タリージェ(ミロガバリン)の特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【リリカとの違いを比較】【Ca2+チャネルα2δリガンド】

  • 2020年8月10日
  • 2021年2月9日
  • 疼痛
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平成31年1月8日に承認されたタリージェ錠(成分名:ミロガバリンベシル酸塩)についてまとめた記事です。
成分名を見てピンと来る方も多いのではないでしょうか?
リリカ(成分名:プレガバリン)と同じく、電位依存性カルシウムチャネルα2δサブユニットに対するリガンドで、末梢性神経障害性疼痛に対する適応を持つ薬剤です。

目次

タリージェの基本情報

まずは基本情報からまとめていきます。

医薬品名タリージェ錠2.5mg
タリージェ錠5mg
タリージェ錠10mg
タリージェ錠15mg
成分名ミロガバリンベシル酸塩
英語名Tarlige(mirogabalin)
製造販売元第一三共
命名の由来Targetingを由来とした“Tar”、Ligandを由来とした“Lig”の組み合わせ
効能・効果末梢性神経障害性疼痛
用法・用量通常、成人には、ミロガバリンとして初期用量1回5mgを1日2回経口投与し、その後1回用量として5mgずつ1週間以上の間隔をあけて漸増し、1回15mgを1日2回経口投与する。なお、年齢、症状により1回10mgから15mgの範囲で適宜増減し、1日2回投与する。
指定等なし
審議2018年12月3日 薬食審第一部会
承認日2019年1月8日
薬価収載日
収載時薬価
2019年2月26日
タリージェ錠2.5mg:78.00円/錠
タリージェ錠5mg:107.70円/錠
タリージェ錠10mg:148.70円/錠
タリージェ錠15mg:179.60円/錠
薬価算定方式類似薬効比較方式(Ⅰ)
タリージェ錠10mg:類似薬(リリカOD錠75mg)の1日薬価(446.00円)に合わせて(446.10円)算出
タリージェ錠2.5mg/5mg/15mg:リリカOD錠75mgとリリカOD錠25mgの規格間比(0.4650)を元に算出
販売開始2019年4月15日
新医薬品の
投与日数制限
対象
(2020年2月末日で解除済)

リリカ(プレガバリン)に続く2剤目の神経障害疼痛治療薬です。
リリカと同じCa2+チャネルα2δリガンドで興奮性神経伝達物質の放出を抑えることで神経障害性疼痛の症状を緩和させます。

子ぺんぎん(ジェンツー)
リリカの適応は神経障害性疼痛だけど、タリージェの適応は「末梢性」神経障害性疼痛となっているので注意だね。

タリージェ錠2.5mg・錠5mg・錠10mg・錠15mg 新発売のご案内(2019年2月25日)疼痛治療剤「タリージェ®錠」の国内製造販売承認取得のお知らせ(2019年1月8日)

タリージェ(ミロガバリン)はリリカ(プレガバリン)と同様の作用機序を持つ薬剤です。
同様の作用機序を持ち、神経障害性疼痛に対する適応を持つのはリリカに続いて2剤目となります。

神経障害性疼痛とは?

神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版

によると、神経障害性疼痛とは「体性感覚神経系の病変や疾患によって引き起こされる疼痛」と定義されており、以下のような様々な原因、疾患により起こります。

神経障害性疼痛

  • 栄養代謝性:アルコール性多発ニューロパチー、脚気,ペラグラなど
  • 外傷性:脳卒中後遺症、幻肢痛、脊髄損傷後遺症など
  • 遺伝性:圧脆弱性遺伝子ポリニューロパチー、遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチーなど
  • 虚血性:アレルギー性肉芽腫性血管炎、結節性多発動脈炎、クリオグロブリン血症など
  • 中毒性:ヒ素中毒、水銀中毒、中毒性神経筋障害など
  • 感染性:帯状疱疹後神経痛、神経梅毒、ハンセン病ニューロパチーなど
  • 圧迫/絞扼性:下肢神経痛、手根管症候群、三叉神経痛など
  • 免疫性:ギランバレー症候群、シェーグレン症候群、自己免疫性神経障害など
  • 腫瘍性:悪性腫瘍、神経サルコイドーシスなど
  • 変性疾患他:アミロイド性自律神経ニューロパチー、パーキンソン病など

また、以下のように障害を受ける神経が中枢に存在するか末梢に存在するかによって分類されることもあります。

神経障害性疼痛の分類

  • 中枢性神経障害性疼痛の原因
    • 脳卒中後疼痛
    • 脊柱管狭窄症など
  • 末梢性神経障害性疼痛の原因
    • 帯状疱疹後神経痛(PHN*1
    • 糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP*2
    • 三叉神経痛
    • 手術後疼痛
    • 腫瘍による神経圧迫など

