在宅の考え方は同一建物から単一建物に〜診療報酬と介護報酬のダブル改定

平成30年度(2018年度)の在宅に関する改定についてまとめます。今回は調剤報酬だけでなく介護報酬の改定も行われるダブル改定です。在宅関連の内容が統一されるかと思いきや、そうでない部分も意外と多くあります。

この記事では在宅患者訪問薬剤管理指導料等の調剤報酬における在宅関連の改定とあわせて、介護保険における居宅療養管理指導費の改定についてもまとめます。

目次

平成30年度改定における在宅関連部分の変更

最初に今回の調剤報酬改定、介護報酬改定における薬局在宅関連部分の変更内容についてまとめます。

まず、同時に在宅訪問を行った場合の考え方について変更が行われています。

  •  名称の変更:「同一建物居住者」→「単一建物診療患者(単一建物居住者)」
  •  単一建物診療患者の算定とみなす条件の拡大:同一日→同一月
  • 人数に応じた3段階の評価に変更:一人/複数人→一人/2〜9人/10人以上

さらに、単一建物診療患者人数の数え方には例外があります。

  • 3ユニット以下の認知症対応型共同生活介護(グループホーム)はユニット毎に単一建物診療患者の人数を判断
  • 例外的に「単一建物診療患者が1人の場合」を算定可能なケース
    • 同一世帯に対象者が同居している場合
    • 算定患者数が建物の戸数の10%以下の場合
    • 単一建物の戸数が20戸未満で算定患者数が2人以下の場合

平成30年度在宅改定(診療報酬部分)のまとめ

診療報酬(医療保険):在宅患者訪問薬剤管理指導料

平成28年度改定平成30年度改定
1 同一建物居住者以外の場合:650点1 単一建物診療患者が1人の場合:650点
2 同一建物居住者の場合:300点2 単一建物診療患者が2〜9人の場合:320点
3 1及び2以外の場合:290点

・保薬剤師1人につき1週につき40回に限り算定
・麻薬管理指導加算:100点
・乳幼児加算:100点(在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料も対象)

平成30年度居宅改定(介護報酬部分)のまとめ

介護報酬(介護保険):居宅療養管理指導費・予防居宅療養管理指導費

平成28年度改定平成30年度改定
(一) 同一建物居住者以外の場合:503単位(一) 単一建物居住者1人に対して行う場合:507単位
(二) 同一建物居住者の場合:352単位(二) 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合:376単位
(三) (一)及び(二)以外の場合:344単位

麻薬管理指導加算:100単位
地域に応じた加算
・特別地域居宅療養管理指導加算:15%
・中山間地域等における小規模事業所加算:10%
・中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算:5%

在宅に関する改定の指針

ここから在宅に関連する改定について、資料を読み解いていきたいと思います。

平成30年度改定時点での「在宅に関連する管理料」とは以下の4つです。

  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急時等共同指導料
  • 退院時共同指導料

改定の方向性を知る

具体的な算定要件の話に入る前に、骨子などから今回の改定の方向性を把握したいと思います。

居住場所と診療患者人数による評価の見直し

個別改定項目の228〜229ページ231〜232ページに記載されている内容です。

【I-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保 -㉑】
㉑訪問指導料における居住場所に応じた評価 骨子<I-5(21)>
第1 基本的な考え方
在宅時医学総合管理料等で単一建物診療患者の人数に応じた評価が行われていることや、介護報酬の居宅療養管理指導費についても同様の評価となることを踏まえ、薬剤師及び管理栄養士の訪問指導料について、居住場所に応じたきめ細かな評価を実施する。
第2 具体的な内容
在宅患者訪問薬剤管理指導料及び在宅患者訪問栄養食事指導料について、単一建物診療患者の人数に応じた評価に見直す。

改定案
【在宅患者訪問薬剤管理指導料】
1 単一建物診療患者が1人の場合:650点
2 単一建物診療患者が2〜9人の場合:320点
3 1及び2以外の場合:290点

[単一建物診療患者の人数]
当該患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険医療機関が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者(当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するものを含む。以下同じ。)の人数を「単一建物診療患者の人数」という。
ただし、当該建築物において当該保険医療機関が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が2人以下の場合には、それぞれ単一建物診療患者が1人であるものとみなす。

一つの建物に住む複数患者をまとめて訪問した際の考え方について見直しが行われます。

これまでは「同一建物居住者」という括りで考えていたものが「単一建物診療患者」という表現に変わります。「同一建物居住者」では同日に算定したかどうかの考えでしたが、「単一建物診療患者」では同月に算定したかどうかで考えます。
さらに、人数に応じて段階的に点数が引き下げられます。9人まではこれまでの複数患者訪問時より高くなりますが、10人以上ではマイナスです。これについては、医療保険・介護保険同様の改定になります。

当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するものを含む。以下同じ。)
この一文がすごいというか、悲しいというか、もう情けないですよね・・・。
つまりは「チェーン薬局の他店舗等で施設の患者さんを分け合うようなズルをしても高い点数は取れません」ってことですね。そういうことはやめてください・・・。

診療報酬改定の通知を見てみると、調剤における単一建物診療患者に関連する文書のどこにも「当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するものを含む」の記載がありませんね。(すでに改定が行われていた医科の「在宅時医学総合管理料」に関連する部分には記載があります)
介護報酬改定の通知でも居宅療養管理指導費で単一建物診療患者に関連する記載はあっても「当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するものを含む」の記載はありません。
調剤(在宅)と介護(居宅)では「当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するもの」は単一建物診療患者の考えに含まない・・・ということでいいのかな?

乳幼児に対する評価の見直し

【I-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保-㉒】
㉒ 効率的で質の高い在宅薬剤管理指導業務の推進 骨子<I-5(22)>
第1 基本的な考え方
かかりつけ薬剤師による在宅対応を推進するため、無菌製剤室の共同利用などの評価を見直す。
第2 具体的な内容
1,無菌製剤処理加算の評価を見直す。
2,無菌製剤室を共同利用した場合の費用について、無菌製剤室を提供する薬局と処方箋受付薬局の両者の合議とすることを明確にする。
3,乳幼児に対する業務の評価を新設する。

改定案
【在宅患者訪問薬剤管理指導料】
注3 在宅で療養を行っている6歳未満の乳幼児であって、通院が困難なものに対して、患家を訪問して、直接患者又はその家族等に対して薬学的管理及び指導を行った場合は、乳幼児加算として、1 回につき100点を所定点数に加算する。

新たに乳幼児加算が新設されます。

6歳未満に対して在宅での指導を行った場合、乳幼児加算として100点が加算されます。
在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料に対する加算です。(介護保険の居宅療養管理指導費ならびに予防居宅療養管理指導費には乳幼児加算はなく、代わりに特別地域加算等が追加されます)

在宅関連の具体的な改定内容

ここからは具体的な改定内容について算定要件を確認していきます。

新旧点数表の記載内容(H30年度改定vsH28年度改定)

まずはH30年度改定での算定要件について該当部分を抜粋します。

(かなり長いので必要に応じてそれぞれクリックして文章を展開してください。)

H30改定:別表第三 調剤報酬点数表 在宅関連部分(クリックで展開)

別表第三 調剤報酬点数表(平成30年 厚生労働省告示第43号)
第2節 薬学管理料
15 在宅患者訪問薬剤管理指導料

  1. 単一建物診療患者が1人の場合:650点
  2. 単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合:320点
  3. 1及び2以外の場合:290点
  • 注1 あらかじめ在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して、医師の指示に基づき、保険薬剤師が薬学的管理指導計画を策定し、患家を訪問して、薬学的管理及び指導を行った場合に、単一建物診療患者(当該患者が居住する建物に居住する者のうち、当該保険薬局が訪問薬剤管理指導を実施しているものをいう。)の人数に従い、患者1人につき月4回(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者にあっては、週2回かつ月8回)に限り算定する。この場合において、1から3までを合わせて保険薬剤師1人につき週40回に限り算定できる。
  • 注2 麻薬の投薬が行われている患者に対して、麻薬の使用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合は、1回につき100点を所定点数に加算する。
  • 注3 在宅で療養を行っている6歳未満の乳幼児であって、通院が困難なものに対して、患家を訪問して、直接患者又はその家族等に対して薬学的管理及び指導を行った場合は、乳幼児加算として、1回につき100点を所定点数に加算する。
  • 注4 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合にあっては、特殊の事情があった場合を除き算定できない。
  • 注5 在宅患者訪問薬剤管理指導に要した交通費は、患家の負担とする。

15の2 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料:500点

  • 注1 訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理及び指導を行った場合に、月4回に限り算定する。
  • 注2 麻薬の投薬が行われている患者に対して、麻薬の使用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合は、1回につき100点を所定点数に加算する。
  • 注3 在宅で療養を行っている6歳未満の乳幼児であって、通院が困難なものに対して、患家を訪問して、直接患者又はその家族等に対して薬学的管理及び指導を行った場合は、乳幼児加算として、1回につき100点を所定点数に加算する。
  • 注4 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合にあっては、特殊の事情があった場合を除き算定できない。
  • 注5 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導に要した交通費は、患家の負担とする。

