薬剤服用歴管理指導料の改定〜非常に厳しい特例の新設と記載項目の変更

平成30年度(2018年度)調剤報酬改定での薬剤服用歴管理指導料に関する改定についてまとめます。
薬歴に関する改定の主な内容は以下の通りです。

薬剤服用歴管理指導料平成28年度平成30年度
1(6ヶ月以内)38点41点
2(1以外)50点53点
3(特別養護老人ホーム入居者)38点41点
注(調剤基本料1以外、お薬手帳なし)50点53点
特例(お薬手帳持参率50%以下新設13点
  • 服薬指導で「抗微生物薬適正使用の手引き」を参考とし、抗菌薬の適正使用が重要であることの普及啓発に資する取組を行うことが望ましい
  • 今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点を薬歴に記録
  • レセプト上の薬歴分類の細分化

今回の記事で参考にしたサイト・資料へのリンク

※()内は印刷用のページ番号です

薬剤服用歴管理指導料の改定についての考え方

まずは、薬剤服用歴管理指導料の改定についての考え方についてです。
個別改定項目のP327〜328P368に記載されている内容です。

【II-1-6 感染症対策や薬剤耐性対策、医療安全対策の推進-2】
②外来診療等における抗菌薬の適正使用の推進 骨子<II-1-6(2)>

  • 第1 基本的な考え方
    薬剤耐性菌対策は国際的にも重要な課題となっており、様々な対策が進められている。外来診療等における抗菌薬の適正使用に関する患者・ 家族の理解向上のため、地域包括診療料等及び薬剤服用歴管理指導料について、以下のように見直す。
  • 第2 具体的な内容
    1. 再診料の地域包括診療加算若しくは認知症地域包括診療加算、地域包括診療料若しくは認知症地域包括診療料、薬剤服用歴管理指導料又は小児科外来診療料若しくは小児かかりつけ診療料を算定する場合は、抗菌薬の適正使用に関する普及啓発に努めていること及び「抗微生物薬適正使用の手引き」に則した治療手順等、抗菌薬の適正使用に資する診療を行うことを要件として追加する。

【II-1-8 薬剤師・薬局による対人業務の評価-1】
①薬局における対人業務の評価の充実 骨子<II-1-8>

  • 第1 基本的な考え方
    対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるため、内服薬の調剤料の評価を見直すとともに、対人業務に係るかかりつけ薬剤師指導料や 薬剤服用歴管理指導料等の薬学管理料を充実する。
  • 第2 具体的な内容
    1. 適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局に対する薬剤服用歴管理指導料の区分を新設する。
    2. 継続的な薬学的管理・指導等を推進するため、薬剤服用歴の記録に次回の服薬指導の計画を追加するとともに、かかりつけ薬剤師指導料、薬剤服用歴管理指導料等について評価を見直す。これに併せて、乳幼児に対する当該加算の評価を充実する。

以上から読み取れる今回の改定での薬歴管理指導料に関するトピックスは以下の内容になります。

  • 抗菌薬の適正使用に関する普及啓発
  • お薬手帳の活用実績が相当程度あると認められない薬局に対する区分の新設
  • 薬歴(薬剤服用歴)の記録に次回の服薬指導計画を追加

ベースはプラス改定だが特例が追加・・・

薬剤服用歴管理指導料については、算定要件が厳格化され、点数についてはこれまで通りかもしくは下がるか考えていたのですが・・・。
蓋を開けてみるとびっくり!まさかの点数アップでした。
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  • 薬剤服用歴管理指導料1(原則6月以内に再度処方箋を持参した患者に対して行った場合):38点→41点
  • 薬剤服用歴管理指導料2(1の患者以外の患者に対して行った場合):50点→53点
  • 薬剤服用歴管理指導料3(特別養護老人ホームに入所している患者に訪問して行った場合):38点→41点
  • 薬剤服用歴管理指導料の特例(お薬手帳の活用実績が少ない場合):(新設)13点

薬歴の記載項目に「次回の服薬指導計画」が追加されることについては気になりますが、この点数アップはかなり大きいですね。
ただし、注目したいのは特例の追加です。
特例の対象となった場合、薬剤服用歴管理指導料は一律13点となってしまいます。
さらに、各種加算も算定不可に・・・。

それでは、改定内容を詳しく見て行きたいと思います。

薬剤服用歴管理指導料の算定要件

別表第三 調剤報酬点数表の4〜5ページに算定要件の概略が記載されています。
また、別添3 調剤報酬点数表に関する事項の12〜17ページにより詳しい算定要件が記載されています。
内容を転載しますがかなり長いので必要に応じてそれぞれクリックして文章を展開してください。

 