タリージェ錠は「末梢性神経障害性疼痛」に対する適応

を有しています。
リリカは「神経障害性疼痛」の適応を取得しており、末梢性・中枢性の区別がないのに対して、タリージェは末梢性のみの適応なので注意してください。

神経障害性疼痛の薬物療法

神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版

では、以下のように神経障害性疼痛の薬物療法が推奨されています。

神経障害性疼痛薬物療法アルゴリズム

  • 第一選択薬(複数の病態に対して有効性が確認されている薬物)
    • Ca2+チャネルα2δリガンド
      • プレガバリン(リリカ)
      • ガバペンチン(ガバペン)
        ※ガバペンチンエナカルビル(レグナイト)の効果も期待されている
    • セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI*3
      • デュロキセチン(サインバルタ)
    • 三環系抗うつ薬(TCA*4
      • アミトリプチリン(トリプタノール)
      • ノルトリプチリン(ノリトレン)
      • イミプラミン(トフラニール/イミドール)
  • 第二選択薬(1つの病態に対して有効性が 確認されている薬物)
    • ワクシニアウィルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピン)
    • トラマドール(トラマール/トラムセット/トアラセット)
  • 第三選択薬
    • オピオイド鎮痛薬
      • フェンタニル
      • モルヒネ
      • オキシコドン
      • ブプレノルフィン など

おそらくミロガバリンベシル酸塩(タリージェ)もCa2+チャネルα2δリガンドとして第一選択薬に加わることになるはずです。

電位依存性カルシウムチャネルα2δリガンド

ミロガバリンは(タリージェ錠)はプレガバリン(リリカカプセル)と同じく、電位依存性カルシウムチャネルα2δ(アルファ2デルタ)リガンドと呼ばれる作用をもつ成分です。
神経障害性疼痛はサブスタンスPやグルタミン酸などの興奮性神経伝達物質が過剰に放出されることで起きることがわかっています。
さらに、興奮性神経伝達物質の放出は電依存性カルシウムイオンチャネルからCa2+(カルシウムイオン)が流入することにより引き起こされることもわかっています。

ミロガバリンの作用機序

ミロガバリンやプレガバリンは電依存性カルシウムイオンチャネルのα2δ(アルファ2デルタ)サブユニットという部分に結合することで、カルシウムチャネルの働きを抑え、結果として興奮性神経伝達物質の放出を抑制し、神経障害性疼痛の症状を抑えます。
α2δサブユニットには1〜4の遺伝子型が存在することが知られており、鎮痛作用に関わっているのはα2δ-1サブユニットと言われています。

α2δ サブタイプに対する結合解離パラメータ

インタビューフォームにはin vitroでのミロガバリン及びプレガバリンの各 α2δ サブタイプに対する結合解離パラメータが記載されています。

(2)薬効を裏付ける試験成績
1)ミロガバリン及びプレガバリンの各α2δサブタイプに対する結合解離パラメータ(in vitro)
ヒトα2δ-1及びα2δ-2サブユニットに対するミロガバリンの解離定数は、それぞれ13.5及び22.7nmol/Lと推定された。
ヒトα2δ-1及びα2δ-2からのミロガバリンの解離半減期は、それぞれ11.1及び2.4時間と推定された。

タリージェ錠 インタビューフォーム 第一三共株式会社

ミロガバリン及びプレガバリンの各α2δサブタイプに対する結合解離パラメータ
サブユニット薬剤Kd(mol/L)Koff(hr-1乖離半減期(hr)
ヒトα2δ-1ミロガバリン13.50.062711.1
プレガバリン62.50.50511.4
ヒトα2δ-2ミロガバリン22.70.28372.4
プレガバリン125.00.51031.4

このパラメータを見るに、タリージェとリリカを比較した場合、α2δ-1サブユニットへの結合選択性に大きな差はありませんが、消失半減期を比較するとタリージェはα2δ-1サブユニットに対してより持続的に結合していることがわかります。
ガバペンチンやプレガバリン、ミロガバリンの鎮痛作用はα2δ-1サブユニットへの作用からなるものでα2δ-2サブユニットは副作用の発現に関わっていると言われています。
そのことからリリカと比較して副作用を起こしにくい薬剤としてタリージェが創薬されていることが想像できます。

タリージェのDI

ここからはタリージェ錠の添付文書、インタビューフォーム、RMP、審査結果報告書から得ることのできる情報についてまとめていきたいと思います。

適応症は「末梢性」神経障害性疼痛

リリカの適応が「神経障害性疼痛」、「線維筋痛症に伴う疼痛」なのに対して、タリージェの適応は「末梢性神経障害性疼痛」です。
リリカは末梢性・中枢性の区別なく神経障害性疼痛全般に使用することが可能ですが、タリージェは「末梢性」のものに限って使用可能ということになります。

末梢性神経障害性疼痛

  • 帯状疱疹後神経痛(PHN)
  • 糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)
  • 三叉神経痛
  • 手根管症候群
  • 手術後疼痛
  • 腫瘍による神経圧迫 など

