受付状況を踏まえ、やむを得ないものは除く。
- (2)(1)に係る報告を地方厚生局長等に報告していない保険薬局であること。
平成30年度から平成32年度末までの間のなるべく早い時期に後発医薬品の数量シェアを80%以上にするという目標が立てられていましたが、平成29年6月の閣議決定で2020年(平成32年)9月までに前倒しされました。
現在の後発医薬品の数量シェアは65.8%(平成29年9月)です。
これらを踏まえて後発医薬品調剤体制加算の要件が見直され、数量シェアが低い薬局については調剤基本料の減算が行われるようになります。
後発医薬品調剤体制加算の改定
後発医薬品調剤体制加算の要件の推移をまとめると・・・
- 後発医薬品調剤体制加算1:55%以上(H26)→65%以上(H28)→?(H30)
- 後発医薬品調剤体制加算2:65%以上(H26)→75%以上(H28)→?(H30)
- 後発医薬品調剤体制加算3:なし(H26)→なし(H28)→?(H30)
これを元に考えると改定後の要件はおそらく
- 後発医薬品調剤体制加算1:75%以上
- 後発医薬品調剤体制加算2:80%以上
- 後発医薬品調剤体制加算3:85%以上
のようになるんじゃないかなと思います。←(答申後)予想通りでしま
加算の推移もまとめてみます。
- 後発医薬品調剤体制加算1:18点(H26)→18点(H28)→?(H30)
- 後発医薬品調剤体制加算2:22点(H26)→22点(H28)→?(H30)
- 後発医薬品調剤体制加算3:なし(H26)→なし(H28)→?(H30)
改定後の要件を予想してみると・・・
- 後発医薬品調剤体制加算1:
15点18点 - 後発医薬品調剤体制加算2:
20点22点 - 後発医薬品調剤体制加算3:
30点26手湯
のようになるんじゃないかなと思います。(3については希望です)←(答申後)点数については現状維持、3は上乗せって形でしたね
何としても後発医薬品調剤体制加算3を達せしてやる!と思える点数であって欲しいですね。
後発医薬品の数量シェアによっては調剤基本料の減算も
今回の改定から後発医薬品の使用量が少ない場合は調剤基本料の減算対象になります。
ついに減算まで加わりましたか・・・。
前回の改定の際に話題になりましたからね。
だいたい、前回の改定で話題になったけど加わらなかったものってその次で反映されますよね。
後発医薬品の数量シェアが60%20%以下、もしくはその報告をしていない薬局が対象で、月の受付回数が2,000回600回を超える場合、5点2点の減点といったところでしょうか?(完全に個人的な予想です)
減算を入れると、後発医薬品使用量だけで「加算3、加算2、加算1、なし、減算」の5段階に分かれる事になりますね・・・。
医師の指示による分割調剤の見直し
資料P464〜468
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=464
IV 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化
IV-6 医薬品の適正使用の推進
④処方料等及び処方箋様式の見直し
- 第1 基本的な考え方:外来機能の役割分担の推進及び分割調剤に係る医師の指示や分割調剤を行った際の手続きの明確化・合理化を図る観点から、処方に係る加算及び処方箋の様式を見直す。医療機関と薬局の連携による医薬品の適正使用を推進するため、残薬に係る疑義照会の取扱いを明確にする。
- 第2 具体的な内容:
- 分割調剤の手続きの明確化・合理化を図る観点から、分割調剤に係る処方せん様式を追加するとともに、具体的な取扱いを明確にする。
[分割調剤に係る留意事項]
- (1)分割指示に係る処方せんを発行する場合、分割の回数は3回までとすること。
- (2)分割指示に係る処方せんを発行した場合は、患者に対し、調剤を受ける度に、記載された回数に応じた処方せん及び別紙を保険薬局に提出するよう指導すること。
- (3)保険薬局の保険薬剤師は、分割指示に係る処方せんの交付を受けた患者に対して、継続的な薬学的管理指導のため、同一の保険薬局で調剤を受けるべきである旨を説明すること。
- (4)保険薬局の保険薬剤師は、患者の次回の調剤を受ける予定を確認すること。予定される時期に患者が来局しない場合は、電話等により調剤の状況を確認すること。患者が別の保険薬局にて調剤を受けることを申し出ている場合は、当該保険薬局に調剤の状況とともに必要な情報を予め提供すること。