旧薬剤服用歴管理指導料の算定要件

次に比較対象として、前回改定(H28年度改定)での薬剤服用歴管理指導料の算定要件に関する記載を以下に転載します。
別表第三 調剤報酬点数表(H28年度)の3〜4ページに算定要件の概略が記載されています。
また、別添3 調剤報酬点数表に関する事項(H28年度)の11〜16ページにより詳しい算定要件が記載されています。
こちらについても内容を転載しますが同じくかなり長いので必要に応じてそれぞれクリックして文章を展開してください。

  • 患者ごとに作成した薬剤服用歴の記録に基づいて、処方された薬剤の重複投薬、相互作用、薬物アレルギー等を確認した上で、次に掲げる事項その他の事項を文書又はこれに準ずるもの(以下「薬剤情報提供文書」という。)により情報提供し、薬剤の服用に関し、基本的な説明を患者又はその家族等に行うこと。
    • (イ)当該薬剤の名称(一般名処方による処方せん又は後発医薬品への変更が可能な処方せんの場合においては、現に調剤した薬剤の名称)、形状(色、剤形等)
    • (ロ)用法、用量、効能、効果
    • (ハ)副作用及び相互作用
    • (ニ)服用及び保管取扱い上の注意事項
    • (ホ)保険薬局の名称、情報提供を行った保険薬剤師の氏名
    • (ヘ)保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等
  • 患者又はその家族等と対話することにより、当該患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化、残薬の状況等の情報を収集し、その要点を薬剤服用歴の記録に記載するとともに、これに基づき、投与される薬剤の適正使用のために必要な服薬指導を行うこと。薬剤服用歴の記録への記載は、指導後速やかに完了させるとともに、同一患者についての全ての記録が必要に応じ直ちに参照できるよう患者ごとに保存・管理すること。
  • 手帳を用いる場合は、調剤を行った薬剤について、調剤日、当該薬剤の名称(一般名処方による処方せん又は後発医薬品への変更が可能な処方せんの場合においては、現に調剤した薬剤の名称)、用法、用量その他必要に応じて服用に際して注意すべき事項を患者の手帳に経時的に記載すること。
  • 残薬の状況については、患者ごとに作成した薬剤服用歴の記録に基づき、患者又はそ の家族等から確認し、残薬が確認された場合はその理由も把握すること。また、残薬が相当程度認められると判断される場合には、処方医に対して連絡、投与日数等の確認を行うよう努めること。
  • 薬剤情報提供文書により、調剤した薬剤に対する後発医薬品に関する情報について患者に提供すること。

 