15の3 在宅患者緊急時等共同指導料:700点

  • 注1 訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、当該保険医療機関の保険医等、歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等、訪問看護ステーションの保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士、介護支援専門員又は相談支援専門員と共同でカンファレンスに参加し、それらの者と共同で療養上必要な指導を行った場合に、月2回に限り算定する。
  • 注2 麻薬の投薬が行われている患者に対して、麻薬の使用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合は、1回につき100点を所定点数に加算する。
  • 注3 在宅で療養を行っている6歳未満の乳幼児であって、通院が困難なものに対して、患家を訪問して、直接患者又はその家族等に対して薬学的管理及び指導を行った場合は、乳幼児加算として、1回につき100点を所定点数に加算する。
  • 注4 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合にあっては、特殊の事情があった場合を除き算定できない。
  • 注5 区分番号15の2に掲げる在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は、別に算定できない。

15の4 退院時共同指導料:600点

  • 保険医療機関に入院中の患者について、当該患者の退院後の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、当該患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な薬剤に関する説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医又は保健師、助産師、看護師若しくは准看護師と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回に限り算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、当該入院中2回に限り算定できる。

注 保険医療機関に入院中の患者について、当該患者の退院後の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、当該患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な薬剤に関する説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医又は保健師、助産師、看護師若しくは准看護師と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回に限り算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、当該入院中2回に限り算定できる。

H30年度改定:別添3 調剤報酬点数表(クリックで展開)

別添3 調剤報酬点数表(平成30年3月5日 保医発0305第1号)<薬学管理料>
区分15在宅患者訪問薬剤管理指導料

  1. 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して、あらかじめ名称、所在地、開設者の氏名及び在宅患者訪問薬剤管理指導(以下「訪問薬剤管理指導」という。)を行う旨を地方厚生(支)局長に届け出た保険薬局の薬剤師が、医師の指示に基づき、薬学的管理指導計画を策定し、患家を訪問して、薬歴管理、服薬指導、服薬支援、薬剤服用状況、薬剤保管状況及び残薬の有無の確認等の薬学的管理指導を行い、当該指示を行った医師に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に算定する。
  2. 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、単一建物診療患者の人数に従い算定する。ここでいう単一建物診療患者の人数とは、当該患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険薬局が訪問薬剤管理指導料を算定する者の人数をいう。なお、ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、それぞれのユニットにおいて、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する人数を、単一建物診療患者の人数とみなすことできる。
  3. 在宅での療養を行っている患者とは、保険医療機関又は介護老人保健施設で療養を行っている患者以外の患者をいう。ただし、「要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合」(平成20年厚生労働省告示第128号)、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」(平成18年3月31日保医発第0331002号)等に規定する場合を除き、患者が医師若しくは薬剤師の配置が義務付けられている病院、診療所、施設等に入院若しくは入所している場合又は現に他の保険医療機関若しくは保険薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行っている場合には、在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定できない。
  4. 3.にかかわらず、訪問薬剤管理指導を主に行っている保険薬局(以下「在宅基幹薬局」という。)が、連携する他の保険薬局(以下「サポート薬局」という。)と薬学的管理指導計画の内容を共有していること及び緊急その他やむを得ない事由がある場合には在宅基幹薬局の薬剤師に代わって当該患者又はその家族等に訪問薬剤管理指導を行うことについて、あらかじめ当該患者又はその家族等の同意を得ている場合には、在宅基幹薬局に代わってサポート薬局が訪問薬剤管理指導を行った場合は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定できる。なお、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定は、在宅基幹薬局が行うこととするが、費用については両者の合議とする。
  5. サポート薬局の薬剤師が在宅基幹薬局の薬剤師に代わって訪問薬剤管理指導を行った場合には、薬剤服用歴の記録を記載し、在宅基幹薬局と当該記録の内容を共有することとするが、訪問薬剤管理指導の指示を行った医師又は歯科医師に対する訪問結果についての報告等は在宅基幹薬局が行う。なお、調剤報酬明細書に当該訪問薬剤管理指導を行ったサポート薬局名、当該訪問薬剤管理指導を行った日付及びやむを得ない事由等を記載する。また、サポート薬局が処方箋を受け付け、調剤を行ったサポート薬局が訪問薬剤管理指導を行った場合には、算定については、調剤技術料及び薬剤料等はサポート薬局、また、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定は在宅基幹薬局が行うこととし、調剤報酬明細書の摘要欄にはサポート薬局が処方箋を受け付けた旨を記載する。
  6. 1つの患家に当該指導料の対象となる同居する同一世帯の患者が2人以上いる場合は、患者ごとに「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。また、当該建築物において、当該保険薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、当該保険薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が2人以下の場合には、それぞれ「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。
  7. 「薬学的管理指導計画」は、処方医から提供された診療状況を示す文書等に基づき、又は必要に応じ、処方医と相談するとともに、他の医療関係職種(歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等及び訪問看護ステーションの看護師等)との間で情報を共有しながら、患者の心身の特性及び処方薬剤を踏まえ策定されるものであり、薬剤の管理方法、処方薬剤の副作用、相互作用等を確認した上、実施すべき指導の内容、患家への訪問回数、訪問間隔等を記載する。
  8. 策定した薬学的管理指導計画書は、薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存する。
  9. 薬学的管理指導計画は、原則として、患家を訪問する前に策定する。
  10. 訪問後、必要に応じ新たに得られた患者の情報を踏まえ計画の見直しを行う。
  11. 薬学的管理指導計画は少なくとも1月に1回は見直しを行うほか、処方薬剤の変更があった場合及び他職種から情報提供を受けた場合にも適宜見直しを行う。
  12. 必要に応じて、処方医以外の医療関係職種に対しても、訪問薬剤管理指導の結果及び当該医療関係職種による当該患者に対する療養上の指導に関する留意点について情報提供する。
  13. 訪問薬剤管理指導は、当該保険薬局の調剤した薬剤の服用期間内に、患者の同意を得て実施する。なお、調剤を行っていない月に訪問薬剤管理指導を実施した場合は、当該調剤年月日及び投薬日数を調剤報酬明細書の摘要欄に記入する。
  14. 在宅患者訪問薬剤管理指導料を月2回以上算定する場合(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者に対するものを除く。)は、算定する日の間隔は6日以上とする。末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者については、週2回かつ月8回に限り算定できる。
  15. 保険薬剤師1人につき「1」、「2」及び「3」を合わせて週40回に限り算定できる。
  16. 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の3.の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
    • 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名
    • 処方医から提供された情報の要点
    • 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(薬剤の保管状況、服薬状況、残薬の状況、投薬後の併用薬剤、投薬後の併診、副作用、重複服用、相互作用等に関する確認、実施した服薬支援措置等)
    • 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
    • 処方医以外の医療関係職種との間で情報を共有している場合にあっては、当該医療関係職種から提供された情報の要点及び当該医療関係職種に提供した訪問結果に関する情報の要点
    • サポート薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行った場合には、5.で規定する事項
  17. 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定した月においては、「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料、「区分番号13の2」かかりつけ薬剤師指導料及び「区分番号13の3」かかりつけ薬剤師包括管理料は、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の処方箋によって調剤を行った場合を除いて算定できない。また、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定した月においては、「区分番号14の2」の外来服薬支援料又は「区分15の5」の服薬情報等提供料は算定できない。
  18. 麻薬管理指導加算
    • 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている患者に対して、定期的に、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、処方箋発行医に対して必要な情報提供を行った場合に算定する。
    • 「注2」の麻薬管理指導加算は、在宅患者訪問薬剤管理指導料が算定されていない場合は算定できない。
    • 麻薬管理指導加算を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の3.及び「区分番号15」の16.の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
      • (イ)訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和等の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)
      • (ロ)訪問に際して行った患者・家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)
      • (ハ)処方医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用等の状況、服薬指導の要点等に関する事項を含む。)の要点
      • (ニ)患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)
  19. 「注3」の乳幼児加算は、乳幼児に係る薬学的管理指導の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。
  20. 保険薬局(サポート薬局を含む。)の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える訪問薬剤管理指導については、患家の所在地から16キロメートルの圏域の内側に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている薬局が存在しないなど、当該保険薬局からの訪問薬剤管理指導を必要とする特殊な事情がある場合に認められるものであって、この場合の在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定については16キロメートル以内の場合と同様、本区分及び「注2」により算定する。特殊な事情もなく、特に患家の希望により16キロメートルを超えて訪問薬剤管理指導を行った場合の在宅患者訪問薬剤管理指導料は保険診療としては認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、患家を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に当該保険薬局が所在する場合をいう。ただし、平成24年3月31日以前に「注1」に規定する医師の指示があった患者については、当該規定は適用しないものであること。
  21. 「注4」に規定する交通費は実費とする。