- (5)受付保険薬局情報において、1枚目の処方せんが処方せんの使用期間内に受け付けられたことが確認できない場合は、当該処方せんは無効とすること。
「医師の指示による分割調剤」についての復習
現在、分割調剤は3種類存在しています。
- 長期投薬分割調剤(長期処方された薬の保存が困難な場合)
- 後発医薬品分割調剤(後発品のお試し調剤)
- 医師の指示による分割調剤
「医師の指示による分割調剤」は前回2016年の調剤報酬改定で追加になったものです。
以前から存在した「長期投薬」、「後発医薬品」と異なる点は、
- 医師の指示が必要なこと
- 分割調剤基本料(5点)は算定できない
ということです。
分割調剤基本料が取れないということで、薬局がこの分割調剤を受けることの「点数的な」メリットはありません。
調剤基本料及びその加算、区分番号01に掲げる調剤料及びその加算並びに第2節に掲げる薬学管理料は、分割回数が2回の場合は、それぞれの所定点数の2分の1に相当する点数を、分割回数が3回以上の場合は、それぞれの所定点数の3分の1に相当する点数を1分割調剤につき算定する。
90日分を3回に分割した場合、毎回、90日分×3分の1の点数を算定することになります。
例えば2回目だけ重複投薬・相互作用等防止加算を算定したとしてもその点数は1/3になってしまうということです。
行う行為は同じなので点数は下がるという意味ではデメリットとも言えると思います。
ですが、医師の指示による分割調剤は日本版リフィル処方箋とも言えるものです。
これが、普及すれば、これまでの門前ばかりに処方箋が集中する状態から、自宅の近くやかかりつけ薬剤師がいる薬局に処方箋が分散していく、真の医薬分業に近づきます。
長期的に見れば、これは薬局にとって大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
分割の回数は3回までに
今回の改定で分割の回数は3回までになります。
これにより影響を受ける部分が一つ。
上に、医師の分割調剤において点数的なメリットはないと書きましたが、実は現行の制度ではメリットが生じる可能性がありました。
それは、4回以上に分割して調剤を行った場合です。
分割回数が3回以上の場合は、それぞれの所定点数の3分の1に相当する点数を1分割調剤につき算定
のように、3回以上の場合は所定点数の1/3となっているので、4回分割した場合は4回とも調剤を受ければ通常の4/3、5回分割した場合は5/3となるようになっていました。
それが今回の改定で無くなるということですね。
まあ、当然の改定かと思います。
っていうか、なんで前回はこんなルールにしたんでしょう?
分割調剤の実施ルールが細かく規定
分割調剤を行ったことがある人はご存知かと思いますが、慣れないと調剤録の保管など結構ややこしいですよね。
今回、「医師の指示による分割調剤」について、細かいルールが決められています。
これは「医師の指示による分割調剤」の対象となる人を考えると当然ですよね。
処方箋と別に分割調剤を記録する様式が登場
分割指示に係る処方せんを発行した場合は、患者に対し、調剤を受ける度に、記載された回数に応じた処方せん及び別紙を保険薬局に提出するよう指導すること。
これが今回一番大きいポイントですね、
発行保険医療機関情報(電話番号、FAX番号、そのほか連絡先)に加えて、各分割調剤の受付保険薬局情報(名称、所在地、保険薬剤師氏名・印、受付年月日)を記載するようになっています。
また、今回の診療報酬改定に合わせて処方箋の様式自体も変更になります。
右上の主保険の上部欄外に「分割指示の処方箋 分割の 枚目」という記載が追加になっています。
医師の指示による分割処方についての留意事項
分割指示の処方箋を取り扱う際の留意事項が追加になっています。
- 同じ薬局で調剤を受けるべきである旨を指導する
- 次回の調剤の予定を確認する
- 予定の時期に患者が来ない場合は電話等で確認すること
- 他の薬局で調剤を受けることがわかっている場合はその薬局に情報提供を行うこと
- 1枚目の処方箋が使用期間内に受け付けられたと確認できない場合は無効となる
日本版リフィル処方箋に成長することに期待
医師の指示による分割調剤・・・。
名前こそ今までと同じ「分割調剤」ですが、これは日本版リフィル処方と言えるものに近づいていませんか?