  • 薬剤服用歴管理指導料は、同一患者について第1回目の処方せん受付時から算定できる。
  • 薬剤服用歴の記録には、次の事項等を記載し、最終記入日から起算して3年間保存する。
    • 氏名・生年月日・性別・被保険者証の記号番号・住所・必要に応じて緊急時の連絡先等の患者についての記録
    • 処方した保険医療機関名及び保険医氏名・処方日・処方内容等の処方についての記録
    • 調剤日・処方内容に関する照会の要点等の調剤についての記録
    • 患者の体質・アレルギー歴・副作用歴等の情報
    • 患者又はその家族等からの相談事項の要点
    • 服薬状況
    • 残薬の状況
    • 患者の服薬中の体調の変化
    • 併用薬等(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品及びいわゆる健康食品を含む。)の情報
    • 合併症を含む既往歴に関する情報
    • 他科受診の有無
    • 副作用が疑われる症状の有無
    • 飲食物(現に患者が服用している薬剤との相互作用が認められているものに限る。)の摂取状況等
    • 後発医薬品の使用に関する患者の意向
    • 手帳による情報提供の状況
    • 服薬指導の要点
    • 指導した保険薬剤師の氏名
  • 3.のエからセまでの事項については、処方せんの受付後、薬を取りそろえる前に、保険薬剤師が患者等に確認すること。
  • 1.のアの薬剤情報提供文書により行う薬剤に関する情報提供は、調剤を行った全ての薬剤の情報が一覧できるようなものとする。ただし、調剤した薬剤をやむを得ず複数の薬袋に入れ交付する場合は、薬袋ごとに一覧できる文書とすることができる。なお、薬剤情報提供文書については、処方内容が前回と同様の場合等においては、必ずしも指導の都度、患者に交付する必要はないが、患者の意向等を踏まえた上で交付の必要性を判断し、交付しない患者にあってはその理由を薬剤服用歴の記録に記載する。
  • 薬剤情報提供文書における「これに準ずるもの」とは、視覚障害者に対する点字、ボイスレコーダー等への録音その他のものをいう。
  • 効能、効果、副作用及び相互作用に関する記載は、患者等が理解しやすい表現によるものとする。また、提供する情報の内容については正確を期すこととし、文書において薬剤の効能・効果等について誤解を招く表現を用いることや、調剤した薬剤と無関係の事項を記載しないこと。
  • 情報提供に当たって、抗悪性腫瘍剤や複数の異なる薬効を有する薬剤等であって特に配慮が必要と考えられるものについては、情報提供の前に処方せん発行医に確認する等慎重に対応すること。
  • 服薬指導は、処方せんの受付の都度、患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化(特に重大な副作用が発現するおそれがある医薬品については、当該副作用に係る自覚症状の有無及び当該症状の状況)を確認し、新たに収集した患者の情報を踏まえた上で行うものであり、その都度過去の薬剤服用歴の記録を参照した上で、必要に応じて確認・指導内容を見直す。また、確認した内容及び行った指導の要点を、薬剤服用歴の記録に記載する。なお、副作用に係る自覚症状の有無の確認に当たっては、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」(厚生労働省)等を参考とする。
  • 「手帳」とは、経時的に薬剤の記録が記入でき、かつ次のアからウまでに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳をいう。
    • ア 患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録
    • イ 患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録
    • ウ 患者の主な既往歴等疾患に関する記録手帳の当該欄については、保険薬局において適切に記載されていることを確認するとともに、記載されていない場合には、患者に聴取の上記入するか、患者本人による記入を指導するなどして、手帳が有効に活用されるよう努める。
      なお、手帳に初めて記載する保険薬局の場合には、保険薬局の名称、保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等を記載すること。
  • 手帳については、患者に対して、手帳を保有することの意義、役割及び利用方法等について十分な説明を行い、患者の理解を得た上で提供することとし、患者の意向等を確認した上で手帳を用いないこととした場合にあっては、その理由を薬剤服用歴の記録に記載する。なお、手帳を保有しているが、持参を忘れた患者に対しては、「注1」のただし書の点数を算定することになる旨説明するとともに、次回以降は手帳を持参するよう指導すること。
  • 1.のウの手帳への記載による情報提供は、調剤を行った全ての薬剤について行うこととする。この場合において、「服用に際して注意すべき事項」とは、重大な副作用又は有害事象等を防止するために特に患者が服用時や日常生活上注意すべき事項、あるいは投薬された薬剤により発生すると考えられる症状(相互作用を含む。)等であり、投薬された薬剤や患者の病態に応じるものである。
  • 手帳による情報提供に当たっては、患者に対して、保険医療機関を受診する際には医師又は歯科医師に手帳を提示するよう指導を行う。また、患者が、保険医療機関や他の保険薬局から交付されたものを含め、複数の手帳を所有していないか確認するとともに、所有している場合は患者の意向を確認した上で、同一の手帳で管理できると判断した場合は1 冊にまとめる。なお、1冊にまとめなかった場合については、その理由を薬剤服用歴の記録に記載する。
  • 患者が手帳を持参し忘れた場合は、手帳に追加すべき事項が記載されている文書(シー ル等)を交付し、患者が現に利用している手帳に貼付するよう患者に対して説明することで、既に患者が保有している手帳が有効に活用されるよう努めるとともに、当該患者が次回以降に手帳を持参した場合は、当該文書が貼付されていることを確認する。
  • 電子版の手帳については、「お薬手帳(電子版)の運用上の留意事項について」(平成27年11月27日薬生総発第1127第4号)の「第三 運営事業者等が留意すべき事項」を満たした手帳であれば、紙媒体の手帳と同様の取扱いとする。その際、保険薬局においては、同通知の「第二 提供薬局等が留意すべき事項」を満たす必要がある。
  • 手帳の媒体(紙媒体又は電子媒体)は患者が選択するものであり、手帳の提供に当たっては、患者に対して個人情報の取扱い等の必要事項を説明した上で、患者の意向を踏まえて提供する媒体を判断すること。
  • 紙媒体の手帳を利用している患者に対して、患者の希望により電子版の手帳を提供する場合には、電子版の手帳にこれまでの紙媒体の情報を利用できるようにするなど、提供する保険薬局が紙媒体から電子媒体への切り替えを適切に実施できるよう対応すること。