区分15の2 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料

  1. 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行い、当該保険医に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に、月4回に限り算定する。
  2. 「区分番号15」の4.に規定する同意を得ている場合において、在宅基幹薬局に代わってサポート薬局が緊急訪問薬剤管理指導を行った場合は、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定できる。なお、その場合においては、「区分番号15」の4.及び5.の取扱いに準ずること。
  3. 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の3.の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
    • 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名
    • 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医から緊急の要請があった日付及び当該要請の内容並びに当該要請に基づき訪問薬剤管理指導を実施した旨
    • 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(服薬状況、副作用、相互作用等に関する確認等を含む。)
    • 当該保険医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
  4. 麻薬管理指導加算
    • 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている患者に対して、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して必要な情報提供を行った場合に算定する。
    • 「注2」の麻薬管理指導加算は、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料が算定されていない場合は算定できない。
    • 麻薬管理指導加算を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の3.及び「区分番号15の2」の3.の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
      • (イ)訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和等の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)
      • (ロ)訪問に際して行った患者・家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)
      • (ハ)当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用等の状況、服薬指導の要点等に関する事項を含む。)の要点
      • (ニ)患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)
  5. 「注3」の乳幼児加算は、乳幼児に係る薬学的管理指導の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。
  6. 保険薬局(サポート薬局を含む。)の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える訪問薬剤管理指導については、患家の所在地から16キロメートルの圏域の内側に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている薬局が存在しないなど、当該保険薬局からの訪問薬剤管理指導を必要とする特殊な事情がある場合に認められるものであって、この場合の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定については16キロメートル以内の場合と同様、本区分及び「注2」により算定する。特殊な事情もなく、特に患家の希望により16キロメートルを超えて訪問薬剤管理指導を行った場合の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は保険診療としては認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、患家を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に当該保険薬局が所在する場合をいう。ただし、平成24年3月31日以前に「区分番号15」の「注1」に規定する医師の指示があった患者については、当該規定は適用しないものであること。
  7. 「注4」に規定する交通費は実費とする。

区分15の3 在宅患者緊急時等共同指導料

  1. 在宅患者緊急時等共同指導料は、在宅での療養を行っている患者の状態の急変や診療方針の変更等の際、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等(居宅介護支援事業者の介護支援専門員を含む。以下同じ。)が一堂に会す等によりカンファレンスを行うことで、より適切な治療方針を立てることが可能となるとともに、カンファレンスの参加者の間で診療方針の変更等の情報を的確に共有することができ、患者及び家族が安心して療養生活を送ることに資することから、そのような取組を評価するものである。
  2. 在宅患者緊急時等共同指導料は、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの病状の急変や、診療方針の大幅な変更等の必要が生じたことに伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、原則として患家を訪問し、関係する医療関係職種等と共同でカンファレンスを行うとともに、共有した当該患者の診療情報及び当該カンファレンスの結果を踏まえ、計画的な訪問薬剤管理指導の内容に加えて患者に対し療養上必要な薬学的管理指導を行った場合に、月2回に限り算定する。なお、当該カンファレンスを行った日と異なる日に当該薬学的管理指導を行った場合でも算定できるが、当該カンファレンスを行った日以降速やかに薬学的管理指導を行うものであること。また、カンファレンス及びそれに基づく薬学的管理指導1回につき1回に限り算定する。
  3. 当該カンファレンスは、原則として、患家で行うこととするが、患者又は家族が患家以外の場所でのカンファレンスを希望する場合はこの限りでない。また、やむを得ない事情により患家を訪問することができない場合は、以下のア及びイを満たすときに限り、保険薬局の保険薬剤師が、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(以下この区分及び区分番号15の4において「ビデオ通話」という。)が可能な機器を用いて参加した場合でも算定可能である。
    • 当該カンファレンスに当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等の3者以上が参加すること
    • 当該3者のうち2者以上は、患家に赴きカンファレンスを行っていること
  4. 更に、保険薬局が、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成30年3月5日保医発0305第2号)の別添3の別紙2に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属する場合には、以下のアからウまでを満たすときに限り、ビデオ通話を用いて参加した場合でも算定可能である。
    • 当該カンファレンスを当該月に2回実施する場合の2回目のカンファレンスであること
    • 当該2回目のカンファレンスに当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等の3者以上が参加すること
    • 1者以上は、患家に赴きカンファレンスを行っていること
  5. 3.及び4.において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するがイドライン」(平成25年10月)に対応していること。
  6. 在宅患者緊急時等共同指導料を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の3.の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
    • カンファレンス及び薬学的管理指導の実施日、薬学的管理指導を行った薬剤師の氏名並びにカンファレンスに参加した医療関係職種等の氏名
    • 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医から要請があって患家を訪問し、他の医療関係職種等と共同してカンファレンスを行い、その結果を踏まえて薬学的管理指導を実施した旨及びその理由
    • カンファレンスの要点及びカンファレンスの結果を踏まえて実施した薬学的管理指導の内容(服薬状況、副作用、相互作用等に関する確認等を含む。)
    • 当該保険医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
  7. 在宅患者緊急時等共同指導料を算定する場合は、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料は別に算定できない。
  8. 麻薬管理指導加算
    • 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている患者に対して、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。
    • 「注2」の麻薬管理指導加算は、在宅患者緊急時等共同指導料が算定されていない場合は算定できない。
    • 麻薬管理指導加算を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の3.及び「区分番号15の3」の6.の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
      • (イ)訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和等の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)
      • (ロ)訪問に際して行った患者・家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)
      • (ハ)当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用等の状況、服薬指導の要点等に関する事項を含む。)の要点
      • (ニ)患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)
  9. 「注3」の乳幼児加算は、乳幼児に係る薬学的管理指導の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。
  10. 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える訪問薬剤管理指導については、患家の所在地から16キロメートルの圏域の内側に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている薬局が存在しないなど、当該保険薬局からの訪問薬剤管理指導を必要とする特殊な事情がある場合に認められるものであって、この場合の在宅患者緊急時等共同指導料の算定については16キロメートル以内の場合と同様、本区分及び「注2」により算定する。特殊な事情もなく、特に患家の希望により16キロメートルを超えて療養上必要な指導を行った場合の在宅患者緊急時等共同指導料は保険診療としては認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、患家を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に当該保険薬局が所在する場合をいう。ただし、平成24年3月31日以前に「区分番号15」の「注1」に規定する医師の指示があった患者については、当該規定は適用しないものであること。

区分15の4退院時共同指導料

  1. 退院時共同指導料は、保険医療機関に入院中の患者について、当該患者の退院後の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、原則として当該患者が入院している保険医療機関(以下「入院保険医療機関」という。)に赴いて、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な薬剤に関する説明及び指導を、入院保険医療機関の保険医又は看護師等と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回(別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については2回)に限り算定できる。なお、ここでいう入院とは、第1章第2部通則5に定める入院期間が通算される入院のことをいう。
  2. 保険薬局又は入院保険医療機関のいずれかが「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成30年3月5日保医発0305第2号)の別添3の別紙2に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属するものであって、やむを得ない事情により、保険薬局の薬剤師が入院保険医療機関に赴くことができないときは、ビデオ通話を用いて共同指導した場合でも算定可能である。
  3. 当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等の3者(当該保険薬局の薬剤師を含む。)以上が参加しており、そのうち2者以上が入院保険医療機関に赴き共同指導を行っている場合に、やむを得ない事情により、保険薬局の薬剤師が入院保険医療機関に赴くことができないときは、ビデオ通話を用いて共同指導した場合でも算定可能である。
  4. 2.及び3.において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するがイドライン」(平成25年10月)に対応していること。
  5. 退院時共同指導料は、患者の家族等、退院後に患者の看護を担当する者に対して指導を行った場合にも算定できる。
  6. 退院時共同指導料を算定する場合は、当該患者の薬剤服用歴の記録に、入院保険医療機関において当該患者に対して行った服薬指導等の要点を記載する。また、患者又はその家族等に提供した文書の写しを薬剤服用歴の記録に添付する。
  7. 退院時共同指導料は、退院後在宅での療養を行う患者が算定の対象となり、他の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設に入院若しくは入所する患者又は死亡退院した患者については、対象とはならない。

続いて(旧)H28年度改定での算定要件についての該当部分です。

こちらについても内容を転載しますが同じくかなり長いので必要に応じてそれぞれクリックして文章を展開してください。

H28年度:別表第三 調剤報酬点数表(クリックで展開)

