いよいよ、来週の金曜日から、診療報酬ならびに調剤報酬改定が適用されます。
みなさん、だいたい準備は終わっているんじゃないかなと思います。
疑義解釈については4月に入ってから公開されると思うので、まだ詳細がはっきりしない部分もありますが、スムーズに業務が行われるように対応していきたいですね。
今日は、薬学管理料のうち、特定薬剤管理指導加算と乳幼児服薬指導加算についてです。
とりあえず、プラス改定ではあるのですが気になる一文が・・・。
H28調剤報酬改定についての過去記事はこちらです。
なお、疑義解釈等が公開されて初めて考え方がわかるものもあるので、あくまで現時点での一人の薬剤師の解釈として捉えてもらえれば幸いです。
解釈に変更等があれば随時更新する予定です。
https://yakuzaishi.love/archive/category/%E8%A8%BA%E7%99%82%E5%A0%B1%E9%85%AC%E6%94%B9%E5%AE%9A-%E5%B9%B3%E6%88%9028%E5%B9%B4%E5%BA%A6%EF%BC%882016%E5%B9%B4%E5%BA%A6%EF%BC%89%E8%AA%BF%E5%89%A4%E5%A0%B1%E9%85%AC%E6%94%B9%E5%AE%9Ahttps://yakuzaishi.love
特定薬剤管理指導加算と乳幼児服薬指導加算
今回の改定では、薬局における対人業務の評価の充実として、特定薬剤管理指導加算(ハイリスク薬)及び乳幼児指導管理加算(6歳未満の乳幼児)の評価を見直されています。
特定薬剤管理指導加算と乳幼児服薬指導加算はプラス改定
その結果、
- 特定薬剤管理指導加算:4点→10点
- 乳幼児服薬指導加算:5点→10点
と両方ともプラス改定となっています。
診療報酬改定骨子における記載
骨子においても、
【III-7(重点的な対応が求められる分野/かかりつけ薬剤師の評価)-②】
薬局における対人業務の評価の充実
骨子【III-7(2)(3)】
第1基本的な考え方
6.対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるため、内服薬の調剤料や一包化加算の評価を見直すとともに、対人業務に係る1.の薬剤服用歴管理指導料等の薬学管理料を充実する。第2具体的な内容
6.対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるため、以下の対応を行う。
(2)対人業務に関する業務の評価を充実するため、特定薬剤管理指導加算及び乳幼児指導管理加算の評価を見直す。
のように記載されています。
特定薬剤管理指導加算の算定は厳しくなる?
プラス改定だからと言って、喜んでばかりもいられないのではないか・・・と思わせる一文が追加になっています。
特定薬剤管理指導加算と乳幼児服薬指導加算に関する通知
通知を見てみると、
(29) 乳幼児服薬指導加算
ア 乳幼児服薬指導加算(「注6」に規定する加算をいう。以下同じ。)は、乳幼児に係る処方せんの受付の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。
イ 乳幼児服薬指導加算を算定した処方せん中の薬剤の服用期間中に、患者の家族等から電話等により当該処方薬剤に係る問い合わせがあった場合には、適切な対応及び指導等を行うこと。
ウ アにおける確認内容及び指導の要点について、薬剤服用歴の記録及び手帳に記載する。
乳幼児服薬指導加算については今までとは特に変わっていません。
気になるのは、特定薬剤(ハイリスク薬)管理指導加算の方です。
(28) 特定薬剤管理指導加算
- ア 特定薬剤管理指導加算(「注5」に規定する加算をいう。以下同じ。)は、薬剤服用歴管理指導料を算定するに当たって行った薬剤の管理及び指導等に加えて、患者又はその家族等に当該薬剤が特に安全管理が必要な医薬品である旨を伝え、当該薬剤についてこれまでの指導内容等も踏まえ適切な指導を行った場合に算定する。なお、「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(日本薬剤師会)等を参照し、特に安全管理が必要な医薬品に関して薬学的管理及び指導等を行う上で必要な情報については事前に情報を収集することが望ましいが、薬局では得ることが困難な診療上の情報の収集については必ずしも必要とはしない。
- イ 特に安全管理が必要な医薬品とは
- 抗悪性腫瘍剤
- 免疫抑制剤
- 不整脈用剤
- 抗てんかん剤
- 血液凝固阻止剤
- ジギタリス製剤
- テオフィリン製剤
- カリウム製剤(注射薬に限る。)
- 精神神経用剤
- 糖尿病用剤
- 膵臓ホルモン剤
- 抗HIV薬
をいう。なお、具体的な対象薬剤については、その一覧を厚生労働省ホームページに掲載している。
- ウ 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合には、その全てについて必要な薬学的管理及び指導を行うこと。ただし、処方せんの受付1回につき1回に限り算定するものであること。
- エ 対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴の記録に記載すること。なお、従来と同一の処方内容にもかかわらず当該加算を継続して算定する場合には、特に指導が必要な内容を重点的に行い、その内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。
特定薬剤管理指導加算は基本初回のみの算定に?
下線部が新たに追記された部分です。
「従来と同一の処方内容にもかかわらず当該加算を継続して算定する場合には、特に指導が必要な内容を重点的に行い、その内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。」
この文章の意味ですが、「特に指導が必要な場合を除いて、do処方の場合は算定を行わないこと」の意味にも見えます。
おそらく、都道府県によってはそういう厳しいルールがあったのかもしれませんが、それが統一のルールになったということなのでしょうか?
適応による算定の可否がない薬剤にだけ定めてベタ取りをしていた薬局があれば、今後は方針を見直す必要がありますね。
個別指導等では、これまで以上に厳しい指摘を受けそうな気がします。
「従来と同一の処方内容で当該加算を継続して算定する場合には、特に指導が必要な内容を重点的に行い、その内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。」という書き方だったら、素直にプラス改定と思えるんですけどねー。
疑義解釈を待つしかないですね。
※Twitter上で、都薬では、毎回管理方法の指導せずとも、副作用のチェック等を十分することで算定できるのできっちりと算定していくべきとの発言があったとの情報提供をいただきました。
一文の意味については疑義解釈での回答を待ちたいですね。
ハイリスク薬の対象となる薬剤については厚生労働省が一覧を公開
また、これまでは薬効分類番号で判断するか、都道府県薬剤師会等が公開しているもので確認するしかなかった対象薬剤が厚生労働省の方で一覧として提供されるようです。
まだ公開されていない?ようなのですが、わかり次第、リンクを掲載しようと思います。
http://www.iryohoken.go.jp/shinryohoshu/file/tokuyaku/tokuyaku_20160329.xls
これまで、ハイリスク薬として認められている薬剤でも特定の適応に使われていない場合は算定不可となっていましたが、それについては今後も変更がないのでしょうか?同じ考えのようです。
H28.3.31の疑義解釈その1にこのあたりの内容が記載されています。
(問32)薬効分類上の「腫瘍用薬」、「不整脈用剤」、「抗てんかん剤」に該当するが他の効能も有する薬剤については、それぞれ、「悪性腫瘍」、「不整脈」、「てんかん」の目的で処方され、必要な指導等を実施した場合に限り算定可能と理解してよいか。
(答)貴見のとおり。なお、対象薬剤の一覧については、厚生労働省のホームページに掲載している。
http://www.iryohoken.go.jp/shinryohoshu/
個人的には、「特定薬剤」管理指導加算である以上、「特定の薬剤」については使い方は関係なく管理指導が必要だと思うのですが・・・。
使い方まで考えるのであれば、「特定処方」管理指導加算じゃないかと思います。