調剤報酬において金銭的コストがかからないのは一見デメリットに見えますが、コストがかからないということは、今後、診療報酬によるインセンティブが付けば、一気に普及する可能性を持っています。
その場合、何が起こるか?
門前薬局に集まっていた処方が真のかかりつけ薬局に移行していくはずです。
2回目、3回目のことを考えると門前でもらうメリットは薄れますよね。
これこそが、「門前から地域へ」、「かかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局」の評価に繋がるのではないでしょうか?
立地により処方をキープして調剤報酬アップにより単価を増やす時代から、本当の意味で患者を獲得することにより経営する時代に変わっていくのではないかと思います。
そのためには在庫管理の問題など色々な壁はあると思いますが・・・。(地域で使用する薬剤リストであるフォーミュラリーの策定を希望したいですね)
残薬調整に係る疑義紹介の見直し
資料P466
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=466
IV 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化
IV-6 医薬品の適正使用の推進
④処方料等及び処方箋様式の見直し
- 第2 具体的な内容:
- あらかじめ医療機関と薬局で合意した方法により、残薬調整に係る疑義照会の取扱いを明確にする。
これまでも、近隣医療機関と協議の上で残薬調整に関する疑義紹介を省略していた薬局は存在すると思いますが・・・。
これが正式なものとして認められることになりますね。
個人的には前回の改定の際にこうなっておくべきだったと思うのでこれは当然の改定です。
調剤基本料の改定
答申後に記事を作成していますのでそちらの内容を優先してください。
調剤基本料は敷地内薬局・チェーン薬局・医療ビル(モール)などを対象とした内容が追加〜H30年度調剤報酬改定 – 薬剤師の脳みそ
この記事の内容は修正はしていますが古いものです。
資料P470〜476
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000191963.pdf#page=464
IV 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の強化
IV-7 効率性等に応じた薬局の評価の推進
①いわゆる門前薬局の評価の見直し
- 第1 基本的な考え方:
- 医薬品の備蓄等の効率性や医療経済実態調査に基づく薬局の収益状況 等を踏まえ、現行の処方箋受付回数及び特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤割合に基づく調剤基本料の特例対象範囲について拡大するとともに、特に大型の門前薬局について、更なる評価の見直しを行う。 また、同様に医薬品の備蓄等の効率性も考慮し、いわゆる同一敷地内薬局の評価を見直す。
- 薬価調査が適切に実施される環境整備を図るため、「流通改善ガイドライン」を踏まえ、調剤基本料等に係る未妥結減算制度を見直す。
- 第2 具体的な内容:
- 現行の処方箋受付回数及び特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤割合に基づく調剤基本料の特例対象範囲について以下のとおり拡大する。
- (1)調剤基本料3について、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合の基準を引き下げる。
- (2)調剤基本料3について、グループ全体の処方箋受付回数が多い、特に大型の門前薬局の評価をさらに適正化する。
- (3)調剤基本料2について、処方箋の受付回数が2,000回を超える保険薬局における特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合の基準を引き下げる。
- (4)調剤基本料2について、以下の場合を追加する。
- 当該保険薬局の所在する建物内に複数保険医療機関が所在する場合にあっては、当該保険医療機関からの処方箋を全て合算した回数が一定数を超える場合。
