少し前に書かせていただいた製造中止になった医薬品の記録記事。
様々な理由で製造中止となった医薬品等の記録です。 現在は販売中止となっていますが、多くの人々の健康に寄与してくれた薬達です。 簡単なデータと紹介文でまとめていきます。（随時更新予定） 薬の記憶を後世に残すために とまあ大袈裟なこ[…]
twitterで色んな方から情報をいただく中で、後発医薬品の名前についてのリクエストも多くありました。
当初は後発医薬品まで手を出すとキリがないのでやめようと思っていたのですが、たしかに懐かしい名前がたくさんある・・・。
ということで、気が向いた時に薬品ごとにまとめていこうと思います。
ということで今回はメバロチン（プラバスタチン）についてです。
- 1 後発医薬品のブランド名
- 2 メバロチン（プラバスタチン）の後発医薬品ブランド名
- 3 まとめ
後発医薬品のブランド名
現在でこそ、後発医薬品の名称は「一般的名称＋屋号（製造販売会社名）」となっていますが、以前は各社で自由にブランド名をつけていました。
一般的名称を用いるようになったのは平成17年9月22日の「医療用後発医薬品の承認申請にあたっての販売名の命名に関する留意事項について」（薬食審査発第0922001号）が通知されてからのことです。
1.一般的名称を基本とした販売名を命名する際の取扱い
製造販売承認のための承認申請書の名称欄の記載に関し、以下に留意の上、製造販売会社名が明確に判別できるようにした上で、原則として、含有する有効成分に係る一般的名称を基本とした記載とすること。なお、本取扱いは、原則として、単一の有効成分からなる品目に適用されるものであること。
医療用後発医薬品の承認申請にあたっての販売名の命名に関する留意事項について（薬食審査発第0922001号）
後発医薬品の使用量が増えていく中で医療事故を防ぐために必要な取り組みですね。
それ以降、新規で製造承認を申請する場合は「一般的名称＋屋号（製造販売会社名）」の名称となっています。
また、これに合わせる形で先発医薬品の存在する後発医薬品のブランド名から一般的名称への変更が進められており、平成29年6月30日の「医療用後発医薬品の販売名の一般的名称への変更に係る代替新規承認申請の取扱いについて」（医政経発0630第1号、薬生薬審発0630第5号、薬生安発0630第1号）の通知では平成32年9月までに後発医薬品の使用割合を80%を達成するとともに、先発医薬品の存在する医療用後発医薬品の一般的名称への販売名変更についても3年以内を目途に対応の必要があるとされました。
目標とされる平成32年9月まではまだ期間がありますが、後発医薬品のブランド名から一般的名称への変更は随分と進んでいると思います。
そこで、この記事では昔を懐かしむため（？）に後発医薬品のブランド名についてまとめていきたいと思います。
そのために古文書（笑）も手にいれました。
ぐふふふふふ。。。この古文書があれば古の後発品の名を蘇らせることができるのじゃ。 pic.twitter.com/Jj9HJmBxV1
— ぺんぎん薬剤師 (@penguin_pharm) November 1, 2020
一つの記事でまとめようとするとあまりに莫大な量になってしまうので、薬剤別にまとめていこうと思います。
メバロチン（プラバスタチン）の後発医薬品ブランド名
第一回はメバロチンの後発医薬品ブランド名についてまとめたいと思います。
理由は昔勤務していた薬局で使用していたアルセチン（大洋薬品）の名前を古文書を見るまで思い出せなかったからです。
ちなみに、メバロチンには剤形違いのオリピス内服液（日医工ファーマ）が存在しましたが販売中止（経過措置満了：2011年3月31日）となっています。
アルセチン錠
- 旧名称：2017.3.31 経過措置満了
- アルセチン錠5
- アルセチン錠10
- 新名称
- プラバスタチンNa錠5mg「テバ」
- プラバスタチンNa錠10mg「テバ」
アルセチン錠の製造販売元は大洋薬品工業でしたが、合併等によりテバ製薬、武田テバファーマと製造販売が承継されていきました。
2014年6月にプラバスタチン錠「テバ」への名称変更の承認を受け、2016年6月に薬価基準収載されています。
ちなみに、近い将来、日医工に製造販売承認権が継承される予定になっています。
大洋薬品工業→テバ製薬→武田テバファーマ→日医工岐阜工場の系譜
大洋薬品工業（現武田テバファーマ）の沿革はとても複雑です。
簡単にまとめてみると・・・
1972年：中野薬品工業から大洋薬品工業に社名変更（屋号：タイヨー、生産拠点：高山工場）
