ピボキシル基を有する薬剤の添付文書改定~低カルニチン血症とピボキシル基

2015年10月、一部のピボキシル基を有する薬剤の添付文書改訂が行われました。
使用上の注意 重要な基本的注意に「血清カルニチンが低下する先天性代謝異常であることが判明した場合には投与しないこと」という文章が追加されました。
元々、小児に対するピボキシル基を有する薬剤の使用で血清カルニチンの低下が起こることが知られてはいましたが、今回のものは、先天的に血清カルニチンが低下することが明らかになっている場合の注意喚起を明確にした改訂です。

※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

ピボキシル基を有する抗生物質をまとめます。

  • セフジトレンピボキシル(メイアクト等)
  • セフカペンピボキシル(フロモックス等)
  • セフテラムピボキシル(トミロン等)
  • テビペネムピボキシル(オラペネム等)

低カルニチン血症が低血糖を引き起こす

カルニチンは、ミトコンドリア内で行われる、脂肪酸のβ酸化に必須です。
カルニチンは食事から摂取したり、アミノ酸から生合成を行うこと維持されています。
人は、空腹時には、脂肪酸のβ酸化を行うことで、必要なエネルギーを確保し、糖新生を行います。
しかし、何らかの理由で、カルニチン欠乏状態だと脂肪酸のβ酸化を行うことができないため、空腹等で血糖が低下しても糖新生が行えず、低血糖を起こしてしまいます。

ピボキシル基が低カルニチン血症を引き起こす理由

ピバリン酸がエステル結合した部分をピボキシル基となります。
上に挙げた抗生物質は、消化管からの吸収を促進するために、ピバリン酸を(ピボキシル基として)結合しています。
(セフェム系はそのままの形では消化管からほとんど吸収されません)
消化管から吸収後、代謝を受けると活性本体とピバリン酸に分かれます。
ピバリン酸はカルニチン抱合を受けピバロイルカルニチンとなり、尿中へ排泄されます。
そのため、ピボキシル基をもつ薬剤を服用することで、血清カルニチンが低下してしまいます。

これまでも繰り返されてきた注意喚起

さて、ピボキシル基と低カルニチン血症の関係、皆さんはご存じだったでしょうか?
多くの方は耳にしたことがあるかと思います。
それというのも、過去に何回も注意喚起が呼びかけれてきた話だからです。

平成17年12月2日 使用上の注意改訂指示

  • 塩酸セフカペンピボキシル(小児用細粒剤)
  • セフジトレンピボキシル(小児用細粒剤)
  • セフテラムピボキシル(小児用細粒剤)

http://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/revision-of-precautions/0129.html#7

平成24年4月24日 使用上の注意改訂指示

  • セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物錠
  • セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物細粒
  • セフジトレン ピボキシル錠
  • セフジトレン ピボキシル細粒
  • セフテラム ピボキシル錠
  • セフテラム ピボキシル細粒
  • テビペネム ピボキシル細粒

http://www.pmda.go.jp/files/000145832.pdf

平成27年10月添付文書改訂

そして、今回の添付文書改訂です。
ピボキシル基と聞いたら低カルニチン血症、とつながるように十分認識しておかなければならないということですね。

まとめ

そもそも、ピボキシル基を有する薬剤のほとんどは海外では承認されていないようです。
また、この中で唯一、欧米で承認されているセフジトレンピボキシルも成人用のみのようですね。
欧米で、小児に対してピボキシル基を使用する経験がないことから、国外のデータがほとんどないことが想像できます。

先天性の低カルニチン血症はもちろんですが、そうでない場合にも長期間の服用は避けたいところです。
服用二週間未満でも安心はできません。
一日服用しただけで低カルニチン血症を引き起こした症例もあるようなので、不要であれば小児への使用は避けたいところではありますね。
服用中はカルニチン欠乏→低血糖とならないように、規則正しい食事の摂取が必須です。
服用期間中は空腹状態を作らないように指導を行うべきですね。

一般名処方であれば、その名前に「ピボキシル」が入るのでわかりやすいですが、そうでない場合もわかるように、一般名を覚えていない方は、代表的な薬剤名を覚えておきましょう。

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