別表第三 調剤報酬点数表(平成28年 厚生労働省告示第52号)
第2節 薬学管理料
15 在宅患者訪問薬剤管理指導料

  1. 同一建物居住者以外の場合:650点
  2. 同一建物居住者の場合:300点
  • 注1 あらかじめ在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、1については、在宅で療養を行っている患者(当該患者と同一の建物に居住する他の患者に対して当該保険薬局が同一日に訪問薬剤管理指導を行う場合の当該患者(以下「同一建物居住者」という。)を除く。)であって通院が困難なものに対して、2については、在宅で療養を行っている患者(同一建物居住者に限る。)であって通院が困難なものに対して、医師の指示に基づき、保険薬剤師が薬学的管理指導計画を策定し、患家を訪問して、薬学的管理及び指導を行った場合に、1と2を合わせて患者1人につき月4回(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者については、週2回かつ月8回)に限り算定する。この場合において、1と2を合わせて保険薬剤師1人につき週40回に限り算定できる。
  • 注2 麻薬の投薬が行われている患者に対して、麻薬の使用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合は、1回につき100点を所定点数に加算する。
  • 注3 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合にあっては、特殊の事情があった場合を除き算定できない。
  • 注4 在宅患者訪問薬剤管理指導に要した交通費は、患家の負担とする。

15の2 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料:500点

  • 注1 訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理及び指導を行った場合に、月4回に限り算定する。
  • 注2 麻薬の投薬が行われている患者に対して、麻薬の使用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合は、1回につき100点を所定点数に加算する。
  • 注3 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合にあっては、特殊の事情があった場合を除き算定できない。
  • 注4 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導に要した交通費は、患家の負担とする。

15の3 在宅患者緊急時等共同指導料:700点

  • 注1 訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、当該保険医療機関の保険医等、歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等、訪問看護ステーションの看護師等又は居宅介護支援事業者の介護支援専門員と共同で患家に赴き、カンファレンスに参加し、それらの者と共同で療養上必要な指導を行った場合に、月2回に限り算定する。
  • 注2 麻薬の投薬が行われている患者に対して、麻薬の使用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合は、1回につき100点を所定点数に加算する。
  • 注3 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合にあっては、特殊の事情があった場合を除き算定できない。
  • 注4 区分番号15の2に掲げる在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は、別に算定できない。

15の4 退院時共同指導料:600点

  • 保険医療機関に入院中の患者について、当該患者の退院後の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、当該患者が入院している保険医療機関に赴いて、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な薬剤に関する説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医又は看護師等と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回に限り算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、当該入院中2回に限り算定できる。
H28年度:別添3 調剤報酬点数表に関する事項(クリックで展開)

別添3 調剤報酬点数表に関する事項(平成28年3月4日 保医発0304第3号)<薬学管理料>
区分15 在宅患者訪問薬剤管理指導料

  1. 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して、あらかじめ名称、所在地、開設者の氏名及び在宅患者訪問薬剤管理指導(以下「訪問薬剤管理指導」という。)を行う旨を地方厚生(支)局長に届け出た保険薬局の薬剤師が、医師の指示に基づき、薬学的管理指導計画を策定し、患家を訪問して、薬歴管理、服薬指導、服薬支援、薬剤服用状況、薬剤保管状況及び残薬の有無の確認等の薬学的管理指導を行い、当該指示を行った医師に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に算定する。
  2. 在宅患者訪問薬剤管理指導料の「1」は、在宅での療養を行っている患者(同一建物居住者であるものを除く。)に対して、「2」は、在宅での療養を行っている患者であって同一建物居住者であるものに対して、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。
  3. 在宅での療養を行っている患者とは、保険医療機関又は介護老人保健施設で療養を行っている患者以外の患者をいう。ただし、「要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合」(平成20年厚生労働省告示第128号)、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」(平成18年3月31日保医発第0331002号)等に規定する場合を除き、患者が医師若しくは薬剤師の配置が義務付けられている病院、診療所、施設等に入院若しくは入所している場合又は現に他の保険医療機関若しくは保険薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行っている場合には、在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定できない。
  4. 3.にかかわらず、訪問薬剤管理指導を主に行っている保険薬局(以下「在宅基幹薬局」という。)が、連携する他の保険薬局(以下「サポート薬局」という。)と薬学的管理指導計画の内容を共有していること及び緊急その他やむを得ない事由がある場合には在宅基幹薬局の薬剤師に代わって当該患者又はその家族等に訪問薬剤管理指導を行うことについて、あらかじめ当該患者又はその家族等の同意を得ている場合には、在宅基幹薬局に代わってサポート薬局が訪問薬剤管理指導を行った場合は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定できる。なお、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定は、在宅基幹薬局が行うこととするが、費用については両者の合議とする。
  5. サポート薬局の薬剤師が在宅基幹薬局の薬剤師に代わって訪問薬剤管理指導を行った場合には、薬剤服用歴の記録を記載し、在宅基幹薬局と当該記録の内容を共有することとするが、訪問薬剤管理指導の指示を行った医師又は歯科医師に対する訪問結果についての報告等は在宅基幹薬局が行う。なお、調剤報酬明細書に当該訪問薬剤管理指導を行ったサポート薬局名、当該訪問薬剤管理指導を行った日付及びやむを得ない事由等を記載する。また、サポート薬局が処方せんを受け付け、調剤を行ったサポート薬局が訪問薬剤管理指導を行った場合には、算定については、調剤技術料及び薬剤料等はサポート薬局、また、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定は在宅基幹薬局が行うこととし、調剤報酬明細書の摘要欄にはサポート薬局が処方せんを受け付けた旨を記載する。
  6. 同一建物居住者とは、基本的には、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に掲げる建築物に居住する複数の者のことをいうが、具体的には、例えば以下のような患者のことをいう。
    • 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の4に規定する養護老人ホーム、老人福祉法第20条の6に規定する軽費老人ホーム、老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホーム、老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、マンションなどの集合住宅等の施設に入居又は入所している複数の患者
    • 介護保険法第8条第9項に規定する短期入所生活介護、介護保険法第8条第17項に規定する小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第63条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、介護保険法第8条第18項に規定する認知症対応型共同生活介護、介護保険法第8条の2第9項に規定する介護予防短期入所生活介護、介護保険法第8条の2第16項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第36号)第44条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、介護保険法第8条の2第17項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護などのサービスを受けている複数の患者
  7. 同居する同一世帯の複数の患者に在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する場合など、同一の患家において2人以上の患者を指導した場合には、2.の規定にかかわらず、1人目は「1同一建物居住者以外の場合」を算定し、2人目以降は「2同一建物居住者の場合」を算定する。
  8. 「薬学的管理指導計画」は、処方医から提供された診療状況を示す文書等に基づき、又は必要に応じ、処方医と相談するとともに、他の医療関係職種(歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等及び訪問看護ステーションの看護師等)との間で情報を共有しながら、患者の心身の特性及び処方薬剤を踏まえ策定されるものであり、薬剤の管理方法、処方薬剤の副作用、相互作用等を確認した上、実施すべき指導の内容、患家への訪問回数、訪問間隔等を記載する。
  9. 策定した薬学的管理指導計画書は、薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存する。
  10. 薬学的管理指導計画は、原則として、患家を訪問する前に策定する。
  11. 訪問後、必要に応じ新たに得られた患者の情報を踏まえ計画の見直しを行う。
  12. 薬学的管理指導計画は少なくとも1月に1回は見直しを行うほか、処方薬剤の変更があった場合及び他職種から情報提供を受けた場合にも適宜見直しを行う。
  13. 必要に応じて、処方医以外の医療関係職種に対しても、訪問薬剤管理指導の結果及び当該医療関係職種による当該患者に対する療養上の指導に関する留意点について情報提供する。
  14. 訪問薬剤管理指導は、当該保険薬局の調剤した薬剤の服用期間内に、患者の同意を得て実施する。なお、調剤を行っていない月に訪問薬剤管理指導を実施した場合は、当該調剤年月日及び投薬日数を調剤報酬明細書の摘要欄に記入する。
  15. 在宅患者訪問薬剤管理指導料を月2回以上算定する場合(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者に対するものを除く。)は、算定する日の間隔は6日以上とする。末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者については、週2回かつ月8回に限り算定できる。
  16. 保険薬剤師1人につき「1」と「2」を合わせて週40回に限り算定できる。
  17. 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の3.の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
    • 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名
    • 処方医から提供された情報の要点
    • 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(薬剤の保管状況、服薬状況、残薬の状況、投薬後の併用薬剤、投薬後の併診、副作用、重複服用、相互作用等に関する確認、実施した服薬支援措置等)
    • 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
    • 処方医以外の医療関係職種との間で情報を共有している場合にあっては、当該医療関係職種から提供された情報の要点及び当該医療関係職種に提供した訪問結果に関する情報の要点
    • サポート薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行った場合には、5.で規定する事項
  18. 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定した月においては、「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料、「区分番号13の2」かかりつけ薬剤師指導料及び「区分番号13の3」かかりつけ薬剤師包括管理料は、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の処方せんによって調剤を行った場合を除いて算定できない。、また、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定した月においては、「区分番号14の2」の外来服薬支援料又は「区分15の5」の服薬情報等提供料は算定できない。
  19. 麻薬管理指導加算
    • 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている患者に対して、定期的に、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、処方せん発行医に対して必要な情報提供を行った場合に算定する。
    • 「注2」の麻薬管理指導加算は、在宅患者訪問薬剤管理指導料が算定されていない場合は算定できない。
    • 麻薬管理指導加算を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の3.及び「区分番号15」の17.の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
      • (イ)訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和等の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)
      • (ロ)訪問に際して行った患者・家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)
      • (ハ)処方医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用等の状況、服薬指導の要点等に関する事項を含む。)の要点
      • (ニ)患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)
  20. 保険薬局(サポート薬局を含む。)の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える訪問薬剤管理指導については、患家の所在地から16キロメートルの圏域の内側に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている薬局が存在しないなど、当該保険薬局からの訪問薬剤管理指導を必要とする特殊な事情がある場合に認められるものであって、この場合の在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定については16キロメートル以内の場合と同様、本区分及び「注2」により算定する。特殊な事情もなく、特に患家の希望により16キロメートルを超えて訪問薬剤管理指導を行った場合の在宅患者訪問薬剤管理指導料は保険診療としては認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、患家を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に当該保険薬局が所在する場合をいう。
    ただし、平成24年3月31日以前に「注1」に規定する医師の指示があった患者については、当該規定は適用しないものであること。
  21. 「注4」に規定する交通費は実費とする。

