令和8年度調剤報酬改定 改定率について

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2026年6月1日に施行された令和8年度調剤報酬改定。
早くも1ヶ月以上経過しましたが、皆さんの薬局では問題なく対応できているでしょうか?

いろんな方がしっかりまとめてくれているからいいか〜・・・ってのが4分の1。
あちこちで記事を出させていただいているので、自分のところでは控えた方がいいかな〜ってのが2分の1。
残りの4分の1はめんどく・・・なんて冗談はさておき、このタイミングでまとめておこうと思います。

後から振り返りたいこともあると思うので、そんなときにお役に立てるかもしれません。

まずは改定率についてです。

目次

令和8年度調剤報酬改定はプラス改定?

まずは、改定率から見ていきましょう。

令和8年度診療報酬改定について(令和7年12月24日大臣折衝事項)

令和8年度診療報酬の改定率は令和7年12月24日に行われた予算大臣折衝(各省の大臣が財務大臣を訪問し、重要施策等を踏まえた話し合いを行い、翌年の予算を決定するための交渉。令和8年度改定の場合、上野賢一郎厚生労働大臣と片山さつき財務大臣によって行われました)を踏まえ、決定・公開されています。

診療報酬本体の改定率は+3.09%、薬価等は▲0.87%(薬価▲0.86%、材料価格▲0.01%)、これらを合わせたネット(全体)改定率は+2.22%でした。
30年ぶりの高水準ということで、マスコミ等を含め、かなりポジティブに報道された印象がありますが、実際のところはどうだったでしょう?
プラス改定、マイナス改定。薬局によってさまざまだと思いますが、明確にプラス改定!と言えるかと言われると、そんなことはない・・・と言って反論する方はそこまで多くないと思います。個々の評価の差はあれど、まあ、マイナス改定ですよね(笑)

マイナス改定だと思います!

ま、まあ、プラスかマイナスかってのは個々の薬局の、いろんな要因が影響してくるから・・・。

補足
今回の改定の特徴として、令和8年度と令和9年度とで段階的に実施される形になっています。
具体的には、令和8年度改定は+2.41%、令和9年度改定は+3.77%で、その平均が+3.09%という形です。

プラス3.09%ってそんなに大きな数字なの?

3.09%って数字が大きいのか小さいのかよくわからない。

なるほど。じゃあ、少し過去の改定を振り返ってみようか。

過去の改定の改定率を並べてみます。

  • 令和6年度:+0.88%
  • 令和4年度:+0.43%
  • 令和2年度:+0.55%
  • 平成30年度:+0.55%
  • 平成28年度:+0.49%
  • 平成26年度:+0.73%
  • 平成24年度:+1.38%
  • 平成22年度:+1.55%
  • 平成20年度:+0.38%
  • 平成18年度:-1.00%
  • 平成16年度:±0.00%
  • 平成14年度:-1.30%
  • 平成12年度:+1.90%
  • 平成10年度:+1.50%

プラス3.09%という数字がかなり大きいということがわかりますね。

マニアックな知識さらけ出してドヤ顔してるんじゃねーよ

30年ぶりのプラス改定はどこに消えたのか?

これだけのプラスだったのに、実際はプラスと実感できない・・・。
じゃあ、この数字はどこに消えたのでしょうか?
これは改定率の資料にしっかりと記されています。

診療報酬(本体改定率:+3.09%)の内訳

  • 賃上げ分:+1.70%(令和8年度:+1.23%、令和9年度:+2.18%)
  • 物価対応分:+0.76%(令和8年度:+0.55%、令和9年度:+0.97%)
  • 食費・光熱水費分:+0.09%
  • 令和6年度診療報酬改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分:+0.44%
  • 後発医薬品への置換えの進展を踏まえた処方や調剤に係る評価の適正化、実態を踏まえた在宅医療・訪問看護関係の評価の適正化、長期処方・リフィル処方の取組強化等による効率化:▲0.15%

3.09 – 1.70 – 0.76 – 0.09 – 0.44 + 0.15 = 0.25%・・・?

そう!いわゆる通常の改定に関する部分は+0.25%ということになります!

