A:ハザード比(HR:Hazard Ratio)とは単位時間あたりのイベントの発生率を比較した割合です。
ハザード比はイベントの発生率を比較した割合ですが、そこに時間的要素が含まれるのが特徴です。
ある事象について比較を行う際、ハザード比が1より大きい場合はある事象が発生するまでの時間が短く、ハザード比が1より小さい場合はある事象が発生するまでの時間が長く、ハザード比が1の場合は両群間に差がないことを示します。
ハザードとリスクはどう違う?
ハザード比はリスク比と混同してしまいがちです。
リスクは英語でrisk。日本語に訳すと「危険」。
ハザードは英語でhazard。日本語に訳すと「危険」。
どちらも同じ「危険」になってしまうんですが、細かなニュアンスが異なります。
riskは起こることが予想できる危険。明確なものです。
hazardは偶発的に起きてしまう危険。予想できるが明確ではないものです。
英語のニュアンスからもハザード比が直接的な事象の発生割合ではなく、事象が発生するまでの過程を比較していることが伝わるのではないでしょうか?
ハザード比とリスク比・オッズ比はどう違う?
リスク比とオッズ比は期間全体のイベント発生数を元に比較たものですが、ハザード比はある瞬間における発生率を比較したものになります。
そのためリスク比やオッズ比は期間中は一定の発生率という考え方になりますが、ハザード比は発生率の変化を加味したものとなっています。
少しわかりやすく比較してみると・・・
- リスク比とオッズ比:イベント数という結果を比較
- ハザード比:イベントの増え方という変化(速度)を比較
ということになります。
ハザード比はどういう時に使われるの?
生存分析(生存時間解析)のような長期間に及ぶ試験では、エンドポイント(イベントの発生)に到達する前に何らかの理由で試験を離脱してしまう症例も多く、そのデータの扱い方によって結果が変化してしまいます。(選択バイアス)
ハザード比は、単位時間あたりのイベント発生頻度(ハザード)を比較することでエンドポイントに以前に発生する危険度を評価することができます。
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