- 同一グループに属する他の保険薬局において、保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が最も高い保険医療機関が同一の場合は、 当該他の保険薬局の処方箋を含めた受付回数が一定数を超える場合。
- (5)特定の医療機関との不動産取引の関係がある等のいわゆる同一敷地内薬局に対する評価を見直す。
- 保険薬局の調剤基本料について、簡素化も考慮し、未妥結減算及び薬剤師のかかりつけ機能に係る業務を実施していない場合の減算を統合する。(「I-4(4)」を参照のこと。)
改定案
【調剤基本料】
- 調剤基本料1:◯点
- 調剤基本料2:◯点
- 調剤基本料3:
- イ 同一グループの保険薬局による処方箋受付回数◯回超◯回以下の場合:◯点
- ロ 同一グループの保険薬局による処方箋受付回数◯回超の場合:◯点
- 調剤基本料4:(削除)
- 調剤基本料5:(削除)
- 注2:別に厚生労働大臣が定める保険薬局については、注1本文の規定にかかわらず、特別調剤基本料として◯点を算定する。
- 注3:別に厚生労働大臣が定める保険薬局においては、所定点数の100分の◯に相当する点数により算定する。
[施設基準]
調剤基本料1:調剤基本料2、調剤基本料3のイ、調剤基本料3のロ又は調剤基本料の注2の(1)に該当しない保険薬局であること
調剤基本料2:
- イ 以下のいずれかに該当する保険薬局。ただし調剤基本料3のイ、 調剤基本料3のロ又は調剤基本料の注2の(1)に該当する保険薬局を除く。
- ①(略)
- ②処方箋の受付回数が1月に2,000回を超えること(特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が◯割を超える場合に限る。)
- ③特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数(当該保険薬局の所在する建物内に複数保険医療機関が所在する場合にあっては、当該保険医療機関からの処方箋を全て合算した回数とする。)が月4,000回を超えること
- ④特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数(同一グループに属する他の保険薬局において、保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が最も高い保険医療機関が同一の場合は、当該他の保険薬局の処方箋の受付回数を含む。)が月◯回を超えること
調剤基本料3
- イ:同一グループの保険薬局における処方箋受付回数の合計が1月に◯回を超えて、◯回以下のグループに属する保険薬局のうち、以下のいずれかに該当する保険薬局。ただし、調剤基本料3のロ又は調剤基本 料の注2の(1)に該当する保険薬局を除く。
- ①特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が◯割を超える保険薬局
- ②(略)
- ロ:同一グループの保険薬局における処方箋受付回数の合計が1月に◯回を超えるグループに属する保険薬局のうち、以下のいずれかに該当する保険薬局。ただし、調剤基本料の注2の(1)に該当する保険薬局を除く。
- ①特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が◯割を超える保険薬局
- ②(略)
[調剤基本料注1のただし書きに規定する施設基準]
(1)次のすべてに該当する保険薬局であること。
- イ:「基本診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第62号)の別表第六の二に規定する地域に所在すること。
- ロ:当該保険薬局が所在する特定の区域内において、保険医療機関数(歯科医療を担当するものを除く。)の数が◯以下であって、許可病床の数が◯床以上の保険医療機関が存在しないこと。ただし、特定の保険医療機関に係る処方箋の調剤割合が◯割を超える場合であって、当該保険医療機関 が特定区域外に所在するものについては、当該保険医療機関を含むものとする。
- ハ:処方箋受付回数が一月に◯回を超えないこと。
[調剤基本料注2に規定する厚生労働大臣が定める保険薬局]
次のいずれかに該当する保険薬局であること。
