A:湿布薬は1回の処方につき原則63枚までしか処方できない
湿布薬の処方枚数制限は平成28年度診療報酬改定(2016年度)に新たに設けられたルールです。H28年度改定では70枚の処方枚数制限でしたが、令和4年度診療報酬改定(2022年度)に上限枚数63枚に見直されました。
実際には処方できないのではなく、63枚を超した場合は「調剤料、処方料、薬剤料、処方箋料、調剤技術基本料」を算定できないというルールですが、実質、処方できないに等しいルールになります。
第2章 特掲診療料
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和4年厚生労働省告示第54号) 別表第一 医科診療報酬点数表(令和令和4年度診療報酬改定について)
第5部 投薬
通則5 入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき63枚を超えて湿布薬を投薬した場合は、区分番号F000に掲げる調剤料、区分番号F100に掲げる処方料、区分番号F200に掲げる薬剤(当該超過分に係る薬剤料に限る。)、区分番号F400に掲げる処方箋料及び区分番号F500に掲げる調剤技術基本料は、算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず63枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方箋及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。
A:医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、その理由を診療報酬明細書に記載すれば63枚を超えて処方することが可能
「医師が疾患の特性等により必要性があると判断」し、「理由を診療報酬明細書に記載」すれば63枚を超えて投薬することが可能です。
第2章 特掲診療料
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和4年厚生労働省告示第54号) 別表第一 医科診療報酬点数表(令和令和4年度診療報酬改定について)
第5部 投薬
通則5 入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき63枚を超えて湿布薬を投薬した場合は、区分番号F000に掲げる調剤料、区分番号F100に掲げる処方料、区分番号F200に掲げる薬剤(当該超過分に係る薬剤料に限る。)、区分番号F400に掲げる処方箋料及び区分番号F500に掲げる調剤技術基本料は、算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず63枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方箋及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。
A:湿布薬とは貼付剤のうち薬効分類264(鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤)に該当するもの
湿布薬の処方枚数制限の対象となる「湿布薬」は「貼付剤のうち、薬効分類上の鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤(ただし、専ら皮膚疾患に用いるものを除く。)」と定義されています。
「薬効分類上の鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤」は薬効分類番号264に該当します。
第2章 特掲診療料
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和4年3月4日 保医発0304第1号) 別添1 医科診療報酬点数表に関する事項
第5部 投薬
<通則>
10 「通則5」の湿布薬とは、貼付剤のうち、薬効分類上の鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤(ただし、専ら皮膚疾患に用いるものを除く。)をいう。
薬効分類2:個々の器官系用医薬品
薬効分類26:外皮用薬
薬効分類264:鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤
参考情報
湿布薬等の処方制限に関するルールの歴史
医薬品の適正給付を目的とした診療報酬上の改定は湿布薬に限らず、他の薬剤についても行われています。
- 平成24年度(2012年度)診療報酬改定:ビタミン剤 単なる栄養補給目的での投与は保険対象外
- 平成26年度(2014年度)診療報酬改定:うがい薬 治療目的でない場合は保険対象外
- 平成28年度(2016年度)診療報酬改定:湿布薬 1処方につき原則70枚の処方制限
- 平成30年度(2018年度)診療報酬改定:保湿剤 医師が疾病の治療として有効であると判断した場合以外は保険対象外
- 令和4年度(2022年度)診療報酬改定:湿布薬 1処方につき原則63枚の処方制限
平成28年度改定で初めて70枚の湿布上限枚数が設定
平成28年度改定で初めて湿布薬の処方枚数制限が開始されました。
枚数の上限が70枚だったこと以外は同様の内容ですが、調剤料、処方料、薬剤料、処方せん料(処方箋料)、調剤技術基本料それぞれに分けて記載されています。
第5部 投薬
第1節 調剤料
区分F000 調剤料
注3 入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき70枚を超えて湿布薬を投薬した場合は算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず70枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。第2節 処方料
区分FF100 処方料
注10 入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき70枚を超えて湿布薬を投薬した場合は算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず70枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。第3節 薬剤料
区分F200 薬剤
注8 入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき70枚を超えて湿布薬を投薬した場合は、当該超過分に係る薬剤料は算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず70枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。第5節 処方せん料
区分F400 処方せん料
注9 入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき70枚を超えて湿布薬を投薬した場合は算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず70枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。第6節 調剤技術基本料
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(平成28年厚生労働省告示第52号) 別表第一 医科診療報酬点数表(令和令和28年度診療報酬改定について)
区分F500 調剤技術基本料
注6 入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき70枚を超えて湿布薬を投薬した場合は算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず70枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。
湿布薬の処方枚数制限に関するぺんぎん薬剤師の記事
湿布薬の処方枚数制限の枚数が変更したことについてはm3.comにコラムを投稿しています。
また、医師向け臨床支援アプリHOKUTOさんでは湿布の処方枚数制限に関連したポストを投稿しています。
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