Q:ジクトルテープは湿布の処方枚数制限の対象になりますか?(2023年4月5日更新)

薬の疑問

A:はい。ジクトルテープは湿布薬同様に処方枚数制限の対象になります。

【外用薬】
問2 湿布薬については、1処方につき63枚の上限枚数となっているが、ジクトルテープ75mgを「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」の目的で使用する場合も同取扱いの対象となるか。また、ジクトルテープ75mgを含め、処方された湿布薬全体の合計上限枚数が63枚ということか。

(答)そのとおり。本剤は、当該取扱いに該当している既存の製剤とは異なり、製剤上の工夫により全身作用を有する経皮吸収型製剤であり、薬効分類が解熱鎮痛消炎剤である。ただし、本剤は当該取扱いに該当する医薬品と同様の「効能又は効果」も有している貼付剤であることから、「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」の目的で使用する場合は対象となる。また、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず63枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方箋及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とすること。
また、「各種がんにおける鎮痛」の目的で使用する場合は、当該取扱いの対象とならない

【事務連絡】令和5年4月5日 疑義解釈資料の送付について(その47)- 厚生労働省 令和4年度診療報酬改定について

2023年4月5日に公開された「疑義解釈資料の送付について(その47)」の中で、ジクトルテープ75mgが湿布薬同様に1処方につき63枚の上限枚数の対象となることが正式に通知されました。

がん性疼痛以外に使用する場合は湿布薬と同じ扱い

今回の疑義解釈通知により、ジクトルテープ75mgを「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」に対して使用する場合、処方枚数については湿布薬として扱うようになります。
1回に処方可能なジクトルテープ75mgの枚数は他の湿布薬と合計して63枚までです。

ただし、「各種がんにおける鎮痛」で使用する場合は制限の対象となりません。
その場合、別に処方する湿布薬は63枚までですが、ジクトルテープ75mgは必要な数だけ処方可能です。

湿布薬とは異なる全身性の消炎鎮痛剤のため対象外と思われたが・・・

ジクトルテープは2022年6月20日に「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」の適応を追加取得しました。
がん性疼痛の適応で使用経験があった方は理解していたと思いますが、有効成分がNSAIDsであるジクロフェナクナトリウムで適応が「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」のテープ剤と聞くと湿布薬と勘違いしてしまう方も少なくないです。(実際、紛らわしいと思います)

5. 効能又は効果
◯各種がんにおける鎮痛
◯腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎
6. 用法及び用量
〈各種がんにおける鎮痛〉

通常、成人に対し、1日1回、2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替える。なお、症状や状態により1日3枚(ジクロフェナクナトリウムとして225mg)に増量できる。
〈腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎〉
通常、成人に対し、1日1回、1枚(ジクロフェナクナトリウムとして75mg)又は2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替える。

ジクトルテープ75mg 添付文書

ジクトルテープはあくまでも全身性の消炎鎮痛剤です。「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」の適応で使用する際も、患部(痛いところ)に貼るのではなく、「胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部」のいずれかに貼付して使用することに注意が必要です。(貼付部位はがん性疼痛の場合も非がん性疼痛の場合も同じです)

  • 貼付部位:胸部、腹部、上腕部、背部、腰部、大腿部
  • 適応:(腰痛症)、肩・上腕(肩関節周囲炎)、首(頸肩腕症候群)、手首・指・関節(腱鞘炎)

比較してみると患部と貼付部位が共通しているのは「腰」、「上腕」のみですね・・・。

患部に直接貼るわけではないのに、今回湿布薬と同様の扱いになったのは、保険上は製剤特性(薬効の発現部位)よりも使用目的や方法を重視しているためということなんだと思われます。

参考:ジクトル®︎テープを使用されている患者さん・ご家族へ – 久光製薬

湿布薬の枚数制限の対象となる「湿布薬」とは貼付剤のうち薬効分類264に該当するものとは限らない

Q:湿布薬の処方枚数制限について教えてください。 – 薬剤師の覚え書

湿布薬は1回に処方できる枚数の上限が63枚と決められていますが、枚数制限の対象となる湿布薬は薬効分類264(鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤)に該当する「貼付剤」です。
薬効分類2:個々の器官系用医薬品
薬効分類26:外皮用薬
薬効分類264:鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤

第2章 特掲診療料
第5部 投薬
<通則>
10 「通則5」の湿布薬とは、貼付剤のうち、薬効分類上の鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤(ただし、専ら皮膚疾患に用いるものを除く。)をいう

診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和4年3月4日 保医発0304第1号) 別添1 医科診療報酬点数表に関する事項

ジクトルテープの薬効分類は114(解熱鎮痛消炎剤)なので、通常であれば枚数制限を受ける湿布薬には該当しませんが、今回の通知で対象となることになりました。

ジクトルテープ:薬効分類番号114
薬効分類1:神経系及び感覚器官用医薬品
薬効分類11:中枢神経系用薬
薬効分類114:解熱鎮痛消炎剤

今回、薬効分類264(鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤)には該当しないジクトルテープが湿布薬の処方枚数制限の対象となったことで、今後は薬効分類に限らず、湿布薬と同様の目的、使い方の薬剤は処方枚数制限の対象となる可能性があることになります。

同じく吸収性の高いNSAIDsテープ剤のロコアテープは湿布薬として開発

ジクトルテープ75mgと比較される薬剤にロコアテープ(エスフルルビプロフェン)があります。

ロコアテープは貼付部位の痛みを抑制する湿布薬として開発された薬剤ですが、吸収性を高めた結果、2枚貼付することで全身暴露量が内服と同程度になってしまいます。
それに対して、ジクトルテープ75mgは1日1回、2枚貼付することで内服(ボルタレンSRカプセル37.5mg 2cap 2×の血中濃度に類似)と同じような全身作用を発揮するように開発された薬です。

ジクロフェナクナトリウムとエスフルルビプロフェンの違いはありますが、どちらも同じNSAIDsを有効成分とするテープ剤で、一方は湿布薬(ロコアテープ)、一方は全身性の消炎鎮痛薬(ジクトルテープ)です。

結果的にロコアテープは63枚の制限は付きましたが湿布薬なので比較的使いやすい、ジクトルテープは枚数制限はありませんが…どうなるでしょう?似たような性質の薬剤なのに、開発・設計の違いで全く使われ方が変わってくるのはとても興味深いですね。

一部地域では枚数制限の対象となっていたが、今回正式なルールに

ジクトルテープ75mgについては〈腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎〉の適応を取得した直後に一部地域では枚数制限の対象と判断して査定の対象となるという情報が出ていました。
診療報酬に明記される前から湿布薬の枚数制限が事実上存在した都道府県もあるように、ジクトルテープについてもローカルルールが設けられていた形です。

ですが、今回の疑義解釈を機に正式なルールとなりました。
これまでは湿布薬を対象としたルールだったものが、湿布薬と同様の使われ方をする医薬品に拡大されたことに個人的には驚きでした。

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