区分15の2 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料

  1. 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行い、当該保険医に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に、月4回に限り算定する。
  2. 「区分番号15」の4.に規定する同意を得ている場合において、在宅基幹薬局に代わってサポート薬局が緊急訪問薬剤管理指導を行った場合は、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定できる。なお、その場合においては、「区分番号15」の4.及び5.の取扱いに準ずること。
  3. 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の3.の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
    • 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名
    • 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医から緊急の要請があった日付及び当該要請の内容並びに当該要請に基づき訪問薬剤管理指導を実施した旨
    • 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(服薬状況、副作用、相互作用等に関する確認等を含む。)
    • 当該保険医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
  4. 麻薬管理指導加算
    • 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている患者に対して、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して必要な情報提供を行った場合に算定する。
    • 「注2」の麻薬管理指導加算は、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料が算定されていない場合は算定できない。
    • 麻薬管理指導加算を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の3.及び「区分番号15の2」の3.の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
      • (イ)訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和等の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)
      • (ロ)訪問に際して行った患者・家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)
      • (ハ)当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用等の状況、服薬指導の要点等に関する事項を含む。)の要点
      • (ニ)患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)
  5. 保険薬局(サポート薬局を含む。)の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える訪問薬剤管理指導については、患家の所在地から16キロメートルの圏域の内側に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている薬局が存在しないなど、当該保険薬局からの訪問薬剤管理指導を必要とする特殊な事情がある場合に認められるものであって、この場合の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定については16キロメートル以内の場合と同様、本区分及び「注2」により算定する。特殊な事情もなく、特に患家の希望により16キロメートルを超えて訪問薬剤管理指導を行った場合の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は保険診療としては認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、患家を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に当該保険薬局が所在する場合をいう。
    ただし、平成24年3月31日以前に「区分番号15」の「注1」に規定する医師の指示があった患者については、当該規定は適用しないものであること。
  6. 「注4」に規定する交通費は実費とする。

区分15の3 在宅患者緊急時等共同指導料

  1. 在宅患者緊急時等共同指導料は、在宅での療養を行っている患者の状態の急変や診療方針の変更等の際、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等(居宅介護支援事業者の介護支援専門員を含む。以下同じ。)が一堂に会しカンファレンスを行うことで、より適切な治療方針を立てることが可能となるとともに、カンファレンスの参加者の間で診療方針の変更等の情報を的確に共有することができ、患者及び家族が安心して療養生活を送ることに資することから、そのような取組を評価するものである。
  2. 在宅患者緊急時等共同指導料は、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの病状の急変や、診療方針の大幅な変更等の必要が生じたことに伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、患家を訪問し、関係する医療関係職種等と共同でカンファレンスを行うとともに、共有した当該患者の診療情報及び当該カンファレンスの結果を踏まえ、計画的な訪問薬剤管理指導の内容に加えて患者に対し療養上必要な薬学的管理指導を行った場合に、月2回に限り算定する。なお、当該カンファレンスを行った日と異なる日に当該薬学的管理指導を行った場合でも算定できるが、当該カンファレンスを行った日以降速やかに薬学的管理指導を行うものであること。また、カンファレンス及びそれに基づく薬学的管理指導1回につき1回に限り算定する。
  3. 当該カンファレンスは、原則として、患家で行うこととするが、患者又は家族が患家以外の場所でのカンファレンスを希望する場合はこの限りでない。
  4. 在宅患者緊急時等共同指導料を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の3.の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
      カンファレンス及び薬学的管理指導の実施日、薬学的管理指導を行った薬剤師の氏名並びにカンファレンスに参加した医療関係職種等の氏名
    • 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医から要請があって患家を訪問し、他の医療関係職種等と共同してカンファレンスを行い、その結果を踏まえて薬学的管理指導を実施した旨及びその理由
    • 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医から要請があって患家を訪問し、他の医療関係職種等と共同してカンファレンスを行い、その結果を踏まえて薬学的管理指導を実施した旨及びその理由
    • カンファレンスの要点及びカンファレンスの結果を踏まえて実施した薬学的管理指導の内容(服薬状況、副作用、相互作用等に関する確認等を含む。)エ当該保険医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点
  5. 在宅患者緊急時等共同指導料を算定する場合は、「区分番号15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料は別に算定できない。
  6. 麻薬管理指導加算
    • 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている患者に対して、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。
    • 「注2」の麻薬管理指導加算は、在宅患者緊急時等共同指導料が算定されていない場合は算定できない。
    • 麻薬管理指導加算を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分番号10」の3.及び「区分番号15の3」の4.の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。
      • (イ)訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和等の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)
      • (ロ)訪問に際して行った患者・家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)
      • (ハ)当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用等の状況、服薬指導の要点等に関する事項を含む。)の要点
      • (ニ)患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)
  7. 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える訪問薬剤管理指導については、患家の所在地から16キロメートルの圏域の内側に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている薬局が存在しないなど、当該保険薬局からの訪問薬剤管理指導を必要とする特殊な事情がある場合に認められるものであって、この場合の在宅患者緊急時等共同指導料の算定については16キロメートル以内の場合と同様、本区分及び「注2」により算定する。特殊な事情もなく、特に患家の希望により16キロメートルを超えて療養上必要な指導を行った場合の在宅患者緊急時等共同指導料は保険診療としては認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、患家を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に当該保険薬局が所在する場合をいう。
    ただし、平成24年3月31日以前に「区分番号15」の「注1」に規定する医師の指示があった患者については、当該規定は適用しないものであること。

区分15の4 退院時共同指導料

  1. 退院時共同指導料は、保険医療機関に入院中の患者について、当該患者の退院後の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、当該患者が入院している保険医療機関(以下「入院保険医療機関」という。)に赴いて、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な薬剤に関する説明及び指導を、入院保険医療機関の保険医又は看護師等と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回(別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については2回)に限り算定できる。なお、ここでいう入院とは、第1章第2部通則5に定める入院期間が通算される入院のことをいう。
  2. 退院時共同指導料は、患者の家族等、退院後に患者の看護を担当する者に対して指導を行った場合にも算定できる。
  3. 退院時共同指導料を算定する場合は、当該患者の薬剤服用歴の記録に、入院保険医療機関において当該患者に対して行った服薬指導等の要点を記載する。また、患者又はその家族等に提供した文書の写しを薬剤服用歴の記録に添付する。
  4. 退院時共同指導料は、退院後在宅での療養を行う患者が算定の対象となり、他の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設に入院若しくは入所する患者又は死亡退院した患者については、対象とはならない。

在宅患者訪問薬剤管理指導料の改定内容

ここからは在宅関連の改定内容について一つずつ読み解いていきたいと思います。

まずは、在宅患者訪問薬剤管理指導料の改定内容についてです。

人数に応じた在宅患者訪問薬剤管理指導料の適正化

在宅患者訪問薬剤管理指導料についての改定で一番大きいのがこの部分です。
同じ建物に住む複数の患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する場合の考え方が適正化されています。それに応じて点数にも変更があります。

まずは改定後の算定要件です。下線部が追加になった部分です。

15 在宅患者訪問薬剤管理指導料
1 単一建物診療患者が1人の場合:650点
2 単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合:320点
3 1及び2以外の場合:290点

注1 あらかじめ在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して、医師の指示に基づき、保険薬剤師が薬学的管理指導計画を策定し、患家を訪問して、薬学的管理及び指導を行った場合に、単一建物診療患者(当該患者が居住する建物に居住する者のうち、当該保険薬局が訪問薬剤管理指導を実施しているものをいう。)の人数に従い、患者1人につき月4回(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者にあっては、週2回かつ月8回)に限り算定する。この場合において、1から3までを合わせて保険薬剤師1人につき週40回に限り算定できる。

