A:一般名処方では徐放錠Aと徐放錠Bの区別がつかないため、基本的には疑義照会が必要となります。
日本薬局方では、デパケンR錠の一般名はバルプロ酸Na徐放錠A、セレニカR錠の一般名はバルプロ酸Na徐放錠Bと定められていますが、厚生労働省が定めている一般名処方マスタではAとBの区別はなく、単純にバルプロ酸Na徐放錠の記載になっています。
バルプロ酸Na徐放錠100mgの記載の場合、先発品はデパケンR錠100mgのみなので問題ないのですが、バルプロ酸Na徐放錠200mgと記載された場合はデパケンR錠200mgとセレニカR錠200mgのどちらを指しているのか簡単に判断することができません。(セレニカR錠400mgには後発品が存在しないため、一般名処方マスタにはバルプロ酸Na徐放錠400mgが存在しません)
一般名処方 | 基準名(局方名) | 用法 | 先発品名 | 後発品名 |
---|---|---|---|---|
バルプロ酸Na徐放錠100mg | バルプロ酸ナトリウム徐放錠A100mg | 1日1~2回 | デパケンR錠100mg | バルプロ酸ナトリウムSR錠100mg「アメル」 バルプロ酸ナトリウム徐放錠A100mg「トーワ」 |
バルプロ酸Na徐放錠200mg | バルプロ酸ナトリウム徐放錠A200mg | 1日1~2回 | デパケンR錠100mg | バルプロ酸ナトリウムSR錠100mg「アメル」 バルプロ酸ナトリウム徐放錠A100mg「トーワ」 |
バルプロ酸ナトリウム徐放錠B200mg | 1日1回 | セレニカR錠200mg | ー | |
(バルプロ酸Na徐放錠400mg) ※後発品が存在しないため一般名マスタには存在しない | バルプロ酸ナトリウム徐放錠B400mg | 1日1回 | セレニカR錠400mg | ー |
用法で判断する場合
一般名処方マスタのバルプロ酸Na徐放錠200mgの備考欄には「先発品はデパケンR錠200mg/セレニカR錠200mg(セレニカの代替は1日1回用法に限る)」と記載されているため、保険上1日2回の用法であればデパケンR錠(バルプロ酸ナトリウム徐放錠A)と判断することも可能ですが、デパケンR錠(バルプロ酸ナトリウム徐放錠A)とセレニカR錠(バルプロ酸ナトリウム徐放錠B)では薬物動態が異なるため、そのほかの情報等で確定できない場合は疑義照会を行うことが望ましいと考えられます。
また、1日1回の用法で処方されている場合は当然区別できません。
一般名処方が発行されていることで判断する場合
また、一般名処方加算の考えでは後発品が存在する医薬品のみが一般名処方の対象であるため、一般名処方されている時点でバルプロ酸ナトリウム徐放錠A200mg(デパケンR錠200mgもしくはその後発品)という考え方も可能ですが、一部で後発品の有無に関わらず一般名処方を発行されるケースも存在することを考慮する必要があります。
もう一歩踏み込んで、患者さんが処方元で受け取った明細書を確認させてもらい、単独処方の場合に一般名処方加算1を算定しているかどうか、他に一般名記載がない場合に一般名処方加算2を算定しているかどうかで判断することも可能だとは思いますが、誤って一般名処方加算を算定している可能性も否定できません。
参考資料
デパケンR錠100mg/デパケンR錠200mg 添付文書
セレニカR顆粒40%/セレニカR錠200mg/セレニカR錠400mg 添付文書
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