この「+0.25%」は医科・歯科・調剤を合わせたもので、ここからさらに各科に分配される形になりますが、各科の配分比率は医科:歯科:調剤 = 1:1.1:0.3 となっています。
(この比率は完全に固定されると決まっているわけではありませんが、昭和47年以降、慣行として続いています)

この配分比率に当てはめると、調剤は+0.08%という形になります。

3.09%と0.08%じゃ大違い!

調剤においては薬剤料が占める割合が高いから、改定による影響率を各科で等しくしようとするとこの比率になるんだとか・・・

調剤にはどの程度の予算が振り分けられたのか?

通常改定分以外の部分でも、細かい配分が決められています。
おそらく・・・という形にはなりますが、それぞれどのような形で調剤報酬に割り振られているかを考えてみます。

賃上げ分=調剤ベースアップ評価料

賃上げ分として+1.70%が割り振られていますが、これはおそらく調剤ベースアップ評価料という形で、反映されています。

別表第三 調剤報酬点数表

区分
40 調剤ベースアップ評価料 4点

注1 当該保険薬局において勤務する職員の賃金の改善を図る体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において調剤した場合には、処方箋の受付1回につき、所定点数を算定する。
2 令和9年6月以降においては、所定点数の100分の200に相当する点数により算定する。

物価対応分=調剤物価対応料

物価対応分として+0.76%が割り振られていますが、保険薬局にはそのうち+0.01%が配分されています。
こちらは名称そのまま、調剤物価対応料に反映されたんだと思います。

別表第三 調剤報酬点数表

区分
41 調剤物価対応料 1点
注 処方箋を受け付けた場合に、3月に1回に限り、所定点数を算定する。ただし、令和9年6月以降は、所定点数の100分の200に相当する点数を算定する。

0.76%のうちの0.01%って76分の1ってことか・・・

経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分=調剤基本料

令和6年度診療報酬改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分として+0.44%が割り振られており、保険薬局にはそのうちの+0.01%が配分されています。
これはおそらく調剤基本料になるのかなあ・・・。

個別改定項目について(令和8年2月13日)

【Ⅰ-1 医療機関等が直面する人件費や、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等といった物件費の高騰を踏まえた対応-①】
① 物件費の高騰を踏まえた対応
第1 基本的な考え方
これまでの物価高騰による医療機関等の物件費負担の増加を踏まえ、初・再診料等及び入院基本料等について必要な見直しを行う。また、令和8年度及び令和9年度における物件費の更なる高騰に対応する観点か
ら、その担う医療機能も踏まえつつ、物価高騰に対応した新たな評価を行う。

  • 調剤基本料1:45点→47点(+2点)
  • 調剤基本料2:29点→30点(+1点)
  • 調剤基本料3イ:24点→25点(+1点)
  • 調剤基本料3ロ:19点→20点(+1点)
  • 調剤基本料3ハ:35点→37点(+2点)

特別調剤基本料を除く調剤基本料はそれぞれ1点引き上げとなりましたね(調剤基本料1と3ハは面調剤の推進の観点からさらに1点引き上げ)。

調剤 通常改定分 +0.08%は妥当?