2010年：ガスポートD錠20mgの誤配合事件を契機に品質問題、自主回収が続発
2011年：テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズの完全子会社に
2014年：興和テバ（屋号：TYK）と合併しテバ製薬（屋号：テバ）を設立
2016年：テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズと武田薬品工業の合併会社として武田テバファーマ（屋号：武田テバ）に社名変更
※同年発足した武田テバ薬品は旧 大正薬品工業から社名変更した別会社（武田薬品工業の長期収載品を承継）で武田テバファーマの完全子会社
2021年：武田テバファーマの後発医薬品486品目の製造販売権、高山工場とその従業員と受託製造品目の契約を日医工に売却
※日医工岐阜工場（屋号：NIG）という子会社を設立してその全株式を日医工が取得
コレリット錠
- 旧名称：2014.3.31 経過措置満了
- コレリット錠5
- コレリット錠10
- 新名称
- プラバスタチンNa錠5mg「フソー」
- プラバスタチンNa錠10mg「フソー」
コレリット錠は扶桑薬品が製造販売元でした。
2013.6.18にプラバスタチンNa錠「フソー」へ販売名変更の承認を受けています。
タツプラミン錠
- 旧名称：2014.3.31 経過措置満了
- タツプラミン錠5mg
- タツプラミン錠10mg
- 新名称（現在）
- プラバスタチンNa錠5mg「TCK」
- プラバスタチンNa錠10mg「TCK」
タツプラミン錠は辰巳化学が製造販売元でした。
2013年6月にプラバスタチンNa錠「TCK」への名称変更の承認を受け、2013年12月に発売されました。
プラバメイト錠
- 旧名称：2014.3.31 経過措置満了
- プラバメイト錠5mg
- プラバメイト錠10mg
- 新名称（現在）
- プラバスタチンNa錠5mg「オーハラ」
- プラバスタチンNa錠10mg「オーハラ」
プラバメイト錠は大原薬品工業が製造販売元でした。
2013年6月にプラバスタチンNa錠「オーハラ」に名称変更されました。
プラバスタチンナトリウム錠「陽進」
- 旧名称：2021.3.31 経過措置満了
- プラバスタチンナトリウム錠「陽進」5mg
- プラバスタチンナトリウム錠「陽進」10mg
- 新名称（現在）
- プラバスタチンナトリウム錠5mg「YD」
- プラバスタチンナトリウム錠10mg「YD」
プラバスタチンナトリウム錠「陽進」は陽進堂が製造販売元でした。
2019年12月にプラバスタチンNa錠「オーハラ」への名称変更の承認を受け、2020年6月に薬価収載されました。
プラバスタン錠
- 旧名称：2013.9.30 経過措置満了
- プラバスタン錠5
- プラバスタン錠10
- 新名称（現在）
- プラバスタチンNa錠5mg「ケミファ」
- プラバスタチンNa錠10mg「ケミファ」
プラバスタン錠は日本薬品工業が製造販売元でした。
2012年8月にプラバスタチンNa錠「ケミファ」への名称変更の承認を受け、2012年12月に発売されました。
プラバチン錠
- 旧名称：2012.8.31 経過措置満了
- プラバチン錠5
- プラバチン錠10
- 新名称（現在）
- プラバスタチンNa錠5mg「サワイ」
- プラバスタチンNa錠10mg「サワイ」
プラバチン錠は辰巳化学が製造販売元でした。
2011年11月にプラバスタチンNa錠「サワイ」に名称変更されました。
プラバピーク錠（メバロカット錠）
- 旧名称：2015.3.31 経過措置満了
- プラバピーク錠5mg
- プラバピーク錠10mg
- 新名称（現在）
- プラバスタチンNa錠5mg「杏林」
- プラバスタチンNa錠10mg「杏林」
プラバピーク錠は元々はメバロカット錠という名称でしたが、商標権抵触のため名称変更されプラバピーク錠の販売名になりました。
2014年6月にプラバスタチンNa錠「杏林」に名称変更されました。
東洋ファルマー→キョーリンリメディオの系譜
1971年：三田薬品が東洋ファルマーに社名変更
2006年：キョーリンの完全子会社に
2007年：キョーリンリメディオに社名変更
プラバメイト錠
- 旧名称：2014.3.31 経過措置満了
- プラバメイト錠5mg
- プラバメイト錠10mg
- 新名称（現在）
- プラバスタチンNa錠5mg「オーハラ」
- プラバスタチンNa錠10mg「オーハラ」