当然ですが線維筋痛症に伴う疼痛にも使用できません。

適応タリージェリリカ
末梢性神経障害性疼痛

(神経障害性疼痛)
中枢性神経障害性疼痛

(神経障害性疼痛)
線維筋痛症に伴う疼痛

タリージェ(リリカもですが)はあくまでも対症療法です。
重要な基本的注意にも記載されていますが漫然と使用することがないよう定期的な見直しが必要です。

重要な基本的注意

3.本剤による神経障害性疼痛の治療は原因療法ではなく対症療法であることから、疼痛の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行い、本剤を漫然と投与しないこと。

タリージェ錠 添付文書 第一三共株式会社

投与開始時は徐々に用量を増やす

タリージェの用法・用量は以下のように記載されています。

用法及び用量
通常、成人には、ミロガバリンとして初期用量1回5mgを1日2回経口投与し、その後1回用量として5mgずつ1週間以上の間隔をあけて漸増し、1回15mgを1日2回経口投与する。なお、年齢、症状により1回10mgから15mgの範囲で適宜増減し、1日2回投与する。

タリージェ錠 添付文書 第一三共株式会社

以下のように段階的に処方されることになります。

  • 1,タリージェ錠5mg 2錠 2×MA(初回量)
  • 2,タリージェ錠10mg 2錠 2×MA
  • 3,タリージェ錠15mg 2錠 2×MA(維持量)

腎機能が低下している場合は用法・用量の調整が必要

ミロガバリンはほとんどが腎排泄されます。

薬物動態
5. 排泄
健康成人6例に、ミロガバリンとして3、5、10及び30mgを単回経口投与したときのCL/Fは16.50~18.24L/hrであった。このときの未変化体の尿中排泄率は63.2~71.5%、腎クリアランスは10.4~12.4L/hrであった。健康成人男性(6例)に14C標識体30mg(150μCi)を単回経口投与したとき、投与168時間後までに放射能の累積排泄率は98%以上に達し、投与放射能の約97%が尿中に、約1%が糞中に排泄された。(外国人データ)

タリージェ錠 添付文書 第一三共株式会社

そのため、腎不全患者、高齢者などの腎機能低下時には用法・用量の調節が必要です。

用法及び用量に関連する使用上の注意
腎機能が低下している患者では、血漿中濃度が高くなり副作用が発現しやすくなるおそれがあるため、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。腎機能障害患者に投与する場合は、次の表に示すクレアチニンクリアランス値を参考として投与量及び投与間隔を調節すること。低用量から開始し、忍容性が確認され、効果不十分な場合は増量すること。

タリージェ錠 添付文書 第一三共株式会社

腎機能障害時の用法・用量

用法及び用量に関連する使用上の注意には腎機能障害時の用法・用量が記載されています。

軽度の腎機能障害(60≦Ccr<90)の場合

  • 用法・用量の制限なし

中等度 腎機能障害 30≦Ccr<60

  • 初期用量:1回2.5mg 1日2回
  • 有効用量(最低):1回5mg 1日2回
  • 有効用量(最高):1回7.5mg 1日2回

重度 腎機能障害 Ccr<30

  • 初期用量:1回2.5mg 1日1回
  • 有効用量(最低):1回5mg 1日1回
  • 有効用量(最高):1回7.5mg 1日1回

2.5mg錠は腎機能障害専用ですね。

リリカと比較してみます。

タリージェ・リリカ 腎機能別投与量
腎機能タリージェ(末梢性神経障害性疼痛)リリカ(神経障害性疼痛)リリカ(線維筋痛症に伴う疼痛)
初期維持初期維持初期維持
正常1回5mg 1日2回1回10〜15mg 1日2回1回75mg 1日2回1回150〜300mg 1日2回1回75mg 1日2回1回150〜225mg 1日2回
軽度
(90>Ccr≧60)
1回5mg 1日2回1回10〜15mg 1日2回1回75mg 1日2回1回150〜300mg 1日2回1回75mg 1日2回1回150〜225mg 1日2回
中等度
(60>Ccr≧30)
1回2.5mg 1日2回1回5〜7.5mg 1日2回1回25mg 1日3回
1回75mg 1日1回
1回50〜100mg 1日3回
1回75〜150mg 1日2回
1回25mg 1日3回
1回75mg 1日1回
1回50〜75mg 1日3回
1回75mg 1日2回
重度
(30>Ccr≧15)
1回2.5mg 1日1回1回5〜7.5mg 1日1回1回25mg 1日1〜2回
1回50mg 1日1回
1回75mg 1日1〜2回
1回150mg 1日1回
1回25mg 1日1〜2回
1回50mg 1日1回
1回75mg 1日1〜2回
1回100〜125mg 1日1回
重度
(15>Ccr)
1回25mg 1日1回
血液透析後:25〜50mg
1回25〜75mg 1日1回
血液透析後:50〜150mg
1回25mg 1日1回
血液透析後:25〜50mg
1回25〜75mg 1日1回
血液透析後:50〜100mg