- (1)病院である保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を有している保険薬局であって、 当該病院に係る処方箋による調剤の割合が◯割を超えること。
- (2)調剤基本料1、2、3のイ及び3のロのいずれにも該当しない保険薬局
[調剤基本料の注3に規定する保険薬局]
次のいずれかに該当する保険薬局であること
- (1)当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告し、妥結率が◯割以下であること。
- (2)当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告していない保険薬局であること。
- (3)薬剤師のかかりつけ機能に係る基本的な業務を1年間実施していない保険薬局。ただし、処方箋の受付回数が1月に◯回以下の保険薬局を除く。
調剤基本料は整理されます
前回の改定で調剤基本料は6種類に細分化されました。
それに加えて「 月間600回超の薬局においてかかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務を1年実施していない」場合は100分の50(1/2)に減算されるため、12種類(点数としては11種類)存在していました。
- 調剤基本料1:41点(21点)
- 調剤基本料2:25点(13点)
- 調剤基本料3:20点(10点)
- 調剤基本料4:31点(16点)
- 調剤基本料5:19点(10点)
- 特別調剤基本料:15点(8点)
今回はこの分類が見直され、調剤基本料が整理されます。
(以下のように妥結率に関する内容が減算対象に加わっています)
減算の理由は「 月間◯回超の薬局においてかかりつけ薬局の基本的な機能に係る業務を1年実施していない」に「妥結率が◯割以下、単品単価契約率及び一律値引き契約について報告していない」が加わっています。
- 調剤基本料1:◯点(◯点)
- 調剤基本料2:◯点(◯点)
- 調剤基本料3:◯点(◯点)
- 特別調剤基本料:◯点(◯点)
調剤基本料2に医療ビル等に関する内容が追加
調剤基本料2は大型門前薬局に関する調剤基本料の規定と言えます。
2016改定では、以下の薬局が調剤基本料2の対象となっていました。
- イ:月4,000回超かつ集中率70%超
- ロ:月2,000回超かつ集中率90%超
- ハ:特定の保険医療機関に係る処方せんが月4,000回超
今回の改定では以下の内容が追記されます。
イ:以下のいずれかに該当する保険薬局。ただし調剤基本料3のイ、 調剤基本料3のロ又は調剤基本料の注2の(1)に該当する保険薬局を除く。
- ①(略)
- ②処方箋の受付回数が1月に2,000回を超えること(特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が◯割を超える場合に限る。)
- ③特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数(当該保険薬局の所在する建物内に複数保険医療機関が所在する場合にあっては、当該保険医療機関からの処方箋を全て合算した回数とする。)が月4,000回を超えること
- ④特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数(同一グループに属する他の保険薬局において、保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が最も高い保険医療機関が同一の場合は、当該他の保険薬局の処方箋の受付回数を含む。)が月◯回を超えること
まとめると以下に当てはまる場合は調剤基本料2となります。
- ①:月4,000回超かつ集中率70%超
- ②:月2,000回超かつ集中率◯%超
- ③:特定の保険医療機関に係る処方せんが月4,000回超(薬局と同じ建物に複数の医療機関が存在する場合はそれらの処方箋受付回数を合計する)
- ④:特定の保険医療機関に係る処方せんが月◯回超(同一グループの薬局で集中率が最も高い処方箋発行元が同じ場合は該当する薬局薬局の処方箋受付回数を合計する)
③の()内は医療ビルに対する内容となっていますし、④については大病院の前に複数薬局を作っているグループ薬局が対象ですね。
月2,000回超の薬局に求められる集中率は?