プラバメイト錠は大原薬品工業が製造販売元でした。
2013年6月にプラバスタチンNa錠「オーハラ」に名称変更されました。
プラバロン錠
- 旧名称：2011.3.31 経過措置満了
- プラバロン錠5
- プラバロン錠10
プラバロン錠はダイトが製造販売元で、テイコクメディックスが販売していましたが、2008年にテイコクメディックスが日医工に買収された際に販売中止となったものと思われます。（記録が残っていないため詳細不明）
テイコクメディックス→日医工ファーマの系譜
2008年：日医工が帝国製薬から連結子会社のテイコクメディックスの全株式を譲り受け完全子会社化
2008年：オリエンタル薬品工業を完全子会社化
2009年：マルコ製薬がテイコクメディックスとオリエンタル薬品工業と吸収合併、名称を日医工ファーマに変更
2012年：日医工が日医工ファーマを吸収合併
2018年？：日医工ファーマが新たに発足？
プラメバン錠
- 旧名称：2014.3.31 経過措置満了
- プラメバン錠5
- プラメバン錠10
- 新名称（現在）
- プラバスタチンナトリウム錠5mg「NikP」
- プラバスタチンナトリウム錠10mg「NikP」
プラメバン錠は日医工の子会社であるマルコ製薬が後発医薬品として開発、同じく子会社である小林薬品工業が製造販売元でした。
その後、製造販売元がマルコ製薬→日医工ファーマ→日医工→日医工ファーマと変わっています。
2013年6月にプラバスタチンナトリウム錠「NikP」への名称変更されました。
マルコ製薬、小林薬学工業→日医工ファーマの系譜
2000年：小林薬学工業が日医工の子会社に
2005年：マルコ製薬が日医工の連結子会社に
2005年：日医工がメディセオ・パルタックホールディングス（現 メルパル）の連結子会社だったオリエンタル薬品工業の株式を取得して連結子会社化
2007年：マルコ製薬が日医工の完全子会社に、小林薬学工業は解散
2008年：日医工が帝国製薬から連結子会社のテイコクメディックスの全株式を譲り受け完全子会社化
2008年：オリエンタル薬品工業を完全子会社化
2009年：マルコ製薬がテイコクメディックスとオリエンタル薬品工業と吸収合併、名称を日医工ファーマに変更
2012年：日医工が日医工ファーマを吸収合併
2018年？：日医工ファーマが新たに発足？
プロバチン錠
- 旧名称：2012.8.31 経過措置満了
- プロバチン錠5
- プロバチン錠10
- 新名称（現在）
- プラバスタチンNa錠5mg「MED」
- プラバスタチンNa錠10mg「MED」
プロバチン錠はメディサ新薬が製造販売元でした。
2011年11にプラバスタチンNa錠「MED」へ名称変更されました。
マイバスタン錠
- 旧名称：2013.9.30 経過措置満了
- マイバスタン錠5mg
- マイバスタン錠10mg
- 新名称（現在）
- プラバスタチンNa錠5mg「トーワ」
- プラバスタチンNa錠10mg「トーワ」
錠は辰巳化学が製造販売元でした。
2013年6月にプラバスタチンNa錠「トーワ」への名称変更の承認を受け、2013年12月に発売されました。
メバスタン錠
- 旧名称：2017.3.31 経過措置満了
- メバスタン錠10
- 新名称（〜2008.2）
- プラバスタチンNa塩錠10mg「メルク」
- 新名称（〜2015.2）
- プラバスタチンNa塩錠5mg「KH」（2010.1承認）
- プラバスタチンNa塩錠10mg「KH」
- 新名称（現在）
- プラバスタチンNa錠5mg「ファイザー」
- プラバスタチンNa錠10mg「ファイザー」
メバスタン錠10はメルク製薬が製造販売元でした。
2006年2月にプラバスタチンN塩a錠10mg「メルク」に名称変更されました。
2018年2月にプラバスタチンNa塩錠10mg「KH」（製造販売元：マイラン製薬）に名称変更。
2010年1月にはプラバスタチンNa塩錠5mg「KH」が承認。
2015年2月にプラバスタチンナトリウム錠5mg「ファイザー」に名称変更。
メルク製薬→マイラン製薬→ヴィアトリス製薬の系譜
メルク製薬からヴィアトリス製薬への系譜はなかなか興味深いのでまとめておきます。
1988年：ドイツ・メルク（Merck KGaA）が日本への医薬品事業に参入するためにアストラ・ジャパンの保栄事業部（保栄薬工を前身とする）を買収し、メルク・ホエイを設立
2006年：ドイツ・メルクの完全子会社になるのと合わせてメルク製薬に名称変更