  • 1.のエの残薬の状況の確認に当たり、患者又はその家族等から確認できなかった場合には、次回の来局時には確認できるよう指導し、その旨を薬剤服用歴の記録に記載する。
  • 1.のオの「後発医薬品に関する情報」とは、次に掲げる事項とし、薬剤情報提供文書により提供するとともに、必要な説明を行うこと。また、後発医薬品の情報に関しては、可能であれば一般的名称も併せて記載することが望ましい。なお、ここでいう後発医薬品 とは、「「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等について」(平成28年3月4日保医発0304第13号)の別紙1に掲げられたものに加え、別紙2に掲げられたものも含むものであること。
    • ア 該当する後発医薬品の薬価基準への収載の有無
    • イ 該当する後発医薬品のうち、自局において支給可能又は備蓄している後発医薬品の名称及びその価格(当該薬局において備蓄しておらず、かつ、支給もできない場合はその旨)
  • 一般名処方が行われた医薬品については、原則として後発医薬品を調剤することとするが、患者に対し後発医薬品の有効性、安全性や品質について適切に説明した上で、後発医薬品を調剤しなかった場合は、その理由を調剤報酬明細書の摘要欄に記載する。
  • 薬剤服用歴管理指導料「3」は、保険薬剤師が患者が入所している特別養護老人ホームを訪問し、当該患者等(当該患者の薬剤を管理している当該施設の職員を含む。)に対して必要な指導等を行った場合に算定する。
  • 薬剤服用歴管理指導料「3」についても、「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料の(1)から(18)までを満たすこと。ただし、(4)の業務については、必要に応じて実施すること。
  • 薬剤服用歴管理指導料「3」に関して、「注8」に規定する交通費は実費とする。
  • 「区分番号00」の調剤基本料の「注8」の分割調剤における2回目以降の調剤を行う場合には、患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化等について確認し、処方医へ情報提供するとともに、処方医に対して情報提供した内容を薬剤服用歴の記録に記載する。
  • 「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の処方せんによって調剤を行った場合に限り算定でき、それ以外の場合には算定できない。
  • 麻薬管理指導加算
    • ア 麻薬管理指導加算(「注3」に規定する加算をいう。以下同じ。)は、当該患者又はその家族等に対して、電話等により定期的に、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。
    • イ 指導の要点は、薬剤服用歴の記録に記載する。
  • 重複投薬・相互作用等防止加算
    • ア 重複投薬・相互作用等防止加算(「注4」に規定する加算をいう。以下同じ。)は、薬剤服用歴の記録又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、次の内容について、 処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。ただし、複数の項目に該当した場合であっても、重複して算定することはできない。なお、薬剤服用歴管理指導料を算定していない場合は、当該加算は算定できない。
      • (イ)併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)
      • (ロ)併用薬、飲食物等との相互作用
      • (ハ)残薬
      • (ニ)そのほか薬学的観点から必要と認める事項
    • イ 重複投薬・相互作用等防止加算の対象となる事項について、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴の記録に記載する。
    • ウ 同時に複数の処方せんを受け付け、複数の処方せんについて薬剤を変更した場合であっても、1回に限り算定する。
  • 特定薬剤管理指導加算
    • ア 特定薬剤管理指導加算(「注5」に規定する加算をいう。以下同じ。)は、薬剤服用歴管理指導料を算定するに当たって行った薬剤の管理及び指導等に加えて、患者又はその家族等に当該薬剤が特に安全管理が必要な医薬品である旨を伝え、当該薬剤についてこれまでの指導内容等も踏まえ適切な指導を行った場合に算定する。
      なお、「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(日本薬剤師会)等を参照し、特に安全管理が必要な医薬品に関して薬学的管理及び指導等を行う上で必要な情報については事前に情報を収集することが望ましいが、薬局では得ることが困難な診療上の情報の収集については必ずしも必要とはしない。
    • イ 特に安全管理が必要な医薬品とは、抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、不整脈用剤、抗てんかん剤、血液凝固阻止剤、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、カリウム製剤(注射薬 に限る。)、精神神経用剤、糖尿病用剤、膵臓ホルモン剤及び抗HIV薬をいう。
      なお、具体的な対象薬剤については、その一覧を厚生労働省のホームページに掲載している。
    • ウ 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合には、その全てについて必要な薬学的管理及び指導を行うこと。ただし、処方せんの受付1回につき1回に限り算定するものであること。
    • エ 対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴の記録に記載すること。なお、従来と同一の処方内容にもかかわらず当該加算を継続して算定する場合には、特に指導が必要な内容を重点的に行い、その内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。
  • 乳幼児服薬指導加算
    • ア 乳幼児服薬指導加算(「注6」に規定する加算をいう。以下同じ。)は、乳幼児に係る処方せんの受付の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。
    • イ 乳幼児服薬指導加算を算定した処方せん中の薬剤の服用期間中に、患者の家族等から電話等により当該処方薬剤に係る問い合わせがあった場合には、適切な対応及び指導等を行うこと。
    • ウ アにおける確認内容及び指導の要点について、薬剤服用歴の記録及び手帳に記載する。