まず、「②:月2,000回超かつ集中率◯%超」について考えてみます。
現行は90%超となっていますが厳しくなるのは間違いないと言えます。
おそらく、「80%超」となるんじゃないかと思います。←(答申後)85%でした
「85%超」のように刻んでくることはないんじゃないかと個人的には思います。
医療ビルは全ての医療機関の処方箋を合計
「③:特定の保険医療機関に係る処方せんが月4,000回超(薬局と同じ建物に複数の医療機関が存在する場合はそれらの処方箋受付回数を合計する)」
これは医療ビルに薬局を作っている場合、かなり辛い改定ですよね・・・。
事実として、調剤薬局チェーンが医療ビルを企画して、入居する医療機関を探して、ビル運営会社に託しているケースが多く存在すると思います。
完成すれば収益性が高いものになりますが、そこまでのコストは計り知れないので、それらが吹き飛ぶ形ではありますよね。
経営努力が無駄になる・・・とも思えますが、本来、薬局チェーンが医療ビルの医療機関に関わること自体がグレーなことなのでしょうがないのかもしれませんね。
大病院門前の同一グループ薬局に対する改定
「④:特定の保険医療機関に係る処方せんが月◯回超(同一グループの薬局で集中率が最も高い処方箋発行元が同じ場合は該当する薬局薬局の処方箋受付回数を合計する)」
これはおそらく、大病院前に複数店舗を展開しているチェーン薬局を対象としていると思うのですが・・・。
たまに病院前に2つの同一薬局が存在しているケースがありますよね。
そういったケースでは、両方の薬局の該当医療機関の処方箋受付回数を合計して月◯回超を超えた場合は調剤基本料2の対象となります。
これ何回が対象になりますかね?
医療ビルよりは緩くなるんじゃないかと思うのですが・・・。
5,000回とかでしょうか?←(答申後)医療ビルと同じく4000回でした
チェーン薬局に対する調剤基本料3はさらに厳しく
2016改定で追加されたチェーン薬局に対する調剤基本料3。
今回の改定ではその内容がさらに厳しくなりそうです。
2016改定での内容は以下の通りです。
- 同一法人グループ内の処方せんの合計が月40,000回超かつ次のいずれかに該当
- イ:集中率95%超
- ロ:特定の保険医療機関と不動産の賃貸借関係あり
今回の改定では以下のようになります。
- イ:同一法人グループ内の処方せんの合計が月◯回超◯回以下かつ次のいずれかに該当
- ①特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が◯割を超える保険薬局
- ②特定の保険医療機関と不動産の賃貸借関係あり
- ロ:同一法人グループ内の処方せんの合計が月◯回超かつ次のいずれかに該当
- ①特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が◯割を超える保険薬局
- ②特定の保険医療機関と不動産の賃貸借関係あり
これ、かなり厳しくなるような気がするんですがいかがでしょうか?
おそらく、イは25,000〜35,000で95%、ロは35,000超で90%とかなりそうな気が・・・。←(答申後)イは40,000〜400,000で85%、ロは400,000超で85%でした
何と言っても、大型門前薬局に対する評価の適正化を行い「国費でマイナス56億円」ですからね・・・。
医療提供体制が特に限定的な区域は調剤基本料の特例対象から除外
これについては上の方ですでにまとめましたね。
まとめ
ざっとまとめてみましたがいかがでしょうか?
チェーン薬局に所属している場合、やはり調剤基本料に関する改定が厳しいですよね・・・。
後発医薬品調剤体制加算については(おそらく)85%を超えることができればプラスで残りは今までよりは点数が下がるんじゃないかなと勝手に思っています。
あまり後発品を使っていない薬局は減算が怖いですね・・・。
今まで基準調剤加算を算定していた薬局であれば地域支援体制加算は算定できるはずです。
調剤料はしょうがないですが、薬歴も下がりそうな気がしますね・・・。
かかりつけ薬剤師に関する指導料を多く算定している場合、今までの同意がどうなるかが気になるところですね。
施設在宅を多く算定している場合、人数による点数の細分化でどの程度下がるかが気になるところだと思います。
そのほかの薬学管理料についてはプラスか変わらないかだと思うのですが、残薬調整の場合の重複投薬・相互作用等防止加算については下がりそうな気もしますね。
調剤基本料1と後発医薬品調剤体制加算3が取れれば変わらないか、ひょっとしたらプラスになる改定なんじゃないかと思っています。
(個人的な希望も込めて)
蓋を開けてみるまでどうなるかはわかりませんが、これまで以上に後発医薬品の使用量を増やして改定に備える薬局が多いんじゃないかと思います。
また、新しい指導料などについてもスムーズに算定できるよう準備をしておきたいですね。