ここまで説明したものを除いた部分に調剤の+0.08%が反映されているということになります。

点数だけを簡単にまとめてみると

  • 調剤基本料1:45点→47点(経営対応の+1点と合わせて+2点
  • 調剤基本料3ハ:35点→37点(経営対応の+1点と合わせて+2点
  • 後発医薬品調剤体制加算2→地域支援・医薬品供給対応体制加算1:28点→27点(+1点
  • 後発医薬品調剤体制加算3→地域支援・医薬品供給対応体制加算1:30点→27点(+3点
  • 地域支援対応体制加算1〜4→地域支援・医薬品供給対応体制加算2〜5:±0点(旧 地域支援相当部分は変更なし)
  • 在宅薬学総合体制加算1:15点→30点(+15点
  • 在宅薬学総合体制加算2:イの新設(追加的措置を含む) 50点→100点(+50点
  • バイオ後続品調剤体制加算:新設 50点(+50点
  • 医療DX推進体制整備加算1→電子的調剤情報連携体制整備加算:10点→8点(▲2点)
  • 医療DX推進体制整備加算2→電子的調剤情報連携体制整備加算:8点→8点(±0点)
  • 医療DX推進体制整備加算3→電子的調剤情報連携体制整備加算:6点→8点(+2点
  • 門前薬局等立地依存減算:新設 ▲15点(▲15点)
  • 無菌製剤処理加算
    • 中心静脈栄養法用輸液:137点→237点(+100点
    • 6歳未満の乳幼児→15歳未満の小児
      • 中心静脈栄養法用輸液:69点→237点(+168点
      • 抗悪性腫瘍剤:79点→147点(+68点
      • 麻薬:69点→137点(+68点
  • 調剤管理料1
    • 7日分以下:4点→10点(+6点
    • 8日分以上14日分以下:28点→10点(▲18点)
    • 15日分以上27日分以下:50点→10点(▲40点)
    • 28日分:50点→60点(+10点
    • 29日分以上:60点→60点(±0点)
  • 調剤管理料2:4点→10点(+6点
  • 重複投薬・相互作用等防止加算ロ→調剤時残薬調剤加算ハ:20点→50点(+30点
  • 重複投薬・相互作用等防止加算ロ→調剤時残薬調剤加算ニ:20点→30点(+10点
  • 重複投薬・相互作用等防止加算イ→薬学的有害事象等防止加算ハ:40点→50点(+10点
  • 重複投薬・相互作用等防止加算イ→薬学的有害事象等防止加算ニ:40点→30点(▲10点)
  • 調剤管理加算:3点→0点(廃止 ▲3点)
  • 医療情報取得加算:1点→0点(廃止 ▲1点)
  • かかりつけ薬剤師指導料→服薬管理指導料1イ:76点→45点(▲21点)
  • かかりつけ薬剤師指導料→服薬管理指導料1ロ:76点→59点(▲17点)
  • かかりつけ薬剤師フォローアップ加算:新設 50点(+50点
  • かかりつけ薬剤師訪問加算:新設 230点(+230点
  • 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料1ロ→調剤時残薬調剤加算ロ:20点→50点(+30点
  • 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料2ロ→調剤時残薬調剤加算イ:20点→50点(+30点
  • 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料1イ→薬学的有害事象等防止加算ロ:40点→50点(+10点
  • 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料2イ→薬学的有害事象等防止加算算イ:40点→50点(+10点

こうやってみると意外と悪くない・・・?

今回の改定の厳しさは、調剤基本料2の範囲拡大のような、施設基準の厳しさにあると思うよ。調剤管理料については薬局によって影響がかなり大きいし・・・。

実際には施設基準や算定要件の強化があるので、点数だけで比較できるものではないんですが、意外とプラスになっている部分が多いですね。

まとめ〜結局プラスかマイナスか

令和8年度調剤報酬改定は改定率だけを見るとプラス改定となっていますが、個々の薬局の業態によってはマイナスになってしまいます。

調剤基本料に関して、集中率の計算方法の見直し(施設入居者、医療モール)があったため、調剤基本料1から2に変更になってしまう場合はかなりのマイナスです。

門前薬局等立地依存減算の新設により、出店計画を変更せざるを得ない薬局もあると思います。

また、調剤管理料1(内服薬を調剤した場合)については、ロ(27日分以下の場合)が10点になってしまった影響が大きいです。
在宅、特に施設在宅を中心に行う薬局の場合、14日分の処方箋が多いと思うので、3剤で考えると、処方箋1枚あたり54点のマイナスです(▲18点×3剤)。

反面、個人在宅を多く行っている薬局のうち、在宅薬学総合体制加算2の要件を満たすことができた薬局はプラスの恩恵を受けることができると思います。
追加的措置により加算1の施設基準しか満たせてなくても、加算2を算定することが可能になったのも大きいです。

在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定要件が見直されているので、その部分でもプラスになっています。

重複投薬・相互作用等防止加算(在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料)が調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算に分かれ、在宅に関する評価が高くなっていることも在宅を行う薬局にとってはプラスとなる部分です。

とまあ、このような感じでプラスになる薬局もないことはないですが、明確にプラス改定とは言えないよね・・・っていうのが令和8年度調剤報酬改定の印象です。

今回の改定を「プラス改定」と言われてしまったことが、今後の改定にどう影響するのか?

薬局への影響は、今後行われる調査等で検討されていくとは思いますが、少し注目したいところですね。

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この記事を書いた人

薬剤師として薬局で働きながらメディカルライターとしてブログやTwitter、Facebook、Instagram等のSNSで薬や業界の情報を発信しています。
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