 

新たに追加された項目

今回の改定により新たに追加された項目について確認します。

抗菌薬の適正使用に関する普及啓発

今回の薬歴に関する改定の大きな部分の一つに抗菌薬の適正使用に関するものがあります。
別添3 調剤報酬点数表に関する事項の14ページ目にその内容が記載されています。

(10)服薬指導に当たっては、「抗微生物薬適正使用の手引き」(厚生労働省健康局結核感染症課)を参考とすること。また、服薬指導を円滑に実施するため、抗菌薬の適正使用が重要であることの普及啓発に資する取組を行っていることが望ましい。

意図することはよくわかるのですが、じゃあ、具体的に何を行えばいいのか?と言われるとはっきりしません。
AMR対策のポスター等は掲示し、抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 – 厚生労働省は調剤室に整備しているのですが・・・。
抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 – 厚生労働省を見たことがない場合は一度は目を通しておいてください。
「患者・家族への説明」の部分など参考になるかと思います。

薬剤服用歴管理指導料の特例

今回の薬歴に関する改定の中で最も大きな部分が特例の追加だと思います。
特例に関する記述を見ていこうと思います。
まず、別表第三 調剤報酬点数表の5ページに薬歴の特例についての記載があります。

注9 別に厚生労働大臣が定める保険薬局において、注1又は注2に掲げる指導等の全てを行った場合には、注1及び注2の規定にかかわらず、薬剤服用歴管理指導料の特例として、処方箋受付1回につき、13点を算定する。この場合において、注3から注6までに規定する加算は算定できない

また、別添3 調剤報酬点数表に関する事項の17ページ目にも薬歴の特例について記載されています。

17.薬剤服用歴管理指導料の特例

  • 「注9」の薬剤服用歴管理指導料の特例を算定する場合の取扱いは、1から26までに準ずるものとする。なお、保険薬剤師が、患者が入所している特別養護老人ホームを訪問して行う場合は、22から24までに準ずる。
  • 薬剤服用歴管理指導料の特例を算定する場合は、麻薬管理指導加算、重複投薬・相互作用等防止加算、特定薬剤管理指導加算、乳幼児服薬指導加算は算定できない

薬剤服用歴管理指導料の特例に該当した場合、薬歴に関する算定項目を全て満たしても算定できるのは13点です。
通常、41点か53点なので、-28点もしくは-40点ということになります。
これはかなりの打撃ですね・・・。
さらに、薬歴の特歴を算定する場合は各種加算も算定できなくなります。
別表第三の方では注3〜注6と記載されていますが、それぞれ以下を意味します。

  • 注3:麻薬管理指導加算
  • 注4:重複投薬・相互作用等防止加算
  • 注5:特定薬剤管理指導加算
  • 注6:乳幼児服薬指導加算

 

特例追加の経緯

そもそも何故薬歴の特例が必要だったのか?
過去の中医協のでの審議・資料、薬剤服用歴管理指導料の算定状況(調剤報酬(その2) 中医協 総-3 29.12.8)の26ページに記載されている内容です。
前回の改定で、調剤基本料1(4)を算定している薬局については、「半年以内にお薬手帳を持参して再来局した場合」の点数が低くなりました。
その結果、患者さんがお薬手帳を持参しないほうが薬局の収入は増え、積極的に呼びかけを行ってお薬手帳を持参してもらった方が収入は減るという、一見すると矛盾した状況が生まれています。
ですが、ほとんどの薬局は目先の利益に捉われることなく、国の方針や患者さんの利益を考えてお薬手帳を積極的に進めてきたはずですが、そうではない薬局が存在するのではないかということが議論されました。
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9割以上の患者さんが保有しているとされる中、50%以上の患者さんがお薬手帳を持参していない(50点を算定している)という薬局が8.2%程度存在するという結果が出ています。
薬剤服用歴管理指導料のと特例は、そのような積極的にお薬手帳を活用していない薬局に対する、いわば罰則ということだと思います。

薬歴の特例に該当する薬局の施設基準

特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについての235ページ(ファイル中での記載はP206)に「薬剤服用歴管理指導料の注9(薬剤服用歴管理指導料の特例)」に該当する薬局について記載されています。

特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発0305第3号 平成30年3月5日)
第97 薬剤服用歴管理指導料の注9に規定する保険薬局

  1. 「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」とは、6月以内に再度処方箋を持参した患者への薬剤服用歴管理指導料の算定回数うち、手帳を持参した患者への薬剤服用歴管理指導料の算定回数の割合が50%以下である保険薬局であること。この場合において、小数点以下は四捨五入すること。
  2. 手帳の活用実績は、調剤基本料の施設基準に定める処方箋受付回数の取扱いと同様に、前年3月1日から当年2月末日までの薬剤服用歴管理指導料の実績をもって該当性を判断し、当年4月1日から翌年3月31日まで適用する。その他、新規に保険薬局に指定された薬局、開設者の変更等の取扱いについても、調剤基本料の施設基準に定める処方箋受付回数の取扱いと同様とする。
  3. 1及び2により、「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」に該当した場合であっても、直近3月間における1の割合が50%を上回った場合には、2にかかわらず、その時点で「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」に該当しないものとする。
  4. 本規定の取扱いは、1年間の経過措置を設けており、平成30年4月1日から平成31年2月末日までの手帳の活用実績をもって、平成31年4月1日から適用する。
  5. 本規定の報告については、別添2の様式84を用いること。