腎機能悪化が予想される場合は慎重投与

タリージェの慎重投与は腎機能障害と高齢者です。
タリージェの慎重投与

慎重投与

1,腎機能障害のある患者
2,高齢者

タリージェ錠 添付文書 第一三共株式会社

リリカと比較して少なくなっています。
リリカはこれに加えて「重度のうっ血性心不全」と「血管浮腫の既往」が記載されています。
リリカの慎重投与

慎重投与

1,腎機能障害のある患者
2,重度のうっ血性心不全の患者
3,高齢者
4,血管浮腫の既往がある患者

リリカカプセル/OD錠 添付文書 ファイザー株式会社

これは重大な副作用の違いによるもので、リリカには心不全と血管浮腫の副作用が報告されていますが、タリージェでは報告がないためです。

リリカとは異なる相互作用の特徴

リリカとは併用注意に該当する薬剤が微妙に異なります。
これはリリカ(プレガバリン)とは異なり、タリージェ(ミロガバリン)がトランスポーター(OAT、MATE)により分泌される性質を持っていることによります。

タリージェの代謝・排泄

ミロガバリンはUGT*5による代謝を受け、OAT*61・OAT3・MATE*71・MATE2-Kの働きにより腎臓から排泄されます。

相互作用
ミロガバリンは主として腎からの糸球体ろ過及び尿細管分泌により排泄される。ミロガバリンの分泌に関わる主なトランスポーターは、有機アニオントランスポーター(OAT)1、OAT3、H+/有機カチオンアンチポーター(MATE)1及びMATE2-Kである。また、UDPグルクロン酸転移酵素(UGT)による代謝も受ける。

タリージェ錠 添付文書 第一三共株式会社

そのため、相互作用にはこれらの機構を妨げる薬品が記載されています。
UGTによる代謝を受けますが、76%は未変化体のまま(リリカは83.9〜97.7%)排泄されるのでそこまで影響は大きくないようです。

併用禁忌はなく併用注意は少ない

併用注意(併用に注意すること)

1,薬剤名等:プロベネシド
臨床症状・措置方法:併用により本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子:プロベネシドのOAT1、OAT3及びUGTの阻害作用によると考えられる。

2,薬剤名等:シメチジン
臨床症状・措置方法:併用により本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子:シメチジンのMATE1及びMATE2-Kの阻害作用によると考えられる。

3,薬剤名等:ロラゼパム 、アルコール(飲酒)
臨床症状・措置方法:注意力、平衡機能の低下を増強するおそれがある。
機序・危険因子:相互に中枢神経抑制作用を増強すると考えられる。

タリージェ錠 添付文書 第一三共株式会社

リリカとは併用注意に記載されている医薬品が少し異なります。

併用注意タリージェ
(ミロガバリン)
リリカ
(プレガバリン)
プロベネシド
血中濃度
なし
シメチジン
血中濃度
なし
ロラゼパム中枢神経抑制作用認知機能障害
粗大運動機能障害
アルコール中枢神経抑制作用認知機能障害
粗大運動機能障害
オキシコドン中枢神経抑制作用認知機能障害
粗大運動機能障害
オピオイド系鎮痛剤
なし
呼吸抑制
血管浮腫を起こす薬剤
(ARB等)
なし
血管浮腫のリスク
末梢性浮腫を起こす薬剤
(チアゾリジン系薬剤等)
なし
末梢性浮腫のリスク
(心不全のリスク

プロベネシドやシメチジンとの相互作用はトランスポーター由来のものでリリカには記載がないものです。
逆にリリカには記載されているオピオイド系鎮痛剤との相互作用がないので、オピオイドと併用できるのはメリットになるかもしれません。
また、リリカに記載されている血管浮腫を引き起こす薬剤と末梢性浮腫を引き起こす薬剤についてもタリージェには記載されていません。
これは慎重投与ところでも解説しましたが、重大な副作用の違いによるものですね。

リリカと比較して重大な副作用が少ない

タリージェとリリカを比較すると重大な副作用についてはタリージェが圧倒的に少ないことがわかります。

リリカの重大な副作用

  • めまい、傾眠、意識消失
  • 心不全、肺水腫
  • 横紋筋融解症
  • 腎不全
  • 血管浮腫
  • 低血糖
  • 間質性肺炎
  • ショック、アナフィラキシー
  • 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑
  • 劇症肝炎、肝機能障害

タリージェの重大な副作用

  • めまい、傾眠、意識消失
  • 肝機能障害

副作用全体を見ると「傾眠、めまい」、「霧視」、「浮腫」、「体重増加」など発現頻度が高い副作用が多く、そこはリリカと同じですが、重大な副作用が少ないというのは少し使いやすいと思います。

開放状態での保管と規格(修正)

発売当初、タリージェ錠はPTPシートから取り出した解放状態での保管が適しておらず、割線があるのに分包に適しておらず、一包化もできない状態でした。
ですが、2020年3月の新薬投与制限解除に合わせて以下の変更が行われました。

  • 2.5mgの剤形変更(楕円→丸)
  • 刻印変更(英字→タリージェ カタカナ表記)
  • 開放条件での保管可能に

下記は改良前の内容です。

タリージェ錠には4つの規格が存在します。

  • 2.5mg
  • 5mg(割線あり)
  • 10mg(割線あり)
  • 15mg(割線あり)

