レセプト摘要欄への記載が必要な事例(平成26年3月26日)

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https://yakuzaishi.love/entry/2018/03/26/Receipt_memo_fields

前回に続いて、平成26年3月26日「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について。
この機会に、レセプト摘要欄の記載項目について復習しておきましょう。

保医発0326第3号
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000041950.pdf
通知資料のP109〜P110『(28) 「摘要」欄について』。

介護保険利用に関する記載

ア 介護保険に相当するサービスを行った場合に、当該患者が要介護者又は要支援者である場合には、「摘要」欄に介の記号を付して居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費の合計算定回数を記載すること。

医療保険の方にも介護保険での訪問回数を記載するんですね。
医療保険による処方せんに基づく(介護の)算定ですから当然かもしれません。

時間外対応の加算に関する記載

イ 時間外加算、休日加算、深夜加算又は時間外加算の特例を算定した場合は処方せんを受け付けた月日及び時間等当該加算を算定した事由が明確にわかるよう記載すること。

これはみなさん、ご存知と思いますが、普段から算定している薬局ばかりではないと思いますので復習。
時間外対応の加算では、調剤基本料、調剤料が加算されます。

  • 含まれるもの:基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算、無菌製剤処理加算、在宅患者調剤加算
  • 含まれないもの:麻薬・向精神薬・覚せい剤原料・毒薬加算、自家製剤加算、計量混合調剤加算
  • 時間外加算:深夜及び休日を除く開局時間外の時間に調剤を行った場合(調剤技術料の100分の100を加算)
  • 休日加算:日曜日、国民の祝日、1月2日、1月3日、12月29日、12月30日、12月31日に調剤を行った場合(調剤技術料の100分の140を加算)
  • 深夜加算:深夜(午後10時から午前6時までの間)において調剤を行った場合(調剤技術料の100分の200を加算)
  • 時間外加算の特例:救急医療の確保のために設けられている保険薬局においては、一般の薬局において時間外加算・休日加算・深夜加算の対象となる時間であれば、それが開局時間であっても特例で時間外加算を算定できます。(※特例の対象:地域医療の確保の観点から、救急医療対策の一環として設けられている施設、又は輪番制による深夜当番保険薬局等、客観的に深夜における救急医療の確保のために調剤を行っていると認められる保険薬局)

レセプト摘要欄への記載以外にも、

  • 時間外加算等を算定する保険薬局は開局時間を当該保険薬局の内側及び外側のわかりやすい場所に表示する。
  • 処方せんの受付時間を当該患者の薬剤服用歴の記録又は調剤録に記載する。

という点も注意が必要です。

ちなみに、「夜間・休日等加算」に関しては摘要欄への記載は不要のようです。
※夜間・休日等加算:午後7時(土曜日にあっては午後1時)から午前8時までの間(深夜及び休日を除く。)、休日又は深夜であって、当該保険薬局が表示する開局時間内の時間において調剤を行った場合は、夜間・休日等加算として、処方せん受付1回につき40点を加算する。(時間外加算・休日加算・深夜加算との併用は不可)

自家製剤加算に関する記載

ウ 自家製剤加算を算定した場合であって「処方」欄の記載内容からは加算理由が不明のときはその事由を記載すること。

これはいろんなケースがあると思うのですが、割線がないものを半割するケースが当てはまります。
割線がない錠剤を半錠にする場合、薬物動態及び品質上の問題から半錠自体が禁止で、自家製剤加算を算定することはできません。
ですが、薬物動態及び品質上の問題がない場合は半錠を行い、そのこと(問題がないこと)をレセプト摘要欄に記載することで自家製剤加算の算定を認めている都道府県もあります。(これは都道府県により異なると思います)

診療科の異なる処方の調剤に関する記載

エ 同一の保険医療機関で一連の診療に基づいて同一の患者に対して交付され、受付回数1回とされた異なる保険医の発行する処方せんに係る調剤については、同一調剤であっても、それぞれ別の「処方」欄に記載することとされているが、このことにより、一包化加算、自家製剤加算及び計量混合調剤加算を算定した場合であって「処方」欄の記載内容からは加算理由が不明のときはその事由を記載すること。

同一病院の複数科の処方を同時に受け付けて、一包化を行った場合などがこれに当てはまりますね。
どちらかが一包化加算の算定要件を満たしていれば不要だとは思いますが、片方だけでは算定要件を満たしていない場合はレセ摘要への記載が必須です。

配合禁忌等を避けるための別剤算定に関する記載

オ 配合禁忌等の理由により内服薬を別剤とした場合には、その理由を記載すること。

配合禁忌等を避けるため、処方箋上では混合指示とされているものを混合せずに調剤した場合は別剤として調剤料を算定することが可能です。
例)クラリスロマイシンDS・カルボシステインDS 2×MA 14日分
クラリスロマイシンDS製剤は原薬の苦味をマスキングするために表面をコーティングする形で製剤化されています。
このコーティングは酸性条件下で剥がれてしまうのでカルボシステインのような酸性製剤と混ぜるとクラリスロマイシン自体の苦味が出てしまうので、別包装に分けて調剤するのが望ましいです。
この場合、クラリスロマイシンDSの朝・夕食後 14日分の調剤料とムコダインDSの朝・夕食後 14日分の調剤料をそれぞれ算定することができ、14日分の調剤料を2つ算定することが可能です。
ただし、この場合、その理由をレセプトの摘要欄に記載することが必要です。

投与制限の特例に関する記載

カ 長期の旅行等特殊の事情がある場合において、必要があると認められ、投薬量が1回14日分を限度とされる内服薬及び外用薬であって14日を超えて投与された場合は、処方せんの備考欄に記載されている長期投与の理由を転記すること。