一つずつ見て行きましょう。

特例の対象となる薬局

「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」とは、6月以内に再度処方箋を持参した患者への薬剤服用歴管理指導料の算定回数うち、手帳を持参した患者への薬剤服用歴管理指導料の算定回数の割合が50%以下である保険薬局であること。この場合において、小数点以下は四捨五入すること。

特例対象となる条件は「半年以内に再来局した患者さんのうちお薬手帳を持参した患者さんの割合が50%以下である薬局」ということです。
「半年以内に再来局した患者さんのうち38点を算定した患者さんの数」を「半年以内に再来局した患者さんの数」で割ることで計算できるのですが、これまでの入力方法では集計できません。
これまでのレセプト上の薬歴の入力で単純に38点の割合としてしまうと新患や半年以上経過して再来局する患者さんが入ってしまうのでうまく行きません。
これについては4月から薬歴のレセコン入力方法が変更となるのでそれで対応するのだと思います。
詳しくは後にまとめます。
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特例の集計期間

手帳の活用実績は、調剤基本料の施設基準に定める処方箋受付回数の取扱いと同様に、前年3月1日から当年2月末日までの薬剤服用歴管理指導料の実績をもって該当性を判断し、当年4月1日から翌年3月31日まで適用する。その他、新規に保険薬局に指定された薬局、開設者の変更等の取扱いについても、調剤基本料の施設基準に定める処方箋受付回数の取扱いと同様とする。

記載されている通り、薬歴の特例に該当するかどうかは調剤基本料の施設基準の集計と同じ期間で判断します。

  • 集計期間:前年3月1日〜当年2月末日
  • 適用期間:当年4月1日〜翌年3月31日まで
特例の解除

1及び2により、「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」に該当した場合であっても、直近3月間における1の割合が50%を上回った場合には、2にかかわらず、その時点で「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」に該当しないものとする

特例の対象となった場合でも、直近3ヶ月間の集計で持参率が50%超となれば解除されるようです。

経過措置

本規定の取扱いは、1年間の経過措置を設けており、平成30年4月1日から平成31年2月末日までの手帳の活用実績をもって、平成31年4月1日から適用する。

薬歴の特例については1年間の経過措置が設けられています。
なので、最初の集計期間は平成30年4月1日〜平成31年2月末日で、該当した薬局は平成31年4月1日から特例の対象となります。

薬歴の特例に該当する場合の届出

特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保医発0305第3号 平成30年3月5日)の554ページに「様式84 調剤基本料の施設基準に係る届出書添付書類」が掲載されています。
その中の「15 薬剤服用歴管理指導料の特例への該当の有無」が該当部分です。

様式84 調剤基本料の施設基準に係る届出書添付書類

  1. 「15」について、該当する保険薬局又は直近3ヶ月間の薬剤服用歴管理指導料の実績により該当しなくなった保険薬局は、当該保険薬局における6月以内に再度処方箋を持参した患者における手帳の持参割合に係る資料を添付すること。

届出の際にはお薬手帳の持参割合に関する資料を添付する必要があります。

今回の改定で変更になった部分

ここからは薬剤服用歴管理指導料の算定要件のうち、今回の改定で変更になった部分をまとめていきます。

薬歴に記載すべき項目

薬歴に記録すべき項目については、別添3 調剤報酬点数表に関する事項の13ページ目に記載されています。

(3) 薬剤服用歴の記録には、次の事項等を記載し、最終記入日から起算して3年間保存する。

  • 患者の基礎情報(氏名、生年月日、性別、被保険者証の記号番号、住所、必要に応じて緊急連絡先)
  • 処方及び調剤内容(処方した保険医療機関名、処方医氏名、処方日、処方内容、調剤日、処方内容に関する照会の内容等)
  • 患者の体質(アレルギー歴、副作用歴等を含む)、薬学的管理に必要な患者の生活像及び後発医薬品の使用に関する患者の意向
  • 疾患に関する情報(既往歴、合併症及び他科受診において加療中の疾患に関するものを含む。)
  • 併用薬(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品及び健康食品を含む。)等の状況及び服用薬と相互作用が認められる飲食物の摂取状況
  • 服薬状況(残薬の状況を含む。)
  • 患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)及び患者又はその家族等からの相談事項の要点
  • 服薬指導の要点
  • 手帳活用の有無(手帳を活用しなかった場合はその理由と患者への指導の有無)
  • 今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点
  • 指導した保険薬剤師の氏名

(4)3のウからキまでの事項については、処方箋の受付後、薬を取りそろえる前に、保険薬剤師が患者等に確認すること。

どのように変化したか別添3 調剤報酬点数表に関する事項(平成28年)の12ページ目の内容と比較してみます。
必要に応じてクリックで展開してください。

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新旧の記載項目の比較

今回の改定で薬歴の記載項目がどのように変更になったか、H28改定とH30改定の内容を比較してみました。
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内容が整理されたので項目数は減っていますが、記載すべき内容は一切削除されておらず、むしろ増えています。
赤字の部分が追加された部分です。