できれば多くの規格を採用したくない場合、割線があるので半錠で対応したいところです。ですが、インタビューフォームの過酷試験の結果を見ると分包した状態での安定性に疑問が残ります。

III. 有効成分に関する項目
2. 有効成分の各種条件下における安定性
苛酷試験

試験保存条件保存期間保存形態結果
温度60℃4週間シャーレ開放2週時点で類縁物質増加(規格外)
4週時点で含量低下(規格外)
温度・湿度25°C/93%RH4週間シャーレ開放変化なし
温度・湿度40°C/75%RH4週間シャーレ開放4週時点で類縁物質増加(規格外)
2000lx
(D65 ランプ)
120万lx・hrシャーレ開放60万lx・hrで類縁物質増加(規格外)、含量低下(規格外)

タリージェ錠 インタビューフォーム 第一三共株式会社

2.5mgに関しては頻度にもよりますが5mgの半錠で対応したいところですが夏場は保管方法に注意が必要となりそうですね。割線がついているからと安心してはいけない例ですね・・・。

高齢者・妊婦・授乳婦・小児

高齢者に対しては腎機能の低下や副作用発現時の影響の大きさが想定されるため、腎機能を元にした用法・用量の調節をしっかり行う必要があります。

妊婦・授乳婦についてはほとんどデータがありませんが、ラットにおいて胎盤通過・乳汁中への移行が報告されているため、妊婦については有益性投与、授乳婦については授乳を避けると記載されています。

小児については使用経験がありません。

過量投与

海外臨床試験で線維筋痛症に対して60mg投与を行なった例があるようです。
過量投与時にみられた症状は以下の通りです。

  • 多幸気分
  • 構語障害
  • 頭痛
  • 嚥下障害
  • 関節炎
  • 関節膨張
  • 無力症

※線維筋痛症に対する投与は適応外です
血液透析により除去されるのは15.3%のみとのことです。

RMPに記載されている内容について

RMPに設定されているリスク

  • 重要な特定されたリスク
    • めまい
    • 傾眠
    • 意識消失
    • 肝トランスアミナーゼ上昇
    • 薬剤性肝障害
    • 体重増加
  • 重要な潜在的リスク
    • 離脱症候群
    • 視覚障害
    • 耐糖能異常
    • 自殺念慮、自殺企図
    • 突然死
    • 心不全、肺水腫
    • 薬物乱用、依存性
  • 重要な不足情報
    • 腎機能低下者での安全性

めまい・傾眠・意識消失(重要な特定されたリスク)

類似した(精神神経系)副作用として一つにまとめました。
ミロガバリンの薬理作用から予想される副作用でもあり、重大な副作用はもちろん、重要な基本的注意にも記載されています。

重要な基本的注意

1.めまい、傾眠、意識消失等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。特に高齢者ではこれらの症状により転倒し骨折等を起こすおそれがあるため、十分に注意すること。

タリージェ錠 添付文書 第一三共株式会社

ここに記載されているように、タリージェは運転禁止薬に該当します。

第Ⅲ相二重盲検試験であるJ303試験、J304試験での発現率をまとめておきます。

副作用タリージェ群プラセボ群
めまい9.6%(92/954例)2.7%(17/633例)
傾眠15.0%(143/954例)4.1%(26/633例)
意識消失0.5%(5/954例)0%(0/633例)

肝トランスアミナーゼ上昇・薬剤性肝障害(重要な特定されたリスク)

どちらも肝機能障害に関わる副作用なので一つにまとめました。
肝機能障害は重大な副作用に記載されています。
第Ⅲ相二重盲検試験であるJ303試験、J304試験での発現率は以下のようになっています。

副作用タリージェ群プラセボ群
肝機能異常3.7%(35/954例)1.4%(9/633例)

体重増加(重要な特定されたリスク)

体重増加はリリカ(プレガバリン)でも報告されている特徴的な副作用です。

重要な基本的注意

2.本剤の投与により体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。特に、投与量の増加又は長期投与に伴い体重増加が認められることがあるため、定期的に体重計測を実施すること。

タリージェ錠 添付文書 第一三共株式会社

第Ⅲ相二重盲検試験であるJ303試験、J304試験での発現率は以下のようになっています。

副作用タリージェ群プラセボ群
体重増加(5%以上)15.2%(145/954例)1.9%(12/633例)
体重増加(10%以上)0.9%(9/954例)0.2%(1/633例)

5%以上の増加の発現頻度は高くなっており

、珍しくない副作用ということをしっかり頭に入れておきたいですね。
特に整形領域では体重増加により疼痛症状が悪化してしまう疾患(変形性膝関節症、慢性腰痛等)を合併していることも珍しくないと思うので注意が必要です。

離脱症候群(重要な潜在的リスク)

第Ⅲ相二重盲検試験であるJ303試験、J304試験では離脱症候群の報告はありませんでしたが、
第III相長期投与試験では0.4%(2/451例)報告されています。
重要な基本的注意にも記載されています。

重要な基本的注意

4.本剤の急激な投与中止により、不眠症、悪心、下痢、食欲減退等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