新薬・向精神薬・麻薬などで14日分の日数制限があるものでも、
・海外への渡航
・年末年始
・連休
の理由であれば、最小限の範囲で30日分まで投与が可能とされています。
※最小限なので、再来局などで回避出来る場合(12月7日の時点で年末年始の理由など)は不可
この場合もレセプト摘要欄に理由の記載が必要です。

処方せん発行日以外に算定できる項目に関する記載

キ 調剤を行っていない月に服薬情報等提供料、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料又は在宅患者緊急時等共同指導料を算定した場合は、情報提供又は訪問の対象となる調剤の年月日及び投薬日数を記載すること。

服薬情報等提供料、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料については該当する処方箋調剤日より後に算定を行うケースが存在しますので当然、どの処方せんに基づく算定かの記載が必要となります。

在宅対象患者への薬歴算定に関する記載

ク 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者について、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行われ、薬剤服用歴管理指導料を算定する場合には、算定日を記載すること。

在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合、以前は在宅に関係するもの以外の薬学管理料は算定できませんでしたが、現在は算定することが可能です。
在宅において、訪問計画外に臨時の調剤・訪問を行った場合、薬学的管理指導計画に係る疾病であれば在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定できますが、薬学的管理指導計画に係る疾病以外では、例外的に薬剤服用歴管理指導料のみが算定可能です。
この場合、対象となる算定日をレセプト摘要欄に記載するように定められています。

サポート薬局の在宅訪問に関する記載

ケ 訪問薬剤管理指導を主に実施している保険薬局(以下「在宅基幹薬局」という。)に代わって連携する他の薬局(以下「サポート薬局」という。)が訪問薬剤管理指導を実施し、在宅患者訪問薬剤管理指導料又は在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定した場合は、在宅基幹薬局は当該訪問薬剤管理指導を実施した日付、サポート薬局名及びやむを得ない事由等を記載すること。

サポート薬局が在宅訪問を行った場合は、在宅基幹薬局が在宅に関する管理料を請求するので、サポート薬局名やその理由を記載するのは当然ですね。

コ 在宅基幹薬局に代わってサポート薬局が訪問薬剤管理指導(この場合においては、介護保険における居宅療養管理指導及び介護予防居宅療養管理指導費を含む。)を実施した場合であって、処方せんが交付されていた場合は、サポート薬局は当該訪問薬剤管理指導を実施した日付を記載すること。

処方箋に基づいてサポート薬局が在宅訪問を行った場合、それが在宅に関する算定となれば、処方に関する調剤料などは算定できても薬歴を含む薬学管理料算定できません。
(在宅に関する点数は基幹薬局が算定)
審査側から見れば不自然ですから、その理由も含めて摘要欄への記載は必要でしょうね。
在宅機関薬局の摘要欄との突合もあるんでしょうか?

長期投薬情報提供料に関する算定

サ 長期投薬情報提供料1を算定する場合は、情報提供の対象となる調剤の年月日、投薬日数及び服薬期間中に情報提供を行った日を記載すること。長期投薬情報提供料2を算定する場合は、指導の対象となる調剤の年月日、投薬日数及び服薬期間中に指導を行った日を記載すること。

長期投薬情報提供料もその性質上、処方箋調剤日よりも後に算定が決まりますので、摘要欄への記載は当然ですね。

外来服薬支援料に関する算定

シ 外来服薬支援料を算定する場合は、服薬管理を支援した日、服薬支援に係る薬剤の処方医の氏名及び保険医療機関の名称を記載すること。

外来服薬支援料は唯一、処方箋なしで算定できる点数なので、レセプト摘要欄への記載が請求の根拠となりますから当然ですね。

退院時共同指導料に関する記載

ス 退院時共同指導料を算定する場合は、指導日並びに共同して指導を行った保険医、看護師又は准看護師の氏名及び保険医療機関の名称を記載すること。なお、保険医等の氏名及び保険医療機関の名称については、算定対象となる患者が入院している保険医療機関とともに当該患者の退院後の在宅医療を担う保険医療機関についても記載するものであること。

退院時共同指導料は初回の在宅算定よりも前に行われた共同指導に参加することで算定可能で、その内容が処方箋に記載されないのでレセ摘要への記載は当然です。

一般名処方の先発医薬品調剤に関する記載

セ 一般名処方が行われた医薬品について後発医薬品を調剤しなかった場合は、その理由について、「患者の意向」、「保険薬局の備蓄」、「後発医薬品なし」又は「その他」から最も当てはまる理由をひとつ記載すること。

これは前回参照ですね。
一般名処方で先発医薬品を選択した際のレセプト摘要欄記載方法~平成26年度調剤報酬改定 – 薬剤師の脳みそ

その他

ソ その他請求内容について特記する必要があればその事項を記載すること。

何かあればレセプト摘要欄に。
「いちおうレセ摘要に書いておこうか」
なんて会話はよくありますよね。

タ「摘要」欄に記載しきれない場合においては、「処方」欄下部の余白部分に必要事項を記載しても差し支えないこと。

ちょっと驚いたんですが、紙レセプトの話ですよね。
まあ、たしかに書ききれない場合もあるでしょうが、それを確認されるケースってあるんでしょうか?

まとめ

やはりほとんどが処方箋に記載のない部分をレセプト摘要欄で求めている形ですね。
レセプトがどのような形で見られるかを考えれば当然の内容な気もします。

一覧表も作りましたので、よければご利用ください。
レセプト摘要欄記載項目一覧(平成26年3月26日時点) – 薬剤師の脳みそ

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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