  • 患者の基礎情報(氏名、生年月日、性別、被保険者証の記号番号、住所、必要に応じて緊急連絡先)
    • 旧ア 氏名・生年月日・性別・被保険者証の記号番号・住所・必要に応じて緊急時の連絡先等の患者についての記録
  • 処方及び調剤内容(処方した保険医療機関名、処方医氏名、処方日、処方内容、調剤日、処方内容に関する照会の内容等)
    • 旧イ 処方した保険医療機関名及び保険医氏名・処方日・処方内容等の処方についての記録
    • 旧ウ 調剤日・処方内容に関する照会の要点等の調剤についての記録
  • 患者の体質(アレルギー歴、副作用歴等を含む)、薬学的管理に必要な患者の生活像及び後発医薬品の使用に関する患者の意向
    • 旧エ 患者の体質・アレルギー歴・副作用歴等の情報
    • 旧セ 後発医薬品の使用に関する患者の意向
  • 疾患に関する情報(既往歴、合併症及び他科受診において加療中の疾患に関するものを含む。)
    • 旧コ 合併症を含む既往歴に関する情報
    • 旧サ 他科受診の有無
  • 併用薬(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品及び健康食品を含む。)等の状況及び服用薬と相互作用が認められる飲食物の摂取状況
    • 旧ケ 併用薬等(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品及びいわゆる健康食品を含む。)の情報
    • 旧ス 飲食物(現に患者が服用している薬剤との相互作用が認められているものに限る。)の摂取状況等
  • 服薬状況(残薬の状況を含む。)
    • 旧カ 服薬状況
    • 旧キ 残薬の状況
  • 患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)及び患者又はその家族等からの相談事項の要点
    • 旧オ 患者又はその家族等からの相談事項の要点
    • 旧ク 患者の服薬中の体調の変化
    • 旧シ 副作用が疑われる症状の有無
  • 服薬指導の要点
    • 旧タ 服薬指導の要点
  • 手帳活用の有無(手帳を活用しなかった場合はその理由と患者への指導の有無
    • 旧ソ 手帳による情報提供の状況
  • 今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点:新設
  • 指導した保険薬剤師の氏名
    • 旧チ 指導した保険薬剤師の氏名

下線部:薬を取りそろえる前に確認すべき項目(ウ〜キ、旧エ〜セ)

薬学的管理に必要な患者の生活像

患者の体質(アレルギー歴、副作用歴等を含む)、薬学的管理に必要な患者の生活像及び後発医薬品の使用に関する患者の意向

  • 自動車運転の有無
  • 食事の回数
  • 夜勤等の有無
  • 危険を伴う行為の有無

など今までも確認してきた内容が含まれるのだと思います。

加療中の疾患に関するもの

疾患に関する情報(既往歴、合併症及び他科受診において加療中の疾患に関するものを含む。)

単純に病名や受診先のみだけでなく、必要に応じて服薬に影響する可能性のある情報を記録していくということですね。
これまで通りじゃないかな?

手帳を活用しなかった場合はその理由と患者への指導の有無

手帳活用の有無(手帳を活用しなかった場合はその理由と患者への指導の有無

これについては別の項(12)に記載されており、これまでも行ってきた内容かと思います。
※H28年改定:(11)

(12)手帳については、患者に対して、手帳を活用することの意義、役割及び利用方法等について十分な説明を行い、患者の理解を得た上で提供することとし、患者の意向等を確認した上で手帳を用いないこととした場合にあっては、その理由を薬剤服用歴の記録に記載する。なお、手帳を活用しているが、持参を忘れた患者に対しては、「注1」のただし書の点数を算定することになる旨説明するとともに、次回以降は手帳を持参するよう指導すること。

今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点

今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点

この部分が今回の薬歴に関する改定で一番大きな部分の一つです。
「今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点」
これまでも行っていた方も多いとは思いますが、要はプロブレムを明確にした、継続的な服薬指導を行い記録するということなんだと思います。
点の薬歴ではなく、線の薬歴。
これまで個別指導等で言われたことがる人も多いかと思いますが、それが具体的な項目になったというわけですね。

そのほか細かい変更

別表第三 調剤報酬点数表の4ページに記載されている「注1」の内容の一部に変更があります。

区分10 薬剤服用歴管理指導料

  • 注1 1及び2については、患者に対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合に、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。ただし、手帳を持参していない患者又は区分番号00の1に掲げる調剤基本料1以外の調剤基本料を算定する保険薬局に処方箋を持参した患者に対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合は、本文の規定にかかわらず、処方箋受付1回につき、53点を算定する。