タリージェ錠 添付文書 第一三共株式会社

タリージェ中止後に不眠症、悪心、下痢、食欲減退等が報告

されているので、可能な限り徐々に減量していくなどの注意が必要です。

視覚障害(重要な潜在的リスク)

第Ⅲ相二重盲検試験であるJ303試験、J304試験での発現率は以下のようになっています。

副作用タリージェ群プラセボ群
視覚障害8.9%(85/954例)6.3%(40/633例)

重要な基本的注意にも記載されています。

重要な基本的注意

5.本剤の投与により、弱視、視覚異常、霧視、複視等の眼障害があらわれることがあるので、診察時に、眼障害について問診を行うなど注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

タリージェ錠 添付文書 第一三共株式会社

耐糖能異常(重要な潜在的リスク)

リリカでは重大な副作用として低血糖、その他の副作用に高血糖が記載されていましたが、タリージェはその他の副作用として糖尿病(HbA1c上昇、血糖値上昇)が記載されています。
第Ⅲ相二重盲検試験であるJ303試験での発現率は以下のようになっています。

副作用タリージェ群プラセボ群
HbA1c値が1.5%以上上昇10.1%(50/494例)3.3%(11/330例)

臨床試験では因果関係は否定されていますが、重篤な有害事象が認められています。

自殺念慮、自殺企図(重要な潜在的リスク)

日本を含むアジアで実施した国際共同プラセボ対照試験における発現率は以下の通りです。

副作用タリージェ群プラセボ群
自殺関連事象0.24%(3/1227例)
自殺既遂1例
自殺念慮2例
0.14%(1/721例)
自殺念慮1例

慢性疼痛と自殺リスクの関連が示唆(Fishbain DA. The association of chronic pain and suicide. Semin Clin Neuropsychiatry. 1999;4(3):221-7.)されていることもあり、タリージェとの関連性は不明です。
ですが、リリカでは精神神経系の副作用(抑うつ気分、錯乱など)が報告されており、その他の注意では自殺に関する注意喚起が行われています。

その他の注意

1.海外で実施された本剤を含む複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6-3.9)。また、てんかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あたり2.4人多いと計算されている注)

注:本剤は海外で抗てんかん薬として承認されているが、本邦における本剤の効能・効果は「神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛」である。

 

因果関係不明の上に発現頻度も極めて低いことが想定されますが、情報収集を継続する必要があるという意味で「重要な潜在的リスク」に設定されています。

突然死(重要な潜在的リスク)

日本を含むアジアで実施した国際共同プラセボ対照試験における発現率は以下の通りです。

副作用タリージェ群プラセボ群
自殺関連事象0.16%(2/1227例)なし(721例)

2例ともタリージェとの因果関係は否定されています。
全て突然死のリスクである心血管系疾患を合併するDPNP患者での報告でしたが、タリージェ投与群のみで報告されたことを踏まえて重要な潜在的リスクに設定されています。

心不全、肺水腫(重要な潜在的リスク)

第Ⅲ相二重盲検試験であるJ303試験、J304試験での発現率は以下のようになっています。

副作用タリージェ群プラセボ群
心不全、肺水腫 関連症例0.1%(1/954例)0.2%(1/633例)

報告数を見る限り問題はないのですが、リリカにおいては心不全、肺水腫が重大な副作用に記載されていることを踏まえて重要な潜在的リスクに設定されています。

薬物乱用、依存性

第Ⅲ相二重盲検試験であるJ303試験、J304試験での発現率は以下のようになっています。

副作用タリージェ群プラセボ群
薬物乱用、依存性 関連症例0.4%(4/954例)0.2%(1/633例)

報告数を見る限り問題はないのですが、海外でのプレガバリン(リリカ)では添付文書で注意喚起が行われていることを踏まえて重要な潜在的リスクに設定されています。

腎機能低下者での安全性(重要な不足情報)

中等度又は重度の腎機能低下を有するDPNP患者またはPHN患者を対象とした第III相臨床試験では特に安全性の懸念は認められませんでしたが、症例数が35例と限られているため、重要な不足情報に設定されています。
当然のことですが、腎機能障害に対応した用法・用量で投与していても注意が必要ということです。

臨床試験とその成績

代表的な臨床試験データについてまとめておきます。
有効性に関する試験結果しかまとめていませんが、これらの試験結果を見る限り、現段階での有効性の評価はリリカ(プレガバリン)と同等程度になりそうです。

DS5565-A-J202試験(日亜 DPNP P2 試験):DPNPを対象としたミロガバリンとプレガバリン・プラセボ対照比較試験

第Ⅱ相臨床試験として実施された糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)患者を対象としたプラセボ及びプレガバリン対照無作為化二重盲検用量設定試験です。