次に比較対象としてH28年度改定の算定要件です。
打ち消し線が削除された部分です。

15 在宅患者訪問薬剤管理指導料
1 一建物居住者以外の場合:650点
2 一建物居住者の場合:300

注1 あらかじめ在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を地方厚生局長等に届け出た保険薬局において、1については、在宅で療養を行っている患者(当該患者と同一の建物に居住する他の患者に対して当該保険薬局が同一日に訪問薬剤管理指導を行う場合の当該患者(以下「同一建物居住者」という。)を除く。)であって通院が困難なものに対して、2については、在宅で療養を行っている患者(同一建物居住者に限る。)であって通院が困難なものに対して、医師の指示に基づき、保険薬剤師が薬学的管理指導計画を策定し、患家を訪問して、薬学的管理及び指導を行った場合に、1と2を合わせて患者1人につき月4回(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者については、週2回かつ月8回)に限り算定する。この場合において、1と2を合わせて保険薬剤師1人につき週40回に限り算定できる。

同一建物居住者から単一建物診療患者への変更

在宅に関する改定の中で一番大きい変更点が一度に複数人の患者に対して在宅を実施した場合の考え方の変更で、同一建物居住者から単一建物診療患者という表現に変わっています。
医科(在宅時医学総合管理料など)ではすでに2016年度診療報酬改定の時点でこの考えに切り替わっていました。

言葉だけ見るとわかりにくいのですが、以下のような考えの違いがあります。

  • 同一建物居住者:同一日に同じ建物の複数患者に対して算定したかどうか
  • 単一建物診療患者:同一月に同じ建物に住んでいる患者何人に対して算定したか

もう少しわかりやすく、名用を分解して説明してみます。

  1. 算定日で考えるか算定月で考えるかの違い
    • 同一建物居住者:同一に算定した同じ建物に住んでいる患者
    • 単一建物診療患者:同一に算定した同じ建物に住んでいる患者
  2. 人数の区切りの違い
    • 同一建物居住者:1人、複数2段階
    • 単一建物診療患者:1人、2〜9人10人以上3段階
マイナス改定となるのは単一建物診療患者10人以上になる場合

改定前後の点数を比較して見ると・・・

平成28年度改定平成30年度改定
1 同一建物居住者以外の場合:650点1 単一建物診療患者が1人の場合:650点
2 同一建物居住者の場合:300点2 単一建物診療患者が2〜9人の場合:320点
3 1及び2以外の場合:290点

2〜9人については点数アップで、10人を超えた場合にのみ点数が下がるようになります。サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)や老人ホーム等、入居者が多い施設でまとめて算定している薬局でない限り、全体的にはプラス改定なのではないかと思います。

グループホームはユニット単位で単一建物とする

別添3 調剤報酬点数表に関する事項の22ページには以下の内容が記載されています。

区分15在宅患者訪問薬剤管理指導料

  • (2)在宅患者訪問薬剤管理指導料は、単一建物診療患者の人数に従い算定する。ここでいう単一建物診療患者の人数とは、当該患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険薬局が訪問薬剤管理指導料を算定する者の人数をいう。なお、ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、それぞれのユニットにおいて、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する人数を、単一建物診療患者の人数とみなすことできる。

ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護(グループホーム)であれば、それぞれのユニットを単一建物と考えることができるようです。
グループホームの1ユニットのあたりの利用者数は5〜9人です。2ユニットのグループホームの入居者全員(18人)に対して在宅患者訪問薬剤管理指導料を実施した場合、3(1及び2以外の場合:290点)ではなく、2(単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合:320点)を算定できる。つまり、320点×18人=5760点算定可能というわけです。(月1回算定の場合)

H28年度改定で同じ例を考えて見ると、同日に算定すると同一建物居住者となり、300点×18人=5400円だったわけですから、グループホーム利用者に対する在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合はプラス改定になります。(後にまとめますが、居宅療養管理指導費も同様の考え方が適応されます)

ただ、認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)に入居できるのは要支援2以上に認定されている方だけだと思うので、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するケースはないのではないかと思うのですが?(もし例外あれば教えて下さい)

単一建物診療患者が少人数の場合

別添3 調剤報酬点数表に関する事項の22ページに以下の内容が記載されています。

区分15在宅患者訪問薬剤管理指導料

  • (6)1つの患家に当該指導料の対象となる同居する同一世帯の患者が2人以上いる場合は、患者ごとに「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。また、当該建築物において、当該保険薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、当該保険薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が2人以下の場合には、それぞれ「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。

以下の3つのケースであれば1(単一建物診療患者が1人の場合:650点)を算定可能となっています。

  1. 同居する同一世帯の患者
  2. 算定患者数が建物の戸数の10%以下
  3. 建物の戸数が20戸未満で算定患者数が2人以下

同居する同一世帯の患者は「単一建物診療患者が1人の場合」として扱うことができるようになります。
H28年度改定では個人宅に住む夫婦に対して同日に在宅を行った場合、1人目は同一建物居住者以外(650点)ですが、2人目は同一建物居住者(300点)となり、650点+300点=950点となっていました。
今回の改定で同じケースの場合、2人とも単一建物診療患者が1人の場合(650点)となり、650点×2人=1300点が算定可能になります。
これはかなりのプラス改定になりますが、患者さんの自己負担も大きく増えることになってしまいますね・・・。

算定患者数が建物の戸数の10%以下の場合も「単一建物診療患者が1人の場合」として扱うことができます。
これはサ高住や老人ホーム等で一部の方に算定している場合にはありがたいですね。入居者が100人なら10人まで、50人なら5人までは単一建物診療患者が1人の場合(650点)が算定可能になります。

乳幼児加算の追加

小児対する在宅医療の強化として乳幼児加算が追加になっています。
在宅における乳幼児加算は以下の3つの指導料に対する加算です。

  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急時等共同指導料

算定要件は以下のようになっています。

  • 15 在宅患者訪問薬剤管理指導料
    注3 在宅で療養を行っている6歳未満の乳幼児であって、通院が困難なものに対して、患家を訪問して、直接患者又はその家族等に対して薬学的管理及び指導を行った場合は、乳幼児加算として、1回につき100点を所定点数に加算する。
  • 15の2 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料:500点
    注3 在宅で療養を行っている6歳未満の乳幼児であって、通院が困難なものに対して、患家を訪問して、直接患者又はその家族等に対して薬学的管理及び指導を行った場合は、乳幼児加算として、1回につき100点を所定点数に加算する。
  • 区分15の3 在宅患者緊急時等共同指導料:700点
    注3 在宅で療養を行っている6歳未満の乳幼児であって、通院が困難なものに対して、患家を訪問して、直接患者又はその家族等に対して薬学的管理及び指導を行った場合は、乳幼児加算として、1回につき100点を所定点数に加算する。
  • 区分15在宅患者訪問薬剤管理指導料
    (12)「注3」の乳幼児加算は、乳幼児に係る薬学的管理指導の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。
  • 区分15の2 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
    (5)「注3」の乳幼児加算は、乳幼児に係る薬学的管理指導の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。
  • 区分15の3 在宅患者緊急時等共同指導料
    (9)「注3」の乳幼児加算は、乳幼児に係る薬学的管理指導の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。

算定要件は薬剤服用歴管理指導料における乳幼児加算の算定要件と同じですね。

薬剤服用歴管理指導料
(30)乳幼児服薬指導加算
(別添3 調剤技術料)
「注6」の乳幼児服薬指導加算は、乳幼児に係る処方箋の受付の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。

在宅患者緊急時等共同指導料の改定内容

在宅患者緊急時等共同指導料について、大きく影響する内容ではありませんがいくつかの変更点があります。

カンファレンスに参加する職種の追加

15の3 在宅患者緊急時等共同指導料:700点(別表第三 調剤報酬点数表-第2節 薬学管理料)

  • 注1 訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、当該保険医療機関の保険医等、歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等、訪問看護ステーションの保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士、介護支援専門員又は相談支援専門員と共同でカンファレンスに参加し、それらの者と共同で療養上必要な指導を行った場合に、月2回に限り算定する。

以下の通り、医師・看護師以外にもカンファレンスに参加する職種が追加されています。

  • 保健師
  • 助産師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 相談支援専門員

医療職種間の連携を増やすこで、より安心できる在宅医療を提供可能になると思います。

ビデオ通話でのカンファレンス参加が可能に

これまでは在宅患者緊急時等共同指導料を算定するためには、患家に赴いた上でカンファレンスに参加しなければなりませんでしが、例外的にビデオ通話によりカンファレンスに参加することが認められるようになっています。
ちなみに、上記の注1からは「共同で患家に赴き、カンファレンスに参加し、」のように、「患家に赴き、」という言葉が削除されています。

そのほか、関連する変更部分を下線部に示します。

区分15の3 在宅患者緊急時等共同指導料(別添3 調剤技術料)