2007年：ドイツ・メルクのジェネリック医薬品事業撤退に合わせてメルク製薬はマイラン製薬に吸収合併されて消滅
2012年：日本におけるジェネリック医薬品事業についてファイザーと業務提携（製造販売：マイラン製薬、販売：ファイザー）
2020年：米国ファイザーはアップジョン事業部（ファイザーUPJ）を分社化して米国マイランと統合、ヴィアトリス製薬を設立（ヴィアトリスグループ：ヴィアトリス製薬、ファイザーUPJ合同会社、マイランEPD合同会社、マイラン製薬）
メバスロリン錠
- 旧名称：2007.3.31 経過措置満了
- メバスロリン10mg錠
- 新名称（現在）
- プラバスタチンナトリウム錠5mg「ツルハラ」（2005.3承認）
- プラバスタチンナトリウム錠10mg「ツルハラ」
メバスロリン10mg錠は鶴原製薬が製造販売元でした。
2005年6月にプラバスタチンナトリウム錠10mg「ツルハラ」に名称変更されました。
プラバスタチンナトリウム錠5mg「ツルハラ」は2005年3月に承認されています。
メバトルテ錠（販売中止）
- 旧名称：2019.3.31 経過措置満了
- メバトルテ錠5
- メバトルテ錠10
- メバトルテ細粒0.5%
- メバトルテ細粒1%
メバトルテ錠/細粒は大正薬品工業が製造販売元でしたが、2016年の社名変更により武田テバ薬品が製造販売元になりました。
2018年に武田テバ薬品が成分重複製品を見直す際に販売中止となりました。
大正薬品工業→武田テバ薬品の系譜
2009年：大正薬品工業が興和テバの完全子会社に
2016年；大正薬品工業が武田テバ薬品に社名変更（武田テバ薬品は武田薬品工業の長期収載品の承継を行なっていく）
2018年：ジェネリック医薬品の成分重複製品を販売中止
メバラチオン錠
- 旧名称：2006.3.31 経過措置満了
- メバラチオン錠5
- メバラチオン錠10
- 新名称（現在）
- プラバスタチンNa錠5mg「チョーセイ」
- プラバスタチンNa錠10mg「チョーセイ」
メバラチオン錠は長生堂製薬が製造販売元でした。
2004年10月にプラバスタチンNa錠「チョーセイ」に名称変更され、2005年7月に薬価収載されました。
メバリッチ錠
- 旧名称：2016.3.31 経過措置満了
- メバリッチ錠5
- メバリッチ錠10
- 新名称（現在）
- プラバスタチンNa錠5mg「NS」
- プラバスタチンNa錠10mg「NS」
メバリッチ錠は日新製薬が製造販売元でした。
2015年1月にプラバスタチンNa錠「NS」への名称変更の承認を受け、2015年6月に発売されました。
メバリリン錠
- 旧名称：2019.3.31 経過措置満了
- メバリリン錠5
- メバリリン錠10
- 新名称（現在）
- プラバスタチンNa錠5mg「CMX」
- プラバスタチンNa錠10mg「CMX」
メバリリン錠はケミックスが製造販売元でした。
2018年2月にプラバスタチンNa錠「CMX」へ名称変更されました。
メバレクト錠（販売休止）
- メバレクト錠5mg
- メバレクト錠10mg
メバレクト錠は東菱薬品工業が製造販売元でした。
2021年7月に販売元であるサンドが取り扱いを中止したことに伴い、販売休止を発表しました。
メバロカット錠（プラバピーク錠）
- プラバピーク錠を参照
メバン錠
- 旧名称：2013.9.30 経過措置満了
- メバン錠5
- メバン錠10
- 新名称（現在）
- プラバスタチンナトリウム錠5mg「日医工」
- プラバスタチンナトリウム錠10mg「日医工」
メバン錠は日医工が製造販売元でした。
2012年8月にプラバスタチンナトリウム錠「日医工」へ名称変更されました。
リダックM錠
- 旧名称：2014.9.30 経過措置満了
- リダックM錠5
- リダックM錠10
- 新名称：2020.3.31 経過措置満了
- プラバスタチンNa錠5mg「EE」
- プラバスタチンNa錠10mg「EE」
リダックM錠はサンノーバが製造販売元でした。
2013年8月にプラバスタチンNa錠「EE」への名称変更の承認を受け、2013年12月に発売されました。
販売元のエルメッドエーザイが買収され、エルメッドとなる過程で後販売中止になったと思われます。
まとめ
メバロチン（プラバスタチン）のジェネリックだけでかなりのボリュームの記事になってしまいました。
メーカーの変遷まで見ているとなかなか面白い・・・と思うのは自分だけでしょうか？
最初に書いた通り、過去にアルセチンを使用していたことがありますが、メバンやメバリッチも有名でしたね。
