A:エパデールEMカプセルは乳化剤を加えることにより1日1回の服用で効果を発揮することを可能にした高純度EPA製剤です。
エパデールEMはエパデールSの改良型製剤で、EM(EMulsifier:乳化剤)を加えることで、消化管からのイコサペント酸エチルの吸収を高め、1日1回で効果を発揮できるようにした自己乳化製剤です。
従来の製剤では、有効成分であるEPA-E(EicosaPentaenoic Acid Ethyl ester:イコサペント酸エチル)が食事によって消化管に放出される胆汁酸と混じり合うことでエマルジョン(EMulsion)となります。その後、エマルジョン中のEPAがリパーゼにより加水分解を受け、ミセルとなることで小腸上皮細胞から吸収されます。
エパデールEMは、カプセル崩壊後、EPA-Eと乳化剤が混ざることで、胆汁酸を介さずエマルジョンを形成することを可能とした製剤です。
添付文書を元にエパデールSとエパデールEMの違いを比較してみます。
製品名 | エパデールS | エパデールEMカプセル | |
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適応 | 閉塞性動脈硬化症 に伴う潰瘍、疼痛 及び冷感の改善 | イコサペント酸エチルとして、通常、 成人1回600mgを1日3回、毎食直後 に経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減す る。 | ー |
脂質異常症 | イコサペント酸エチルとして、通常、 成人1回900mgを1日2回又は1回 600mgを1日3回、毎食直後に経口 投与する。 ただし、トリグリセリドの異常を呈 する場合には、その程度により、1 回900mg、1日3回まで増量できる。 | イコサペント酸エチルとして、通常、 成人には1回2gを1日1回、食直後に 経口投与する。 ただし、トリグリセリド高値の程度 により、1回4g、1日1回まで増量で きる。 | |
添加物 | 内容物 | トコフェロール | トコフェロール 大豆レシチン ポリゾルベート80 ポリオキシル35ヒマシ油 |
カプセル | ゼラチン D-ソルビトール液 濃グリセリン パラオキシ安息香酸エチル パラオキシ安息香酸プロピル | ゼラチン 濃グリセリン トレハロース水和物 D-ソルビトール液 中鎖脂肪酸トリグリセリド 大豆レシチン |
適応は「高脂血症」のみ
エパデールEMの適応は「高脂血症」のみになっています。
エパデールSにはASO(Arterio-Sclerosis Obliterans:閉塞性動脈硬化症)関連の適応(「閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善」)がありますが、エパデールEMでは適応外となることに注意が必要です。
1日1回1包(2g)で効果を発揮
エパデールEMの正式名称は「エパデールEMカプセル2g」で1包あたり2gの分包品となっています。
ですので、1日1回1包の服用で治療を行うことが可能です。
TG(TriGlyceride:トリグリセリド、中性脂肪)の値が改善しない場合は2包(4g)まで増量可能で、その場合も1日1回の服用となっています。
食直後に服用するのは同じ
エパデールEMは乳化剤を加えることでEPA(EicosaPentaenoic Acid:イコサペント酸)の消化管吸収を高めているため、食事による影響が軽減しているようですが、服用時点に関してはエパデールEMもエパデールSと同じ「食直後」となっています。
これまで同様、食直後に服用するよう指導が必要です。
これは、エパデールEMも食事の有無により吸収に影響を受けるためです。
食事なしの場合と食事ありの場合のCmaxを比較すると、食事なしの場合は食事ありの場合の0.58倍となっています。
中性脂肪の目標値は?
日本人間ドック学会ではTGの基準値は30〜149mg/dlとされています。
また、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版では脂質異常症(高トリグリセライド血症)の診断基準は空腹時採血で150mg/dL以上とされています。
ですので、中性脂肪の治療目標値は150mg/dL未満ということになります。
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