  • (1)在宅患者緊急時等共同指導料は、在宅での療養を行っている患者の状態の急変や診療方針の変更等の際、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等(居宅介護支援事業者の介護支援専門員を含む。以下同じ。)が一堂に会す等によりカンファレンスを行うことで、より適切な治療方針を立てることが可能となるとともに、カンファレンスの参加者の間で診療方針の変更等の情報を的確に共有することができ、患者及び家族が安心して療養生活を送ることに資することから、そのような取組を評価するものである。
  • (2)在宅患者緊急時等共同指導料は、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの病状の急変や、診療方針の大幅な変更等の必要が生じたことに伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、原則として患家を訪問し、関係する医療関係職種等と共同でカンファレンスを行うとともに、共有した当該患者の診療情報及び当該カンファレンスの結果を踏まえ、計画的な訪問薬剤管理指導の内容に加えて患者に対し療養上必要な薬学的管理指導を行った場合に、月2回に限り算定する。なお、当該カンファレンスを行った日と異なる日に当該薬学的管理指導を行った場合でも算定できるが、当該カンファレンスを行った日以降速やかに薬学的管理指導を行うものであること。また、カンファレンス及びそれに基づく薬学的管理指導1回につき1回に限り算定する。
  • (3)当該カンファレンスは、原則として、患家で行うこととするが、患者又は家族が患家以外の場所でのカンファレンスを希望する場合はこの限りでない。また、やむを得ない事情により患家を訪問することができない場合は、以下のア及びイを満たすときに限り、保険薬局の保険薬剤師が、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(以下この区分及び区分番号15の4において「ビデオ通話」という。)が可能な機器を用いて参加した場合でも算定可能である。
    • 当該カンファレンスに当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等の3者以上が参加すること
    • 当該3者のうち2者以上は、患家に赴きカンファレンスを行っていること
  • (4)更に、保険薬局が、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成30年3月5日保医発0305第2号)の別添3の別紙2に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属する場合には、以下のアからウまでを満たすときに限り、ビデオ通話を用いて参加した場合でも算定可能である。
    • 当該カンファレンスを当該月に2回実施する場合の2回目のカンファレンスであること
    • 当該2回目のカンファレンスに当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等の3者以上が参加すること
    • 1者以上は、患家に赴きカンファレンスを行っていること
  • (5)(3)及び(4)において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するがイドライン」(平成25年10月)に対応していること。

退院時共同指導料の改定内容

退院時共同指導料についても参加職種、ビデオ通話について改定されています。

退院後の指導に参加する職種の追加

15の4 退院時共同指導料:600点

  • 保険医療機関に入院中の患者について、当該患者の退院後の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、当該患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な薬剤に関する説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医又は保健師、助産師、看護師若しくは准看護師と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回に限り算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、当該入院中2回に限り算定できる。

以下の通り、医師・看護師以外にもカンファレンスに参加する職種が追加されています。

  • 保健師
  • 助産師
  • 准看護師

ビデオ通話で退院後の指導に参加可能に

医療資源の少ない地域については、例外的にビデオ通話により指導に参加することが認められるようになっています。ちなみに、上記の注1からは「保険薬剤師が入院している 保険医療機関に赴いて、患者の同意を得て、」のように、「入院している 保険医療機関に赴いて」という言葉が削除されています。

さらに以下の内容が追加されています。

区分15の4退院時共同指導料(別添3 調剤技術料)

  • (2)保険薬局又は入院保険医療機関のいずれかが「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成30年3月5日保医発0305第2号)の別添3の別紙2に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属するものであって、やむを得ない事情により、保険薬局の薬剤師が入院保険医療機関に赴くことができないときは、ビデオ通話を用いて共同指導した場合でも算定可能である。

補足:退院時共同指導料(医科)の見直し

調剤報酬とは異なりますが、診療報酬(医科)の退院時共同指導料において、「薬剤師」が算定要件に加わっています。
個別改定項目の24〜26ページに記載されている内容です。

【I-1 地域包括ケアシステム構築のための取組の強化-⑥】
⑥ 関係機関の連携強化に向けた退院時共同指導料の見直し 骨子<I-1(6)>
第1 基本的な考え方
入院中の患者が退院後に安心して療養生活を送ることができるよう、関係機関間の連携を推進するため、退院時共同指導料について、医師及び看護職員以外の医療従事者が共同指導する場合も評価対象となるように見直す。また、入退院支援加算を算定する患者に係る退院後の診療等の療養に必要な情報の提供に対する評価について、算定対象を見直す。
第2 具体的な内容
1 退院時共同指導において、医師及び看護職員以外の医療従事者が共同 指導する場合も評価対象となるように見直す。

改定案
【退院時共同指導料1】
[算定要件] 注1 保険医療機関に入院中の患者について、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医又は当該保険医の指示を受けた看護師等薬剤師、管理栄養士、理学療法士等若しくは社会福祉士が、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医看護師等薬剤師、管理栄養士、理学療法士等又は社会福祉士と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回に限り、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関において算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、当該入院中2回に限り算定できる。
【退院時共同指導料2】
[算定要件] 注1 入院中の保険医療機関の保険医看護師等薬剤師、管理栄養士、理学療法士等又は社会福祉士が、入院中の患者に対して、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医若しくは当該保険医の指示を受けた看護師等薬剤師、管理栄養士、理学療法士等若しくは社会福祉士又は当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の指示を受けた訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く。)と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該患者が入院している保険医療機関において、当該入院中1回に限り算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、当該入院中2回に限り算定できる。
[包括範囲]
B006-3 退院時リハビリテーション指導料(理学療法士等が行った場合に限る。)
B014 退院時薬剤情報管理指導料(薬剤師が行った場合に限る。)

在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の改定内容

今回の改定では、「重複投薬・相互作用等防止管理料」が改定され、「残薬調整に係るもの以外の場合(40点)」が追加されています。それに伴い、「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」も同様の改定が行われています。

算定要件の内容は別表第三 調剤報酬点数表の8ページに記載されています。

15の6 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料
1 残薬調整に係るもの以外の場合:40点
2 残薬調整に係るものの場合:30点

注1 区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者その他厚生労働大臣が定める患者に対して、薬剤服用歴に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合は、処方箋受付1回につき所定点数を算定する。
2 区分番号10に掲げる薬剤服用歴管理指導料、区分番号13の2に掲げるかかりつけ薬剤師指導料又は区分番号13の3に掲げるかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者については、算定しない。

また、より詳細な内容が別添3 調剤報酬点数表に関する事項の31ページに記載されています。

区分15の6 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料(別添3 調剤技術料)
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は、薬剤服用歴の記録又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。ただし、複数項目に該当した場合であっても、重複して算定することはできない。
「イ 残薬調整に係るもの以外の場合」は、次に掲げる内容について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。
ア 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)
イ 併用薬、飲食物等との相互作用
ウ そのほか薬学的観点から必要と認める事項
3 「ロ 残薬調整に係るものの場合」は、残薬について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。
4 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の対象となる事項について、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴の記録に記載する。
5 同時に複数の処方箋を受け付け、複数の処方箋について薬剤を変更した場合であっても、1回に限り算定する。

居宅療養管理指導費の改定

平成30年度は診療報酬と介護報酬の同時改定が行われます。
ということで、介護保険における居宅療養管理指導費及び予防居宅療養管理指導費についての改定も行われます。

点数(単位数)こそ異なりますが、算定要件は、以前から言われている通り、医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料に準じた内容になっています。
同一建物居住者から単一建物居住者へと表現が変わっているのも同じです。(医療:単一建物診療患者、介護:単一建物居住者)

指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(厚生労働省告示第七十八号)の18〜19ページに算定要件が記載されています。下線部が変更内容です。

5 居宅療養管理指導費
ハ 薬剤師が行う場合
(1)病院又は診療所の薬剤師が行う場合
(一)単一建物居住者1人に対して行う場合:558単位
(二)単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合:414単位
(三)(一)及び(二)以外の場合:378単位
(2)薬局の薬剤師が行う場合
(一)単一建物居住者1人に対して行う場合:507単位
(二)単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合:376単位
(三)(一)及び(二)以外の場合:344単位

注1 在宅の利用者であって通院が困難なものに対して、指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が、医師又は歯科医師の指示(薬局の薬剤師にあっては、医師又は歯科医師の指示に基づき、当該薬剤師が策定した薬学的管理指導計画)に基づき、当該利用者を訪問し、薬学的な管理指導を行い、介護支援専門員に対する居宅サービス計画の策定等に必要な情報提供を行った場合に、単一建物居住者(当該利用者が居住する建物に居住する者のうち、当該指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が、同一月に指定居宅療養管理指導を行っているものをいう。)の人数に従い、1月に2回(薬局の薬剤師にあっては、4回)を限度として、所定単位数を算定する。ただし、薬局の薬剤師にあっては、別に厚生労働大臣が定める者に対して、当該利用者を訪問し、薬学的な管理指導等を行った場合は、1週に2回、かつ、1月に8回を限度として、所定単位数を算定する。
注2 (略)
注3 別に厚生労働大臣が定める地域に所在する指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が指定居宅療養管理指導を行った場合は、特別地域居宅療養管理指導として、1回につき所定単位数の100分の15に相当する単位数を所定単位数に加算する。
注4 別に厚生労働大臣が定める地域に所在し、かつ、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合する指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が指定居宅療養管理指導を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の10に相当する単位数を所定単位数に加算する。
注5 指定居宅療養管理指導事業所の薬剤師が、別に厚生労働大臣が定める地域に居住している利用者に対して、通常の事業の実施地域(指定居宅サービス基準第90条第5号に規定する通常の事業の実施地域をいう。)を越えて、指定居宅療養管理指導を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の5に相当する単位数を所定単位数に加算する。