J202試験の概要

  • 主要評価項目:第7週の平均疼痛スコア(0から10の11段階の疼痛スコアの7日間の平均値)のベースラインからの変化量
  • 対象:450例(日本人264例)
    • 有効性解析対象(FAS*8):446例(日本人264例)、安全性解析対象:447例(日本人264例)
    • 末梢性対称性多発神経障害に伴う疼痛を有し、疼痛の発現が 6 ヵ月以上前(スクリーニング時)
    • 短縮版McGill疼痛質問票(SF-MPQ*9)の視覚的アナログ尺度(VAS*10)が40mm以上(スクリーニング時)
    • SF-MPQのVASが40mm以上 かつ 患者日記の疼痛スコアが直近7日間のうち4日以上記載があり平均疼痛スコアが4以上(無作為化時)
  • 試験デザイン:国際共同、プラセボ及び実薬対照、無作為化、二重盲検、並行群間、用量設定試験
  • 方法:ミロガバリン群3群(10mg/日群、20mg/日群、30mg/日群)、プラセボ群、プレガバリン群に無作為化
    7週間(漸増期1週間(投与1日目の就寝前から投与8日目朝) + 固定用量期6週間(投与8日目の就寝前から投与50日目朝))投与

この試験では、ミロガバリン群とプレガバリン群、プラセボ群の第7週の平均疼痛スコアのベースラインからの変化量を比較していますが、統計学的な有意差は認められませんでした。
ただし、同時期に米国で実施されたU201試験(Diabetes Care. 2014 Dec;37(12):3253-61.)ではミロガバリン15mg群、同20mg群、同30mg群それぞれとプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。
この結果の違いについて、J202試験ではU201試験と比較してベースライン値が低かったことを原因の一つとしています。

REDUCER試験(DS5565-A-J303試験、(日亜DPNP P3 試験(二重盲検期))

第Ⅲ相臨床試験として実施された糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)患者を対象としたプラセボ対照、無作為化二重盲検並行群間比較試験(J Diabetes Investig. 2019 Sep;10(5):1299-1306.)です。

REDUCER試験の概要

  • 主要評価項目:第14週の平均疼痛スコア(電子患者日記に記載された疼痛スコアから算出する7日間の平均値)のベースラインからの変化量
  • 対象:DPNP患者834例(日本人603例)
    • 有効性解析対象(mITT*11):824例(日本人597例)、安全性解析対象:824例(日本人597例)
    • SF-MPQのVASが40mm以上(スクリーニング時及び無作為化時)
    • 電子患者日記の疼痛スコアが直近7日間のうち4日以上記載があり、平均疼痛スコアが11段階の数値評価尺度(NRS*12)で4以上(無作為化時)
    • 末梢性対称性多発神経障害に伴う疼痛を有し、疼痛の発現が6ヵ月以上前(スクリーニング時)
  • 試験デザイン:国際共同、プラセボ対照、無作為化、二重盲検、並行群間試験
  • 方法:患者をプラセボ群及びミロガバリン群3群(15mg/日群、20mg/日群、30mg/日群)に2:1:1:1の割合で無作為化し、14週間(漸増期1〜2週間、固定用量期12〜13週間)投与

プラセボを含めたいずれの投与群も平均疼痛スコアはベースラインから低下していますが、統計学的な有意差が認められたのはミロガバリン30mg/日群のみでした。

NEUCOURSE試験(DS5565-A-J304試験、日亜 PHN P3 試験(二重盲検期))

第Ⅲ相臨床試験として実施された帯状疱疹後神経痛(PHN)患者を対象としたプラセボ対照、無作為化二重盲検並行群間比較試験です。

NEUCOURSE試験の概要

  • 主要評価項目:第14週の平均疼痛スコア(電子患者日記に記載された疼痛スコアから算出する7日間の平均値)のベースラインからの変化量
  • 対象:PHN患者765例(日本人612例)
    • 有効性解析対象(mITT):763例(日本人611例)、安全性解析対象:763例(日本人611例)
    • SF-MPQのVASが40mm以上(スクリーニング時及び無作為化時)
    • 電子患者日記の疼痛スコアが直近7日間のうち4日以上記載があり、平均疼痛スコアが11段階の数値評価尺度(NRS*13)で4以上(無作為化時)
    • 帯状疱疹発症後3ヵ月以上経過しても疼痛が残存(スクリーニング時)
  • 試験デザイン:国際共同、プラセボ対照、無作為化、二重盲検、並行群間試験
  • 方法:患者をプラセボ群及びミロガバリン群3群(15mg/日群、20mg/日群、30mg/日群)に2:1:1:1の割合で無作為化し、14週間(漸増期1〜2週間、固定用量期12〜13週間)投与

プラセボを含めたいずれの投与群も平均疼痛スコアはベースラインから低下しており、ミロガバリン15mg/日群、同20mg/日群、同30mg/日群で統計学的な有意差が認められました

おまけ:ALDAY試験(線維筋痛症に対する効果の検討)

ALDAY試験は線維筋痛症(FM*14)患者3,600例以上を対象とした欧米における第3相臨床試験です。
投与前ベースラインから投与開始後13週までの平均疼痛スコアの変化量(改善度)をミロガバリン(1日総投与量15mgまたは30mg)とプラセボで比較した試験でしたが、ミロガバリンはプラセボに統計学的な有意差をつけることはできませんでした