下線部の通り、「本文の規定にかかわらず」の一文が追加になっていますが、意味自体の変更はないんじゃないかと思います。

調剤報酬明細書の記載要領

平成30年度診療報酬改定の概要(調剤)の63ページにレセプト上の薬歴の分類が掲載されています。
これが結構ややこしいのでよくよく理解しておく必要があります。

まずは、H28改定での分類をまとめます。

  • 薬A:薬剤服用歴管理指導料1 38点
  • 薬B:薬剤服用歴管理指導料2 50点
  • 薬C:薬剤服用歴管理指導料3 38点
  • 薬D:薬剤服用歴管理指導料の注1 50点

わかりにくいので算定要件で書き直すと以下のようになります。

  • 薬A:半年以内に再来局(手帳持参、調剤基本料1・4) 38点
  • 薬B:新患・半年以上の間隔で再来局(手帳持参、調剤基本料1・4) 50点
  • 薬C:特別養護老人ホームに入所している患者 38点
  • 薬D:手帳を持参していない患者、調剤基本料1・4以外を算定している薬局 50点

BとDの区別を間違っている方が今でもいるようなので注意が必要です。(でした?)
が、4月からはこれが変更になります。
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改定後のレセコン入力

資料を見てもらえればわかると思いますが、2つの分類を組み合わせてレセプト(調剤報酬明細書)上の薬歴を選択して請求するようになります。
一つ目の分類が以下の通り。

  • 薬:調剤基本料1を算定(薬剤服用歴管理指導料1・2・注1)
  • 薬他:調剤基本料1以外を算定(薬剤服用歴管理指導料注1)
  • 薬3:薬剤服用歴管理指導料3(調剤基本料1を算定している場合のみ)
  • 薬特:薬剤服用歴管理指導料の特例(調剤基本料は問わない)

次に、二つ目の分類が以下の通り。

  • A:半年以内に再来局(手帳持参)
  • B:半年以内に再来局(手帳持参なし)
  • C:新患・半年以上の間隔で再来局(手帳の持参は問わない)

この分類だと、Aの数をA+Bの数で割ることで薬歴の特例の集計が可能になりますね。
(薬歴の特例:半年以内に再来局した患者のお薬手帳持参率が50%以下)

この2つの分類を組み合わせて薬A〜薬特Cの12種類から選択してレセコン(レセプトコンピューター)に入力する形になるようです。
かなりややこしいですね。

  • 調剤基本料1を算定する場合:薬or薬3 + AorBorC
  • 調剤基本料1以外を算定する場合:薬他 + AorBorC
  • 調剤基本料に関わらず薬歴の特例に該当する場合:薬特 + AorBorC

という風に考えたらどうでしょうか?
この部分については4月1日(ほとんどの薬局は4月2日)に慌てないで済むように自分の薬局がどれに該当するかを調べておきましょう。

まとめ

平成30年度調剤報酬改定における薬剤服用歴管理指導料の変更内容についてまとめてみました。
とりあえず、ベースの点数が高くなっているのは嬉しいですよね。

特例の対象を避けるのではなくお薬手帳を活用できる薬局に

今回から追加になった薬歴の特例。
半年以内に再来局した患者さんのうち半数以下がお薬手帳を持参していない場合が対象となります。
調剤基本料1を算定している場合、お薬手帳を持ってこない方が薬局での費用は高くなります。
それを考えるとお薬手帳を持参する患者さんは圧倒的に増えるはずでしたが、厚労省のデータを見ると8%程度該当する薬局があるようです。
でも、これは調剤基本料1を算定している薬局についてのデータのようなので、調剤基本料1以外のお薬手帳手帳を持参してもしなくても点数が変わらない薬局の場合どうなんでしょう?
対象となる薬局はさらに多いのではないかと思います。
薬局がお薬手帳の活用について努力していない薬局は論外として、努力している薬局はこれ以上どうすれば持参率を上げることができるのか?
頭を抱えている薬局もあるんじゃないかと思います。
電子お薬手帳の活用を進めていくとか、薬局独自のアピールをしていく必要があるんだと思います。
お薬手帳は広く世間に認知されるようになっています。
これまでの積み重ねも大きいかと思いますが、根気強く患者さんに説明し続けていくしかないですね。

薬歴はどう変わっていく?

薬歴の記載項目が変更されましたが、これまでもしっかりとした薬歴を作成していた薬局にとってはこれまでと変わりはないのだと思います。
「今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点」を明確にする方法としてプロブレムリストの作成があると思います。
漫然と、「同じ薬」、「変わりなし」、と薬歴をこなしていくのではなく、「この人には何か薬に関する問題はないか?」という視点で一人一人の患者さんを見ていくことが必要になります。
ただ、それも仕事の中の作業になってしまったら意味がありません。
国が求める形、患者さんにとってよい結果をもたらすことができるような改定になるよう努力していかないといけませんね。

 

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