10人以上の場合を除いて点数アップ

診療報酬での在宅患者訪問薬剤管理指導料では同一建物居住者が1人の場合と単一建物診療患者が1人の場合の点数は変化なし据え置きでしたが、介護保険の居宅療養管理指導費においてはプラス改定となっています。
薬局の薬剤師が行う居宅療養管理指導費の改定内容をまとめると下の表のようになります。

平成28年度改定平成30年度改定
(一) 同一建物居住者以外の場合:503単位(一) 単一建物居住者1人に対して行う場合:507単位
(二) 同一建物居住者の場合:352単位(二) 単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合:376単位
(三) 1及び2以外の場合:344単位

単一建物居住者数の考え方についての留意事項

指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項についての25〜26ページに以下の記載があります。

6 居宅療養管理指導費
(1) 単一建物居住者の人数について
居宅療養管理指導の利用者が居住する建築物に居住する者のうち、同一月の利用者数を「単一建物居住者の人数」という。
単一建物居住者の人数は、同一月における以下の利用者の人数をいう。
ア 養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、マンションなどの集合住宅等に入居又は入所している利用者
イ 小規模多機能型居宅介護(宿泊サービスに限る。)、認知症対応型共同生活介護、複合型サービス(宿泊サービスに限る。)、介護予防小規模多機能型居宅介護(宿泊サービスに限る。)、介護予防認知症対応型共同生活介護などのサービスを受けている利用者

ただし、ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、それぞれのユニットにおいて、居宅療養管理指導費を算定する人数を、単一建物居住者の人数とみなすことができる。また、1つの居宅に居宅療養管理指導費の対象となる同居する同一世帯の利用者が 2人以上いる場合の居宅療養管理指導費は、利用者ごとに「単一建物居住者1人に対して行う場合」を算定する。さらに、居宅療養管理指導費について、当該建築物において当該居宅療養管理指導事業所が居宅療養管理指導を行う利用者数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、当該居宅療養管理指導事業所が居宅療養管理指導を行う利用者が2人以下の場合には、それぞれ「単一建物居住者が1人に対して行う場合」を算定する。

診療報酬と同じように単一建物居住者が1人の場合を考える

介護保険での「単一建物居住者が1人の場合」についての考え方は基本的に診療報酬と同じです。

グループホームはユニット単位で単一建物とする
ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、それぞれのユニットにおいて、居宅療養管理指導費を算定する人数を、単一建物居住者の人数とみなすことができる。

ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護(グループホーム)であれば、それぞれのユニットを単一建物と考えることができます。
グループホームの1ユニットのあたりの利用者数は5〜9人です。2ユニットのグループホームの入居者全員(18人)に対して在宅患者訪問薬剤管理指導料を実施した場合、3(1及び2以外の場合:344単位)ではなく、2(単一建物居住者2人以上9人以下の場合:376単位)を算定できる。つまり、376単位×18人=6768単位算定可能というわけです。(月1回算定の場合)
H28年度改定で同じ例を考えて見ると、同日に算定すると同一建物居住者となり、352点×18人=6336単位だったわけですから、グループホーム利用者に対する在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合はプラス改定になります。(後にまとめますが、居宅療養管理指導費も同様の考え方が適応されます)

グループホーム入居中の患者に対して在宅を行っている薬局にとっては嬉しい限りですが、これは何故なんでしょう?やはり、認知症に対して地域連携を強めていく狙いがあるからでしょうか?

単一建物診療患者が少人数の場合

以下の3つのケースであれば1(単一建物入居者1人の場合:507単位)を算定可能となっています。

  1. 1つの居宅に同一世帯の算定者が2人以上いる場合はそれぞれを単一建物居住者とみなす
  2. 利用者数が建物の戸数の10%以下の場合は「単一建物居住者1人に対して行う場合」を算定
  3. 建物の戸数が20戸未満で利用者が2人以下の場合は単一建物居住者が1人の場合はそれぞれ「単一建物居住者1人の場合」を算定

夫婦2人暮らしの場合、これまでは「同一建物居住者の場合(352単位)」しか算定できなかったので352単位×2=704単位となっていましたが、改定後は「単一建物居住者1人に対して行う場合(507単位)」を2人ともに対して算定するようになるので507単位×2=1014単位となります。
自己負担がある場合、医療保険と同様に介護保険の場合でも大きな負担増になりますね。

算定患者数が建物の戸数の10%以下の場合も「単一建物診療患者が1人の場合」として扱うことができます。
これはサ高住や老人ホーム等で一部の方に算定している場合にはありがたいですね。入居者が100人なら10人まで、50人なら5人までは単一建物診療患者が1人の場合(507単位)が算定可能になります。

Q&Aで示された細かい考え方

平成30年度介護報酬改定に関するQ&AのVol.1〜3が公開されており、単一建物居住者についての細かい考え方等が示されています。
別記事にまとめているので参考にしてください。

参考:平成30年8月からは介護保険の3割負担が導入

今回の改定とは異なる部分ではありますが、平成30年8月から介護保健にも3割負担が導入されます。
地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律のポイント

世代間・世代内の公平性を確保しつつ、制度の持続可能性を高める観点から、2割負担者のうち特に所得の高い層の負担割合を3割とする。ただし、月額44,400円の負担の上限あり。【平成30年8月施行】

  • 年金収入等 340万円以上:2割→3割
  • 年金収入等 280万円以上:2割
  • 年金収入等 280万円未満:1割

居宅療養管理指導・予防居宅療養管理指導の評価はありがたいですが、負担割合も含めた利用者の方々の負担増にも注意しなければいけませんね。

地域に応じた各種加算の追加(介護保険のみ)

今回の介護報酬改定では、居宅療養管理指導費に対して、地域を勘案した加算が追加されています。

  • 特別地域居宅療養管理指導加算:離島振興法、山村振興法等の指定地域等の特別地域(※1)に所在する事業所が居宅サービスを行う場合に算定可能
    • 単位数の100分の15を加算
    • ※1:離島振興法、奄美群島振興開発特別措置法、山村振興法、小笠原諸島振興開発特別措置法、沖縄振興特別措置法等に定める地域
  • 中山間地域等における小規模事業所加算:特別地域の対象地域を除く豪雪地帯、過疎地域等の中山間地域等(※2)における小規模事業所(※3)が居宅サービスを行う場合に算定可能
    • 単位数の100分の10を加算
    • ※2:特別地域加算対象地域以外の地域で、愚説地帯対策特別措置法、辺地に係る公共的施設の総 合整備のための財政上の特別措置等に関する法律、半島振興法、特定農山村地域における農 林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律、過疎地域自立促進特別措置法に定める地域
    • ※3:1月当たり延べ訪問回数が50回以下の指定居宅療養管理指導事業所、5回以下の指定介護予防居宅療養管理指導事業所
  • 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算:特別地域、中山間地域等(※4)に居住している利用者に対し、通常の事業の実施地域を越えて居宅 サービスを行うことを評価するもの
    • 単位数の100分の5を加算
    • ※4:特別地域加算、中山間地域等における小規模事業所加算の対象地域対象地域

今回の記事で参考にしたサイト・資料へのリンク

※()内は印刷用のページ番号です

まとめ

今回の改定では、調剤報酬・介護報酬ともに、これまでの「同一建物居住者」という考えから「単一建物診療患者」という考え方に変わりました。

今回の改定はプラスかマイナスか?

これにより、複数患者に算定したかどうかの判定が日単位から月単位に変更になり、一見厳しくなったように思えます。
ですが、詳細を見ていくとプラスに転じる薬局も少なくはないのではないでしょうか?

懸念していたのですが、診療報酬にある週あたり40人までの制限は介護報酬には設けられなかったようです。
施設に対する在宅を行なっている場合、この制限が設けられるとかなり厳しくなります。
これはちょっと安心しました。

算定患者数が10人以上になるとマイナスですが、9人までであればこれまでの複数患者算定時と比較してプラスになっています。
また、同一世帯の複数患者は単一建物診療患者として算定することが可能です。
さらにグループホームであれば、1ユニットごとに単一建物診療と考えることが可能なので、9人までの複数患者として算定可能です。
こうして見てみると、かなりプラスじゃないです?

困るのはサ高住や老人ホームでまとめて算定している場合ですね。
それに、あって欲しくはありませんが、同じ施設の患者さんを日を変えて訪問していたり、同一グループ内で分けあって高い点数を算定していたような薬局にとっては大きなマイナスですね。
でも、それはしょうがないんじゃないかなと個人的には思います。

(最後の部分は短冊では記載がありましたが実際の改定には記載がないので削除しました)

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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