そのほか気になること

そのほか実際に処方される際に気になることをまとめておきます。

リリカからタリージェへの切り替え(もしくはその逆)

リリカで思うように効果がでない場合にタリージェに切り替えることがあると思います。
タリージェとリリカの用量の対応ですが、おおよそ以下のように考えられます。

  • タリージェ5mg ≒ リリカ75mg
  • タリージェ10mg ≒ リリカ150mg
  • タリージェ15mg ≒ リリカ225mg

これに対応するように切り替えればいいと思われますが、リリカからタリージェへの薬剤変更が検討されているわけではありません。
作用機序が同じなのでそんなに心配しなくてもいいかとは思いますが、離脱症状の発現の有無について実際に検討されているわけではないので注意は必要です。
担当MRに確認したところ、リリカ150mg/日を超得ている場合は徐々に投与量を下げてリリカの投与量を150mg/日まで落としてから、タリージェ10mg/日に切り替えるのが望ましいようです。
もちろん、一度下げてから切り替えるかそのまま切り替えるかは症状を含めて医師の判断にはなりますが、そのまま切り替える場合には離脱症状の可能性は(念のため)考えておいた方がいいのかもしれませんね。

まとめと感想

最後にまとめです。
タリージェの特徴や注意点を簡単にまとめてみます。

タリージェの特徴

  • リリカと同じCa2+チャネルα2δリガンド
  • 1回5mg×2回で開始し、1回15mgまで段階的に増量
  • リリカと比較して重大な副作用が少ない

タリージェの注意点

  • 適応は「末梢性」神経障害性疼痛のみ
  • 腎機能障害がある場合は減量する必要
  • 眠気・めまい・体重増加の副作用に注意
  • 分包後の保管には注意が必要

タリージェとリリカを比較する際に、一番大きいのは適応の部分でしょう。

リリカとタリージェの適応

  • タリージェ:末梢性神経障害性疼痛
  • リリカ:神経障害性疼痛(中枢性・末梢性)、線維筋痛症に伴う疼痛

タリージェはリリカより使用できる適応の範囲が狭く、制限されています。

ただし、慎重投与や相互作用、重大な副作用の種類において、タリージェはリリカよりも安全に使いやすい薬剤なのではないかと思います。
効果に関してはほぼ同等と考えればいいと思います。

適応拡大はあるのか?(リリカの適応拡大を例に)

リリカが「神経障害性疼痛」、「線維筋痛症に伴う疼痛」の適応を持つのに対して、タリージェの適応は「末梢性神経障害性疼痛」のみです。
今後、タリージェも適応拡大を狙っているのではないかと思います。

思い返せば、リリカも発売当初は「帯状疱疹後神経痛」のみの適応でした。

  • 2010年4月16日:発売時「帯状疱疹後神経痛
  • 2010年10月27日:適応拡大「帯状疱疹後神経痛」→「末梢性神経障害性疼痛」
  • 2012年6月22日:適応追加「線維筋痛症に伴う疼痛」(適応は「末梢性神経障害性疼痛」と「線維筋痛症に伴う疼痛)
  • 2013年2月28日:適応拡大「末梢性神経障害性疼痛」→「神経障害性疼痛」(適応は「神経障害性疼痛」、「線維筋痛症に伴う疼痛」)

タリージェも同じように拡大していくのだと思いますが、ALDAY試験で線維筋痛症に対する効果を証明できなかったのが痛いところですね・・・。

個人的な感想

リリカと比較した際に気になるのは以下の点。

  • 適応が限られている(末梢性神経障害性疼痛)
  • 糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)に対して統計学的に効果を証明できたのは30mg/日のみ
  • 割線はついているが無包装状態での保存には注意が必要

直接比較されていませんが、リリカに明らかに勝っているというデータはありません。
効果は同等と考えるべきかなと思います。
リリカで副作用が出て継続するのが難しかったり、効果を発揮する量まで増量できない場合はタリージェを検討すべきかもしれません。(適応に問題はなければ)
リリカで効果が不十分なのでタリージェに切り替える場合ですが、リリカの投与量が十分であれば切り替えてみてもいいのではないでしょうか。

逆に未治療の高齢者等であれば副作用が少ないタリージェから開始してそれでも効果が弱ければリリカを検討する形でもいいかもしれません。
長期の一包化が難しいという欠点もあるのでそこはマイナスですね。
副作用を起こしにくいという部分がリリカと比較されて明確であればもっと使いやすい薬になると思うのですが。。。

参考資料

*1:PostHerpetic Neuralgia

*2:Diabetic Peripheral Neuropathic Pain

*3:Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors

*4:TriCyclic Antidepressants

*5:UDP-GlucuronosylTransferase

*6:Organic Anion Transporter

*7:Multidrug And toxin Extrusion Transporter

*8:Full Analysis Set

*9:Short-Form McGill Pain Questionnaire

*10:Visual Analogue Scale

*11:modified Intent To Treat population

*12:Numerical Rating Scale

*13:Numerical Rating Scale

*14:FibroMyalgia

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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